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エルとリオンのトホホ外伝
エルとリオンのトホホ外伝11
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リオンは自分の悪口だけなら、大抵は黙ってじっと耐えている。(代わりに俺が怒るが)
でも、『俺』を悪く言うヤツは強烈に敵視する。
アリシアや王、親衛隊仲間については厳重に厳重にリオンに注意しておいたから、少々の事では殺ったりはしないはず。
しかし雑誌の編集者にまでは、俺の気が回っていなかった。
城内で『殺人事件が起こった』という話は聞いてないが、事故に見せかけて殺るぐらい、リオンにとっては朝飯前だろう。
ヤバイ、ヤバイぞ!
俺は後も振り返らずに駆け出した。
「あ、お帰りなさい、兄様っ!
早く戻ってきてくださって、僕はとても嬉しいです!」
ダッシュで駆け戻ると、リオンは満面の笑みを浮かべてドアの前で待っていた。
最初のうちは一々ビックリしていたが、これはいつもの事だ。
リオンは身の内に魔獣を封じ込めている。
そのためとても耳がいい。
俺の足音を聞き当てて、いつも俺が部屋に帰る時はドアの前で待っていてくれるのだ。
ああ、なんて可愛いヤツ❤
いや、今はリオンの笑顔に見とれている場合ではない。
「あの、先週の週刊『親衛隊の全て』……確かお前、全部読んでいたよな……」
「はい、何度も読みました。
兄様に関する記事は全て丸暗記しておりますので、よろしかったら本の最初から暗唱いたしましょうか?」
「えっ!?」
「幼い頃より複雑な呪文を扱ってきましたので、暗記は得意です。
創刊号から最新刊まで、すべて暗唱出来ます」
ちょっと得意そうに言う顔がまた愛らしくて悩ましいが、とんでもない才能の無駄遣いだ。
全号暗唱出来るって、どんだけだよ。
いや、ここは兄として喜ぶべきか……。
「そ、そうか、それはどうもありがとう。
話は変わるが、先週その雑誌でコンテストがあったろう?」
そう話をすると、リオンの顔色がサッと変わった。
う。平気そうに見えたけど、やはりあの記事が引っかかっていたようだ。
もしかして、もう何かやらかした後なのだろうかっ!?
どどどどうしようっ!
事と次第によっちゃあ、俺たち兄弟は今日にも城から追い出されてしまうかもしれない。
というか、またしても弟に罪を犯させるなんて、俺はなんという愚兄なのだ。
リオンは本当は優しいのに、俺が駄目なばっかりに。
ああアリシアの言う通り、俺は駄目な兄なのだ……。
がっくりと落ち込む俺に、リオンは言いづらそうに続けた。
「……ええ。先週号もくまなく熟読しておりますので、その記事も読みました。
僕はその記事だけ抜かして暗唱しようと思っていたのですが…………その、兄様ももう『アノ部分』をお読みになられた、の……ですか?」
「ああ、読んだっていうか……変な記事が一つあったらしくて、それでお前が気にしてるかもと思って……」
「気に……ですか。
ええ、本来ならあんな不届きな記事を書く方々には『正義の裁き』を与えるべきなのですが、発売日直前に王に呼ばれて説明を受けました。
だから今はもう納得しています。大丈夫です」
へ?
何がどうなって、リオンが『俺の悪口みたいな記事』に納得したのだろう。
不思議だ……。
でも、『俺』を悪く言うヤツは強烈に敵視する。
アリシアや王、親衛隊仲間については厳重に厳重にリオンに注意しておいたから、少々の事では殺ったりはしないはず。
しかし雑誌の編集者にまでは、俺の気が回っていなかった。
城内で『殺人事件が起こった』という話は聞いてないが、事故に見せかけて殺るぐらい、リオンにとっては朝飯前だろう。
ヤバイ、ヤバイぞ!
俺は後も振り返らずに駆け出した。
「あ、お帰りなさい、兄様っ!
早く戻ってきてくださって、僕はとても嬉しいです!」
ダッシュで駆け戻ると、リオンは満面の笑みを浮かべてドアの前で待っていた。
最初のうちは一々ビックリしていたが、これはいつもの事だ。
リオンは身の内に魔獣を封じ込めている。
そのためとても耳がいい。
俺の足音を聞き当てて、いつも俺が部屋に帰る時はドアの前で待っていてくれるのだ。
ああ、なんて可愛いヤツ❤
いや、今はリオンの笑顔に見とれている場合ではない。
「あの、先週の週刊『親衛隊の全て』……確かお前、全部読んでいたよな……」
「はい、何度も読みました。
兄様に関する記事は全て丸暗記しておりますので、よろしかったら本の最初から暗唱いたしましょうか?」
「えっ!?」
「幼い頃より複雑な呪文を扱ってきましたので、暗記は得意です。
創刊号から最新刊まで、すべて暗唱出来ます」
ちょっと得意そうに言う顔がまた愛らしくて悩ましいが、とんでもない才能の無駄遣いだ。
全号暗唱出来るって、どんだけだよ。
いや、ここは兄として喜ぶべきか……。
「そ、そうか、それはどうもありがとう。
話は変わるが、先週その雑誌でコンテストがあったろう?」
そう話をすると、リオンの顔色がサッと変わった。
う。平気そうに見えたけど、やはりあの記事が引っかかっていたようだ。
もしかして、もう何かやらかした後なのだろうかっ!?
どどどどうしようっ!
事と次第によっちゃあ、俺たち兄弟は今日にも城から追い出されてしまうかもしれない。
というか、またしても弟に罪を犯させるなんて、俺はなんという愚兄なのだ。
リオンは本当は優しいのに、俺が駄目なばっかりに。
ああアリシアの言う通り、俺は駄目な兄なのだ……。
がっくりと落ち込む俺に、リオンは言いづらそうに続けた。
「……ええ。先週号もくまなく熟読しておりますので、その記事も読みました。
僕はその記事だけ抜かして暗唱しようと思っていたのですが…………その、兄様ももう『アノ部分』をお読みになられた、の……ですか?」
「ああ、読んだっていうか……変な記事が一つあったらしくて、それでお前が気にしてるかもと思って……」
「気に……ですか。
ええ、本来ならあんな不届きな記事を書く方々には『正義の裁き』を与えるべきなのですが、発売日直前に王に呼ばれて説明を受けました。
だから今はもう納得しています。大丈夫です」
へ?
何がどうなって、リオンが『俺の悪口みたいな記事』に納得したのだろう。
不思議だ……。
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