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エルとリオンのトホホ外伝

エルとリオンのトホホ外伝10

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 何だかウルフに申し訳ないな……。

 でも俺を恨むなよ?
 俺はこの彼女には、何もしていない。名前さえ知らなかったぐらいだ。

 ああしかし、なんて罪作りな俺。
 友人の彼女が俺に想いを寄せていただなんて……。

 そう悩ましく思っていると、彼女は輝くような笑顔で更に一歩俺の方に進み出た。

 もしや告白?

 だだだ、駄目だって!!
 彼氏の居る女性が、そんなはしたないことは……。

 それにウルフだって、こちらを見てオロオロしたまま固まっている。
 いくら俺が美形だからって、彼氏の前で告白なんて可哀想じゃないか。

 しかし、そんな俺の困惑を無視して彼女は明るく言った。

「受賞おめでとうございますっ!
 さすがエル様ですわっ!!」

「え?」

 告白では……ない!?
 それに、受賞など、特にした覚えが無いのだが。

 予想と違う展開になった事にちょっぴり戸惑ったが、ま、いいか。
 どうせ告白されても、受ける気はなかった。
 ウルフとの友情にひびが入るのも困る。

 そんなことを考えながら、目の前の女性にニッコリと微笑みかける。
 営業スマイルは大切だ。
 俺の商売は人気が命。リオンが誇れる『人気のある』兄でいなくては!

 そのタイミングで、女性は言った。

「ブラコンランキング、ぶっちぎりの一位……本当におめでとうございます!
 先週号で拝見いたしましたけど、さすがはエル様!!
 他を寄せ付けない票の伸ばしっぷりでした!
 それと『顔』部門一位もおめでとうございます!!
 『性格部門』も『残念で賞』見事一位獲得で、三冠王、おめでとうございますっ!!」

 そう言って彼女は、キラキラした瞳で俺を見つめた。

 ええっ!
 そんなコンテストをやっていたんだ!?

 そして、ウルフの彼女もそれぞれ俺に一票ずつ入れてくれていたらしい。

 三冠王をどうもありがとう……って、『ブラコン』や『顔』部門一位はともかく、『性格部門』が『残念で賞』って何なんだよっ!!!

 俺は誰からもそんな話、聞いてないけどっ!!

 そういえば……最近いつもにも増して注目されてるな~と思ってはいた。
 けれど、それは俺が『美形』だからじゃなかったのか……。

 残念な男を見ようと思って、皆ジロジロ見ていただけだったんだ……。

 内心憤慨するが、ハタとある事実に気がついた。
 リオンはあの雑誌を全号読破していたはず。

 ヤバイっ!!
 俺の性格が『残念』なんて書かれていたら、リオンは間違いなく激怒する。

 もしかして、悪口を書いた雑誌関係者をこっそりと殺っちゃってたりしないだろうな!?

 ありうる……ありうるぞ凄く。

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