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エルとリオンのトホホ外伝
エルとリオンのトホホ外伝3
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「なあリオン、俺ってモテないタイプに見えるかな?」
部屋に戻り、口直し代わりにかわゆい弟に聞いてみる。
もちろん自分では『モテない』なんてカケラも思ってはいない。
単なる謙遜だ。
リオンだって俺がモテないだなんて――――思っているわけが無い。
そのはずなのに、なぜか返事がかえってこない。
う。もしや……もしやリオンもアリシア同様、この俺を『モテない男』と思っているのかッー!?
だから黙ったままなのか?
……そういえば告白を受けたのは、俺が一人でいるときばかり。
つまり、リオンは俺がモテているところは全く見ていなかったのだ。
『いいえ、兄様はおモテにはなっていません』
『賢い兄様がそんな酷い勘違いをなさるなんて……僕は悲しいです』
かわゆい弟の口から残酷な言葉がこぼれ落ちる様を想像して、冷や汗がツツと流れた。
そうしてとうとう、リオンがおずおずと言葉を紡ぎ始めた。
「え……っと。
あの……僕には意味がよくわからないのですが、兄様は『何を』お持ちになりたいのですか?
兄様は僕をなにかと抱き上げてくださいますし、闘技の様子から推測しましても人間としてはかなり力がある方だと思います。
何か持てなくて、お困りですか?
僕でよろしければお役に立てませんか?」
首をかしげながら遠慮がちに喋る、この弟の可愛いことよ。
やはりリオンは可愛い。可愛過ぎる。
即答しなかったのは、そういうワケだったなんて。
しかし残念ながら『モテ』違いだ。
修正しておいた方がいいのだろうか?
いや、こういう勘違いもリオンらしくて可愛らしい。
「もうすでに役には立っているよ。ありがとう、リオン」
そう言って小さな体を抱きしめる。
癒されるな~ホント。
それに何か、いい香り。
どんな疲れも吹っ飛ぶ『超高度癒し能力』を保持する弟がいるっていいなぁ!
俺ってなんて幸せ者なのだろう。
次に俺は、王に聞いてみることにした。
王は基本的に褒め上手だ。良いところを見つけては、積極的に臣下を褒めている。
それでいて、その内容に嘘は無い。
王のお墨付きをもらえば、アリシアだって『ぐうの音』も出まい。
女性は感情的なので、客観的判断には向かない生き物だと聞いたことがある。
アリシアなどは『モロにそんなタイプ』であると思われる。
冷静で有能な王とは大違いだ。
良いところだっていっぱいあるのに、何故彼女はあんなにも口が悪いのだろう?
アリシアのたわごとなど、男らしく一笑に付して無視しておけばいい……。
頭ではそうわかっているが、俺は生まれてこのかた女性に蔑ろにされたことはほとんどない。
なのに、
「女々しい」
「なんでイチイチ号泣するのよ」
「は? 正気なの? このブラコン屑男」
「弟の教育もまともに出来ないアホ」
とか、罵られ続けると根本から自信が揺らいでくる。
そうだ、そうだ。
どうせ屑だよ俺は。
自国を滅ぼして自分は生き延びている屑だよ。
親友にも殺されかけたうえ、いまだ国の復興もままならない屑だよ。
……と、言われてもないことまで思い出して落ち込んでくる。
しかし俺が鬱々としていたところで国が復興できるわけではない。
今は国の成り立ちを有能な王の下で学び、自分自身が起てる大人となるまで努力するのみ。
鬱々としたって、弟の教育に悪いだけだ。
なので、日頃は努めて明るく振舞うようにしている。
部屋に戻り、口直し代わりにかわゆい弟に聞いてみる。
もちろん自分では『モテない』なんてカケラも思ってはいない。
単なる謙遜だ。
リオンだって俺がモテないだなんて――――思っているわけが無い。
そのはずなのに、なぜか返事がかえってこない。
う。もしや……もしやリオンもアリシア同様、この俺を『モテない男』と思っているのかッー!?
だから黙ったままなのか?
……そういえば告白を受けたのは、俺が一人でいるときばかり。
つまり、リオンは俺がモテているところは全く見ていなかったのだ。
『いいえ、兄様はおモテにはなっていません』
『賢い兄様がそんな酷い勘違いをなさるなんて……僕は悲しいです』
かわゆい弟の口から残酷な言葉がこぼれ落ちる様を想像して、冷や汗がツツと流れた。
そうしてとうとう、リオンがおずおずと言葉を紡ぎ始めた。
「え……っと。
あの……僕には意味がよくわからないのですが、兄様は『何を』お持ちになりたいのですか?
兄様は僕をなにかと抱き上げてくださいますし、闘技の様子から推測しましても人間としてはかなり力がある方だと思います。
何か持てなくて、お困りですか?
僕でよろしければお役に立てませんか?」
首をかしげながら遠慮がちに喋る、この弟の可愛いことよ。
やはりリオンは可愛い。可愛過ぎる。
即答しなかったのは、そういうワケだったなんて。
しかし残念ながら『モテ』違いだ。
修正しておいた方がいいのだろうか?
いや、こういう勘違いもリオンらしくて可愛らしい。
「もうすでに役には立っているよ。ありがとう、リオン」
そう言って小さな体を抱きしめる。
癒されるな~ホント。
それに何か、いい香り。
どんな疲れも吹っ飛ぶ『超高度癒し能力』を保持する弟がいるっていいなぁ!
俺ってなんて幸せ者なのだろう。
次に俺は、王に聞いてみることにした。
王は基本的に褒め上手だ。良いところを見つけては、積極的に臣下を褒めている。
それでいて、その内容に嘘は無い。
王のお墨付きをもらえば、アリシアだって『ぐうの音』も出まい。
女性は感情的なので、客観的判断には向かない生き物だと聞いたことがある。
アリシアなどは『モロにそんなタイプ』であると思われる。
冷静で有能な王とは大違いだ。
良いところだっていっぱいあるのに、何故彼女はあんなにも口が悪いのだろう?
アリシアのたわごとなど、男らしく一笑に付して無視しておけばいい……。
頭ではそうわかっているが、俺は生まれてこのかた女性に蔑ろにされたことはほとんどない。
なのに、
「女々しい」
「なんでイチイチ号泣するのよ」
「は? 正気なの? このブラコン屑男」
「弟の教育もまともに出来ないアホ」
とか、罵られ続けると根本から自信が揺らいでくる。
そうだ、そうだ。
どうせ屑だよ俺は。
自国を滅ぼして自分は生き延びている屑だよ。
親友にも殺されかけたうえ、いまだ国の復興もままならない屑だよ。
……と、言われてもないことまで思い出して落ち込んでくる。
しかし俺が鬱々としていたところで国が復興できるわけではない。
今は国の成り立ちを有能な王の下で学び、自分自身が起てる大人となるまで努力するのみ。
鬱々としたって、弟の教育に悪いだけだ。
なので、日頃は努めて明るく振舞うようにしている。
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