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エルとリオンのトホホ外伝

エルとリオンのトホホ外伝1

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*注意:このお話はしょうもないアホ話です。(でも16回連載)
アリシア外伝のちょっと後で、リオンが売り子をやり始めた頃のお話です。売り子の話ではありませんが……。

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 俺ははっきり言ってブラコンだ。

 ブラコンになる前は『マザコン』かつ『シスコン』で、俺の教育係であるエドワードには毎日からかわれていた。

 しかし俺にとってそれらのワードは、むしろ誇り。
 エルシオン王国は『愛情表現は大げさなぐらいが良い』というお土地柄なのだ。

 他国出身のエドワードには奇異に映るようだが、周りを見ても俺の行動はそうおかしいものではない。

 だいたい、家族を大切にして何が悪い。

 勉強だって、武術だって、大好きな母上に喜んで欲しいから励んだのだし、幼い妹が大きくなったとき、

「お兄様は強くて賢くて素敵~~! 私の理想はお兄様ですわっ❤」

 と言ってもらうのが夢だったから頑張り抜けたのだ。


 そんな日々はある日突然終わり、残酷な運命の下、とても可愛い弟が一人『最後の身内』として俺の側に残された。

「兄様は強くて賢くてとても素敵です! 僕の理想は兄様なのですっ」

 最後に残ったこの『可愛い弟』は、部屋の中でも外でも毎日そう言ってくれる。

 この言葉を言い始めたのは俺がリオンに上記の話しをした翌日からなので、妹を失った俺に対するリオンなりの『いたわりの心』なのだと思うのだが、アリシアなどは、

「いい加減アレをやめさせなさいよっ。そろそろおかしな噂が立ってるわよ!!」

 などと言う。

 はっきり言って余計なお世話だ。
 弟の深い思いやりを台無しにするな。

 ついでに言うと、

「ブラコンが過ぎて婿に行けるアテもない可哀想なヤツ」

 とか、

「彼女すら出来そうにない」

 とか

「どうせ年齢=彼女居ない暦だろう」とか、超巨大なお世話だ。

 アリシアの方こそ、もっと女らしい楚々とした思いやりを持たないとアッという間に行き遅れだ。
 人の心配をしている暇があるならもっと自分が精進しろよ。

 でも、彼女かぁ……。
 婚約者とかじゃ重過ぎるけど、まあ、居たら楽しいだろうな。
 ふと、そんなことを空想した。

 傍らには可愛いリオン。そして、可愛い彼女。
 理想的だ。 

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