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しおりを挟むマデリン様が扇を折ってしまいそうなほど怒りのオーラを出したときだった。
「いい加減にしろ」
私の隣には暗黒の覇気を放出するアル様がいた。左手どころか全身から放出されるこのオーラはなに?実は闇落ちする系の悪役だったのか?
「マデリンの話を聞け。それにお前は王太子じゃない。そして、俺はナタリアと結婚する」
………………………………え?
聞き間違いかな。よし、第一王子殿下、御覚悟ください。この闇落ちして悪魔と契約してなんか堕天使だとか死神だとか、えーと、悲しい宿命を突如として思い出す感じの設定を背負ったアル様が成敗し、え、マデリン様も第一王子殿下も男爵令嬢も、なぜこちらを驚愕の顔で見ているんですか。
「……アルフレッド殿下、呆気にとられて隙だらけです。やるなら今ですよ」
「ナタリア、”アル”だろう?」
アル様の指がクイと私の顎を上げた。視線がアル様に縫い留められる。
「それは……二人だけの時だと……ッ」
「ふふ、照れてるの?」
そんなやり取りまで聞こえてしまったのか、マデリン様が「まぁ……!」と感激したかのように叫んだ。マデリン様、違うんです。
「アルフレッド、ついに捕まえたのね!」
「あぁ、やっとだ。だから邪魔されるなんてとんでもない。エドワードたちは二人で勝手にやってくれ。俺たちやマデリンを巻き込むな」
なにが”ついに捕まえた”のか意味不明だが、アル様が第一王子殿下とお話し中なので聞けやしない。私のことは物語外でやりますので、メインストーリーをどうぞすすめてください。
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