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別離編
束の間 ※
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「団には行かんぞ。私は別件で忙しい……テオドールにはお前が代行しろと伝えておけ」
「やだよ!俺は明日休みだって」
アルフレートの屋敷は貴族の邸宅が並ぶ区画の外れにある。意外なほど質素な屋敷だった。
書斎にいたアルフレートにテオドールの伝言を告げると彼はふん、と鼻を鳴らした。
書類と睨めっこをしたまま、カイルを手招く。
なにか書類内容でも手伝わせるつもりか?と思ったが違う
書類をサイドテーブルに置いたアルフレートに背後から抱き竦められる形になってカイルは笑って身を預けた。
温かな体温に、いつだって安心する。耳元で優しく聞かれる。
「晩飯は?」
「まだ。――あ、でもキースに甘いもんをもらった」
アルフレートが一瞬眉間に皺を寄せた。
「……今日は、神官と会う日じゃないだろう」
「なんで把握してるんだよ……」
「お前をほかの人間と会わせたくない、他愛もない嫉妬だな。可愛いものだろう?」
「仕事でばったりあったんだよ」
「行かせければよかったな」
引き寄せられて、ちゅ、と口付けられる。
嫉妬するような間柄じゃないと知っているくせにとカイルは呆れたが、久々に貰えるキスは嬉しい。
恋人になったその月。
アルフレートは吹雪の夜の宣言通りにカイルを三日三晩自分の屋敷に閉じ込めて、カイルがもう無理だ許してとアルフレートに泣いて縋って、それでも彼の上で淫らに腰を振って果てるまで苛んだ。
こんなに感じるなんて自分はどこかおかしいんじゃないか、並外れて淫乱なんじゃないかと半泣きになるとアルフレートは「お前が淫乱なら私はその上にドがつくな」と自信満々に言うので馬鹿らしくなってしまった。
互いに淫乱なら似合いじゃないか?と言われて、うん、と頷く。
アルフレートに恋をするのは悪いことじゃない。彼を受け入れて快感を得るのは自然なことだと、サラリと肯定してくれるのが、嬉しい。
これから休みは全部合わせるぞとアルフレートは宣言したものの「馬鹿ですか、出来るわけがないでしょう」とテオドールに一蹴され(ごもっともだとカイルも思う)休日が合うのは月に一度か二度。
それでもカイルが休みの前の日は絶対に来いと言われ。
カイルがアルフレートの屋敷に泊まるのが慣例だった。
指で髪を撫でられて心地よさに身を任せる。
「カイル」
「んっ……痕はつけるなってば!」
「どうせ見えない」
簡単にシャツは脱がされて鎖骨のあたりに歯を立てられる。
アルフレートがの行為の際は、鎖骨の周囲や背中や、腿の裏側や裏側……あらぬところにマーキングされる。
時々、食べる気かと思うくらい強く噛まれて、痛いからやめて欲しいと思うのに、噛まれてそこを何度も指で慰撫されると、カイルの理性はぐずぐずに蕩けてしまう。
向かい合う格好で膝の上に跨る。
シャツは手早く脱がされて、左胸を舌で押しつぶされるように愛撫されてカイルは呻いた。
「右が寂しい?」
「……んなわけっ……あ、ん…っ」
笑ったアルフレートの指が右胸を摘んで、弄ぶ。両方を攻められるとそれだけでもう、下半身が熱くなる。身をよじって、それだけじゃ足らなくて自分で、昂った自身に手をかけていじってしまう。
「……んっんっ」
快感を追いかけて喘ぐと、アルフレートが不満そうにカイルの手を止めた。中途半端に止められた熱がもどかしくてカイルは涙目でアルフレートのアイスブルーの瞳を睨んだ。
「久しぶりなのに、勝手に扱うな」
「止めるな、って……ば!」
「私にまず、味あわせろ」
力の抜けたカイルの下半身から着衣を剥ぎ取って、カイルだけが全裸にされる。
不公平!と文句を言うとアルフレートは私の服はお前が脱がせろ、とカイルに命令した。
「……ちょ。じっとしてろってば」
「断るね。ほら、早くしろ」
アルフレートがの襟元に手を当てて脱がそうとするのに、アルフレート手袋をとった手でカイルの性器を強く扱くから、そちらに意識が集中してうまくいかない。
「ああっ…んっ、ん。アルフ、つよい、よ」
「まだ……我慢しろ……くっ」
アルフレートは小さく呻いて前を寛げ、自身のソレを出した。
カイルの勃ち上がったそれとまとめて、指を上下に動かす。どくり、とそこが脈打った気がしてカイルは呻いてアルフレートの肩に顔を埋めた。
「あっ、あ、あっ……!」
射精の愉悦は一瞬で終わるはずなのに、アルフレートに躾けられた従順な身体は、快楽がまだはじまりだと分かっている。
期待に、カイルは目をとろんとさせて、アルフレート見た。
口を重ねて、キスをしながらおずおずと、ねだる。
「……アルフ、早く、欲しい……」
アルフレートがカイルの背中をソファに押し倒してシャツを脱ぐ。床にざつにほう脱ぎ床に落とす。
「どうした?今日は随分と……積極的だな」
「んな事ない。……久しぶりだから、飢えてる、だけ……んっ、ああ!」
ひくついたそこに熱いものをあてがわれて、いっきに押し潰される。
狭いそこを熱い塊が抜けてぐう、と広げられる痛みと恐怖は今もまだ少しある。
胎の中を圧迫する熱さ、違和感が、アルフレートが動き始めると次第に快感に塗り替えられていく。
肉ぶつかる音に耳が犯されて気持ちがいい。
「イイ…っ!イくっ、あ、ん!そこ、そこ、ああっ」
「……カイルっ、んっ」
高く抱えられた足の先、足指をギュッと曲げて快感をやり過ごして、結合を長引かせようと試みたが……ダメで、カイルは胎の切なさに手を伸ばした。
アルフがほしい。
声に出さずに言って手を伸ばすと。美貌の恋人は快楽に顔を歪めながら、カイルの中に劣情を注ぎ込んだ。
「……ん」
「カイル」
気をやって息を整えていると、隣寝そべっていたアルフレートがカイルの額に張り付いた髪をそっと避けて目元に口づけを落とした。
「今日はどうした?何か……元気がないか?」
「……んな事ないって。連勤続きで疲れがたまってるだけ」
脳裏を、昼間あった母子の姿が過ぎったが、なんでもないと首を振ってカイルはアルフレートを引き寄せて口付けた。
「やだよ!俺は明日休みだって」
アルフレートの屋敷は貴族の邸宅が並ぶ区画の外れにある。意外なほど質素な屋敷だった。
書斎にいたアルフレートにテオドールの伝言を告げると彼はふん、と鼻を鳴らした。
書類と睨めっこをしたまま、カイルを手招く。
なにか書類内容でも手伝わせるつもりか?と思ったが違う
書類をサイドテーブルに置いたアルフレートに背後から抱き竦められる形になってカイルは笑って身を預けた。
温かな体温に、いつだって安心する。耳元で優しく聞かれる。
「晩飯は?」
「まだ。――あ、でもキースに甘いもんをもらった」
アルフレートが一瞬眉間に皺を寄せた。
「……今日は、神官と会う日じゃないだろう」
「なんで把握してるんだよ……」
「お前をほかの人間と会わせたくない、他愛もない嫉妬だな。可愛いものだろう?」
「仕事でばったりあったんだよ」
「行かせければよかったな」
引き寄せられて、ちゅ、と口付けられる。
嫉妬するような間柄じゃないと知っているくせにとカイルは呆れたが、久々に貰えるキスは嬉しい。
恋人になったその月。
アルフレートは吹雪の夜の宣言通りにカイルを三日三晩自分の屋敷に閉じ込めて、カイルがもう無理だ許してとアルフレートに泣いて縋って、それでも彼の上で淫らに腰を振って果てるまで苛んだ。
こんなに感じるなんて自分はどこかおかしいんじゃないか、並外れて淫乱なんじゃないかと半泣きになるとアルフレートは「お前が淫乱なら私はその上にドがつくな」と自信満々に言うので馬鹿らしくなってしまった。
互いに淫乱なら似合いじゃないか?と言われて、うん、と頷く。
アルフレートに恋をするのは悪いことじゃない。彼を受け入れて快感を得るのは自然なことだと、サラリと肯定してくれるのが、嬉しい。
これから休みは全部合わせるぞとアルフレートは宣言したものの「馬鹿ですか、出来るわけがないでしょう」とテオドールに一蹴され(ごもっともだとカイルも思う)休日が合うのは月に一度か二度。
それでもカイルが休みの前の日は絶対に来いと言われ。
カイルがアルフレートの屋敷に泊まるのが慣例だった。
指で髪を撫でられて心地よさに身を任せる。
「カイル」
「んっ……痕はつけるなってば!」
「どうせ見えない」
簡単にシャツは脱がされて鎖骨のあたりに歯を立てられる。
アルフレートがの行為の際は、鎖骨の周囲や背中や、腿の裏側や裏側……あらぬところにマーキングされる。
時々、食べる気かと思うくらい強く噛まれて、痛いからやめて欲しいと思うのに、噛まれてそこを何度も指で慰撫されると、カイルの理性はぐずぐずに蕩けてしまう。
向かい合う格好で膝の上に跨る。
シャツは手早く脱がされて、左胸を舌で押しつぶされるように愛撫されてカイルは呻いた。
「右が寂しい?」
「……んなわけっ……あ、ん…っ」
笑ったアルフレートの指が右胸を摘んで、弄ぶ。両方を攻められるとそれだけでもう、下半身が熱くなる。身をよじって、それだけじゃ足らなくて自分で、昂った自身に手をかけていじってしまう。
「……んっんっ」
快感を追いかけて喘ぐと、アルフレートが不満そうにカイルの手を止めた。中途半端に止められた熱がもどかしくてカイルは涙目でアルフレートのアイスブルーの瞳を睨んだ。
「久しぶりなのに、勝手に扱うな」
「止めるな、って……ば!」
「私にまず、味あわせろ」
力の抜けたカイルの下半身から着衣を剥ぎ取って、カイルだけが全裸にされる。
不公平!と文句を言うとアルフレートは私の服はお前が脱がせろ、とカイルに命令した。
「……ちょ。じっとしてろってば」
「断るね。ほら、早くしろ」
アルフレートがの襟元に手を当てて脱がそうとするのに、アルフレート手袋をとった手でカイルの性器を強く扱くから、そちらに意識が集中してうまくいかない。
「ああっ…んっ、ん。アルフ、つよい、よ」
「まだ……我慢しろ……くっ」
アルフレートは小さく呻いて前を寛げ、自身のソレを出した。
カイルの勃ち上がったそれとまとめて、指を上下に動かす。どくり、とそこが脈打った気がしてカイルは呻いてアルフレートの肩に顔を埋めた。
「あっ、あ、あっ……!」
射精の愉悦は一瞬で終わるはずなのに、アルフレートに躾けられた従順な身体は、快楽がまだはじまりだと分かっている。
期待に、カイルは目をとろんとさせて、アルフレート見た。
口を重ねて、キスをしながらおずおずと、ねだる。
「……アルフ、早く、欲しい……」
アルフレートがカイルの背中をソファに押し倒してシャツを脱ぐ。床にざつにほう脱ぎ床に落とす。
「どうした?今日は随分と……積極的だな」
「んな事ない。……久しぶりだから、飢えてる、だけ……んっ、ああ!」
ひくついたそこに熱いものをあてがわれて、いっきに押し潰される。
狭いそこを熱い塊が抜けてぐう、と広げられる痛みと恐怖は今もまだ少しある。
胎の中を圧迫する熱さ、違和感が、アルフレートが動き始めると次第に快感に塗り替えられていく。
肉ぶつかる音に耳が犯されて気持ちがいい。
「イイ…っ!イくっ、あ、ん!そこ、そこ、ああっ」
「……カイルっ、んっ」
高く抱えられた足の先、足指をギュッと曲げて快感をやり過ごして、結合を長引かせようと試みたが……ダメで、カイルは胎の切なさに手を伸ばした。
アルフがほしい。
声に出さずに言って手を伸ばすと。美貌の恋人は快楽に顔を歪めながら、カイルの中に劣情を注ぎ込んだ。
「……ん」
「カイル」
気をやって息を整えていると、隣寝そべっていたアルフレートがカイルの額に張り付いた髪をそっと避けて目元に口づけを落とした。
「今日はどうした?何か……元気がないか?」
「……んな事ないって。連勤続きで疲れがたまってるだけ」
脳裏を、昼間あった母子の姿が過ぎったが、なんでもないと首を振ってカイルはアルフレートを引き寄せて口付けた。
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