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出会い編
飛竜騎士団 8 ※
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「そんなに嫌がるなって。アルフレートもテオドールも団にはいない。助けはこない。誰もお前を守っちゃくれねえぞ。――亭主のいない間に他の男を試すのも悪くないぜ?おまえが黙ってりゃアルフレートだって気づかねえ」
剥き出しになった腹をハインツの節はった指がなぞる。簡単に下着まで剥がされてカイルは悲鳴をあげた。
「違……よせ、やめろ、――や!」
「大人しくしてろって。それともひどくされるのが好きか?」
ハインツが顎を掴んで口付けてくる。噛んでやろうと思うのに、口を開けた途端になにかを飲まされて、嚥下した瞬間にドクン、と心臓が跳ねた。
「――かっ、は…な、に……」
「ちょっとだけ意識飛ばしてろ。フワフワするだろ?なあ?」
媚薬の類かと青ざめて足をばたつかせるのに、力が抜けていく。
グチュグチュと水音を立てて舌が絡ませられる。うー、うーと呻きながらもがくのに、男は全くびくともしない。
カイルは朦朧としていく意識の下で、男を睨んだ。
視界が悔しさの涙で滲む。
ハインツは上気した顔で組み敷いたカイルを眺め、満足げに頰を撫でた。
慰めるかのように優しく指が移動するのが余計におぞましい。
「睨むなよ――ったく、たまんねえな、その生意気な目。なあ、カイル。アルフレートは大貴族の息子だが所詮は庶子だぜ?俺は違う。俺に鞍替えするなら俺の麾下にしてやってもいい。お前の欲しがってる飛龍だって買ってやる。甘い菓子が好きなら毎日食わしてやる――そう、泣くなよ。お前がいい子にしてればイイ目を見せてやるから」
「……や…らぁ」
いやだ、と言いたいのに回らない舌のせいで幼児のような舌足らずな拒絶の言葉しか口をついてでない。ハインツはくつくつと笑い、もう一度深くくちづけた。
グチュグチュとわざと大きな音を立てて口内を蹂躙され、柔らかな粘膜が痺れる。口づけの角度を変える合間に、あ、あ、とカイルの口から漏れるのは拒絶ではなく、間違いなく快感に侵された喘ぎ声だった。
手酷くされた方がマシだと思うほど、男は執拗に丁寧だった。
過去の恋人達とかわした稚拙な口づけとは異なる酸欠になるような、濃厚な口付け。
舌を絡ませて、唾液を飲まされる。
悔しくて涙しか出ないのに、ままらない身体は快にいとも簡単に流される。
嫌だと拙く鳴けば、いっそうハインツは喜んでカイルの身体中を弄る。胸を執拗につねってひっかいて弄んでいた右手がヘソの辺りを強く押して来るので、カイルは苦しさに喘いだ。
涙が溢れる。
その手が下肢に伸ばされて、カイルは今度こそ鋭く悲鳴をあげた。
「――痛!やめ!嫌だ!」
「大人しくしろって。すぐに解して――」
「やめ!いやだ!痛っ、お願い、いやだ!」
後孔に指を突き立てられてカイルは絶叫した。そんなところに指など入れたことがない。あるわけがない!カイルを嫌う騎士たちはアルフレートの稚児だと揶揄するが、そんな事を求められたことは一度としてなかった。
呻きながらぐずぐずと泣くカイルにハインツが動きを止めた。
半身を起こして信じられない物を見るように、視線を落とす。
「まさか、本当におまえ、手付かずか?」
「――?な、に……」
何のことかわからない。言葉が全部ただの音に聞こえる。
ああ、と嘆息してハインツは気味が悪いくらいの猫撫で声で聞いた。指が引き抜かれてカイルは安堵のあまり、しゃくりあげる。
「カイル。いい子だ。お前が正直に答えたらもう、終わりにしてやる」
「――あ、う、ほん、……と?やめ……」
本当のわけがないが、カイルにはもう判断が出来ない。
薬のせいで意識が朦朧とするのも相まって、藁にもすがる気持ちでカイルは喘いだ。
これは、怖い。もう終わりにして欲しい。
誰か助けて欲しい。
誰か――
「アルフレートの野郎と、お前は寝たことがあるか?あいつはおまえの――ここに触れたことがあるか?」
「――やっ、――ある、わけ――ない。アルフはしない、こんな、しなっ……」
ハインツはそりゃイイ、と笑ってカイルの上半身を起こした。力が入らないせいで抱き合うような形にさせられる。後頭部を掴まれてまた深くキスをさせられて、カイルの口の端から飲みきれない唾液が糸のように溢れてだらしなく、下に落ちた。
「舌、いた、い…」
「我慢しろ。――はは!アルフレートの野郎に感謝してやりたいな。そうか、おまえ――男を知らないのか。初めてならお姫様抱くみたいに優しくしてやる。だから、怖がるなよ、なあ。……俺は自分のものには優しいんだぜ」
下肢に手が添えられてゆっくりと扱かれる。
何か耳元で切羽詰まった声で低く囁かれるがもうカイルにはわからない。ぐちゅぐちゅと出た先走りがハインツの手に受け止められているのに気付いて舌を噛んで死にたくなる。
いや、だ。嫌なのに。
「――んっ、あ!――はっ――ん」
手慣れた動きにカイルは翻弄されて達してしまう。
鳴き声を上げてくたりと背中から倒れ込んだカイルの胸に、ハインツは歯を立てた。先端をかじるたびに涙目で首を振って「あ、あ」と切なく喘ぐカイルに目を細める。
少年の面影を多分に残したカイルの表情は困惑と快感でぐしゃぐしゃになっている。
いつもは生意気な赤い瞳が涙で滲んで熟れた果実のように濡れ、頰に触れるたびにびくりと怯えて震える姿に嗜虐心がそそられる。
誘うように舌が空気を求めるのをたまんねえなと言って吸いつき、柔らかな肉を衝動的に噛まないように自制しながらしゃぶる。
眼下の光景にくらくらするよう興奮を覚えながらハインツは自身のそれを扱いた。
これを生意気な半魔の少年の中心に突き立てて胎を掻き混ぜ、思う様鳴かせてヨがらせればどれだけ気持ちがいいだろう。その想像だけで硬く張り詰める。
「――おまえ、本当に初めてか?だとしたら大した淫乱だ」
「――いん……ら?」
「ああ、考えなくていい。なあんも考えるな。俺にここ触られるのも乳首舐められんのもイイんだろ?そんだけ考えていろよ――なあ」
「あ、――ち、あう」
「気持ちいいか?……なあ?いいって言えばもっかい触ってやるよ」
「――ひ、や――、あ」
ハインツが後ろにふたたび手を伸ばし、カイルは恐怖で赤い瞳を見開いた。脳裏に、キースが浮かぶ。
そして、アルフレートが浮かんだ。
――怖い、嫌だ、助けて、アルフ、嫌だ。
――こんな奴に食われるのはいやだ!!誰か、助けて。俺を助けて!
赤い瞳がその赤さを増す――
「イヤ!!だ!!やめ!!やめろ!!」
「往生際が悪いな」
――こいつを殺してやる。
コロシテ、ころ―――
空気が質量を増すのを、目の前の獲物を捕食することに耽溺していたハインツは気づかなかった。舌なめずりして襲い掛かろうとして――
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
突如としてハインツが叫び声をあげた。
カイルの視界がハインツの血で赤く染まる。
「あ、あ……?にに、ギ、なん……」
「たすけ、て……」
カイルは後ずさって兇漢の腕から逃れる。
ハインツが信じられないという表情で、自分の肩に深く噛みつくドラゴンを見た。
大人しいはずのドラゴンが、慕わしいはずの己の主に鋭い牙で噛みついている。カイルは朦朧とする意識で、ハインツが睨みつけてくるのを見た。視界の端で、ニニギが我に返ったかのようにハインツから牙を放すのを見た。
「……あ……う」
「――この、魔物め!お前かっ」
怒り狂った男は相棒と呼んだドラゴンを斬りつけ、ドラゴンを引き離すと、さらに剣を頭上に掲げる。
白刃が煌めくのを見ながら、カイルは笑いそうになった……。
どうせろくな死に方をしないだろうと知っていた。
けれど、こんな死に方か、こんな所でこんな奴に殺されるのか。
ならば、せめて汚されなかっただけましなのかもしれない。
誰かの制止するような声が聞こえたけれど、もうひどく遠くて頼りない。
なぜだか、抉られるように瞳の奥が痛く――熱い。
カイルはゆっくりと意識を――手放した。
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「違……よせ、やめろ、――や!」
「大人しくしてろって。それともひどくされるのが好きか?」
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「ちょっとだけ意識飛ばしてろ。フワフワするだろ?なあ?」
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慰めるかのように優しく指が移動するのが余計におぞましい。
「睨むなよ――ったく、たまんねえな、その生意気な目。なあ、カイル。アルフレートは大貴族の息子だが所詮は庶子だぜ?俺は違う。俺に鞍替えするなら俺の麾下にしてやってもいい。お前の欲しがってる飛龍だって買ってやる。甘い菓子が好きなら毎日食わしてやる――そう、泣くなよ。お前がいい子にしてればイイ目を見せてやるから」
「……や…らぁ」
いやだ、と言いたいのに回らない舌のせいで幼児のような舌足らずな拒絶の言葉しか口をついてでない。ハインツはくつくつと笑い、もう一度深くくちづけた。
グチュグチュとわざと大きな音を立てて口内を蹂躙され、柔らかな粘膜が痺れる。口づけの角度を変える合間に、あ、あ、とカイルの口から漏れるのは拒絶ではなく、間違いなく快感に侵された喘ぎ声だった。
手酷くされた方がマシだと思うほど、男は執拗に丁寧だった。
過去の恋人達とかわした稚拙な口づけとは異なる酸欠になるような、濃厚な口付け。
舌を絡ませて、唾液を飲まされる。
悔しくて涙しか出ないのに、ままらない身体は快にいとも簡単に流される。
嫌だと拙く鳴けば、いっそうハインツは喜んでカイルの身体中を弄る。胸を執拗につねってひっかいて弄んでいた右手がヘソの辺りを強く押して来るので、カイルは苦しさに喘いだ。
涙が溢れる。
その手が下肢に伸ばされて、カイルは今度こそ鋭く悲鳴をあげた。
「――痛!やめ!嫌だ!」
「大人しくしろって。すぐに解して――」
「やめ!いやだ!痛っ、お願い、いやだ!」
後孔に指を突き立てられてカイルは絶叫した。そんなところに指など入れたことがない。あるわけがない!カイルを嫌う騎士たちはアルフレートの稚児だと揶揄するが、そんな事を求められたことは一度としてなかった。
呻きながらぐずぐずと泣くカイルにハインツが動きを止めた。
半身を起こして信じられない物を見るように、視線を落とす。
「まさか、本当におまえ、手付かずか?」
「――?な、に……」
何のことかわからない。言葉が全部ただの音に聞こえる。
ああ、と嘆息してハインツは気味が悪いくらいの猫撫で声で聞いた。指が引き抜かれてカイルは安堵のあまり、しゃくりあげる。
「カイル。いい子だ。お前が正直に答えたらもう、終わりにしてやる」
「――あ、う、ほん、……と?やめ……」
本当のわけがないが、カイルにはもう判断が出来ない。
薬のせいで意識が朦朧とするのも相まって、藁にもすがる気持ちでカイルは喘いだ。
これは、怖い。もう終わりにして欲しい。
誰か助けて欲しい。
誰か――
「アルフレートの野郎と、お前は寝たことがあるか?あいつはおまえの――ここに触れたことがあるか?」
「――やっ、――ある、わけ――ない。アルフはしない、こんな、しなっ……」
ハインツはそりゃイイ、と笑ってカイルの上半身を起こした。力が入らないせいで抱き合うような形にさせられる。後頭部を掴まれてまた深くキスをさせられて、カイルの口の端から飲みきれない唾液が糸のように溢れてだらしなく、下に落ちた。
「舌、いた、い…」
「我慢しろ。――はは!アルフレートの野郎に感謝してやりたいな。そうか、おまえ――男を知らないのか。初めてならお姫様抱くみたいに優しくしてやる。だから、怖がるなよ、なあ。……俺は自分のものには優しいんだぜ」
下肢に手が添えられてゆっくりと扱かれる。
何か耳元で切羽詰まった声で低く囁かれるがもうカイルにはわからない。ぐちゅぐちゅと出た先走りがハインツの手に受け止められているのに気付いて舌を噛んで死にたくなる。
いや、だ。嫌なのに。
「――んっ、あ!――はっ――ん」
手慣れた動きにカイルは翻弄されて達してしまう。
鳴き声を上げてくたりと背中から倒れ込んだカイルの胸に、ハインツは歯を立てた。先端をかじるたびに涙目で首を振って「あ、あ」と切なく喘ぐカイルに目を細める。
少年の面影を多分に残したカイルの表情は困惑と快感でぐしゃぐしゃになっている。
いつもは生意気な赤い瞳が涙で滲んで熟れた果実のように濡れ、頰に触れるたびにびくりと怯えて震える姿に嗜虐心がそそられる。
誘うように舌が空気を求めるのをたまんねえなと言って吸いつき、柔らかな肉を衝動的に噛まないように自制しながらしゃぶる。
眼下の光景にくらくらするよう興奮を覚えながらハインツは自身のそれを扱いた。
これを生意気な半魔の少年の中心に突き立てて胎を掻き混ぜ、思う様鳴かせてヨがらせればどれだけ気持ちがいいだろう。その想像だけで硬く張り詰める。
「――おまえ、本当に初めてか?だとしたら大した淫乱だ」
「――いん……ら?」
「ああ、考えなくていい。なあんも考えるな。俺にここ触られるのも乳首舐められんのもイイんだろ?そんだけ考えていろよ――なあ」
「あ、――ち、あう」
「気持ちいいか?……なあ?いいって言えばもっかい触ってやるよ」
「――ひ、や――、あ」
ハインツが後ろにふたたび手を伸ばし、カイルは恐怖で赤い瞳を見開いた。脳裏に、キースが浮かぶ。
そして、アルフレートが浮かんだ。
――怖い、嫌だ、助けて、アルフ、嫌だ。
――こんな奴に食われるのはいやだ!!誰か、助けて。俺を助けて!
赤い瞳がその赤さを増す――
「イヤ!!だ!!やめ!!やめろ!!」
「往生際が悪いな」
――こいつを殺してやる。
コロシテ、ころ―――
空気が質量を増すのを、目の前の獲物を捕食することに耽溺していたハインツは気づかなかった。舌なめずりして襲い掛かろうとして――
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
突如としてハインツが叫び声をあげた。
カイルの視界がハインツの血で赤く染まる。
「あ、あ……?にに、ギ、なん……」
「たすけ、て……」
カイルは後ずさって兇漢の腕から逃れる。
ハインツが信じられないという表情で、自分の肩に深く噛みつくドラゴンを見た。
大人しいはずのドラゴンが、慕わしいはずの己の主に鋭い牙で噛みついている。カイルは朦朧とする意識で、ハインツが睨みつけてくるのを見た。視界の端で、ニニギが我に返ったかのようにハインツから牙を放すのを見た。
「……あ……う」
「――この、魔物め!お前かっ」
怒り狂った男は相棒と呼んだドラゴンを斬りつけ、ドラゴンを引き離すと、さらに剣を頭上に掲げる。
白刃が煌めくのを見ながら、カイルは笑いそうになった……。
どうせろくな死に方をしないだろうと知っていた。
けれど、こんな死に方か、こんな所でこんな奴に殺されるのか。
ならば、せめて汚されなかっただけましなのかもしれない。
誰かの制止するような声が聞こえたけれど、もうひどく遠くて頼りない。
なぜだか、抉られるように瞳の奥が痛く――熱い。
カイルはゆっくりと意識を――手放した。
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