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重なる恋2
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由幸はふうーと大きく息を吐くと、
「行くぞ」
と言うと、瑞穂の手を取った。
「え……どこへ?」
「お前この後、どこの予約取ったんだ?」
その言葉に、瑞穂は焦った。
(いや!他の女の変わりはもう……。無理)
1001号室の部屋をカードキーで開けると、由幸は瑞穂を部屋に押し込んだ。
「社長なんで!私は……」
そこまで言って、目の前に広がった夜景に瑞穂は目を奪われた。
「すご……い」
目の前に広がる、広いリビング。豪華な家具。
こないだの部屋とは全く違い、一目でスイートルームと分かった。
呆然と立ちすくんで外を見る瑞穂の横に由幸は立った。
「きれいだな」
「ハイ……」
尚も、夜景に釘づけになっている瑞穂を由幸は見た。
「なあ、笠井。俺に言いたい事って何?」
「あ……」
瑞穂はこの状況が全く飲み込めていなかったが、とりあえず、自分の言葉できちんと伝えて終わりにしたかった。
「何?」
漆黒の瞳を向けられ、瑞穂はゴクンと唾液を飲み込んだ。
「なあ、何?」
尚も追及をやめない由幸に、
「社長…私、ずっと……。好きです……」
そこまで言うと、瑞穂は踵を返して、部屋を出ようとした。
そんな瑞穂の腕を優しく掴むと、そっと、由幸は自分の胸の中に押し込めた。
「……やっと、言った」
由幸は大きく息を吐くと、ホッとした表情で瑞穂を見下ろした。
「え……?」
意外な言葉に、瑞穂はポカンと由幸を見上げた。
「間抜けな顔」
由幸はクスクス笑うと、そっと瑞穂にキスを落とした。
「……!!!何!するんですか!」
いきなりのキスに瑞穂は狼狽した。
「何ってキス。今更だろ?それ以上にお前のこと知ってるのに」
そう言うと由幸はニヤリと笑みを浮かべた。
「え…?」
余りの衝撃に瑞穂は言葉が出てこなかった。
そんな瑞穂の首筋に由幸は首を埋めると、
「今日は香水……なんで違うの?」
そういうと、リップ音を鳴らし軽く首筋にキスをした。
「い……つから……知ってた……んですか?」
なんとか、それだけを呟いた瑞穂に、
「初めから」
由幸はさらっと言った。
「え?あのBARで会った時?」
「ああ、はじめは似てるなと思って近づいたけど…。お前の香りで確信したよ。笠井だって。でも、お前はなんか他人のふりしてくるし……。それに、迫って来るし……。内心かなり焦ってたよ」
「じゃあ……なんで……」
瑞穂は羞恥なのか、動揺なのか分からない心の音を聞きながら由幸に聞いた。
「本当は、抱くつもりなんてなかったよ。お前かなり酔ってたし、どういうつもりか分からないのに、お前の初めてをこんな形で奪いたくなかった。でも……」
そこまで言って由幸は少し黙った。
「でも、あまりにもお前がかわいくて、甘い香に我慢ができなかった。俺はずっとお前が好きだったし、お前も俺の事好きじゃないか……って思ってたし」
「え!!バレてました!私の気持ち…。」
由幸はクスクス笑うと、
「確証はなかったけどな。俺の事好きだと言いなっていつからかおもってた。俺はどんどんお前にハマったんだけど。いつになったら、告白してくるんだろ…って思ってたら、あんな事してくるから本当に驚いたよ」
由幸は苦笑いをした。
「でも社長、金曜日はいつも女の人と……」
「ああ、女と会ってたよ」
(じゃあなんで……)
瑞穂の泣きそうな顔を見て、
「姉貴の娘。4歳な」
「……!!え??」
「かわいいんだ。たまにおじちゃん嫌いって言われると、やけ酒してたけど」
そう言うと、クスクス笑った。
「なんで言ってくれなかったんですか!?」
「俺は結構わかりやすくお前にアピールしてなかったか?何度もお前のこと誘ったつもりだったよ?その度に軽くあしらうから、少し危機感持たそうと思って否定しなかっただけ。そのうちきちんと説明して、お前に気持ちを伝えようと思ってたのに、あんな……」
瑞穂は力が抜けていくのを感じた。
「でも、ハズレだって……言った……」
「ああ、朝起きたら全部話そうと思ったのに、いなかったから」
少し拗ねたようにいった由幸に、瑞穂は啞然とした。
「行くぞ」
と言うと、瑞穂の手を取った。
「え……どこへ?」
「お前この後、どこの予約取ったんだ?」
その言葉に、瑞穂は焦った。
(いや!他の女の変わりはもう……。無理)
1001号室の部屋をカードキーで開けると、由幸は瑞穂を部屋に押し込んだ。
「社長なんで!私は……」
そこまで言って、目の前に広がった夜景に瑞穂は目を奪われた。
「すご……い」
目の前に広がる、広いリビング。豪華な家具。
こないだの部屋とは全く違い、一目でスイートルームと分かった。
呆然と立ちすくんで外を見る瑞穂の横に由幸は立った。
「きれいだな」
「ハイ……」
尚も、夜景に釘づけになっている瑞穂を由幸は見た。
「なあ、笠井。俺に言いたい事って何?」
「あ……」
瑞穂はこの状況が全く飲み込めていなかったが、とりあえず、自分の言葉できちんと伝えて終わりにしたかった。
「何?」
漆黒の瞳を向けられ、瑞穂はゴクンと唾液を飲み込んだ。
「なあ、何?」
尚も追及をやめない由幸に、
「社長…私、ずっと……。好きです……」
そこまで言うと、瑞穂は踵を返して、部屋を出ようとした。
そんな瑞穂の腕を優しく掴むと、そっと、由幸は自分の胸の中に押し込めた。
「……やっと、言った」
由幸は大きく息を吐くと、ホッとした表情で瑞穂を見下ろした。
「え……?」
意外な言葉に、瑞穂はポカンと由幸を見上げた。
「間抜けな顔」
由幸はクスクス笑うと、そっと瑞穂にキスを落とした。
「……!!!何!するんですか!」
いきなりのキスに瑞穂は狼狽した。
「何ってキス。今更だろ?それ以上にお前のこと知ってるのに」
そう言うと由幸はニヤリと笑みを浮かべた。
「え…?」
余りの衝撃に瑞穂は言葉が出てこなかった。
そんな瑞穂の首筋に由幸は首を埋めると、
「今日は香水……なんで違うの?」
そういうと、リップ音を鳴らし軽く首筋にキスをした。
「い……つから……知ってた……んですか?」
なんとか、それだけを呟いた瑞穂に、
「初めから」
由幸はさらっと言った。
「え?あのBARで会った時?」
「ああ、はじめは似てるなと思って近づいたけど…。お前の香りで確信したよ。笠井だって。でも、お前はなんか他人のふりしてくるし……。それに、迫って来るし……。内心かなり焦ってたよ」
「じゃあ……なんで……」
瑞穂は羞恥なのか、動揺なのか分からない心の音を聞きながら由幸に聞いた。
「本当は、抱くつもりなんてなかったよ。お前かなり酔ってたし、どういうつもりか分からないのに、お前の初めてをこんな形で奪いたくなかった。でも……」
そこまで言って由幸は少し黙った。
「でも、あまりにもお前がかわいくて、甘い香に我慢ができなかった。俺はずっとお前が好きだったし、お前も俺の事好きじゃないか……って思ってたし」
「え!!バレてました!私の気持ち…。」
由幸はクスクス笑うと、
「確証はなかったけどな。俺の事好きだと言いなっていつからかおもってた。俺はどんどんお前にハマったんだけど。いつになったら、告白してくるんだろ…って思ってたら、あんな事してくるから本当に驚いたよ」
由幸は苦笑いをした。
「でも社長、金曜日はいつも女の人と……」
「ああ、女と会ってたよ」
(じゃあなんで……)
瑞穂の泣きそうな顔を見て、
「姉貴の娘。4歳な」
「……!!え??」
「かわいいんだ。たまにおじちゃん嫌いって言われると、やけ酒してたけど」
そう言うと、クスクス笑った。
「なんで言ってくれなかったんですか!?」
「俺は結構わかりやすくお前にアピールしてなかったか?何度もお前のこと誘ったつもりだったよ?その度に軽くあしらうから、少し危機感持たそうと思って否定しなかっただけ。そのうちきちんと説明して、お前に気持ちを伝えようと思ってたのに、あんな……」
瑞穂は力が抜けていくのを感じた。
「でも、ハズレだって……言った……」
「ああ、朝起きたら全部話そうと思ったのに、いなかったから」
少し拗ねたようにいった由幸に、瑞穂は啞然とした。
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