同期に恋して

美希みなみ

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同期ってなんですか?

第3話

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「こいつにいつもの前菜とパスタお願い」

「了解」
加瀬さんは口角を少しだけあげると、奥へと声をかけた。

「ここは、料理もうまいから安心しろ」
私がどんな心配をしていると思ったのかわからないが、涼真は私をみると少しだけ笑みを浮かべた。

「そんなこと心配してない」
つぶやくように言った私に、涼真も小さくため息をついた。

「話は食べてからだな」
お腹が空くと情緒不安定になる私がばれているのだろう、いつまでも機嫌が治らないと察知したようで、涼真は目の前のピスタチオの殻をむきながらそう言った。

その言葉に何も言えなくなり、私はじっとからを剥く涼真の手を見ていた。

「ほら」

それをまた食べたいと誤解されたのか、涼真は私の口にピスタチオを放り込んだ。

「おまたせ前菜ね」
加瀬さんの言葉で、目の前に美味しそうなチーズや、ピンチョス、サーモンのマリネなどいくつかの前菜がのったお皿が置かれた。

「うわ美味しそう」
ついこぼれ落ちた私の言葉に、加瀬さんはクスリと笑うと、私をじっとみた。


「美味しいよ。なにちゃん?」

名前を聞かれたとわかり、私は姿勢を正すと加瀬さんを見据えた。

「近藤千夏といいます。よろしくお願いします」

「ちなちゃんね」
加瀬さんは妖艶な雰囲気をまといながら、私をじっとみつめた。

「えっと、はい」
涼真しか呼ぶことない名前に、なぜか少しだけ違和感を覚えたが、少し微笑んだ。

「秀さんその呼び方やめて。ちなつだからこいつ」
「はいはい。千夏ちゃん、おいしいから食べてね。パスタももうすぐ来るから」

なぜか楽しそうな加瀬さんと、涼真を私は交互に見ながら、言葉を発した。
「はい。ありがとうございます」

そんな私に、涼真は少し咳払いをした後、私の頭をポンと叩いた。

「ちな、早くたべろよ」

「ああ、うん」

よくわからないまま、私は目の前に料理を口に入れる。

「うーん、おいしい」
口の中に広がる複雑な味に、私はじっとそのピンチョスを見つめた。

「アンチョビとトマト?」

「そう、あとケッパーね」

「ああ、ケッパー!おいしいです」
興奮気味に言った私に、加瀬さんは目を少し細めたあとにこりと笑った。

「千夏ちゃんは、本当に美味しそうに食べるね。涼真から聞いていた通りだ」

一体何を加瀬さんに話していたのだろう?大食いだとかそんな事?
そう思い、私は涼真をみるとムッとした表情を浮かべて、加瀬さんをみていた。

「秀さん!もう向こうで仕事しろよ」
そんな涼真を気にすることもなく、加瀬さんはケラケラとわらいながら、ほかのお客さんのとこへと行ってしまった。
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