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もう一度はじめましょう

第四話

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そこで抱き着いていた自分にハッとする。今も汗臭いのではないだろうか。

「ごめん、汗臭い?」

慌てて離れようとした私だったが、不意に身体が宙に浮いたのが分かった。

「尋人!!!」
驚いて声を上げるも、そのまま尋人は広いバスルームへと入っていく。そこで不意に唇をふさがれて私は目を見開く。

「バカな弥生」

「ん!」
そう呟いた尋人は先ほどより激しく、あっさりと私の唇を割ってキスを仕掛けてくる。
そのキスに意識を取られていると、いつのまにか私は下着姿になっていた。

「めちゃくちゃかわいい、いや綺麗」
鏡越しに視線が絡み合う。上半身裸の尋人に後ろから抱きしめられるような恰好の下着姿の私。

「汗なんてそそるだけだし、俺は全然気にしないけど」

そう言いながら目は閉じずそのまま鏡の中の私を見つめながら、私の首筋にキスをして手は私の腹の部分や足を撫でる。
その熱を孕んだ瞳、鏡に映る自分の姿に頭は沸騰しそうだが、それと同時に感じる自分の中の欲求。もっともっと触れて欲しい。
そんなことを思った自分に驚くも、私も尋人の熱い視線から目を離せない。

「今日はもう何があっても抱く。我慢しない」
私を思ってくれていたことに安堵する気持ちと同時に、はっきりと意志表示された言葉。
ゆっくりと私が頷いたのを見て、クルリと向きを変えられて激しくキスをされる。
尋人も焦れた様に自分の服を脱ぎ捨て、私の下着も取り払う。

「シャワー浴びたい?」

そこだけは譲れずにコクコクとすれば、そのまま尋人はそれほど広くはないシャワーブースに私を引きずりこんだ。
熱いシャワーを頭から浴び、キスをしながら汗を流す。

「ゆっくり洗いたいとかは今は無理。だからこれで我慢して」
手にボティーソープをつけて尋人が私の肌を撫でる。浴槽に響く自分の甘い声に驚いて唇をギュッと噛む。

「誰も聞いてない。聞かせて」
諭すようにキスをされ、その合間に声が漏れてしまう。

頭上から落ちる細かい水がお互いの顔にかかり髪を濡らす。シャワーブースから出るとバスタオルでくるまれ、今度はお姫様のように抱き上げられた。

「尋人、重いから……」
そんな言葉は聞こえないのか、何も言わず尋人は大きなベッドへと私を横たえ、覆いかぶさるように私を見下ろす。

「メイクも落ちちゃった……」
完璧とほど遠い姿に苦笑すれば、私の大好きな笑顔を見せてくれた。

「メイクをしてなくても、どんな姿でも、俺からしたら煽られてるとしか思えない」
そこで言葉を止めると、尋人は無言のまま私を見つめた。

「大好きだよ。だから俺のものになって」
「はい……」

激しく求められていることが、嬉しくて仕方がない。
なんでも余裕で完璧で淡々としている尋人が見せる、焦れるような切なげな表情に涙が零れそうになる。

私だってずっと大好きだった。この日をどれほど夢見ていたかわからない。
尋人が与えてくれる快感も痛みもすべてを忘れないと思う。

「大好き、尋人」
そう伝えると私は眠りについた。

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