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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣
第十二話
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Side MAI
何が起こっているかわからないまま、こうちゃんの腕の中で私はずっと心に引っかかっていた結衣の事を言葉にした。
結衣ももちろん大切な妹だし、それでも私はこうちゃんが好き。
でも、結衣との幸せを壊すつもりなど毛頭ない。
そしてこうちゃんが結衣と私を二股をかけるようなことをするなんて……。そんな事も信じたくはない。
こうちゃんがどういうつもりで、俺を選んでと言ってくれているのかわからない。
妹として最近冷たくした私に、戻ってこいという事かもしれない。
そう思うと、聞かずにはいられなかった。
もしかしたら結衣に振られたから?そんなネガティブなことすら頭を過る。
「結衣?結衣がどうした?」
私をそっと離すと、こうちゃんは瞳を覗き込むように私を見つめる。
その瞳は、まるで本当に私の事を好きだと言ってくれているみたいで、ドキドキと心臓の音が大きく響く。
「結衣と……付き合ってるんでしょ?」
意を決して言った私の言葉の意味を、こうちゃんは「え?」と考え込むような表情を浮かべた。
「誰と誰が?」
もう一度聞き返えされ、私は言葉にしたくはない言葉をもう一度繰り返した。
「結衣がこうちゃんと付き合ってるって……」
「結衣がそう言ったのか?」
こうちゃんの表情に意味が解らず、私は不安で胸がいっぱいになる。
「まさか……そうか……」
私の背中から腕をとくと、こうちゃんはスマホを手にした。
そしておもむろに電話をかけ始めた。
「結衣?」
その相手が結衣だと分かり、私はギュッと胸が締め付けられる。
「結衣、まさか昔の俺とのふざけた会話、麻衣に話した?」
結衣の返事は聞こえないが、こうちゃんがうなだれるのが分かった。
「麻衣、結衣が変わってほしいって」
こうちゃんにスマホを渡され、私は一瞬それを受け取るのを躊躇した。
「誤解を解かせて?」
誤解……?
その意味が解らず、おそるおそる私はスマホを受け取った。
「もしもし?」
あまりにも急展開に私は全く状況が解らないまま、結衣の言葉を待った。
「お姉ちゃん?ごめん!あの時の言葉ずっと信じてたの?」
え?
「どういうこと?」
「私と光輝付き合ってなんかいないの」
「え?」
何?それ?
私はその言葉にずっと振り回されてきた。
「お姉ちゃんが少しでも光輝の事意識しないかな……って思って言ったんだけど、お姉ちゃん光輝のことまったく興味がなかったでしょ?」
興味が無いようにわざとしてたのよ……。
そんな思いが沸き上がるが、確かにあの頃の私はこうちゃんへの恋心を悟られないように必死だったかもしれない。
「光輝からお姉ちゃんの事聞かされたから、少しでも光輝の為に何かできないかなって思って、私と付き合ってることにしたら、寂しくなって光輝のこと意識するかもって提案したの……もちろん光輝はバカなこと言うなって笑ってたんだけどね……」
そこまで聞いて私は呆然とした。
自分のせいでここまでこじれたのかもしれないが、二人を思うならもう少しましな嘘をついてくれればよかったのに……。
そんな思いが頭を過る。
「ごめんね。今更その話をしているって事は……私失敗したんだね」
結衣の申し訳なさそうな言葉に、私は小さく「大丈夫」と答えた。
結局、自分の思いをひた隠しにして、勇気も持てず告白をしなかった自分が悪いのだ。
その後一言二言、結衣と会話をして私は電話をきった。
その様子にこうちゃんが私を見た。
「信じてくれた?」
不安げなその表情に私はコクリと頷いた。
「麻衣、俺は自分の気持ちに気づかないで、確かにいろんなこと付き合ってきた。でもずっと麻衣の事が好きだと気づいてから、麻衣に振り向いてもらえるように必死だった」
真摯に紡がれるこうちゃんの言葉に、私は涙が零れ落ちる。
まさか、こうちゃんに自分の気持ちが届くなどこれっぽちも思っていなかったし、一生この気持ちだけを抱えて生きて行く決心をしたところだった。
零れ落ちる涙をどうしても止めることができず、私は顔を手で覆う。
自分の言葉で伝えることができるチャンスがようやくめぐってきたというのに、私は言葉を発することができなかった。
何が起こっているかわからないまま、こうちゃんの腕の中で私はずっと心に引っかかっていた結衣の事を言葉にした。
結衣ももちろん大切な妹だし、それでも私はこうちゃんが好き。
でも、結衣との幸せを壊すつもりなど毛頭ない。
そしてこうちゃんが結衣と私を二股をかけるようなことをするなんて……。そんな事も信じたくはない。
こうちゃんがどういうつもりで、俺を選んでと言ってくれているのかわからない。
妹として最近冷たくした私に、戻ってこいという事かもしれない。
そう思うと、聞かずにはいられなかった。
もしかしたら結衣に振られたから?そんなネガティブなことすら頭を過る。
「結衣?結衣がどうした?」
私をそっと離すと、こうちゃんは瞳を覗き込むように私を見つめる。
その瞳は、まるで本当に私の事を好きだと言ってくれているみたいで、ドキドキと心臓の音が大きく響く。
「結衣と……付き合ってるんでしょ?」
意を決して言った私の言葉の意味を、こうちゃんは「え?」と考え込むような表情を浮かべた。
「誰と誰が?」
もう一度聞き返えされ、私は言葉にしたくはない言葉をもう一度繰り返した。
「結衣がこうちゃんと付き合ってるって……」
「結衣がそう言ったのか?」
こうちゃんの表情に意味が解らず、私は不安で胸がいっぱいになる。
「まさか……そうか……」
私の背中から腕をとくと、こうちゃんはスマホを手にした。
そしておもむろに電話をかけ始めた。
「結衣?」
その相手が結衣だと分かり、私はギュッと胸が締め付けられる。
「結衣、まさか昔の俺とのふざけた会話、麻衣に話した?」
結衣の返事は聞こえないが、こうちゃんがうなだれるのが分かった。
「麻衣、結衣が変わってほしいって」
こうちゃんにスマホを渡され、私は一瞬それを受け取るのを躊躇した。
「誤解を解かせて?」
誤解……?
その意味が解らず、おそるおそる私はスマホを受け取った。
「もしもし?」
あまりにも急展開に私は全く状況が解らないまま、結衣の言葉を待った。
「お姉ちゃん?ごめん!あの時の言葉ずっと信じてたの?」
え?
「どういうこと?」
「私と光輝付き合ってなんかいないの」
「え?」
何?それ?
私はその言葉にずっと振り回されてきた。
「お姉ちゃんが少しでも光輝の事意識しないかな……って思って言ったんだけど、お姉ちゃん光輝のことまったく興味がなかったでしょ?」
興味が無いようにわざとしてたのよ……。
そんな思いが沸き上がるが、確かにあの頃の私はこうちゃんへの恋心を悟られないように必死だったかもしれない。
「光輝からお姉ちゃんの事聞かされたから、少しでも光輝の為に何かできないかなって思って、私と付き合ってることにしたら、寂しくなって光輝のこと意識するかもって提案したの……もちろん光輝はバカなこと言うなって笑ってたんだけどね……」
そこまで聞いて私は呆然とした。
自分のせいでここまでこじれたのかもしれないが、二人を思うならもう少しましな嘘をついてくれればよかったのに……。
そんな思いが頭を過る。
「ごめんね。今更その話をしているって事は……私失敗したんだね」
結衣の申し訳なさそうな言葉に、私は小さく「大丈夫」と答えた。
結局、自分の思いをひた隠しにして、勇気も持てず告白をしなかった自分が悪いのだ。
その後一言二言、結衣と会話をして私は電話をきった。
その様子にこうちゃんが私を見た。
「信じてくれた?」
不安げなその表情に私はコクリと頷いた。
「麻衣、俺は自分の気持ちに気づかないで、確かにいろんなこと付き合ってきた。でもずっと麻衣の事が好きだと気づいてから、麻衣に振り向いてもらえるように必死だった」
真摯に紡がれるこうちゃんの言葉に、私は涙が零れ落ちる。
まさか、こうちゃんに自分の気持ちが届くなどこれっぽちも思っていなかったし、一生この気持ちだけを抱えて生きて行く決心をしたところだった。
零れ落ちる涙をどうしても止めることができず、私は顔を手で覆う。
自分の言葉で伝えることができるチャンスがようやくめぐってきたというのに、私は言葉を発することができなかった。
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