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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣
第七話
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「どうしてきたの?大丈夫って言ったでしょう?」
なんとか平静を装い言葉を発した私に、こうちゃんが小さくため息をついたのがわかった。
「とりあえず入れろ」
初めて聞く、低くて冷たい声にビクッと肩が揺れた。
そろそろと手を離すと、勢いよく扉が開かれてこうちゃんの視線を痛いほど感じる。
「お前、最近変だよ」
そんなことをこうちゃんに言われなくない。
「別に私が変だたかってなにか、こうちゃんに迷惑をかけるの?」
苛立ちとともに言葉が零れ落ちる。
言い過ぎたとチラリとこうちゃんをみると、悲しそうな表情が目に入り、私の心も痛んだ。
義理の姉になるかもしれない、私とうまくやっていきたいと思う事が当然だとは思うが、私にだって感情はある。
「関係あるだろ」
「なんで?」
「お前が大切だから。気にかけるのもダメなのか?」
昔から大切にされていたのは解っている。
でも、今ではそれは残酷なだけだ。
「気にかけてなんて頼んでない」
ここまで来たら、今まで見たいに繕う事も、ごまかすこともする必要性が無いように思えた。
私達の関係が悪くなったからと言って、結衣との関係まで悪くなることはないだろう。
初めて見せたのかもしれない、私のぶつけた感情にこうちゃんは目を見開いていた。
その表情が私にはどういったものかわからず、ただ小さく唇を噛んだ。
「わかった……悪かったな」
そうこうちゃんが呟いて、私に背を向けた。
だって……。
この気持ちを言ってしまえば私たちの関係はどうにもならない。
誰も幸せにならないこの気持ちなど、隠しておかなければいけない。
でも……。
そう思ってもあふれ出そうな、もう溢れている感情を私はどうすることもできなかった。
ぶつけてしまった感情を、今更後悔しても遅いが、いつものように取り繕う事もできず涙があふれた。
ポタリと床に涙が落ちて、私は慌てて涙を拭おうとしたところで、グイっと手を引かれていつのまにかこうちゃんの胸の中にいるのが解り、どうしてこうなったかわからず動きを止めた。
「麻衣」
小さく呟かれたその言葉に、ハッとして力いっぱい私はこうちゃんの胸を押した。
「どうした?嫌な事でもあったのか?」
昔から泣けばきまって私の頭を撫でて、あやしていたせいなのかもしれない。
珍しく引っ越したり、感傷的になっている私をただ兄として心配しているのだろう。
あやすように抱きしめて、背中を叩くこうちゃんに、悲しくて、虚しくて、涙がさらに溢れる。
どうあがいても私は妹のポジションからでられないのだろう。
私が何をしても動じないこんな男がずっと好きな私が悪いのだろう。
「大丈夫」
静かに言葉を発した私に、こうちゃんはホッとしたような表情をした。
「でももういいから」
少し笑えただろうか?微笑んだつもりの私の言葉に、こうちゃんは驚いたように目を見開いた。
「ほら、こうちゃん、結衣のところに戻って戻って」
「え?結衣?でも今日は麻衣の手伝いを頼まれて……」
結衣に頼まれたから来たという事実を、こうちゃんの口から直接聞いたことで、私の心はまた切なくなる。
ぐいぐいと玄関先にいたこうちゃんの背中を押して、外に追い出す。
「おい!麻衣!なんでだよ」
見えなくなる後姿に、言えない言葉をつぶやいた。
「好きだからに決まってるじゃない」
もう、新しい恋をするんだ。
そのために新しい生活を始めるのだから。
私はそう言い聞かせて、音もなく流れる涙を手で拭った。
なんとか平静を装い言葉を発した私に、こうちゃんが小さくため息をついたのがわかった。
「とりあえず入れろ」
初めて聞く、低くて冷たい声にビクッと肩が揺れた。
そろそろと手を離すと、勢いよく扉が開かれてこうちゃんの視線を痛いほど感じる。
「お前、最近変だよ」
そんなことをこうちゃんに言われなくない。
「別に私が変だたかってなにか、こうちゃんに迷惑をかけるの?」
苛立ちとともに言葉が零れ落ちる。
言い過ぎたとチラリとこうちゃんをみると、悲しそうな表情が目に入り、私の心も痛んだ。
義理の姉になるかもしれない、私とうまくやっていきたいと思う事が当然だとは思うが、私にだって感情はある。
「関係あるだろ」
「なんで?」
「お前が大切だから。気にかけるのもダメなのか?」
昔から大切にされていたのは解っている。
でも、今ではそれは残酷なだけだ。
「気にかけてなんて頼んでない」
ここまで来たら、今まで見たいに繕う事も、ごまかすこともする必要性が無いように思えた。
私達の関係が悪くなったからと言って、結衣との関係まで悪くなることはないだろう。
初めて見せたのかもしれない、私のぶつけた感情にこうちゃんは目を見開いていた。
その表情が私にはどういったものかわからず、ただ小さく唇を噛んだ。
「わかった……悪かったな」
そうこうちゃんが呟いて、私に背を向けた。
だって……。
この気持ちを言ってしまえば私たちの関係はどうにもならない。
誰も幸せにならないこの気持ちなど、隠しておかなければいけない。
でも……。
そう思ってもあふれ出そうな、もう溢れている感情を私はどうすることもできなかった。
ぶつけてしまった感情を、今更後悔しても遅いが、いつものように取り繕う事もできず涙があふれた。
ポタリと床に涙が落ちて、私は慌てて涙を拭おうとしたところで、グイっと手を引かれていつのまにかこうちゃんの胸の中にいるのが解り、どうしてこうなったかわからず動きを止めた。
「麻衣」
小さく呟かれたその言葉に、ハッとして力いっぱい私はこうちゃんの胸を押した。
「どうした?嫌な事でもあったのか?」
昔から泣けばきまって私の頭を撫でて、あやしていたせいなのかもしれない。
珍しく引っ越したり、感傷的になっている私をただ兄として心配しているのだろう。
あやすように抱きしめて、背中を叩くこうちゃんに、悲しくて、虚しくて、涙がさらに溢れる。
どうあがいても私は妹のポジションからでられないのだろう。
私が何をしても動じないこんな男がずっと好きな私が悪いのだろう。
「大丈夫」
静かに言葉を発した私に、こうちゃんはホッとしたような表情をした。
「でももういいから」
少し笑えただろうか?微笑んだつもりの私の言葉に、こうちゃんは驚いたように目を見開いた。
「ほら、こうちゃん、結衣のところに戻って戻って」
「え?結衣?でも今日は麻衣の手伝いを頼まれて……」
結衣に頼まれたから来たという事実を、こうちゃんの口から直接聞いたことで、私の心はまた切なくなる。
ぐいぐいと玄関先にいたこうちゃんの背中を押して、外に追い出す。
「おい!麻衣!なんでだよ」
見えなくなる後姿に、言えない言葉をつぶやいた。
「好きだからに決まってるじゃない」
もう、新しい恋をするんだ。
そのために新しい生活を始めるのだから。
私はそう言い聞かせて、音もなく流れる涙を手で拭った。
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