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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣
第二話
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こうちゃんからすれば、彼女の姉というより、妹のようなものなのだろう。
一緒にいることが当たり前で、私が心の中でこんなことを思っているなんて知る由もない。
こうなってはこうちゃんを断ることは不可能だとわかっている私は、覚悟を決めてこうちゃんに笑顔を向けた。
「じゃあ、パンはこうちゃんのおごりね?」
「ああ、いいよ。パンぐらい。麻衣の好きな物いくらでも食べろよ」
フワリと昔から私にするように、こうちゃんは私の頭を撫でると優しい笑みを浮かべた。
「子供扱いしないで」
少しだけ冷たい声がでてしまい、私は慌てて取り繕うように笑顔を張り付けた。
「えっと……あっ、本屋こうちゃん見るものなくない?」
わざとらしくなってしまったが、なんとか私は話を続けると、こうちゃんの視線から逃げるようにこうちゃんの前を歩く。
「麻衣」
そんな私を呼ぶと、こうちゃんは私の横にくると真剣な瞳を向けた。
「子供扱いなんてしてない」
真っすぐなその瞳に、私はしばらく言葉を発することができない。
「……そうなの?じゃあ妹扱い?」
この空気を壊したくて、ふざけたように言った私に、こうちゃんは小さくため息をついた。
「お前は大切な家族だよ」
家族……。
妹なのか、もしかしたら二人とも結婚が決まったのだろうか?
こうちゃんに会ってしまうと、嫌でもいろいろな事を想像してしまう。
だから極力避けてきたのに……。
私は何年振りかのこうちゃんと2人の時間の過ごし方が、全く分からなかった。
「あっ……」
そんな気持ちを持て余しながら本屋を目指していた私は、小さな花屋を見つけた。
私の勤めているお店は、何店舗もあるような大きな花屋で、病院の近くの私のいる店舗はいつもお見舞いの人などがたくさん来る。
しかし、いつもなら気づかないような、その小さな花屋に私は瞳がくぎ付けになった。
「ああ、花か……」
私の視線にこうちゃんもそのお店に、優しい瞳を向けていた。
「見るか?」
「いいの?」
急いで結衣のもとにパンを届けないといけないのではないか?そんな事が頭を過るが、避け続けていた私の心とは裏腹に、大好きな人と一緒にいられるこの時間がどうしても愛しくて、嬉しくてしかたがなかった。
本当にバカだな……私って。
そう思うと少しだけ自嘲的な笑みが漏れる。
一緒にいることが当たり前で、私が心の中でこんなことを思っているなんて知る由もない。
こうなってはこうちゃんを断ることは不可能だとわかっている私は、覚悟を決めてこうちゃんに笑顔を向けた。
「じゃあ、パンはこうちゃんのおごりね?」
「ああ、いいよ。パンぐらい。麻衣の好きな物いくらでも食べろよ」
フワリと昔から私にするように、こうちゃんは私の頭を撫でると優しい笑みを浮かべた。
「子供扱いしないで」
少しだけ冷たい声がでてしまい、私は慌てて取り繕うように笑顔を張り付けた。
「えっと……あっ、本屋こうちゃん見るものなくない?」
わざとらしくなってしまったが、なんとか私は話を続けると、こうちゃんの視線から逃げるようにこうちゃんの前を歩く。
「麻衣」
そんな私を呼ぶと、こうちゃんは私の横にくると真剣な瞳を向けた。
「子供扱いなんてしてない」
真っすぐなその瞳に、私はしばらく言葉を発することができない。
「……そうなの?じゃあ妹扱い?」
この空気を壊したくて、ふざけたように言った私に、こうちゃんは小さくため息をついた。
「お前は大切な家族だよ」
家族……。
妹なのか、もしかしたら二人とも結婚が決まったのだろうか?
こうちゃんに会ってしまうと、嫌でもいろいろな事を想像してしまう。
だから極力避けてきたのに……。
私は何年振りかのこうちゃんと2人の時間の過ごし方が、全く分からなかった。
「あっ……」
そんな気持ちを持て余しながら本屋を目指していた私は、小さな花屋を見つけた。
私の勤めているお店は、何店舗もあるような大きな花屋で、病院の近くの私のいる店舗はいつもお見舞いの人などがたくさん来る。
しかし、いつもなら気づかないような、その小さな花屋に私は瞳がくぎ付けになった。
「ああ、花か……」
私の視線にこうちゃんもそのお店に、優しい瞳を向けていた。
「見るか?」
「いいの?」
急いで結衣のもとにパンを届けないといけないのではないか?そんな事が頭を過るが、避け続けていた私の心とは裏腹に、大好きな人と一緒にいられるこの時間がどうしても愛しくて、嬉しくてしかたがなかった。
本当にバカだな……私って。
そう思うと少しだけ自嘲的な笑みが漏れる。
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