125 / 169
18.火龍の神殿
05.村の魔獣退治。(その2)
しおりを挟む
街の冒険者ギルドで大量に魔獣の部位が換金された話に尾ひれが付いて国中に広まっているらしい。
しかも、廃れたはずの火龍の神殿に新たな火龍様がおいでになったという話も伝わったことで、近隣の村から魔獣退治の依頼が火龍の神殿に来始めたのだ。
ベティは、神官達と相談して近隣の村の魔獣退治を承諾した。
ベティは食べるのは好きだが料理は作れなかった。掃除をすると余計に汚くなった。
ベティが最も得意なのは魔獣退治だ。いや、それしかできなかった。
やっと出来ることが見つかったベティは喜んで魔獣退治へと向かった。
とりあえず、ベティと神官がペアを組んで近隣の村々を回ることになったが、あっという間に魔獣退治の依頼を頼みに来た村の数が10を越えてしまった。
とりあえず1日にひとつの村を回って魔獣退治をすることになった。
風魔法"フライ"で依頼のあった村へ出向き、村の周囲の魔獣を根こそぎ狩っては、村人に魔獣の屍を回収してもらう。その後、村人が街まで魔獣の部位を売りに行き、お金に換金して報酬を神殿に届けてもらう。報酬は、村と神殿で半々とすることで神殿への信頼を得ようという作戦だ。
魔獣退治に出かけた村々では、ベティがあっという間に魔獣を退治して来るので皆驚いていた。
国や地方領主に魔獣退治を懇願しても引き受けてくれず困り果てていた国中の村々は、廃れたはずの火龍神殿があちこちの村で魔獣退治をやっているという噂を聞きつけた。
村々は、火龍神殿に次々と使者を送りだした。
ベティ達が魔獣退治に出かけて神殿に戻るとると、魔獣退治の依頼が倍々に増えていた。
さらに遠くの村々からも依頼が来るようになり、日帰りでの魔獣退治ができなくなっていた。
仕方なく、連泊で魔獣退治をすることになったが、あまりの依頼の多さに休日を設けて魔獣退治の依頼をこなす日を少なくすることにした。
いくら魔獣が雑魚だらけとは言え、依頼の数が多すぎて対応しきれなくなってしまったのだ。
ベティ達が魔獣退治を終えて神殿に戻ると、魔獣退治の依頼に来た人々と、魔獣退治が終って平穏になった村々からお礼に来る人々で神殿は賑わい始めていた。
しかし、喜んでばかりもいられなかった。
この神殿には、神官が3人しかいない。
そのうちのひとりはベティと一緒に村々を回っているので、実際に神殿にいる神官はたったのふたりだ。
そのふたりの神官も、あまりの来客者の多さに目を回すほどだった。
そのため、麓の村に頼んで手伝いに3人の若い娘を手伝いに来てもらった。
神殿に手伝いに来た村の娘達は、神官見習いということで働いてもらい、依頼内容、村の場所、報酬の支払方法等について来客者に説明を行ってもらった。
麓の村にも遠くから神殿を訪ねて来たという人々が多く泊まるようになり、村の集会所を臨時の宿泊所として解放するようになった。
もちろん宿泊もただではない。食事もふるまえば金になる。酒を出せば金になる。
いつのまにか麓の村が好景気に沸いていると村の娘から聞かされた。
そんな頃、兵士数人を引き連れた貴族が神殿を訪れた。
貴族は、城で農産業大臣をやっていると言っていたが、とても貴族には見えない地味な身なりだった。
大臣は、この国には主要な産業もなく特産品もないので、税収が見込めずいつも貧乏だと嘆いていた。
ところがだ。ある時期から街で噂が広まった。
廃れた火龍の神殿に新しい火龍様が来られたらしいと。しかも神殿の近隣の村々を回って魔獣退治を行っていると言うのだ。
魔獣退治を行った村々は、農産物の収穫量が劇的に増えたことで収入が増え、家畜や農具の売り買いが多くなり、それによって街の景気も徐々に良くなっていると言うのだ。
「火龍様が村々を回って魔獣退治を行ってくれたおかげで、村々のみならず国のいたるところの街々までも景気が良くなっております。それにより国の税収も徐々に上がり始めています。」
「これも全て火龍様のおかげです。」
大臣は、国王様からの親書と、いくばくかの報奨金を神殿に持参したので収めてほしいと言っていた。
大臣が帰った後、神官達が報奨金が入った箱を開けてびっくりしていた。
箱の中には、金貨100枚が入っていた。
金貨100枚を見た神官達の体が震えていたが、ベティは、榊のところで金貨など見飽きているので全く興味を持たなかった。
神殿はいつのまにか魔獣討伐で潤っていたがベティは考えていた。
このまま魔獣討伐だけで神殿がやっていけるはずはない。そのうちこの国の魔獣も少なくなる。
何か次の手を打たなければと。
考える事が苦手なはずのベティだが、以外と無い知恵を絞って神殿の行く先を考えているらしい。
しかも、廃れたはずの火龍の神殿に新たな火龍様がおいでになったという話も伝わったことで、近隣の村から魔獣退治の依頼が火龍の神殿に来始めたのだ。
ベティは、神官達と相談して近隣の村の魔獣退治を承諾した。
ベティは食べるのは好きだが料理は作れなかった。掃除をすると余計に汚くなった。
ベティが最も得意なのは魔獣退治だ。いや、それしかできなかった。
やっと出来ることが見つかったベティは喜んで魔獣退治へと向かった。
とりあえず、ベティと神官がペアを組んで近隣の村々を回ることになったが、あっという間に魔獣退治の依頼を頼みに来た村の数が10を越えてしまった。
とりあえず1日にひとつの村を回って魔獣退治をすることになった。
風魔法"フライ"で依頼のあった村へ出向き、村の周囲の魔獣を根こそぎ狩っては、村人に魔獣の屍を回収してもらう。その後、村人が街まで魔獣の部位を売りに行き、お金に換金して報酬を神殿に届けてもらう。報酬は、村と神殿で半々とすることで神殿への信頼を得ようという作戦だ。
魔獣退治に出かけた村々では、ベティがあっという間に魔獣を退治して来るので皆驚いていた。
国や地方領主に魔獣退治を懇願しても引き受けてくれず困り果てていた国中の村々は、廃れたはずの火龍神殿があちこちの村で魔獣退治をやっているという噂を聞きつけた。
村々は、火龍神殿に次々と使者を送りだした。
ベティ達が魔獣退治に出かけて神殿に戻るとると、魔獣退治の依頼が倍々に増えていた。
さらに遠くの村々からも依頼が来るようになり、日帰りでの魔獣退治ができなくなっていた。
仕方なく、連泊で魔獣退治をすることになったが、あまりの依頼の多さに休日を設けて魔獣退治の依頼をこなす日を少なくすることにした。
いくら魔獣が雑魚だらけとは言え、依頼の数が多すぎて対応しきれなくなってしまったのだ。
ベティ達が魔獣退治を終えて神殿に戻ると、魔獣退治の依頼に来た人々と、魔獣退治が終って平穏になった村々からお礼に来る人々で神殿は賑わい始めていた。
しかし、喜んでばかりもいられなかった。
この神殿には、神官が3人しかいない。
そのうちのひとりはベティと一緒に村々を回っているので、実際に神殿にいる神官はたったのふたりだ。
そのふたりの神官も、あまりの来客者の多さに目を回すほどだった。
そのため、麓の村に頼んで手伝いに3人の若い娘を手伝いに来てもらった。
神殿に手伝いに来た村の娘達は、神官見習いということで働いてもらい、依頼内容、村の場所、報酬の支払方法等について来客者に説明を行ってもらった。
麓の村にも遠くから神殿を訪ねて来たという人々が多く泊まるようになり、村の集会所を臨時の宿泊所として解放するようになった。
もちろん宿泊もただではない。食事もふるまえば金になる。酒を出せば金になる。
いつのまにか麓の村が好景気に沸いていると村の娘から聞かされた。
そんな頃、兵士数人を引き連れた貴族が神殿を訪れた。
貴族は、城で農産業大臣をやっていると言っていたが、とても貴族には見えない地味な身なりだった。
大臣は、この国には主要な産業もなく特産品もないので、税収が見込めずいつも貧乏だと嘆いていた。
ところがだ。ある時期から街で噂が広まった。
廃れた火龍の神殿に新しい火龍様が来られたらしいと。しかも神殿の近隣の村々を回って魔獣退治を行っていると言うのだ。
魔獣退治を行った村々は、農産物の収穫量が劇的に増えたことで収入が増え、家畜や農具の売り買いが多くなり、それによって街の景気も徐々に良くなっていると言うのだ。
「火龍様が村々を回って魔獣退治を行ってくれたおかげで、村々のみならず国のいたるところの街々までも景気が良くなっております。それにより国の税収も徐々に上がり始めています。」
「これも全て火龍様のおかげです。」
大臣は、国王様からの親書と、いくばくかの報奨金を神殿に持参したので収めてほしいと言っていた。
大臣が帰った後、神官達が報奨金が入った箱を開けてびっくりしていた。
箱の中には、金貨100枚が入っていた。
金貨100枚を見た神官達の体が震えていたが、ベティは、榊のところで金貨など見飽きているので全く興味を持たなかった。
神殿はいつのまにか魔獣討伐で潤っていたがベティは考えていた。
このまま魔獣討伐だけで神殿がやっていけるはずはない。そのうちこの国の魔獣も少なくなる。
何か次の手を打たなければと。
考える事が苦手なはずのベティだが、以外と無い知恵を絞って神殿の行く先を考えているらしい。
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる