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13.王都が陥落しました

05.王都が陥落しました。(その5)

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「国王陛下。一刻も早くお逃げください。」

テーブルに置かれたカップが"カタカタ"と音を鳴らして揺れている。
城のあちこちかが揺れているのが感じ取れた。

「既に魔獣が城内に入ったとの連絡もあります。」

慌てふためく従者をよそに、陛下の側近は冷静に国王に伝えた。

「陛下。少数の護衛と従者を連れて避難路から城外に脱出いたします。」

「一旦、領内へ移動したのち、諸侯を集めて反撃させましょう。」

扉の外で剣で戦う音が鳴り響いた。
多数の悲鳴が聞こえる。
もうすぐそこまで魔獣が来ている。
国王は、護衛と従者、それと大臣を伴って執務室の隣りにある控えの間に入った。

「ときに、世の妃と王子はどうなる。」

「別の者が別ルートで避難させるべく行動しております。」

側近は、嘘を言った。国王さえ避難できれば、王妃や王子などまた"用意"すればよいだけなのだ。

「世の護衛のローザリーナがいないようだが。」

「ローザリーナ様は、別件で行動中でございます。」

「ローザリーナ様ほどの剣の腕前でしたら魔獣程度では敵ではないでしょう。」

「じき陛下と合流されると思われます。」

「そうか。」

控えの間のクローゼットの扉を開けると狭い階段が見えた。
護衛が先に階段を下りて狭い通路を進んだ。
従者が持つランプの灯りを頼りに狭い通路を国王と大臣が進んだ。
通路が終わり、扉を開けると少し狭い部屋へと出た。

部屋には、反対側にも扉があった。
先行する護衛がその扉を開けようとした時、扉が勝手に開き扉の中からは"オーガ"が現れた。
なぜオーガが避難通路から出てくるのか誰も理解できなかったが、このままでは皆殺しにあってしまうと直感敵に悟った。

陛下一行は、来た道を戻るべく先ほど開けた扉に向かった。
その扉が勝手に開いた。
扉からは"ミノタウロス"が現れた。
狭い部屋の中で惨劇が始まった。その部屋からは出る者は誰ひとりいなかった。


「騎士隊隊長、部隊長、魔族軍の王都城下への侵入は止まったが、王都城下には2万以上の魔族軍がいるぞ。これからどうするんだ。」

俺達は、転移門から侵入してくる魔族軍を止めることは成功した。
王国軍の騎士隊の隊長も、防衛隊の部隊長も数では絶望的に不利な状態は十分理解していた。

「"バーラ"の城塞都市の英雄である君たちに協力をお願いしたい。」

「近隣の街の防衛隊をかき集めて5000の援軍が明日には到着予定だ。」

「国王陛下は行方不明、国王派の諸侯も殆ど行方不明では、国政など成り立つはずもない。」

「反国王派の諸侯が軍勢を整えて王都に到着するのは早くても10日後だろう。」

「王国軍としては、魔族軍を撃退した後に反王国派との内戦だけは回避したい。」

「何か妙案はないだろうか。」

王国軍の幹部は、俺に状況の打開策を丸投げしてきた。

もう王国は壊滅状態に近い。このまま何もせずにいたら困るのは国民だ。

「…ああ、分かった。王都城下にいる魔獣は、できるだけこちらでどうにかする。」

「ただし、王国軍も魔獣は倒してくれ。」

「それと近隣にいる冒険者に魔獣討伐をやらせてみてはどうだ。」

「冒険者ギルドから緊急クエストを出せば直ぐにでも集まるはずだ。魔獣のレベルは高いが、王都
城下ならケガの回復や補給は十分にできる。他で魔獣狩りをするよりは好条件だし経験値稼ぎもできるはずだ。」

「分かった。冒険者ギルドへのクエストの依頼は、王国軍が行う。」

「国政については、知り合いのリーガル伯爵様に頼んでみるが期待はするな。」

騎士隊の隊長が部下に冒険者ギルドへのクエスト依頼の件を伝えた。
よし、打開策が見えてきた。

俺は、この先のこと。つまり転移門の向こう側をどうるべきかを考えていた。
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