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13.王都が陥落しました
04.王都が陥落しました。(その4)
しおりを挟む転移門の裏手に到着した。
転移門からは、魔族軍が王都の街へと大量に侵入していた。
進む先は王城のようだ。
魔族軍は、王国軍が王都に殆どいないことを知っているようで、転移門の裏側には魔獣を配置していなかった。
進軍中の魔族軍に向かって上空から"風神"と"雷神"による竜巻と雷撃の攻撃で次々と撃退してい。
しかし今回は、戦場が街中なので"隕石の雨"を降らすことができない。
とにかく転移門から入ってくる魔族軍を止めることが最優先だ。
「ベティ、転移門の中に向かって"龍神の業火"を放てるか。」
「できるよ。キツイやつを一発放ってやる。」
転移門の前に到着した。
"龍神"と"雷神"の雲から降りる。
ベティが、転移門の正面に仁王立ちする。右手には"覇者の槍"を持っている。
ベティがまるで"勇者"に見える。
「榊殿、これが終わったらシュークリームと特製ミルクアイスを作ってくれよ。食べきれないくらいな。」
相変わらず食い意地は"ひと一倍"(火龍一倍) 立派なベティだ。
転移門の扉の直前で立ち止まった。
「いくよー"龍神の業火"。」
荒れ狂う青い炎が転移門の中へと消えていった。
国王は、執務室内で複数の大臣と側近に囲まれて国務を行っていた。
つまらない仕事だが、国王である以上怠けることはできなかった。
執務室内にひとりの従者がやってきた。
国王に一番近い側近に耳打ちをした。
「陛下、国王陛下。」
「王都城下に転移門が出現したという報告がありました。」
「おそらく、魔族軍による攻撃が近くあるかと思います。」
側近が国王の耳元でささやいた。
「王都を守る守備隊がいるだろう。近衛隊もいる。さして問題もなかろう。」
国王は何の心配もしていなかった。
自身がこの世界で一番強いと勘違いしてからどれくらいが立っただろう。
"バーラ"の城塞都市で"負けなかった"ことが"勝った"ことへとすり替わっていた。
この王都でも勝てると勝手な解釈が国王の頭の中ではまかり通っていた。
「お言葉ですが、王都の守備隊は例の冒険者への対処のため城壁外におります。」
「近衛隊は、反国王派の諸侯へのけん制のため、王都には不在です。」
側近は、事実のみを淡々と国王陛下へ伝えた。
「誰がそのような命令を下した。世はそのような命令を下してはおらぬぞ。」
「いえ、国王陛下自らがご命令を下されました。」
国王は、側近の顔を睨み付けた。
「まあ、よい早く城塞外の王国軍を呼び戻せ。」
「は。畏まりました。」
側近は、近くにいた別の従者に国王陛下の新たな命令を伝えた。
突然、執務室の扉が乱暴に開け放たれた。
「大変です。王都城下に現れた転移門から大量の魔獣が出現しました。」
「転移門前で防衛行動中だった部隊と魔術師は全滅しました。」
「多数の魔獣がこの城に向かって進行中です。」
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