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13.王都が陥落しました
01.王都が陥落しました。(その1)
しおりを挟む王都の中央通りに突然現れた転移門。
王国軍の兵士と魔術師が見守る中、門に変化が現れた。
門が光り出し、小刻みに震え出した。
兵士も魔術師も憩を飲んで見守った。
門には魔術師が封印の魔法をかけた。
門全体を鎖と縄で何十にも封を施した。
扉の前に建築用の大石をいくつも置いて扉が開かないようにもした。
しかし、門全体に鎖と縄で施した封が1本、また1本とはずれていく。
誰も手を加えている訳でもないのに鎖も縄が切れていくのだ。
兵士は長槍と盾にを持つ手に力を込めた。
まだ鎖が5本残っている。大丈夫だ。
自身にそう言い聞かせた。
また1本、また1本と鎖が切れていく。
最後の鎖が切れて地面に落下した。
門には封印の魔法がかけられている。
相手の魔力が上でなければ、封印の魔法は破られはしないはず。
魔術師がそう思った瞬間。ガラスの砕けるような音がした。
封印の魔法が破られた音だった。
魔術師が一歩下がった。
門の扉が少し開いた。
扉の隙間から複数の目らしきものがこちらを見ている。
扉の隙間から何かが覗いているようだ。
そうだ、門の前に建築用の大石が積んである。
これなら大石が邪魔をして扉が開かないはずだ。
扉の正面で槍と弓を構えた兵士は、最後の希望を胸に抱いていた。
「おい、あの門の前に置いた大石だけどよ、動いていないか。」
門の前に積み上げた大石が少しずつ動いているように見えた。
地面で物を引きずった時のように轍が少しづつできていた。
数十人の兵士が大石を門の方向へ押し返そうとした。
しかし、大石は兵士の方向へゆっくりと動いてくる。
門の前に置いた全ての大石が排除されてしまった。
まだ門の扉の隙間から何かが覗いているように見える。
"キーイ、ゴン。"
突如、門の扉が開いた。
門の中には、複数の光る眼が見えた。
物凄い数のミノタウロスとオーガが門から湧き出てきた。
王国軍の部隊長は、一瞬何があったのか理解できなかった。
はっと気が付きすぐに兵士に指示を出した。
「弓隊、門から魔獣が出て来るぞ。門から出てきた魔獣を速やかに殺せ。」
「長槍体は、敵の前進を阻止しろ。」
「湧き出す魔獣に向かって矢を射かけろ。」
門から湧き出す多量の魔獣に向かって弓を射るがあまりの敵の数の多さに次の矢を構える時間がなかった。
門の正面で長槍と盾を構えていた兵士は、次々と魔獣に押しつぶされ、あるいは、空に投げ出されていた。
門の正面で隊列を組んで敵を阻止しようとした約500人足らずの兵士は、1分も経たずに崩壊してしまった。
門から街へと流れ込んだ魔獣達は、好き放題に暴れながら一方は城へと向かい、もう一方は、城壁の門へと向かった。
街のあちこちから火の手が上がり始めた。
住民の避難は1割も進んでいない。
魔獣は、人を見つけるそばからと次々を襲い掛かった。
兵士でない人が魔獣に対峙できるはずもなく、次々となぶり殺しになっていった。
王都は惨劇の嵐の中に入った。
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