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09.魔族戦争です

04.魔族軍との戦い。(その1)

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既に城壁には魔族軍の部隊がとりついている。
魔族軍の魔術師による遠距離魔法攻撃も始まった。

俺達は、"勇者"達が取り囲まれている敵の近くに着地した。
俺は"死亡フラグ"のひとつでも言いたい気分だった。
だが、仲間がいるんだ。最後まで戦って"負けない"算段をしようじゃないか。

「剣スキル"人化"、腕輪スキル"人化"。」

クリス、アレス、レディを人化した。
アイテムバックから"特盛の腕輪"を取り出して左腕に装着する。
こいつは、ベティの巣穴から回収した武具だ。
HPとMPを5000も上乗せしてくれる"ファンタジー世界"ならではのご都合主義のアイテムだ。
これさえあれば"召喚"の最上級スキルが使える。
恐らくそれが最後の望みだ。

「アレス、"阿行"と"吽行"を召喚して"勇者"達を取り囲んでいる敵を殲滅してくれ。」

「ベティとサティは俺達に近づく敵を一掃してくれ。」

「レディは、王国軍が撤退した瞬間を見計らって"隕石の雨Lv3"を魔族軍へぶっ放してくれ。」

「クリスは俺の護衛だ。ヘタレの俺を守ってくれ!」

「その後は状況を見て考える。みんな死ぬな!」

「はい!」

合わせた訳でもないが皆の返事が重なった。


"勇者"達と"Sクラスの冒険者"チームは満身創痍だった。
いくら敵を倒しても倒しても囲いを突破できない。
進軍した王国軍の部隊の退路を確保しつつ、部隊の最後尾に取り付き撤退させる作戦でいた。
だが、あまりの敵の数に魔法を使いすぎた。
MPが底をつき、回復アイテムももうない。仲間もかなり消耗しておりケガを負っているものも多数いる。
全滅するのも時間の問題だと覚悟を決めた。その瞬間だった。
4mを越える2人の筋骨隆々の人でない何かが目の前を走り去っていった。
2人が走り去った後には、砕け散った魔獣が道のように連なって辺り一面に散乱してた。
"勇者"は何が起きたのか理解でずに、剣を杖のように地面に付き立てて体を支えて周りの状況を確かめた。

「"勇者"様ですね。俺は"ココ"の街の冒険者で"榊"といいます。」

「まもなく進軍した王国軍の退路が確保できるので、"勇者"さん達で王国軍を城塞まで撤退させてください。」

「俺達が殿を務めます。」

"勇者"達に回復アイテムを手渡して、王国軍の撤退の指揮を任せる。
"勇者"は、自分達ですら突破できない魔族軍をやすやすと突破してきた冒険者をただ見据えていた。
"勇者"に今後の作戦の話しをしている脇をベティが放った槍とサティが放った矢が次々と高速で飛んで行く。
槍も矢も高速で飛行しながら魔族軍の魔獣を次々と葬っていく。
"阿行"と"吽行"が先行して王国軍の退路を確保した。
王国軍は撤退を開始したが、既に兵士の数は5000を切っていた。
しかも殆どの兵士が歩くこともままならない状態だった。
それでも仲間の兵士を担いで城塞に戻れることを喜んでいた。
最後の兵士の後を"勇者"達と"Sクラス冒険者"チームが守って撤退を開始した。

「よし。"阿行"さんと"吽行"さんここまで戻ってください。」

「レディ、"隕石の雨Lv3"をぶっ放して盛大に盛り上がってくれ!」


"勇者"達が殿を務めて王国軍の兵士を城塞へ戻ろうとしている最中、頭上を数百の閃光と爆音が幾重にも重なりながら飛んで行った。
飛んでいった先は、さっきまで自分達がいた場所だ。
そして、衝撃波と砂塵の嵐が幾度となく襲ってきた。
俺達は、"阿行"と"吽行"の背中に隠れて衝撃波と砂塵の嵐から身を守っていた。
しかし、この衝撃波はたまらない。鼓膜が破れそうだ。全身がビリビリと震えている。
そして衝撃波と砂塵の嵐が止んだ。

あたり一面は、魔人族の魔獣の焦げた死体だらけだった。
俺は"探査"と唱えた。
やはりだ、この1回の攻撃では、魔族軍の3割も倒せていない。
このまま城塞に戻っても"じり貧"なのは変わらない。
では次の攻撃を繰り出すとしますか。
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