48 / 169
08.城塞都市を守ります
04.戦争が始まりました。(その1)
しおりを挟む明け方近くに、それは始まった。
爆発音が連続して聞こえた。
空を見上げると多数の巨大な火の玉が弧を描きながら"ココ"の街の上を飛んでいった。
爆発音が連続して聞こえた。
街のあちこちの建物から火の手が上がっているのが見えた。
魔族の魔術師による遠距離魔法攻撃が始まったのだ。
空を見上げると何十、何百という巨大な火の玉が弧を描きながら街に向かって飛んで行った。
"ココ"の街の城壁にも巨大な火の玉は落ちた。同じ城壁に連続して落ちている。
城壁を突破するために集中攻撃を行っているのだろう。
「おい、あの巨大な火の玉を落とせないのか。」
「無理です。こっちの魔術師では、あんな巨大な火魔法は撃てません。」
騎士が王国の魔術師に食ってかかっていたが、魔術師の能力が違いすぎて対応できないのだ。
既に俺がいる救護所には、多数のケガ人が運ばれてきている。
黒焦げの死体も多数運ばれてきたが何もしてやれない。街の外れに運ばれて行くのを見送ってやるのがせいぜいだった。
気が付くと爆音が止んでいた。
くるぞ。魔族軍が総攻撃をかけてくる。俺はそう確信した。
城壁の上では、弓兵が魔族軍の魔獣に弓を射かけていた。
しかし、敵の魔獣が多すぎて対応できていなかった。
敵の魔獣もオーク、トロール、オーガと大きな体の魔獣が主体なので、少々の矢が当たろうが倒れずに進んでくる。
魔法攻撃で脆くなった城壁が崩れた。
そこに敵の魔獣がなだれ込んでくる。
俺は、救護所を離れてクリスと城壁の上にあがった。
城壁の上では、王国軍が必死に抵抗しているが、ここも突破されるのも時間の問題のようだ。
俺は、近くにいた王国軍の指揮官らしき兵士に言った。
「今から特大の魔法を撃つ。死なないように兵士に身を隠すように言ってくれ!」
「あー。なに言ってんだあんた。」
指揮官らしき兵士は、俺の話を聞こうとしなかった。まあ、そうだろうよ。
俺は、想定していた指揮官らしき兵士の態度に満足した。俺は、警告したことを確認してあの腕輪のスキルを発動した。
「腕輪スキル"隕石の雨Lv2"」
城壁の上と下で魔人族軍と王国軍が戦っている。
しかし、数で劣る王国軍はどんどん押されていった。
塔の上では、王国軍の弓兵が矢を放っていたが、敵の数の多さに苦慮していた。
しかも矢が底をついてしまい何もできない状態に陥った。
そこへオーガが巨大な槍のような矢を放ってきた。
塔の壁面が崩れ、数人の弓兵が塔から落ちていった。
サティは、今まで王国軍の弓兵に矢を補給することを優先していたが、運ぶ矢がなくなりこの塔も危なくなってきたところで自ら闘いに参加することにした。
アイテムバックから"覇者の弓"を取り出し矢も充てずに弦を引いた。
矢がなくなり、何もできなくなった王国軍の弓兵が何をしているんだという顔でサティの動きを見ていた。
するとサティの頭上に矢が6本現れ、”はなて”と唱えて弓の弦を放すと同時に6本の矢が放たれた。
矢はことごとく魔族軍の魔獣を射抜いていった。矢で射抜かれた魔獣は一撃で絶命していった。
矢は次々と放たれた。矢が放たれるたびに魔獣が倒れていった。
サティが放つ矢で100体以上の魔獣が絶命していた。
王国軍の弓兵は、サティの弓を口を開けて見ているいるだけだった。
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる