誰にでもできる簡単なお仕事です。

06.火龍です

05.またナンパです。

クリスとサティは、武器屋から少し離れた路地で待っていた。
2人は榊が武器屋から出てくるのを待っている間、他愛もない話をして暇をつぶしていた。

「おい、おふたりさん暇そーじゃねーか。そんなら俺達に付き合ってくれないか。」

いかにもチンピラらしい身なりの2人が言い寄ってきた。
クリスは、慣れっこだった。"ココ"の街では、たびたびナンパされるのでそのたびに全てのステータスとスキルを"技切姫"の剣スキルで奪っていた。ステータスとスキルを奪われた者は、人として使いものにならなくなるのだ。

「おい、黙ってちゃわからんだろ。今からいいことしようぜ。」

そう言ってひとりのチンピラがクリスの腕を掴んだ瞬間だった。チンピラは路地に倒れた。
サティは、嫌な顔をして腕を掴まれまいと一歩引いたところだった。チンピラは、倒れた仲間のチンピラを見て思わず凄んだ。

「おいてめえ、兄貴に何しやがった。」

そう言ってクリスの腕を掴んだ。その瞬間2人目のチンピラも路地に倒れた。
2人のチンピラは起き上がろうとしなかった。いや、起き上がることができないのだ。
HPが1/1しか無かったのだ。

武器屋から榊が出てきた。武器屋の主らしき人は、武器屋のドアにカギを掛けて、楽しそうに足早に去っていた。
榊がクリスとサティに近づき、こいつらは？と確認したが、クリスがいつものナンパですと返すと、ああいつものやつかと榊、クリス、サティはその場を去っていった。
路地に倒れた2人のチンピラは息はしていた。だが立つことも腕を上げることもできなかた。
この辺りで札付きの悪として知られている2人を助ける住民はだれもいない。
そのうち、2人の周りに野良犬が集まりはじめた。
2人のチンピラの足に野良犬が噛みついた。野良犬の噛みつき攻撃でHPが1/1から0/1に変わった。
もうこの辺りで札付きの悪だった2人のチンピラを見ることはなくなった。
裏路地で起きた他愛もない小さな事件だった。