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06.火龍です

02.盗賊です。クリスさん出番です。(その1)

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"コナ"要塞の脇の道を進み、国境になっているテナ川にさしかかった。
テナ川には橋は掛かっておらず、浅瀬を馬車で渡ることになる。
大雨で増水するとテナ川を渡ることができないらしいが、今は水量が安定しているので馬車で渡れる。
テナ川を渡りきるとバルデ皇国の領内に入る。荷物検査くらいあるのかと思ったが、そんなものはなく馬車は街道を進んで行った。
草原やら森の中を進み夕方には、"レスコ"の街へ到着した。
今日は、この街で泊まり明日は1日かけて"ライツァ"の街まで同じ乗り合い馬車で移動する。
"レスコ"の街は、農業が主体の街なので特産品や主だった産業もない静かなところだった。
宿は、宿泊代を安くするために3人ひと部屋だ。
特に期待するようなムフフな展開もなく夜は過ぎていった。

今日も朝から乗り合い馬車での移動だ。
"レスコ"の街からは、乗り合い馬車に他の2の客が乗り込み、馬車は少し窮屈になった。
昼頃に街道の途中にある"ビエチ"の村に立ち寄り、1時間程の休憩となった。
村の小さな宿屋の食堂で昼ごはんを食べる。
馬車に慣れていないせいかお尻がいたい。帰るときはクッションを買おうと心に誓った。

休憩も終わりふたたび乗り合い馬車に乗り込んだ。馬車は進み山間部の谷間にさしかかったころで事件が起こった。
まあ、よくある盗賊のお出ましというやつだな。
馬車の前に4人、馬車の後ろに3人が立ち並び行く手を遮っていた。
馬車が止まると後ろでうたた寝をしていた護衛の冒険者2人があくびと背伸びをしながら馬車から降りた。
ひとりは、馬車の後方に陣取り、もうひとりは御者の近くへ移動した。
既に剣は鞘から抜かれ手に握られていた。
街道を塞ぐように立っている4人のうちのひとりが大声で吠えた。

「金と荷物を全て置いていけ、命まではとらない。"女神アシュラム様"に誓おう。もし、歯向かったら全員の命はない。」

まるで、どこかの露店商が商いのうたい文句を始めた時のような口上みたいだ。
盗賊だからこの街道で同じことを何度も繰り返しているのだろう。口上も上手くなるか。
馬車の中で、俺たちは面倒くさいと言わんばかりの顔をしていたが、今日からこの乗り合い馬車に乗り込んだ2人は恐怖におびえていた。
俺は"探査"と唱えた。
おそらく弓矢を構えた盗賊が近くの木の上にでもいるんじゃないかと思ったが、案の定街道沿いの木の上にいた。

盗賊は、全部で8人だ。
クリスとサティに目配せをして馬車から出る。

「お客さん、危ないから馬車から出ないでください。盗賊狩りは俺たち護衛の仕事です。」

御者の隣りに移動した護衛の冒険者が注意を促した。

「あそこの木の上に弓矢を構えた盗賊がひとりいます。矢に気を付けてください。」

俺も護衛の冒険者に注意を促した。

「ひゅー、よく分かったな。ありがとよ。」

御者の隣りにいた護衛の冒険者が一歩前へ踏み出した。
4人の盗賊が鞘から剣を抜き、護衛の冒険者へ向かって歩き出そうとした時だった。
馬車の後ろから悲鳴が聞こえた。
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