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家族になった人族のポムと魔族のポム
09.初めてミルクアイスをたべました
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"ココ"の街の城門前でおじさんに礼を言って馬車を降りた。
城門の前で警備をしている兵隊さんに村長さんが書いてくれた身分証を見せると"ココ"の街へと入ることができた。
お客さんからもらった紙に書いてある住所を頼りにお店を探して歩いた。
お客さんのお店は、中央通りから住宅街を少し奥に入ったところにあった。
お店には若い女の人がいっぱい並んでいた。
お店の裏手に回り、働いている人に声をかけた。
「あの、すみません。食材を運んできました。どこに置けばいいですか。」
「あっ。君たちがオーナーが言っていた兄弟ね。こっちよ。ついてきて。」
従業員のお姉さんの後ろについて厨房の中に入る。
「もうすぐ、隣りにレストランがオープンするから皆、バタバタしているの。ごめんね。」
「食材は、ここに置いて。伝票と数に間違いがなければ直ぐに終わるから。そこに座ってまってて。」
アイテムバックからテーブルに食材を出して並べた。伝票も一緒にテーブルに置いた。
しばらくすると別のお姉さんが来て、伝票と食材の数の確認を始めた。
なんか緊張する。
そこへ昨日牧場に来ていたお客さんがやってきた。
「ポムくん、ポムさん、ごくろうさん。やっぱり村からここまでかなりあったよね。」
「…はい。」
「疲れたでしょう。これ食べて。」
お客さんの手には、見たことがない白い塊が入ったお皿が二つ並んでいた。
「あのー。これは?」
「ここに来る前にお店にいっぱい人が並んでいたでしょう。あれはね、このミルクアイスを食べるためなんだよ。」
「…ミルクアイスですか。」
ふたりとも聞いたことがない食べ物の名前を耳にした。
「まあ、食べてみてよ。」
ふたりでミルクアイスとかいう食べ物をスプーンですくって口に運んだ。
冷たい。冷たいのに口の中でふんわりとしてとけてなくなってしまった。しかもほんのり甘くて美味しい。
ふたりで顔を見合ってミルクアイスを口の中に入るだけ入れた。
こんな美味しいものがこの世にあるなんて。
「…美味しすぎて言葉が出ません。」
ポムさんがお客さんにミルクアイスを食べた感想を率直に言った。
「ぼくもこんな美味しいもの食べたことがないです。」
ぼくも素直にミルクアイスを食べた感想を言った。
「ははは。美味しいよいね。作った僕が言うのも変だけど。大鍋にいっぱい入ってたら全部食べたくなるよね。」
ポムくんとポムさんとお客さんの3人で笑ってしまいました。
伝票と食材の数が確認できたので、今日のお仕事は終わりです。
帰えろうとしたらお客さんから小さな包みを渡されました。
「それもうちの人気商品なんだ。帰り道で疲れたら食べるといいよ。」
お客さんに礼を言って厨房を後にしました。
お店には、若い女の人がまだまだ長い行列を作っていました。
「このお店すごいね。」
ぼくが見たままの感想を言った。
「たぶん、かなりの儲けがあるわよ。私達、すごいお客さんの仕事を受けたのかも。」
ポムさんが並んでいるお客さんの数を数えて売り上げを計算していた。
ポムさんはお姉さんだけあって字の読み書きもできるし計算もできる。
しかも大人達と交渉して仕事の契約もできるし、やっぱりすごい。
ぼくは、読み書きは少しできるけど計算は得意じゃないんだ。
住宅街を抜けて商店が並ぶ通りを歩いているとあるものに目がいった。
お店の前に小さな荷馬車と1頭のロバ。
ロバは、歩くのが遅いのであまり荷馬車には使われていないけど、体が小さい割には力持ちなので村では重宝されている。
ぼくは、こんな荷馬車があればいいなと思いながら前を通りすぎようとした。
「ポムくん。このロバと荷馬車が銀貨10枚って書いてある。」
ポムさんもこのロバと荷馬車を見ていたようだ。
「聞くだけ聞いてみましょう。」
ポムさんはぼくの話も聞かずに店の中に入っていった。
ぼくは、ロバの体を撫でた。頭を撫でた。ロバはブルブルと頭を動かしたが暴れる様子もなかった。
ロバの近くによってみたらロバが体をこすりつけてきた。
なんだろう。凄く可愛い。
少しするとポムさんと店のおじさんが出てきた。
「このロバなんだけど、性格が少し乱暴でな。誰にもなつかないし、言うことも聞かなくて困ってるんだ。」
「だからこの値段で売ろうと…ぼうず、このロバに手を出しても咬まれないのか。」
店のおじさんがびっくりした顔で聞いてきた。
「うん。すごく僕になついて可愛いよ。」
「こりゃたまげた。こんなの初めてみたよ。」
ポムさんがロバの頭を撫でようと手を出した。
"カプ"。
ロバがポムさんの手を噛んだ。
「いったーい。」
あっ。ロバが笑ってる。
「ポムくん、このロバ私の手を噛んだ。」
「えー。でも、ぼくは噛まれなかったけど。」
ポムくんがロバの顔を撫でると、嬉しそうに顔を動かしていた。
「ポムさんももう一度やってみてよ。」
ポムさんが恐る恐るロバの頭に手をやった。
"カプ"。
「痛い、痛い。また噛んだ。」
またロバが笑ってる。
「ロバに笑われた。くやしー。」
ポムくんがロバの顔を撫でるとロバは、気持ちよさそうにしている。
「お前たち、それは何の芸だね。ははは。」
店主のおじさんが笑っていた。
ポムさんが噛まれた手をさすりながら関心して僕を見ていた。
「この荷馬車は、ロバ用なんで馬には小さくてな。こつを売ったら荷馬車は用済みなんで、一緒でこの値段なんだ。」
「じゃあ、このロバと荷馬車を買うわ。でも銀貨8枚にまけて。」
店のおじさんが考えこんでいた。
「…誰にもなつかないロバが君に懐いたんだ。それに免じて銀貨8枚でいいよ。」
ふたりで顔を見合わせてほほ笑んだ。
おじさんの気分が変わらないうちに銀貨8枚を渡した。
"ココ"の街からの帰り道は、ロバの荷車に乗って帰った。
ロバの歩く速さは人の歩く速さより少し速いくらいだ。
でも、他の馬車には抜かされてばかりだけどね。
荷馬車の御者は僕の担当になった。
ポムさんが手綱を握るとロバが暴れるんだ。
ゆっくり進むロバの荷馬車の上でお客さんから貰ったつつみを開けてみた。
茶色のふっくらしたパンのようなものが4つ入っていた。
ひとつをポムさんに渡して、ひとつは僕の手の中だ。
ひとくち食べてみた。
パンの中にほんのり甘いクリームが入っていた。ものすごく美味しいくてびっくりした。
「あのお客さん。さっき食べさせてもらったミルクアイスもそうだし、この甘いパンもそうだけど
もの凄い天才なんじゃない。」
ポムさんの手には茶色いパンが既になかった。
「ねえ、ポムくん。これもういっこあるんでしょう。食べたいな。」
ポムさんは食べたそうにおねだりしてきた。
「だめ、夕ご飯の後にしよう。こんな美味しいものが食べられることなんて滅多にないんだから。」
「ポムくんのけち。」
ロバの荷車は、思ったよりも早く村に到着した。
牧場のおじさんにお願いして安くロバの世話をする場所を貸してもらえた。
今日からこのロバの面倒を見るのも僕の仕事になった。
このロバを大切にしてあげよう。そう思ってロバの頭を撫でた。
ロバも気持ちよさそうにしていた。
城門の前で警備をしている兵隊さんに村長さんが書いてくれた身分証を見せると"ココ"の街へと入ることができた。
お客さんからもらった紙に書いてある住所を頼りにお店を探して歩いた。
お客さんのお店は、中央通りから住宅街を少し奥に入ったところにあった。
お店には若い女の人がいっぱい並んでいた。
お店の裏手に回り、働いている人に声をかけた。
「あの、すみません。食材を運んできました。どこに置けばいいですか。」
「あっ。君たちがオーナーが言っていた兄弟ね。こっちよ。ついてきて。」
従業員のお姉さんの後ろについて厨房の中に入る。
「もうすぐ、隣りにレストランがオープンするから皆、バタバタしているの。ごめんね。」
「食材は、ここに置いて。伝票と数に間違いがなければ直ぐに終わるから。そこに座ってまってて。」
アイテムバックからテーブルに食材を出して並べた。伝票も一緒にテーブルに置いた。
しばらくすると別のお姉さんが来て、伝票と食材の数の確認を始めた。
なんか緊張する。
そこへ昨日牧場に来ていたお客さんがやってきた。
「ポムくん、ポムさん、ごくろうさん。やっぱり村からここまでかなりあったよね。」
「…はい。」
「疲れたでしょう。これ食べて。」
お客さんの手には、見たことがない白い塊が入ったお皿が二つ並んでいた。
「あのー。これは?」
「ここに来る前にお店にいっぱい人が並んでいたでしょう。あれはね、このミルクアイスを食べるためなんだよ。」
「…ミルクアイスですか。」
ふたりとも聞いたことがない食べ物の名前を耳にした。
「まあ、食べてみてよ。」
ふたりでミルクアイスとかいう食べ物をスプーンですくって口に運んだ。
冷たい。冷たいのに口の中でふんわりとしてとけてなくなってしまった。しかもほんのり甘くて美味しい。
ふたりで顔を見合ってミルクアイスを口の中に入るだけ入れた。
こんな美味しいものがこの世にあるなんて。
「…美味しすぎて言葉が出ません。」
ポムさんがお客さんにミルクアイスを食べた感想を率直に言った。
「ぼくもこんな美味しいもの食べたことがないです。」
ぼくも素直にミルクアイスを食べた感想を言った。
「ははは。美味しいよいね。作った僕が言うのも変だけど。大鍋にいっぱい入ってたら全部食べたくなるよね。」
ポムくんとポムさんとお客さんの3人で笑ってしまいました。
伝票と食材の数が確認できたので、今日のお仕事は終わりです。
帰えろうとしたらお客さんから小さな包みを渡されました。
「それもうちの人気商品なんだ。帰り道で疲れたら食べるといいよ。」
お客さんに礼を言って厨房を後にしました。
お店には、若い女の人がまだまだ長い行列を作っていました。
「このお店すごいね。」
ぼくが見たままの感想を言った。
「たぶん、かなりの儲けがあるわよ。私達、すごいお客さんの仕事を受けたのかも。」
ポムさんが並んでいるお客さんの数を数えて売り上げを計算していた。
ポムさんはお姉さんだけあって字の読み書きもできるし計算もできる。
しかも大人達と交渉して仕事の契約もできるし、やっぱりすごい。
ぼくは、読み書きは少しできるけど計算は得意じゃないんだ。
住宅街を抜けて商店が並ぶ通りを歩いているとあるものに目がいった。
お店の前に小さな荷馬車と1頭のロバ。
ロバは、歩くのが遅いのであまり荷馬車には使われていないけど、体が小さい割には力持ちなので村では重宝されている。
ぼくは、こんな荷馬車があればいいなと思いながら前を通りすぎようとした。
「ポムくん。このロバと荷馬車が銀貨10枚って書いてある。」
ポムさんもこのロバと荷馬車を見ていたようだ。
「聞くだけ聞いてみましょう。」
ポムさんはぼくの話も聞かずに店の中に入っていった。
ぼくは、ロバの体を撫でた。頭を撫でた。ロバはブルブルと頭を動かしたが暴れる様子もなかった。
ロバの近くによってみたらロバが体をこすりつけてきた。
なんだろう。凄く可愛い。
少しするとポムさんと店のおじさんが出てきた。
「このロバなんだけど、性格が少し乱暴でな。誰にもなつかないし、言うことも聞かなくて困ってるんだ。」
「だからこの値段で売ろうと…ぼうず、このロバに手を出しても咬まれないのか。」
店のおじさんがびっくりした顔で聞いてきた。
「うん。すごく僕になついて可愛いよ。」
「こりゃたまげた。こんなの初めてみたよ。」
ポムさんがロバの頭を撫でようと手を出した。
"カプ"。
ロバがポムさんの手を噛んだ。
「いったーい。」
あっ。ロバが笑ってる。
「ポムくん、このロバ私の手を噛んだ。」
「えー。でも、ぼくは噛まれなかったけど。」
ポムくんがロバの顔を撫でると、嬉しそうに顔を動かしていた。
「ポムさんももう一度やってみてよ。」
ポムさんが恐る恐るロバの頭に手をやった。
"カプ"。
「痛い、痛い。また噛んだ。」
またロバが笑ってる。
「ロバに笑われた。くやしー。」
ポムくんがロバの顔を撫でるとロバは、気持ちよさそうにしている。
「お前たち、それは何の芸だね。ははは。」
店主のおじさんが笑っていた。
ポムさんが噛まれた手をさすりながら関心して僕を見ていた。
「この荷馬車は、ロバ用なんで馬には小さくてな。こつを売ったら荷馬車は用済みなんで、一緒でこの値段なんだ。」
「じゃあ、このロバと荷馬車を買うわ。でも銀貨8枚にまけて。」
店のおじさんが考えこんでいた。
「…誰にもなつかないロバが君に懐いたんだ。それに免じて銀貨8枚でいいよ。」
ふたりで顔を見合わせてほほ笑んだ。
おじさんの気分が変わらないうちに銀貨8枚を渡した。
"ココ"の街からの帰り道は、ロバの荷車に乗って帰った。
ロバの歩く速さは人の歩く速さより少し速いくらいだ。
でも、他の馬車には抜かされてばかりだけどね。
荷馬車の御者は僕の担当になった。
ポムさんが手綱を握るとロバが暴れるんだ。
ゆっくり進むロバの荷馬車の上でお客さんから貰ったつつみを開けてみた。
茶色のふっくらしたパンのようなものが4つ入っていた。
ひとつをポムさんに渡して、ひとつは僕の手の中だ。
ひとくち食べてみた。
パンの中にほんのり甘いクリームが入っていた。ものすごく美味しいくてびっくりした。
「あのお客さん。さっき食べさせてもらったミルクアイスもそうだし、この甘いパンもそうだけど
もの凄い天才なんじゃない。」
ポムさんの手には茶色いパンが既になかった。
「ねえ、ポムくん。これもういっこあるんでしょう。食べたいな。」
ポムさんは食べたそうにおねだりしてきた。
「だめ、夕ご飯の後にしよう。こんな美味しいものが食べられることなんて滅多にないんだから。」
「ポムくんのけち。」
ロバの荷車は、思ったよりも早く村に到着した。
牧場のおじさんにお願いして安くロバの世話をする場所を貸してもらえた。
今日からこのロバの面倒を見るのも僕の仕事になった。
このロバを大切にしてあげよう。そう思ってロバの頭を撫でた。
ロバも気持ちよさそうにしていた。
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