R18 短編集

上島治麻

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「えっ……ここ、どこ……?」

 目が覚めると真っ白で無機質な天井が広がっていた。起き上がるとそこは知らない部屋の中。昨日の夜は大学のレポートを終わらせて、いつも通り自分の部屋で寝たはずなのに……

 枕元に置いていたはずのスマホは見当たらない。これじゃ情報の仕入れ用がない。
 ベッドを離れて見知らぬ部屋を探索してみた。ビジネスホテルの一室ぐらいの広さだけど、壁も床も白くて実験室みたいで不気味。窓はなく、あるのは大きなベッドと冷蔵庫とテレビモニター(リモコンは見つからない)と机と鍵のかかった引き出しとトイレ。冷蔵庫には何本かの水。

 とりあえず外に出てみよう。寝起きのスウェット姿でだらしない格好だけど、ここがどこなのか分かるかもしれない。
 ドアに手をかけるが……押しても引いても、うんともすんともしない。外側から鍵がかけられている……?

 まさか、知らないうちに何かの事件に巻き込まれた……!? このまま帰れなかったらどうしよう……もし殺されたりしたら……! そんな考えがよぎってしまえば、背筋が凍るような不安が押し寄せてきた。

 その時、部屋のテレビモニターが起動した音がした。そこには……

【カントボーイになる部屋】

 白背景に黒文字で、でかでかと表示された。パワポで簡単に作ったみたいな簡素な画面だ。

「か、かんとぼーいって……?」

 僕の疑問に応答するように画面が切り替わった。やっぱこれパワポで作ったスライドじゃないか?

「えーと、カントボーイとは男性器の代わりに女性器がついた男性のこと……って、え!? どういうこと!?」

【これからあなたには、ここに表示される指令をクリアしてもらいます 全てクリアしたらこの部屋を出られます】
【指令① クリトリスでイってください】

「え、え、え……!?」

 指令をクリアしないと出られない!? クリトリスでイく!?
 全く意味が理解できないまま、何かが始まってしまった。この場を誰かが見てるのか……!? しかもえっちな指令だよな、これ…… きょろきょろ見渡してみるが、カメラらしきものは見当たらない。

 カントボーイ……そんな単語聞いたことないけど……
 現状把握のため僕は股に手を伸ばし、服の上からそっと触ってみた。

 ……嘘だ。ない。いつもある膨らみがない。
 おそるおそるズボンの中を覗く。ない。そこは真っ平でつるつるになっていた。僕はゲイで、恋人もいたことがない。どっちかというとネコがいいなって思ってるから使う予定はない(お尻は怖くてまだ触れていない)。……でもショックだ。何か大事なものを失くしてしまったみたいな……いや、本当になくなってるんだけども……

 ファンタジー展開すぎて夢か現実かも分からないけど、今現在、本当にちんこがなくなっているんだから、このモニターに表示されていることは正しいと証明された。指令をクリアするしか、ここから出る選択肢はない。

 やたらふかふかで高級なベッドなのはそういうことか……ベッドに寝転び、覚悟を決めて服の中に手を入れると、

【下半身の服を全て脱いで、足を開いてください】

 と表示が変わった。見せろってこと……
 恥ずかしいけど仕方ない。ズボンとパンツを脱いだ。見ず知らずの誰かに見られている。沸騰しそうなほど顔が熱くなった。

 ずくんとお腹の中が疼く感覚がする。最悪だ、こんな状況で僕は興奮してるのかもしれない。今からえっちなことをするんだ……早く敏感なところを触りたい……イきたい……そんな気持ちがどこからか湧きあがってくる……

 違う、僕はここから出るためにするんだ!と心の中で言い訳をしながら再びベッドに身体を預け、指令通りに足を開く。ふう……と息を整えた。

「えっと……クリトリスって、上の方だっけ……?」

 知識も乏しいまま、初めて対面するクリをこわごわと触ってみる。

「ん……っ」

 割れ目の少し上の方を中指ですり、と撫でるとゾクッと震えが走った。当たりみたいだ。本能が理解した、クリはここだと。
 そのまますりすり……と撫でていると、ふわっとするような、焦らされてもどかしいような気持ちになってくる。胸がきゅうっと締め付けられる。ちんこを擦る、いつものオナニーとは違う感覚だ。

「ふ……ぅ……♡」

 我慢しようとしても口が勝手に開いてしまい、甘さを纏った声が漏れた。聞いたこともない自分の声に余計気持ちが昂ってくる。撫で続けていると、乾いていたソコに水分を感じた。

「……っ!?♡ なに、濡れて……?♡」

 おまんこが勝手にきゅんきゅんと収縮し、割れ目からぬるぬるの粘液が分泌されている。もしかしてこれが愛液……? 少しクリを触っただけで感じてしまった証拠が現れて、いっそう羞恥を感じた。
 それなのに僕は、とぷとぷ♡と溢れてくる割れ目に指を這わせ、愛液を掬った。これでクリを触ったら気持ちいいのかなって、性に貪欲な好奇心が疼いた。僕だって男だし……ぬめりを纏わせた指でクリを触る……

「っ♡♡♡」


◼︎中略◼︎


【慣れてきたら強く刺激して すぐに絶頂できます】
【イったらもっと気持ちよくなれる】

 強く……♡ もっと、気持ちよく……♡
 甘い痺れに焦らされた脳では抗えなかった。無機質なモニターに導かれるように、指に力を入れる。

「んぐうっ♡」

 にゅるにゅるっ♡ くちゅ、くちゅっ♡ くちゅ♡ ぐりぐりぐり♡ ぐりぐりぐり♡♡♡

「あ♡ あ♡ あ♡ あ♡ あっ♡ これ♡ やば♡ やば、クリ♡ んひっ♡ う〰〰〰〰〰〰♡♡♡」

 全身にビリビリと快楽の電気が駆け巡った。それに合わせて腰もカクカク♡ヘコヘコ♡と動いてしまう。だめだ、気持ちよすぎて指を動かすのが止まらない。止めたくない。

 くちゃくちゃ♡と下品な水音が部屋に響くのも、自分の声が反響してるのも、今えっちなことをしてる事実を脳に直に教え込まれてるみたいで、おかしくなりそう……♡
 こんなの、気持ちいい♡ってことしか考えられなくなるっ♡ 戻れなくなるっ♡

 ぐにゅっ♡ ぐにゅっ♡ ぐにゅっ♡ ぐにゅっ♡ くちゅくちゅ♡♡ ぐりぐりぐりぐり〰〰〰〰〰〰っ♡♡♡

「あっ♡ ああっ♡ あぐぅっ♡ は……あっ♡ はあっ♡ い……っ♡ イぐっ♡ クリイキ、しちゃう"♡♡」

 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡ 気持ちいい♡
 イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡ イく♡

 絶頂を目の前にして、指の動きはどんどん速くなり、僕の思考は快楽で染まり……弾けた♡♡♡

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰…………っ♡♡♡」

 喉を逸らして腰を高く上げて絶頂した。脳天まで貫かれ、声が出ないほどの深イキ。目の前はちかちかと火花が散っているみたい。初めて経験するクリでの絶頂はちんこでの絶頂とは全く違う、暴力的な快楽だった。

「……っ♡ んっ、お、ふぅ……♡♡ 初クリ、イキ♡ やばぁ……♡♡」

 ガクガクと四肢を震わせながらベッドに沈む。気持ちいいのがまだ続いている。でもこれで、指令はクリアできた。外に出られる。首を動かしてモニターを見るとそこには……
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