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 探っている内に四ノ宮楓は部屋を出ていった。
 代わりにボディーガードが一人、入り口を塞いでくれる。
 前に何度か頭を足蹴にしている男である。
 恨まれていそうで怖いものがあるが、男は扉の前から身動き一つしなかった。
 我慢して監視はするようだ。

 今、時間は夜中の十二時を過ぎたところ。あと二時間で終わらせて帰りたいものだが。
 そう思いつつ、四ノ宮楓のデータフォルダを開いて、それを確認する。
 また随分とあるものだ。
 主に個人的に調べた物だろう、持っているビルやホテル、クラブなどの店舗のリスト、使用銀行、関連のある人物がずらりと並ぶ。
 弁護した事件、取引相手、表向きの仕事は全て調べたかのように大量のデータがある。
 これだけ調べられているが、脅しができそうなものは見つからない。
 やはり原川幸生は、記録としてデータを保存しているだけのようだった。

 残念なことに、脅せそうなネタが四ノ宮楓のフォルダにない。
 残っている録画データを再生すると、店舗を貸すビルのセキュリティを予告なく入り込む実験を頼んでいると言う、まともな仕事の話であった。セキュリティ調査だ。
 四ノ宮楓は原川幸生を、確実に信用していなかったのかもしれない。
 だが恩を売るかのように、犯罪の手を裏から貸していた。しかも四ノ宮楓に責が負わない程度のものだ。
 場所を貸し、人を紹介する程度のもので、四ノ宮楓の狡猾さが窺えた。
 やな奴だな。会うたび思う、やな奴だ。
 今だって実際そうだろう。実行しているのは自分で、四ノ宮楓は場所を提供しただけなのだから。
 まんまと乗っている自分も、原川幸生と同じ運命になりそうだった。
 やはり四ノ宮楓には関わらない方が賢明だ。

 あと気になることと言えば、枝野雄太郎の関わりだった。
 四ノ宮楓はなぜ、今になって枝野雄太郎を捕まえる気になったのか。
 原川幸生の仕返しのわけがない。それだけは根拠なくとも断言する。
 あの男に同情などと言う優しさがあるはずない。
 むしろ原川幸生を助けられるのに、放置した気さえする。

 その男が何を思って犯人を捕まえようとしたのか。
 レイの力を試すことも考えてはいるが、他に理由があるはずだった。
 ならばそれは一体何なのか。

「終わったのか?」
 ボディガードと入れ替わりに入ってくると、さも当然と肩に手を触れてくる。それを払ってモニターの電源を切った。
「今、確認作業。中に爆弾仕掛けてあるから中々それ解除できなくて、時間かかるから一回帰る」
「…お前がまたここに来るまでに、時間がかかるだろうが。ここで作業を続けろ」
「どうせ時間がかかるんだよ。一日もかかんないけど、俺が家を出られる時間まではかかる」
 近寄ってくるなとその広い胸板を押して、レイは鞄を背負った。四ノ宮楓は眉根を寄せたまま、腕を引いてくる。
 だから、パーソナルスペースを大切にさせてくれよと言いたい。あるまじき顔の近さで後ずさりしたいが、腰を抑えるので後退もできない。

「お前にはそれで一度逃げられているからな。部屋を貸しているんだ。無駄な時間を労せず終わらしてもらいたいんだがな」
「頼んでないし。手助けをしたいっつったのはそっちだろ。つか近いんだよ。そんで気安く触んな」
 不機嫌に威嚇されても困る。押しのけて腕を振り払おうとすると、その腕が首をごきりと振り向かせてくれた。
「威勢のいいのは構わんが、お前が俺の手の中だと言うことを忘れるなよ。お前が何者なのか知っているのは俺だけだ」
「だから何だよ。そんだけ余裕あんなら人を拘束すんな。こっちにだって予定がある」
「家に戻るだけだろう。いい子ちゃんの真似を続けるには夜しか動けない。それも問題ないと言ったはずだ」
「あんたの問題は的外れなんだよ。手を離せ。俺の稼働時間は二時までだ」

 眼力を自分に示しても、それに怯える細い神経ではない。
 握られた手首に力が入ればひどく痛んだが、我慢する代わりに思いっきり足を踏みつけた。意地の張り合いである。
 今自分が履いている紐履がピンヒールだったらよかったのに、しかもヒールで踏みつけていたらよかったのに。

「痛いわ!手首もげる!」
 もう我慢できないと顔を押しやった。
 このまま鼻に指を突っ込んでやろうかと思うくらいは早く腕を離してほしい。これでまた手首に痕が残るだろうが。
 びくともしない四ノ宮楓は、むしろ距離を縮めてきた。
「いや、やめろ」
 何でそうやって迫ってくるのかわからない。
 ある意味嫌がらせでしかないそれに溺れた。そんなものは二度とごめんだ。そう思っているのに、四ノ宮楓はまだそれを行使してくる。

「素顔でも、よく見ればやはり女だな。髪と眼鏡で隠すだけで随分印象が変わるが、前髪を上げれば気付かれる」
「上げないし。よく見える距離に行かないし。そうやって腰に手回すのやめてくんない!セクハラ!変態!」
「手の中にいるものに、遠慮が必要か?」

 誰が手の中、
 そう口にする前に、入り込んだ舌が言葉を止めた。
 タバコと香水の香りが混じって鼻に通ってくる。
 近すぎてその香りに酔いそうになる。

 この香りを覚えたくないのに、人の意志も関わらず、図々しく領域を侵してくる。
 吐息をつけば、当たり前のように首筋に舌を這わせた。
 慣れた手つきでパンツのボタンを外す。

「ちょ、やめろ!」
「その姿だと眼鏡が邪魔だな。次からは外してきたらどうだ?」
「何、でそうなるんだよ!もう、離せ!この、セクハラ弁護士!」

 人の話を聞く気がない。遠慮もなくシャツを捲り上げると、そのまま引きずるように脱がす。しかし、脱がす途中で四ノ宮は手を止めると、嫌そうにレイの胸に巻かれた布を掴んだ。
「こんなもので抑えると、貧相な胸が更に貧相になるぞ」
「うるさいわっ!」

 しっかりと巻かれたさらしに、四ノ宮は不服げにした。レイの姿でブラジャーをするはずがなかろうがと、足をばたつかせる。中途半端にシャツを脱がされたせいで、両腕にシャツがからんだままだ。その両腕が頭の上で押さえつけられている。
 これ幸いとさらしを剥きにかかり、あっという間にレイの豊かな二山が露わになった。恥ずかしげに隠れていた頂は、さらしに擦られて剥き出している。ピンと立った紅色のそれに舌を這わせた。

「や、ばか、離せ。変態!」
「うるさいぞ?」
「んっ!」
 四ノ宮は再び澪に口付けた。当たり前のように口内に舌が入り込み、澪の舌にからめてくる。

「んふ、あっ」
「復習が必要だと言っただろう?ゆっくりと慣らしてやるから、いい子にしろ」
 何がいい子だ。そう口にする前に、四ノ宮は深く口付ける。するりとパンツの中に入り込み、次いで下着の中まで達した指は、すでに秘所に触れていた。
 花蜜がじわりと浮き出て、滑り始めていた場所をつんつんとつつき、時に中へ入り込もうとする。しかし無理はせず、長い口付けをしながら、舌を絡めることに集中した。そうして忘れた頃に、指が動く。

 濡れてきているのが自分でもわかる。四ノ宮の太い指は花蜜を得て潤い、もっと中へと忍んでくるのだ。
 入り込んだ指を感じると、力が抜けてくる。四ノ宮は花密に濡れ糸を引いた指を舐めた。
「な、何して」
 恥部に入り込んで滑った指を、淫靡な笑いをもって啜ったのだ。四ノ宮はただくつくつと笑った。
「甘い味がする。お前のいやらしい汁を、もっと味わいたくなるな」
 レイは顔中が熱くなるのを感じた。四ノ宮は有言実行と、パンツを脱がしレイをベッドへ連れた。

「やめろってばっ!」
 指が抜けて、レイは足をばたつかせる。下着はかろうじて着いていたが、太ももを隠すものがない。四ノ宮はこれ幸いと両足を開かせて、レイの股にかぶりついた。
「や。ばかっ」
「色気のない下着だな」
 男の格好でレース付きのショーツでも履くと思っているのか。ボクサータイプのパンツに文句を言いつつ、舌を這わせてくる。

「やっ。あんっ」
 舌が敏感なところを刺激する。思わず漏れた声に、レイは両手で口を押さえた。
 こんな声出したくない。四ノ宮にこれ以上醜態を晒したくない。
 そう思っているのに、四ノ宮は舌を布ごしで這わすのをやめ、中へと入り込もうとした。

「やあんっ。あっ」
 ぴちゃりと花蜜を吸う音がする。さっきよりずっと溢れてきている。四ノ宮はレイの花蜜を吸い上げながら、指で中をまさぐった。
 腰がびくりと動く。四ノ宮の思い通りに、もっと花蜜が溢れるのがわかった。
 もう覚えられている、レイのいいところを探り、指の腹で何度も擦り付けた。その度にレイの口から卑猥な声が漏れ、部屋に響いた。

「ここがいいのはわかっていたからな。触れるたびにいい声で鳴く」
「や、そんなこと、なあっ」
 最後まで言う前に、四ノ宮は指を増やした。じゅぶじゅぶと出し入れして、レイの花蜜を外へと出そうとする。その通りに蜜はとめどもなく溢れ、澪の下着はすぐにぐっしょりと濡れてしまった。
 四ノ宮はレイの首筋にちくりと吸い付く。まだ残っているであろう跡をまだ増やす気だ。首筋から鎖骨へ移動し、すでに突起していた紅色の片方の先を舌で絡める。隙間をほじり、吸い付き、口内で転がしてからちゅぽんと音をたてた。
 そうしながら、露わになったレイの秘所の中で指をうねらせる。

「やあ、もお、だめえっ」
 びりびりと身体が揺れてくる。レイの中はひくついて、もっと奥まで刺激を欲しがり始めた。
 もっと激しい熱が欲しいのだと、レイの秘所が四ノ宮を受け入れるために、花弁を大きく開け始めている。

「ああ、わかっている」
 四ノ宮が自身のベルトを取ると、太く長いものをぶるんと取り出した。四ノ宮のそれがレイの中に入りたがっていた。屹立したそれは大きく膨らみ、レイの中を蹂躙したがっている。
「これが欲しいんだろう?」

 そんなことない。欲しいなんて思っていない。
 そう言いたいのに、レイの秘所はヒクついてばかりで、四ノ宮を受け入れるのに入り口をくぱりと開けている。そこからだらしなくよだれが溢れ、早く咥えたいのだと訴えていた。
 まだ中に入っていないのに、よだれが止まらない。美味しそうなものを早く咥えさせてくれと、レイの下の口がそう言っていた。

「あっ!」
 四ノ宮の太く長い逸物が、レイの下の口に吸い付くように一気に入り込む。
 ぐぷんと言うと、じゅぶじゅぶよだれを溢れさせて、四ノ宮を飲み込んだ。
「まだ、だ」
 飲み込みが足りないと、四ノ宮はレイの中に突き上げる。まだまだ飲み込めるはずだ。
 四ノ宮がレイの中に全てを飲み込ませようと、何度も出し入れして、レイの下の口を開こうとする。それに合わせて口の中が大きくなった。その一瞬を見逃すまいと、四ノ宮は激しく奥へと突く。

「ひあっ。あん。やあ、そこ、イっちゃっ」
「イくのが早いだろう。そんなにこれが欲しかったのか?」
「や、ちがっ」
「何が違う?こんなにとろとろに溢れさせて。咥えれればよだれが溢れ出しているぞ」

 違う。違うと言いたいのに、レイからは蜜が溢れている。四ノ宮を咥えたくて、よだれを垂らして待っていた。もっと動いて、溢れさせて欲しい。奥まで突いて、ドロドロにして欲しい。
 そんなこと、口にできるわけがない。四ノ宮にお願いするなんてお断りだ。
 けれど、身体が言うことをきかない。
 四ノ宮の熱を奥まで感じて、しびれるような感覚を再び欲しがっている。欲しくてたまらないのだと、激しく突かれるたびに腰が動いた。

「あん、あっ、ああっ」
 もっと、もっとして欲しい。奥まで突いて、ぐちゃぐちゃに犯して欲しい。
 四ノ宮はそれに応えるように激しく奥へ突いてきた。その度にレイの鳴き声は大きくなり、蜜の弾ける音が耳に届いた。
 重なる肌が熱くなる。四ノ宮はいつの間にか筋肉質なその肢体を露わにし、レイに見せつけるように馬乗りになって身体を揺らした。
 無駄な肉などない、引き締められた身体から汗が滲んでくる。激しくレイの中に入り、下の口も上の口も塞いで、その筋肉質な身体でレイをきつく抱いた。

 抱きしめられた身体にレイの二つの頂が擦れて、敏感になってくる。こりこりに固まったそれをほぐすように、四ノ宮の舌が触れた。
「あっ」
 舌で切っ先を転がし、もう一つの先を指で摘んではいたずらに転がす。レイの反応を楽しんで、更に中を激しく突いた。

「やあ、ああんっ。あんっ」

 中に入ったまま動いているのに、レイの立ち上がっていた頂を、舌を器用に使って絡めてほじり、口の中でしゃぶる。それでも四ノ宮の腰は激しく動き、レイの奥へと突き続けた。
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