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 会う店はいつも同じ。
 レイは客と話をするママにコーヒーを頼んで、奥の部屋に入っていく。
 パソコンを広げたオキの前に座ると、足を組んだ。

 オキの長い睫毛は根元から先まで淡い金色で、それが何度か上下に瞬く。羽でも乗っているみたいだと思って触れたくなるのだが、触れたら引っこ抜きたくなるので、それを我慢した。
 本人に言えば、眉間にしわを寄せてがなってくるのでやめておく。
 前に、綿帽子のような後ろ毛を撫でて引っ張って、怒られたことがあった。

「で、まずいことを調べた結果は散々だな。あの部屋は完全に使えないだろ。警報鳴りまくりだったぞ。カノから連絡いっただろうけど、心配してた」
「うん。カノにはちゃんと大丈夫って伝えたよ。警報鳴ったのは、四ノ宮楓が何度もあのマンション来てたから。俺はあれから行ってないし」
「あの場所しかつかまれてないならいいけどな。お前、もうあの男に関わるなよ」
 言われなくても関わりたくない。

 四ノ宮は、次の日の同じ時間十時にマンションに来ていた。
 高級車はカメラの死角に、一人の男はエレベーターの前に、そうして部屋まで三人でやって来て、扉が開かないと知ってしばらくそこにいたが、男を二人残して戻っていった。
 留守であるとわかっているが、またレイが戻って来ると思ったのだろうか。
 その間、不審者がいると、レイのパソコンやオキとその仲間、カノに警報が飛んだ。
 廊下の奥にある部屋に人は来ない。扉から一定の距離にレイとは違う人間が入れば、警報が鳴るように設定されている。
 四ノ宮の部下たちは、何度かそこに訪れて警報を鳴らして帰っていった。
 あれから、あの部屋には行っていない。

 彼が望む物は返した。会う必要もなかった。
「データは解読して、四ノ宮楓に渡したんだろ?それでも何度か部屋に来ている。お前、他に余計なことをしたのか?」
「してないよ。データは次の日に解読終えてて、四ノ宮楓にはSDと解読したデータのプリントしたやつを、メール便で送ってやった」
 データを受け取っておきながら、しつこくマンションにやってくるのだ。こちらはもう用はないと言うのに。
「解読は、随分簡単だったんだな。結局一日で終えたんだろう?」
 持っていた解読のソフトに任せて検索を進め放置したわけだが、結局全てを調べても同じアルゴリズムにかかるものはなく、解読ができなかった。
 だがその前に気になることがあって、そちらを進めていたのだ。結局解読はそれで終えられた。

 ヒントになったのはやはりいろは唄で、タブレットは確かに役に立ってくれた。
 磯村にはまだあのデータの結果は伝えていない、それをどうするかオキと考えたかったのだ。だから彼を呼んだ。

「いろは唄のゲームなんて、マニアックすぎてさすがに手を出さないからな。クリアーしなきゃ解読ソフトが出てこないとか、おかしなことをやるもんだな」
「データの解読なんて、大抵決まったアルゴリズムで行うんだよ。それを外れれば解読は難しくなる。だからって人のアプリを端からクリアーなんてしないからな。俺も少しやって普通のゲームだなって思ったんだけど、やっぱり気になって」

 専門家のためのようなゲームにほとほと疲れていたが、あれだけ文学的でなおかつ完成度の高いアプリを作ったことに疑問があった。
 他にクロスワードなどもあったが、一つに固定したゲームはあれだけだったのだ。
 そして、ブックリストに隠されていたゲームフォルダの並び順はいろは唄。仮名の一覧とは言え、七五調、そう思えば和歌のアプリは怪しすぎた。

「原川幸生は保険をかけといたんだろな。会社にタブレットを置きっ放しにして、わざとヒントを入れておいた。まずいことに手を出してた自覚はあったんだろ。けどそれを四ノ宮楓に送っても、仇を討ってくれるって感じじゃなさそうだけどな」

 四ノ宮は、きっと殺しを命じた人間の目星はついている。
 確かな証拠がほしかったのか、あのデータを何かに使いたいのか、四ノ宮に聞かねば確かな答えはわからない。
「それで、データのリスト、こっちでも調べたが、大抵金融系の人間ばっかだったな」
「ん。間違いないと思う。で、一人だけ別のカテゴリーが混ざってた」
「それも調べたんだろ?」
 レイは頷く。鞄から出したパソコンから、そのデータと合わせた情報を並べた。
 数名の名前が並ぶだけのリストは、原川幸生が持っていたものだ。
 その人物たちは一人を除き、金融機関の会社に勤めている。残りの一人は暴力団関係に属した人間だった。
 そして、その顔写真も調べてある。
「原川幸生の持っていたセキュリティカード、六本木にある四ノ宮楓がオーナーのクラブのカードキーだった。そこのセキュリティシステムを調べたら、このリストの人間が殆ど原川幸生と席を一緒にしている。原川幸生は四ノ宮楓のビルで、このリストの人間たちと会っていた。その中に一人、前にマネーロンダリングで捕まった男がいる」
 原川幸生は、その男のニュースを何度も見ていた。
 二億を詐欺で得ていた、男のニュースだ。
 マネーロンダリングで捕まった金融機関の男は、外国で企業に詐欺メールなどを送り、銀行に送金をさせていた。
 その手口は巧妙で、警察も手を焼いた事件だとされていたものだ。

「で、これが原川幸生の銀行のデータ。一定額の不明な入金が繰り返されてる。マネーロンダリングで得た金の何割かを、マネジメントとしてもらっていたんだろな。これは想像だけど、原川幸生は仲介役だったんだと思う。詐欺を行わせて、その受け取りを金融機関のやつらにやらせてたんだ」
「その利益は暴力団の懐か?」
「だから一人だけ別カテゴリーの人間なんだと思う。それでその男を調べてみました」
 レイは別のデータを出すと、それを満足気に広げた。

 男の名前は枝野雄太郎。
 指定暴力団の一人で、参議院議員の尼川修造と懇意にしている。四ノ宮のビルでは、女性を両手にふんぞり返る二人が写っていた。
 絡みに絡んだ収賄事件と言ってもいいかもしれない。一般人が詐欺を行った金を集めて、暴力団から議員に流れている図だ。
「全部は調べきれてないけど、まあその辺りでって感じかな。原川幸生は何かを失敗した。そうだな、マネーロンダリングで捕まったやつは原川幸生を知っている。そこから枝野雄太郎と尼川修造が繋がることを恐れられた。だったら仲介を終えてしまおう。そんなとこかな」
「繋がりを消すために、全てを知っている、原川幸生を殺した?」
「そうだと思う。詐欺で得たお金は何回か銀行から分けて出して、原川幸生に渡してるんだよ。その度あの六本木のクラブを使ってる。金を受け渡すとこも写ってた。その金を原川幸生がどこに渡しているか。同じ席で受け子が帰った後、枝野雄太郎が現れて流すように渡してる。その後原川幸生に入金される」
 カメラは全て捉えていた、である。
 その先の議員に金が渡るかはわからないが、同じ場に議員が来ることもあるのでグルであるのは想像に難くない。
 ただこれは全て憶測で確かなものではなかった。原川幸生から枝野雄太郎に金が渡されるまでは、決定的証拠があるわけだが。
 失敗をしたのは原川幸生ではなく受け子の方かもしれない。ミスをし警察に捕まり、それのとばっちりを原川幸生は受けることになったのだ。

 どちらにせよ、このカメラのデータを表沙汰にすれば、再び四ノ宮が現れるのは間違いない。
 全てを暴けば、四ノ宮のビルの管理責任が再び問われるという、皮肉な話である。


 オキは地獄の底から大きなため息をついた。
 そこまで彼も察したのだろう。磯村に渡すかどうかの話で呼び出されたことを思い出してか、ソファに仰け反って奇声を上げてくる。

「やっとわかったぞ。四ノ宮楓は、お前が調べつくしてどうするかを待ってるんだ。原川幸生のデータをお前に調べさせたのも、その結果が出ることを予想してたんじゃないのか?その上でお前は必ずビルのカメラに侵入する。それは二度目の侵入で、四ノ宮楓は完全にお前がやったんだと確信するだろう。前の布留川議員と三ツ橋興業の癒着問題の写真が、お前の仕業だったと確認するために」
 レイもそう思っている。

 四ノ宮は原川幸生が殺されたことに、何の感情も持っていなかった。データの中身にも興味がない。けれど、わざわざレイにデータの解読を頼んできたのだ。
 一応それを調べて、データ解読はできなかったかもしれないが、だからと言ってレイを選ぶ理由がなかった。
 それがこれだ。

 四ノ宮は、原川幸生が誰と会っていたか当然知っていたのだろう。
 六本木のビルで会うために、原川幸生にカードキーを渡していたくらいだ。何をしていたかも知っているはずである。
 その上でデータをレイに調べさせる。
 レイがデータを調べるだけに留まらないと、想定していたのだろう。
 原川幸生のタブレットを持っていたことも知っている。
 そうすれば必ず原川幸生が何をしていたか調べると、確信していたのかもしれない。
 まんまとそれにのってレイは調べ上げた。
 四ノ宮の所有するビルのセキュリティに再び侵入し、その証拠を得た。
 代わりに、布留川議員と三ツ橋興業の癒着の証拠となったカメラに侵入したことも、レイの仕業だったと裏付けることになってしまうわけである。

 蛇のごとく粘着質だ。
 セキュリティ管理責任を問われ、顧客を失ったことに、未だにいたくお怒りらしい。
 確信を得るために、わざわざこんな面倒なことに巻き込むのだから。

「性格悪いよなー。ほんっと性格悪い。それで相談なんだけど、どうしよ」
「どうしよ、じゃない。元々お前には関係のない事件だろ。上から圧力もかかってる話だ。磯村にデータを渡してもどうせ潰される。証拠を出すだけお前が損をする。四ノ宮楓はお前がセキュリティを破った事実がほしいだけだ」
「こんなに頑張ったのにー!」
 寝る間も惜しんで、原川幸生のアプリをクリアーしたのに、寝不足でしばらく和歌なんて見たくなくなるほど頑張ったのにだ。
 間違ってもセキュリティに入り込んだことを悔やんでいない。あれほど楽しいゲームは他にないため。

「どの道お前が調べたことを公表しても、原川幸生が誰に殺されたか証拠はないんだ。磯村も調べられないだろ」
「そーこーねー」
 そこで取り出す白のワゴン。広げた写真は加工され、運転席とその後ろにいる男の顔はしっかりと見えている。
 ボケた写真でも、窓ガラスが黒塗りでも、そこはそれ技術の進歩というやつである。とある施設に入り込んで、無断で使用させてもらった。
「顔の分析は出来上がってます。はい。ついでに名前もな!別の件で留置所にぶち込んでやるくらいはできるんだぜ。親分ができないけどな!」
「お前、顔に出さないで、相当怒ってんのな…」
「あったりまえじゃん!四ノ宮楓に使われてこんな調べさせられて!一人でもブタ箱入れなきゃ俺が報われないわ!原川幸生が死んだのは自業自得だけど、殺した犯人もぶちこんでやらなきゃ気が済まないっつの!ついでに四ノ宮楓もぶちこみてえーっ!」
 がんがん机を叩いてレイは足までバタつかせた。オキはよしよしと頭を撫でてくれる。細い指が髪に絡んでそれをするりとすいた。

「枝毛あるかな」
「あるかもな。お前染めてるから」
 染めてはいるが、そこまでの色ではない。ほんのりこげ茶。黒縁眼鏡にかかる前髪が、色が違うと思える程度の。
 髪を染めたのはただの興味本位だ。これで印象が変わるのか試しにやってみただけの。
 やってみて、髪の色はかなり人の表情に関わってくるのだと気付いた。
 清純さ、明朗さ、愚鈍さ、殺伐さ、ありとあらゆる色で人の雰囲気も変わってくる。
 だから濃いこげ茶で十分だった。
 黒縁眼鏡はマストアイテム。額を出すことなく、もっさりした前髪で自分の顔を隠してくれる。

「四ノ宮楓むかつくなー。ほんと腹立つなー。何とかしたいなー」
 めためたに。
 あの自信満々高飛車な天狗鼻をへし折ってやりたい。
 そうでなければ腹の虫がおさまらない。
「あの男は手強いな。カノも手を出すなって言ってたぞ。返り討ちにあう」
 そう言われても納得したくない。面倒がわかっているだけに、何とかそこをクリアーして、返り討ちの返り討ちにしてやりたい。してやったりと鼻高々になりたい。
 そんな望みも虚しく、四ノ宮に関われば何倍にも面倒が返ってくることは想像がついた。今回の件でよく理解した。

 今後関わることのない人間だと、強く祈るしかない。


 次からカメラに侵入する場合、四ノ宮の持ち物か確認するのを忘れないようにしなければ。
 とは言えやはり今回の仕返しをしたい。こちらは全く何も悪いことをしていない。セキュリティに入り込んだことはともかく。

「四ノ宮楓のスケジュールめっさ調べてやるわ」
「…やめろっつの…」
 あれから数日、四ノ宮の部下がマンションをうろついても、本人を見ることはなかった。
 引越しをしたいがやつらがいるのでそれは難しく、これからどうしようかと算段している。
 別にあの部屋にいないでも作業はできるので問題ないが、いつまでも物を移動できないのは困りものだ。そして引越しに、四ノ宮の部下がついてきても困る。
 その辺りはオキに任せるつもりなのだが。
 
「四ノ宮楓は、浅羽議員の専任弁護士になったって?」
 オキはキーボードを叩きながら言った。四ノ宮のプロフィールは既に変更されている。
「そうな」
 弁護士様は優雅にパーティで悠々堂々、ワイン片手に社交界でそつなく会話をこなす。
 長い足で闊歩して、どこの要人のボディガードがいるかと見間違う風体をして。
 あの男に取り巻くものは何でも餌に変わるのか、食虫植物かのごとく触れればぱっくりと口を開けられ喰われていく。
 次の獲物は浅羽議員か、それとも寄生のための足掛かりか。どちらにせよ四ノ宮の利益に基づくものとなるのだろう。

 警戒する意味もない。やつはもう入り込んだ。
「あの男が専任弁護士になれば、浅羽議員は弱味を握られるだろうな」
「アホなんだろ。四ノ宮楓がどれだけなのか知らずに中に入れて、これから蝕まれていくんだわ。さてと、俺はもう行きます」
「四ノ宮楓にちょっかい出すなよ?」
 ちょっかいくらいを出せる相手ならば出している。そのちょっかいで大きな反撃を受けるのならばその手も止まった。
 オキの言葉に後ろ手だけ振って、レイは店を出た。

 やられっぱなしは性に合わない。今回は痛み分けか。いや、労力を強いられた分、自分の負けだ。
 しかし、それをそのままにする気はない。人を手玉にとってくれた時間分は払ってもらわなければならない。
 雑踏の中に紛れて、尾行がないか見るついでに、壁に貼られていたポスターをちらりと目に入れた。
 花火大会は明日だ。

 きっと今日の夜みたいに蒸し暑く、肌に絡む空気の熱が不快に感じる日になるだろう。
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