上 下
7 / 27

7

しおりを挟む
 モニターの説明をスマートフォンで撮って保存する。それを横目で見ながらノートに書きとると、隣の男が、えらいね、と口パクで言葉をかけてきた。
 写真を撮って記憶できるのか、何のために授業を受けているのか、小さい笑顔を見せて浅羽澪は自分のノートに集中することにした。
 カメラのシャッター音が耳障りだ。写真を撮るくらいならばムービーを撮ってくれた方が邪魔にならない。
 教授も気にせず授業を続けていく。シャッター音などお構いなしだ。マイクを使っていながら小声で話す辺り、わざとにしか思えない。
 真面目に授業を受けてもらいたいのならば、スマートフォンの使用を禁止すればいいものを、その言葉は出さずに、嫌がらせのようにホワイトボードの文字をさっさと消してしまう。ノートに書いているこっちの身にもなってほしい。

 つまらない教授の授業を取ってしまったものだと、心の中でため息をついた。
 鐘が鳴り、それと同時に今書いた文字を消してしまう。やはりわざとだなとうんざりしながらノートをしまって、隣の男の話を右から左へと聞いた。

「でさー、今度の選挙、俺びっくりしちゃった。みおちゃんのお父さん出てんだね。俺、区域違うから投票できないんだけどー、やっぱみおちゃん、お父さんに入れんの?」
「まだ決めてないの。候補者の意見を読んでいないから、読んでから考えるつもり」
「えー、まじで?お父さんに入れないの?ちゃんとそーゆーのチェックするんだー。偉いねー」
 あはは。なんて乾いた笑いをして、澪は友人たちが集まっていたテラスに仕方なく入り込む。
「お父さんにさー、票入れてくれとか言われないの?」
「父にはあまり会わないから」
「そうなの?やっぱ忙しいんだ」
 とりあえず笑って返す。そうだね、と肯定しておいて、澪は空いていた席に座った。
「みおのお父さんの話ー?私、駅で見たよ。演説してた。後ろにさー、ごっついおっさんとかいるの。あれってやっぱSPなの?」
「多分、そうだと思うけれど。あまりよく知らないの」

 いつまで父親の話をするのだろう。席に座っていた女まで会話に入って、それが終わりそうにない。
 澪の父親の演説から容姿の話になって、人の父親をつかまえてイケメンだの渋いだの、身内からすれば気持ちの悪い話に変わっていた。
 澪の父親は若くして議員になったため、今では古株の人間である。地元から出馬するわけだが、ほとんど家に帰ってこない分際で、何が地元なのか問いたいところだ。
「みおのお母さんなんて、毎朝見てるよ」
「何で毎朝?」
「朝ドラ見てんだー」
 話はいつの間にか母親になっていた。朝からあの顔を見るなんてうんざりする。よくあんな物を毎日見ているものだと逆に感心してしまった。
 母親は女優で、これもまたまず家に帰ってこない。

 澪は昔から一人で家にいるわけだが、昔はお手伝いさんがいた。今ではさすがに自分でできるとお断りをしてから、父親は家にカメラを置くようになった。
 主に澪が真面目に家に帰ってくるかをチェックするものである。
 お陰で必ず家には帰らなければならないし、間違っても日を跨いで外に出ることなどできない。
 それはこの大学生活では、誘いを断るいい理由になっているので文句は言わないが。
「みお、今日サークル行くの?」
「うん、時間あるから、少しだけ」
「お茶かー。何かお嬢様って感じだよね」
「お嬢様なんだってー」
 笑いの中に嫌味が入っているのはわかっている。
 この学校にいるのも、いい服を着て好きなことができるのも、親のおかげだとわかっているため、そんな笑いは気にならなかった。
 それはお前たちも同じだろうとは思うが、彼らにそれを言っても話が通じないので、言い返す気にもならない。

 茶の作法を習ったのは、小学生の頃だ。
 習い事は幾つも掛け持ちをさせられていたが、高校受験前に全てをやめた。
 高校はボストンに留学し、戻ってきてから再び始めるような、生活に役立つ習い事はしていなかったからだ。
 茶のサークルに入ったのは、とりまく人の種類が違うことと、それなり精神を落ち着かせられる場ができるからである。
 慣れた手つきで袱紗に触れ、窯から湯を注ぐ。その音だけが小さな部屋に響くと、心が落ち着くのを感じた。


「浅羽さんは、夏休み予定決まってるの?」
 作法を終えた後軽く話すのは、遊びサークル程度の活動だからだが、嫌な時間ではなかった。
 のんびりとした女の子が三人と、少しだけ雰囲気の違う男が一人で、この空間以外、外へ会話が漏れないからかもしれない。
 女の子三人は、夏休みにどこかのイベントに行くのだと目を輝かせて言った。
 その用意が忙しいらしく、今日のサークルも来るのに迷ったらしい。
 しかし、夏休み前の最後のサークルなので、真面目に来たそうだ。

「ボストンに帰るって聞いたけど?」
 男が言った。
 眼鏡をかけて、気弱そうで、澪が付き合う他の男たちとはタイプの違う男だが、そこからその情報を得ることができる男である。
 この男は少しだけ警戒はしていた。
 だが、話すうちに外に出さないとわかったので、今はそこまで気にはしていない。
「ボストンに帰りたいなって、話しただけだよ。行くのなら夏休み中がいいなって」
「夏休み中なら、予定は組めないもんな」
 しっかりと意図は組んでいると、視線を合わせずに言った。女の子三人はよくわかっていないと、ボストンいいなー、などと感想を口にする。
「大葉君はどっか行くのー?」
「俺は田舎くらい。あとはバイトかな」
「バイトってホテルのレストランでしょ?」
「忙しいけど面白いよ。芸能人とか政治家とかも来るし。そこそこ知ってる人間が来ると、テンション上がる」
 大葉はレストランのボーイをやっているわけだが、名高いホテルのレストランにいるため客層が違うらしい。
 前に澪の父親にも会ったと言っていたので、そんな種類の人間が多く来るレストランのようだ。
 詳しくは聞いていないが、ホテルの場所を耳にした時、ああ、あのホテルかくらいには知っている所だった。

「この時期だと、政治家がやたらパーティやってるから、バイトも忙しいけどね。前に捕まった布留川代議士も見たよ。捕まる前だったけど」
「ニュースで見たよ。どっかの会社と談合?」
「三ツ橋興業でしょ?あれで株下がって、お父さん大損したって言ってた。内部告発のやつだよね」
「最近そういうニュース多いねー」
 法学部らしいような話になりそうでそこ止まりの話は、チャイムが鳴ったことで終わりになった。お茶サークルとは名ばかりの、井戸端サークルである。
 和室から出ると、帰るだけの澪はそのまま門へと向かった。この時はいつも五人で帰るのが常だ。

 大葉と並んで歩むと、先ほどの話を続けた。
「大葉君、うちの父を見たのも、その布留川代議士がいたパーティだったの?」
「どうだったかな。パーティって多くて。何で?」
「父もそういうのやってそうって、思って」
「談合?娘が言う話じゃないよ」
「そうかな?」
 それで父親が捕まれば、マスコミがこぞってあの家に来るのかと想像する。
 家には自分しかいないので、対処するのが自分になると思うと、面倒でしかないのだが。
「布留川代議士は、私もお会いしたことがあって、気の優しい方だと思ったんだけど」
「政治家なんてみんないい顔しいだよ。って政治家の娘に言うのもあれだけど」
「政治家の娘が言うのもあれだけど、そうだろうなって思ってる」
 二人は顔を見合わせて笑った。

 この男と話すのは嫌いではない。悟る力が早いので会話がしやすい。
 引きこもってパソコンとにらめっこをしていそうな雰囲気の割に、ホテルのボーイを好んでやっている時点でインドア派ではなかった。
 交友関係も謎で、派手な輩と気安く話しながら、インドア派とも仲がいい。
 概ね誰にでも好かれやすいタイプなのだろう。話していて嫌味がないせいだろうか。
 服装も古いわけでも派手なわけでもなく、それなりに整って清潔感がある。
 物言いははっきりしているわけだが、何が暗そうな雰囲気を醸し出しているかと言うと、多分髪型だ。顔を隠すかのように、太い黒縁眼鏡に前髪が乗っていた。
 髪を上げて眼鏡を取ればそこそこいい顔だと思うのだが、それを出す気はないようである。
 謎な存在だ。

 だからこそ一度警戒したのだが。
「ホテルのレストランなんて興味ないだろうけど、これよかったらどうぞ。食べ放題やってるから宣伝」
 渡された五%オフのチケットは、知ったホテルのものだった。予想通り大葉が働いているホテルは、自分が想像していたホテルと同じである。
「一階のビュッフェ?フルーツ系ケーキの食べ放題って多いよね。もらっていいの?」
「何枚も持ってるんだ。ネットでもホームページからダウンロードできるやつだから」
「ありがとう。九月までなら行けるかも」
「夏休みには行けない?」
 それをどういう意味で言っているのかわからなかった。
 けれど、どちらにしても行かない。
「ボストンには行くつもり」
 その答えだけで十分だと、大葉はその話をやめた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました

やみなべ
恋愛
<最終話まで執筆済。毎日1話更新。完結保障有>  フランクフルト王国の辺境伯令嬢アーデルは王家からほぼ選択肢のない一方的な命令でクズな王太子デルフリと婚約を結ばされた。  アーデル自身は様々な政治的背景を理解した上で政略結婚を受け入れるも、クズは可愛げのないアーデルではなく天真爛漫な義妹のクラーラを溺愛する。  貴族令嬢達も田舎娘が無理やり王太子妃の座を奪い取ったと勘違いし、事あるごとにアーデルを侮辱。いつしか社交界でアーデルは『悪役令嬢』と称され、義姉から虐げられるクラーラこそが王太子妃に相応しいっとささやかれ始める。  そんな四面楚歌な中でアーデルはパーティー会場内でクズから冤罪の後に婚約破棄宣言。義妹に全てを奪われるという、味方が誰一人居ない幸薄い悪役令嬢系ヒロインの悲劇っと思いきや……  蓋を開ければ、超人のようなつよつよヒロインがお義姉ちゃん大好きっ子な義妹を筆頭とした愉快な仲間達と共にクズ達をぺんぺん草一本生えないぐらい徹底的に叩き潰す蹂躙劇だった。  もっとも、現実は小説より奇とはよく言ったもの。 「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」 「…………はぁ?」  断罪劇直前にアーデル陣営であったはずのクラーラが突如行方をくらますという、ヒロインの予想外な展開ばかりが続いたせいで結果論での蹂躙劇だったのである。  義妹はなぜ消えたのか……?  ヒロインは無事にクズ王太子達をざまぁできるのか……?  義妹の隠された真実を知ったクズが取った選択肢は……?  そして、不穏なタグだらけなざまぁの正体とは……?  そんなお話となる予定です。  残虐描写もそれなりにある上、クズの末路は『ざまぁ』なんて言葉では済まない『ざまぁを超えるざまぁ』というか……  これ以上のひどい目ってないのではと思うぐらいの『限界突破に挑戦したざまぁ』という『稀にみる酷いざまぁ』な展開となっているので、そういうのが苦手な方はご注意ください。  逆に三度の飯よりざまぁ劇が大好きなドS読者様なら……  多分、期待に添えれる……かも? ※ このお話は『いつか桜の木の下で』の約120年後の隣国が舞台です。向こうを読んでればにやりと察せられる程度の繋がりしか持たせてないので、これ単体でも十分楽しめる内容にしてます。

平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。

なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。 そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。 そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。 クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

らぶさばいばー

たみえ
恋愛
 私、シオン・ノヴァ=デルカンダシア辺境伯令嬢は日本からの転生者である。  そして転生した先は魔法も使えて妖精や精霊、神様さえ身近で当たり前のファンタジー世界。アラフォー目前で亡くなったとは思えないほど、それはもう大人気なく狂喜乱舞した。  ――だがちょっと待ってほしい。よくよく調べれば何処かで聞いたような歴史、国、人名。  ……もしかしてここ、『らぶさばいばー』の世界と似てない?  どうやら、寂しい独身貴族を貫いた前世でどハマりした学園系乙女ゲームの世界へ転生してしまったらしい、が――マズイ。非常にマズイ。  この世界は確か、攻略対象全員が理不尽級なヤンデレだったはず……あ、なんだ。よく考えたら私モブだから大丈夫だったわ。  この物語は、前世でプレイしていた乙女ゲーム世界へ転生し、無視しようとしてもなんやかんやで自ら関わって行ってしまう主人公が、最終的に世界を救うまでの苦労譚である。 ※他の作品優先なので更新頻度は遅くなります。 ※こっちのほうが感想貰いやすいかなと載っけてますので、たまに最初の誤字脱字のまま放置されてることもしばしば。 ※修正改稿なし。ほぼ原文ママ。

断頭台のロクサーナ

さくたろう
恋愛
 大陸の王国で巻き起こる、革命に至る物語。  ロクサーナことロキシーはある日突然、別の世界の自分を夢見た。自分が首を切られて死んだ女王だという夢を。  双子と信じていた妹のモニカこそが王家の血を引いているというのに、それに嫉妬し、彼女を憎み抜いて、出自を偽り女王となった。だが結局は愛する婚約者も王位も全て奪われ、呪いの言葉を吐きながら死んだ史上最低の悪女、ロクサーナこそが、自分なのだという忌まわしい記憶だ。  ロクサーナが死ぬのは17歳のはず。ロキシーは12歳。時間が戻ったとしか思えない。だが以前の世界と違うのは、ロキシーはすでに生まれた家を追い出されていて、厳しくも優しい養母と、慕ってくれる義理の弟がいることだ。  おまけに以前の世界では一方的に恋をして無理矢理婚約を結び、憎まれていたはずの婚約者は妙に優しい。  恋で人生狂ったかつての苦い思い出があるから、二度と恋なんてしたくないのに、怒涛の恋愛に巻き込まれていく。 ※ 以前公開していた「今世こそ負けませんわ!」という物語の再投稿です。主人公二人の名前を変えていますが、内容は概ね同じになっています。 ※小説家になろう様でも公開しています。

一国の姫として第二の生を受けたけど兄王様が暴君で困る

下菊みこと
恋愛
病気で短い人生に幕を下ろした天道凛音。なんの因果か、記憶を持ったまま異世界で第二の生を受ける。どうやら自分は大国の姫として生まれたらしい。しかし、その直後血飛沫と悲鳴が全てを塗り潰す。…腹違いの兄が、第一王子で王太子の兄と、父王と、正妃である母、姉姫二人を殺し回ったのだ。どうやら他の王族も同様に殺し回ったらしい。そうして無理矢理王位についた兄は、しかし私のことは殺さなかった。「気紛れだ。命は助けてやるよ。…その代わり、俺を楽しませろ」そう一言言って、優しく頭を撫でた後、どこかに行ってしまう兄。多分即位を宣言するのだろう。うわぁ。修羅場じゃん。ということで、生き残るために兄に媚を売りたいと思います。え?復讐?王位継承?なにそれおいしいの?私は兄王様に溺愛されてどこかいいところに嫁いで幸せになるのよ!目指せ兄王様攻略!小説家になろう様でも掲載されていただいております。

幸せを掴む勇気

恋愛
これはどん底の二人が、幸せを掴む物語 アシルス帝国の若き公爵アルセニー・クジーミチ・ユスポフは、皇帝を巻き込んだとある事故の責任を負う形で爵位を失った。 辛うじてユスポフ公爵家が保有する子爵位を名乗ることだけは許されたが、事故のせいでアルセニーは実質的に社交界を追放されてしまった。 それ以降、アルセニーは帝都郊外の小さな屋敷に引きこもって生活をしていた。 そんなある日、アルセニーの弟でユスポフ公爵家の当主となったマトフェイが現れる。 アルセニーとマトフェイはあまり仲が良くなかった。 マトフェイからの嫌がらせで、アルセニーは自殺未遂をしたという醜聞のあるキセリョフ伯爵家の令嬢タチアナ・ミローノヴナ・キセリョヴァと無理矢理結婚させられてしまう。 アルセニーとタチアナ。ボロボロな二人は不本意な形で結婚させられ、生活を共にすることになる。 しかし次第に二人は心を通わせ、幸せを掴む為に前を向いて行動を始めるのであった。 心に傷を負ったボロボロな二人は、周囲の目や邪魔立てしてくる者達に立ち向かう勇気を持ち、幸せを掴んでいく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 ※東欧、東スラヴ系の名前を採用しているので男女で苗字が違います。誤字ではありません。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

処理中です...