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第四話

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まさしはその後、効率よくスライムを倒し続け、次第に自分のスキルレベルを高めていった。捕獲したスライムを一つ一つ丁寧に処理して、時には新たな魔物にも出会い、少しずつだが確実に成長していった。

ある日、まさしは森を歩きながら思った。

「スライムばかり倒していても、そろそろ面白くないな…そろそろ、他の魔物に挑戦してみるか。」

今までずっとスライムを相手にしていたが、まさしはその先にもっと強い魔物がいることを知っていた。スキル「3Dプリント」がレベルアップした今、そろそろそれを活かして、家一軒ぐらい作れるくらいの能力を試してみてもいい頃合いだろう。

「まずは、スライム以外の魔物を倒してみよう。」

まさしは早速、森を深く進むことにした。少し進んだところで、異常な音が聞こえた。振り返ると、茂みの中から何かが動いている。

「ん?あれは…」

目を凝らすと、そこには見慣れない魔物が現れた。ゴブリンだ。

「おお、ゴブリンか!よし、こいつを倒してみよう。」

ゴブリンは身長が低く、青白い肌を持ち、鋭い牙と爪を持つ恐ろしい魔物だった。武器を持たず、素手で戦うことが多いが、その力は侮れない。まさしはそのゴブリンに向かって、ゆっくりと近づいた。

「まずは、あの網で捕まえよう。」

まさしは手をかざし、すぐに網を作り出した。ゴブリンが気づく前に、ネットをその体にかけて、一気に捕らえる。スライムのように柔らかいわけではないが、ゴブリンも簡単には動けなくなる。

「よし、これで動きが止まった!」

ゴブリンは必死に抵抗したが、まさしの作った網に絡みつかれて身動きが取れなくなっていた。まさしはそれを見て、冷静に次の手を打つことにした。

「捕まえたから、あとは…」

まさしは手をかざして、ゴブリンを確実に仕留めるための道具を作り出す。それは、先ほどよりも強力なトラップのようなものだ。ゴブリンを倒すための一撃必殺の武器を作るため、スキルをフル活用して形にした。

「これで、終わりだ!」

ゴブリンが絡みついた網の中で暴れるが、まさしはその隙をついて新たに作り出した武器でゴブリンに決定的な一撃を加えた。ゴブリンはついに倒れる。倒したゴブリンを見て、まさしは一息ついた。

「うーん、思ったよりも大変だったな。」

しかし、その達成感は大きい。これでスライムだけでなく、他の魔物にも対処できるようになったことを実感できたからだ。

「スキルレベルアップ!レベル7に到達!」

その瞬間、まさしのスキル「3Dプリント」のレベルが一気に上がった。レベルアップ通知が響くと同時に、彼はその成長を感じ取った。

「これで、いよいよ本格的に大きなものが作れるようになるか!」

まさしは興奮を抑えきれず、思わず笑みを浮かべた。レベル7に到達したことで、彼はついに「家」を作るための準備が整ったのだ。

次の日、まさしは決意を固め、家を建てるための材料を集めることにした。木材や石材、土などを拾い集め、スキル「3Dプリント」を使って家の構造を組み立てていく。

「まずは、基礎を作る。これでレベルアップに繋がるはずだ。」

手をかざすと、空間から木材や石材が次々と現れる。これまでの小さな道具と違って、今度は大きなものだ。まさしは、何度も手をかざしながら、家の土台を作り上げていく。

「よし、基礎ができた。次は壁だ。」

壁を作り、屋根を組み立て、家全体が徐々に形になっていく。まさしの手のひらから次々と形を成す素材が流れ出て、あっという間に家一軒が完成しそうになった。

「できた!これで、住む場所が確保できる!」

家の内部も整え、最小限の家具を作ってみた。椅子やテーブル、ベッドを作り、家の中は思った以上に快適になった。スライムやゴブリンとの戦闘が続く中、ようやく自分の居場所ができたことに、まさしは大きな満足感を感じていた。

「スキルレベル9に到達!家一軒分のものを作れるようになった!」

スキルのレベルが9に達したことを確認し、まさしは心の中で誇らしさを感じた。これで、基本的な生活ができるようになっただけでなく、次はもっと大きなものを作れるようになるだろう。

「ここからは、村を作っていくことになるな。」

まさしは、家を作り上げた達成感に浸りながらも、これからの冒険がさらに楽しみになった。スキル「3Dプリント」を使いこなし、村を築き上げる日も遠くない。彼は、確信を持って新たな一歩を踏み出した。

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