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24話

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村の防衛計画が進む中、レオンはアイリスの様子に違和感を覚える。いつもは真っ直ぐに自分を見つめる彼女が、どこか思い詰めたような表情を浮かべていたからだ。レオンは、アイリスが何か隠しているのではないかと考え、彼女に直接問いただす決意をする。

夜の問いかけ

その夜、レオンはアイリスを屋敷の庭に呼び出した。二人で満天の星空を見上げながら、レオンが口を開く。

レオン:
「アイリス、最近ずっと考え込んでいるようだけど、何かあったのか?」

アイリスは驚いたようにレオンを見るが、すぐに視線をそらした。

アイリス:
「…何でもないわ。ただ、少し疲れているだけ。」

レオン:
「嘘をつくな。俺にはわかる。何か抱え込んでいるんだろう?」

アイリスはしばらく沈黙していたが、やがて静かに口を開いた。

アイリス:
「…実は、私の過去に関係があるの。」

アイリスの告白

アイリスはゆっくりと語り始めた。

アイリス:
「私は昔、王都で働いていたことがあるの。貴族たちの家でメイドとしてね。その時、私はある貴族に目をつけられて…断ったことで、家族を危険な目に遭わせてしまったの。」

レオンの表情が険しくなる。

レオン:
「誰だ、その貴族は?」

アイリス:
「名前はわからない。でも、その人の影響で、私の家族は家を追われ、離れ離れになったの。」

レオンは拳を握りしめた。

レオン:
「そんなことがあったのか…。俺がもっと早く君を守っていれば…。」

アイリスは首を振る。

アイリス:
「違うわ。あなたは何も悪くない。でも、今の状況を見ていると、その貴族が再び私たちに危害を加えようとしている気がするの。」

誓い

レオンはアイリスの手を取ると、真剣な目で彼女を見つめた。

レオン:
「アイリス、安心しろ。俺は君を守ると誓った。どんな貴族だろうと、俺たちの幸せを壊させはしない。」

アイリスの目に涙が浮かぶ。

アイリス:
「レオン…。ありがとう。本当に、ありがとう…。」

二人はしっかりと抱き合い、その絆を再確認する。

新たな決意

翌日、レオンは仲間たちを集め、アイリスの話を共有した。

レオン:
「アイリスの過去に関係する貴族が、俺たちの村に危害を加える可能性がある。これからは、防衛だけでなく、その相手を突き止める必要がある。」

エドワード:
「つまり、攻勢に出るってことだな。」

ルーファス:
「そいつはいいな!受け身ばかりじゃつまらねえ。」

仲間たちはすぐに賛同し、村全体で新たな対策を進めることになった。

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