女神様の聖女ちゃん

Kuma68230

文字の大きさ
上 下
1 / 9

第一話

しおりを挟む
私は、生前の記憶がある。何か特別なことがあるわけでもない平凡な人生であった。死因は、ビルからの転落であった。

あの日は、雨の降っている日だった。大学を卒業後、就職を機に一人暮らしを始め半年経ったが、未だ一人暮らしには慣れていなかった。そんな時に、火災報知器が鳴った。早朝だった、重いまぶた、憂鬱な体に鞭を打って起こした。一人暮らしを始めたばかりである事、初めて聞く火災報知器のアラーム音に、そんな状況で怯えながらも現状確認のためにベランダに出た。ベランダから体を乗り出し火災の火元を探していたその時、体は浮遊感に包まれた。そこから先の記憶はない。とこのように前世は幕を閉じた。

さて、今世では前世と変わらない世界観であるにも関わらずステータスというものが存在する。見えているのは私だけのようであった、それは両親や幼稚園での他の子の様子や先生の態度などが、ステータスを確認している様子はなく、魔法など特別な力と呼べるものがなかった前世と同じだから他人には見えていないと推測した。生まれてしばらくした頃、ステータスがあることに気づいた私はテンションが上がり、魔力チートができるなどと考えていた。

実際には、ステータスの画面に魔力という表示はあるが、そこに表示される数字は0
絶望した、しかし私に魔力がないというわけではなくこの世界に魔力というものが存在しないのだろうと考えている。それは、魔法と呼ばれるものを転生後みたことがないからである。ここまでが私のみてきた転生後の世界について簡単にまとめたものになる。因みに今のステータスはこんな感じである。

名前 綾地良平
年齢 3歳
レベル 1
HP 10
MP 0
力 1
知力 1
身の守り 1
素早さ 1
魔力 0

Skill
なし



ところで、ステータスから分かるかもしれないが今世の私の名前は綾地良平という。家族構成は、映像関係の仕事についている父、専業主婦の母がいる。母の名前はさやか、父の名前は修二という。母は、100人いれば全員が美女と言うだろう容貌をしているが、父は平凡である。どうやって父は母のことを仕留めたんだ?というのは疑問である。私は母親似で可愛らしい顔をしているらしい。母の小さい頃にそっくりだそうだ。一人っ子である私は小さい頃から甘やかされて過ごしてきた。

私が甘えたり、あれが欲しいとおねだりしたら大体なんでも買ってもらたり、願いを叶えてもらったりすることができた。そんなステータスが見える私は、ステータスを上げるため5歳の頃から剣道場に通えるようにと両親に剣道やりたい!ということを事あるごとに小さい頃からアピールしてきた。そんなアピールが効いてか、5歳になった頃から近くの剣道場に通わせてもらえることになった。もちろんステータスを上げるためというのが1番な理由ではあるが、戦う技術を身につけるためでもあった。ステータスがあると認識してから私は必要になるから見えると信じているのだ。

また、ステータスには知力という項目もあるため、3歳の頃から勉強したいと思い、勉強をする理由付けのため英語のアニメを見て意味がわかるようになりたい的なことを言い、英語の勉強を始め、それを機に勉強に興味を持ったことにしてさまざまな勉強にも励んでいる。

自己研鑽に励む私を心配して両親が、親戚の子やお隣に住む私と同年齢の女の子や男の子と会う機会を設けてくれたが、精神年齢が大人な私には、一緒に遊ぶことなどしんどく、母親に「ママ帰りたい」といって泣き喚いた。精神年齢大人である私が泣いて恥ずかしくないのかと聞かれれば恥ずかしいが、そんなことよりもステータスを1でもあげたかった。

そんな事があってからは両親も、無理に誰かと遊ぶようにとは言うことはなくなりはしたが、心配しているようではあった。申し訳なさはあったが、今仲良くなったとしてもどうせ関係が続く可能性は、数パーセントだから、別に良いかと割り切った。

こんな感じに転生後、自由になってからは自己研鑽に励み続けている。5歳になってから剣道を始めた私は、全国剣道大会8歳にして小学生の部門で優勝した。当時若干8歳で優勝したことにより、雑誌や新聞にも掲載されたりした。

当時の私は小学生であるから、当然に小学校に通っていたのだが、学校の勉強はつまらなく、自分のしたい勉強を授業中していた。初めの頃は教員も色々と口を出してきたがしばらくしたら口を出してくることは無くなった。学校での人間関係だが周りとの関係も面倒臭かったので、誰と仲良くなることもなく、一人でいた。誰も私に興味を持つことはなかっただろう。

さて、剣道の話に戻ろう。剣道の全国大会で優勝した私は、より実践的に武術を学ぶため古武術の道場に通うことにした。古武術といえどもその源流が古武術にあるだけで、最新の技術なども取り入れた、実戦に重きを置いた流派であった。そこでの訓練は厳しく、辛いことも多くあったが、ステータスが見えることで、自身の能力が目に見えて向上しているのを見るのが楽しくてたまらなかったために、努力し続けることができた。

そんな感じで、4年が過ぎて12歳となった。6年生になった私は、担任の先生の勧めもあって受験をすることにした。勉強ができたらある程度のことには目を瞑ってもらえる私立の中学校を選んだ。両親も受験することに賛成してくれ、合格した時には自分のことかのように喜んでくれた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【R18】異世界転生したニート大学生はセックスだらけの日々を送り無双する

ねんごろ
ファンタジー
 ニート大学生の山口英治は、ひょんなことから異世界へと転生する。  人生の意味を失っていた彼は異世界に転生して早々、童貞を喪失する。  それからというもの……英治のもとにはHばかりがやってきて。  異世界で英治はなにを掴むのか!?  おっぱいを掴み、ハートを掴み……  もうやりたい放題の英治の異世界ライフをご覧ください。

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界で賢者になったのだが……

加賀 燈夜
ファンタジー
普通の高校生が通り魔に殺された。 目覚めたところは女神の前! そこで異世界転生を決意する 感想とアドバイス頂ければ幸いです。 絶対返すのでよろしくお願い致します。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。

あずももも
ファンタジー
【護られる系柚希姫なユズちゃん】【姫が男? 寝ぼけてんの?】【あの可愛さで声と話し方は中性的なのが、ぐっとくるよな】【天然でちょうちょすぎる】【ちょうちょ(物理】(視聴者の声より) ◆病気な母のために高校を休学し、バイトを掛け持ちする生活の星野柚希。髪が伸び切るほど忙しいある日、モンスターに襲われている小さな何かを助ける。懐かれたため飼うことにしたが、彼は知らない。それがSクラスモンスター、世界でも数体の目撃例な「ユニコーン」――「清らかな乙女にしか懐かない種族」の幼体だと。 ◆「テイマー」スキルを持っていたと知った彼は、貧乏生活脱出のために一攫千金を目指してダンジョンに潜る。しかし女装した格好のままパーティーを組み、ついでに無自覚で配信していたため後戻りできず、さらにはユニコーンが「男子らしい格好」だと言うことを聞かないと知り、女装したまま配信をすることに。 ◆「ユニコーンに約束された柚希姫」として一躍有名になったり、庭に出現したダンジョンでの生計も企んでみたらとんでもないことになったり、他のレアモンスターに懐かれたり、とんでもないことになったり、女の子たちからも「女子」として「男の娘」として懐かれたりなほのぼの系日常ときどき冒険譚です。 ◆男の娘×ダンジョン配信&掲示板×もふもふです。主人公は元から中性的ですが、ユニコーンのスキルでより男の娘に。あと総受けです。 ◆「ヘッドショットTSハルちゃん」https://kakuyomu.jp/works/16817330662854492372と同時連載・世界観はほぼ同じです。掲示板やコメントのノリも、なにもかも。男の娘とTSっ子なダンジョン配信ものをお楽しみくださいませ。 ◆別サイト様でも連載しています。 ◆ユズちゃんのサンプル画像→https://www.pixiv.net/artworks/116855601

処理中です...