夏の獣

七里田発泡

文字の大きさ
上 下
6 / 11

6話

しおりを挟む
 僕はアンモニア臭が漂う狭い個室トイレの中に押し込められた。青白く弱弱しい照明の明かりが天井で点ついたり消えたりを繰り返している。照明は僕から見てちょうどシュウ兄のちょうど背後にあたる天井に位置していた。シュウ兄は僕から光を遮るようにして歩み寄ってきた。タイル張りの青い壁を背にした僕は、ゆっくりと迫ってくるシュウ兄の影に対して、僕の身体は金縛りにあったように動かない。

 シュウ兄は僕のズボンを一気に脱がすと、小汚い公衆便所の床の上に両膝をついた。神に祈りでも捧げるような姿勢と胡乱げな表情にひどく嫌なものを感じる。

「さっきはしゃぶり損ねちまったからなァ」

 そうポツリと呟くとシュウ兄は僕の股間に顔を埋め、はぁはぁと息を荒げ始めた。野球で鍛えてきたであろう逞しい肩が激しく上下している。浅い呼吸と深い呼吸を何度も反復させ、シュウ兄は僕のパンツに染み込んだ匂いを必死で嗅いでいる。底知れぬ恐怖と気持ち悪さに僕は石のように硬くなるしかなかった。

「汗の匂いがする」

 シュウ兄はパサついた唇でパンツを咥え、太腿のあたりまで一気にずり下げた。僕は目に一杯の涙を溜め込みながら許しを求めた。

「シュウ兄……もういやだ。やめてよ。もう僕のこと許してよ……」

 僕のだらしなく項垂れている僕の性器に顔を摺り付けながらシュウ兄は、

「許すも何も、別にお前は何も悪いとしてないだろ? 何謝ってんの?」

 と興奮しきったような上ずった声のまま答えた。

「じゃあ 、どうしてこんな酷いことをするの?」

「は? 一体これのどこが酷い事なんだよ。 お前だってさっきは、気持ち良く喘いでたじゃねぇか。今更、梯子を外すようなこと口にしやがって」

「ち、違う……あれは」

「あーうっざ。それ以上うだうだ何か言うようだったら、また殴るぞ。 親父たちを待たしてるんだからマジで時間がねえんだよ。お前は黙って俺の口でアンアン喘いでいればいいんだ。悪いようにはしねぇから……絶対、絶対にマジで気持ちよくしてやるから」

 シュン兄は僕のちんこに唇を寄せると、オシッコが出る穴へと舌を伸ばす。くすぐったい感覚に身もだえしていると、シュン兄の両腕が僕の腰に蛇のように絡みついてきた。腰ががっちりと固定されてしまいむず痒い刺激から逃れることができない。シュウ兄の舌先は時には優しく、そして時には激しく、まるで生き物みたいに蠢いて僕の性器を撫で上げてくる。

「ッ――!!」

 思わず漏れ出そうになる声を僕は必死で両手で抑え込んだ。額から滲み出た汗は頬を伝い、床に吸い込まれるようにして落ちていく。













しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...