白の魔女の世界救済譚

月乃彰

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第六章「黒」

第百三十六話 破戒魔獣殲滅作戦Ⅳ 〜主人の吸血鬼と魔女の従者〜

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 『無闇』ライスィツニシルは、闇だった。そしてそこからは腕が二本、現れている。

「あの闇は本体なんでしょうか⋯⋯まあ、試してみればわかることですかね」

 黒髪の執事服を着た男、レイの真っ黒な瞳が光る。すると、その闇は消えこそしなかったが、

「────」

 モスキートーンのような音が、その闇から発された。それは悲鳴のような、苦痛に喘ぐような音であって、レイがもう一度能力を行使すると、またもやそれは喘いだ。

「⋯⋯おっと」

 ライスィツニシルはそれを苛立たしく思ったのか、あるいは命を守るために、黒い拳をレイに振るう。レイはその拳に能力を行使してみたが、拳は消えることがなかったので、後方に跳躍し、回避する。殴られた地面は当然のように砕けた。

「腕は本体。しかしあの闇は本体ではないのですか。⋯⋯効果がありそうですし、何度があれを消してみましょうかね」

 ライスィツニシルは白色の魔法陣を展開する。
 その構成要素から鑑みるに、それは〈歪曲ディストーション〉。第九階級だ。
 レイはその魔法を認識した上でライスィツニシルに接近する。鎌を振りかぶり──発動寸前のその魔法を能力で無にした。
 鎌がライスィツニシルの体を捉え、その身を裂く。血は出ず、代わりに黒い靄のようなものが噴出した。
 
「〈烈風〉」

 鎌を突き刺したまま、戦技を行使すると、ライスィツニシルの肉体を内部から抉る。噴出する黒い靄はより多くなり、ライスィツニシルは苦痛を訴えるように、そしてその原因を排除すべくレイに拳を叩き込む。が、レイは転移し、ライスィツニシルの狙いは外れた。

「────」

 また能力を行使すると、ライスィツニシルはやはり苦痛を感じているようだ。
 
「やれやれ。自慢の耐久力も、こうも一方的に──っ!?」

 ライスィツニシルの闇がそのとき、巨大化し、レイを丸ごと飲み込んだ。
 直径およそ五十メートルの、半球体の封鎖空間。それを闇によって作り出し、レイと外部の関係を断ったのだ。

「⋯⋯それがあなたの本体ですか」

 そこには、少年がいた。十代後半くらいの、まだ幼げのある少年だ。
 真っ黒い衣装に身を包み、真っ黒い髪は男にしては長い。顔立ちは将来美丈夫が約束されたものだ。
 両腕の肘から先と、足は全て真っ黒で、闇を実体化し、そこを構成したようだ。

「────」

 少年は口を開くが、音声はそれが言語として認識しなかった。しかし、レイの頭には、確かに言葉が通じた。
 それは、「こんにちハ、魔人君」と言ったのだ。

「もう君はここから出られなイ。ここで一方的に僕に殺されるからサ!」

 少年──ライスィツニシルは両手を広げ、嗜虐的な笑みを浮かべ、そう熱烈に言い放った。

「ほう」
 
「分かっタ?」

「ええ、分かりましたよ。⋯⋯あなたをここで殺せば良いのでしょう?」

「あっははァ! よく言うヨ。閉じ込められたのはそっちなのニ⋯⋯ねッ!」

 ライスィツニシルは何の策もなく、ただ無闇に突撃してくる。
 的だ。迎撃どころか串刺しにだってできそうなくらい愚かだ。少年の姿を取ったのは、もしや躊躇を誘うためなのではないだろうか。しかし、それはレイには悪手そのものだ。

「死んでください」

 レイはライスィツニシルの体を鎌で突き刺し、地面に叩きつける。そして頭部を踏み付け──頭蓋骨を割る。
 卵の殻みたいに頭蓋骨を砕き、ライスィツニシルは黒い靄になって消失する。
 だが、レイを捕らえる闇は消えなかったし、何より、

「⋯⋯ねぇねェ、死んだと思っタ? ざっんねーン! まだ僕は生きてまース!」

「⋯⋯⋯⋯」

「それにしてモ、君、中々エグい殺し方するねェ~。僕、てっきり躊躇すると思っテ、この姿を取ったのニ」

 ライスィツニシルはわざと、崩壊した顔を形成する。レイはそれを見ても何とも思わなかったが。

「今更私が、人間の子どもを殺すのに躊躇うとでも?」

「あははァ~! そうだねェ! そりゃそうサ! そうであるべきだったんダ! 虚弱で貧弱で無力でゴミみたいな人間の子どもを殺すことに、君みたいなのが良心を痛めるはずがないよねェ~!」

 ライスィツニシルの姿が変わっていく。その変貌していくうちに、レイは目を見開いた。

「だったらサ、これはどウ?」

 ──白髪の少女。真っ白い衣装に、この上ない程の美貌。灰色の瞳がレイを見る。

「────」

「君ハ⋯⋯キミハ、私を殺せるのかナ?」

 レイの主、エストの姿を、ライスィツニシルは取ったのだ。

「あはははははァ! こりゃ良イ! 凄くいイ! 僕ノ⋯⋯私ノ正体を知っていながラ、キミは私のことを殺せないだろうネ! 従者っていつもそうダ! 大切な者が居る奴っていつもそうダ! その者に化けてやれバ、さっきまでの威勢が嘘みたいに消え去るんだからサ!」

 エストの姿をしたライスィツニシルは、恍惚な表情を浮かべて、嘲笑うかのような表情を浮かべて、そう言い放つ。

「そこでキミは『卑怯な』とか言うんでしョ? 知ってる知ってル。皆そうだったもン。でもネ、私はいつもこう言うんダ。『蹂躙に卑怯もクソもなイ』ってネ!」

 ライスィツニシルはレイに歩み寄って、彼の顎を手で掴み、顔を近づける。

「レイ、もう、大丈夫だよ。安心して。すぐ楽にしてあげるから」

 甘く、美しく、透き通るかのような声で、エストはレイにそう言った。
 そう言って、エストは右手でレイの頭を撫でるようにして、闇を──

「──ふざけるなよ、ゴミ虫め」

 ──レイはエストの首を鎌で刈り取った。
 エストは⋯⋯ライスィツニシルは驚愕の表情を浮かべたまま黒い靄となり、消え去って、また現れる。

 マダ、ヤツハ、アノ方ノ、御姿ヲ、トッテ、イル。

 レイの姿が本来のものへと変わる。この、エストの側にいるのには相応しくない、醜い姿に。
 背丈が伸び、髪が長くなり、体色が一気に悪くなった。
 人間のときとは打って変わって、本物の化物の姿となる。

「大概ニシロヨ、薄汚レタ蛆虫。ヨクモ私ニエスト様ヲ殺サセタナ。エスト様ヲ痛メツケサセヨウトシテクレタナ」

 レイの姿が消え、ライスィツニシルの目の前に現れると、首を掴み、闇に叩きつける。
 首を絞めているが、ライスィツニシルは余裕そうだった。

「僕ハ⋯⋯何回殺されてモ⋯⋯死な──」

「黙レ」

 レイの瞳が光る。すると、ライスィツニシルの姿が消え去った。
 レイの能力は生命体には直接干渉できない。しかし、目の前のライスィツニシルにはそれが通用した。即ち、抵抗されていないのであれば兎も角、それは本体ではないということ。能力的に作られた偽物であるということだ。

「言ったでしョ? 僕は何度殺されても死なないっテ。無駄無駄」

「⋯⋯⋯⋯」

 レイは能力を行使すると、ドーム状に広がる闇の一部が消え去った。しかし、すぐにそこは曇る。
 何度も能力を行使すれば脱出はできそうだが、そこまでの時間をライスィツニシルが与えるわけがない。

「⋯⋯ダッタラ、何度デモ殺シテヤル」

 ──それ以降は、最早戦いとは言えなかった。
 ただの一方的な戦い。レイは何度でもライスィツニシルを殺し、多岐にわたる殺害方法を実践した。
 ライスィツニシルは死ぬ度に学習し、レイの強さに一歩ずつ近づいていくが、万歩どころか兆歩あるその距離を埋めるには、あまりにも時間が必要だった。
 三桁を超したあたりからレイは殺害数を数えるのをやめた。その代わり、どのようにしてここから脱出しようか考えていた時だった。

「──ひっ」

 レイが無慈悲にも、復活直前のライスィツニシルに鎌を振り下ろそうとしたとき、ライスィツニシルは怯えたように後ずさった。涙目になっていた。
 姿はエストだった。それが、レイの動きを止めた理由だ。それが偽物であると分かっていても、怯えられると思考が停止する。

「辞めて⋯⋯辞めて⋯⋯レイ」

 鎌を持つ手が震える。

「また私を殺さないで」

 視界が暗くなる。

「許して。痛いよ。怖いよ」

 何を、私はやっている。なぜ、私はエスト様を殺している? どうして? 

 レイは鎌を地面に落とした。

「⋯⋯ありがとう、レイ。⋯⋯大丈夫。私はキミを恨まない。そうするのには理由があったんだよね?」

 レイの姿がいつもの執事の人間の姿になる。

「────」

「安心して。私はキミを許そう。だから⋯⋯」

 エストはレイの首に腕を回し、包容する。主人の体温を、全身で感じられて、レイは思わず、

「死んで──」

 ライスィツニシルエストが魔法を、レイの首を刎ねるために行使する。
 ──だが、

「⋯⋯そんなことだろうと、思っていましたよ」

 その魔法は、『虚飾』になった。

「⋯⋯私もまだまだですね。これではエスト様に叱られてしまいます」

「────」

「あなたのおかげで、少し冷静になれて、そして⋯⋯周りを見てくれていなくて、助かりましたよ」

 レイはライスィツニシルの胴体に鎌を突き刺していた。そしてそこから離れ、闇を触るが、それでは出られない。

「やれやれ、騙されましたよ。先程私が能力を行使したとき、これが消えたのは演技だったとは」

「待テ⋯⋯待て待て待テ。辞めてくレ。お願いダ。死にたくなイ!」

 エストの姿を解き、ライスィツニシルはあの少年の姿になる。そして、命乞いをした。
 醜い。外見的な意味ではなく、内面的な意味で、ライスィツニシルは穢らわしく、愚かで、救いようがない底辺だ。

「『無闇』でしたね。私にエスト様を殺せないとでも? 本物のエスト様の命令であれば、私は本気であの方を殺せます。偽物のあなたに惑わされるわけがないでしょう。姿を真似たくらいで、あの方を再現などできるはずがありません。私の忠誠とはそういうものですから」

 レイは命乞いするライスィツニシルに、無慈悲にそう告げた。

「知っていますか? 闇は、光で消されると。その逆もまた然りですが、この場合、私の光の方が強い。なので、消えるのはあなたの方です」

「待ってテ! レイ!」

「駄目です。⋯⋯相手が悪かったですね、ライスィツニシル。私でなければ簡単に殺せたでしょうに」

 ──『無闇』ライスィツニシルの体が光に包まれ、消え去った。

 ◆◆◆

「⋯⋯最悪」

 セレディナは黒刀を構えて、目の前の相手を見ながらそうこぼした。
 海に住まうイソギンチャク──に類似したピンク色の肉塊。触手の塊と言っても構わない。それがセレディナの相手である。
 『淫乱』ブーズェル。その体から絶え間なく噴出する粘着質のある液体に触れることは、即ち無力化を意味する。

「あれ全部⋯⋯媚薬、そして精子とは」

 先程、セレディナがブーズェルを斬りつけたとき、その液体が手に付着した。そうすると、セレディナは快感を覚えて、また、体がほんの少しだけ熱くなった。
 手に付着した液体はやはりドロドロしており、仄かに海洋生物特有のあの臭さによく似た臭いがする。
 アンデッドは生物を超越した存在であり、三大欲求がない。しかしそれを叶えられない、できないわけではない。
 セレディナは今、性的に興奮しているのだ。

「⋯⋯吸血鬼アンデッドがこうなるなら、生者ならもっと効果があったんだろうか」

 兎にも角にも、あの液体には触れない方が良い。ましてや体内に含むなどあってはならない。皮膚でこれなのだから。

「────」

 セレディナの瞳が赤く光る。すると、持っていた黒刀の刀身が大きくなり、そしてその構成物質も変化する。
 リーチが長くなった黒刀を持ち、ブーズェルに接近。襲い来る触手を掻い潜りながら、そこに黒刀を突き刺す。
 黒刀は簡単にブーズェルの体に突き刺さった──ため、セレディナは黒刀を簡単に手放し、その場から離れる。
 突き刺さった黒刀は瞬時にしてブーズェルに飲み込まれる。もし黒刀を持ったままだと、セレディナも一緒に飲み込まれていたことだろう。
 
「私と同じように、武器が作れないとこれほどまでに相性の悪い敵は居ないな」

 セレディナの瞳がまたもや光る。
 ──セレディナの能力は、対象にとって一番有害となる物質を解析し、作り出すこと。そして、一度でも作ったことのある物質は今後も無制限に作り出すことができる、『毒生成』。
 全ての物質は毒になり得るため、実質的な全ての物質の生成能力でもある。
 今、セレディナが作り出したのは強酸性の物質だ。
 だから、ブーズェルはセレディナの黒刀を飲み込んだことにより、苦痛を味わった。

「美味しいだろう?」

 ブーズェルの体が一部溶けるも、それはまだ動く。破戒魔獣特有の再生力で、毒を無力化したのだろう。しかし、再生は完璧でなく、非常に遅い。何回も黒刀を取り込ませれば、ブーズェルがドロドロに溶けてしまうことは明白だ。
 尤も、知能も高いブーズェルはそんなこと理解しているため、今度もまた、セレディナの黒刀を飲み込もうとはしないだろう。
 だったら、

「もっと味あわせてやる」

 セレディナはブーズェルに、瞬間移動とも思えるスピードで肉薄する。ブーズェルはセレディナのスピードに反応が遅れ、触手が突き刺したのは地面だ。
 無数の淫乱な触手を躱し、セレディナはブーズェルの血管が脈打つ本体を斬りつけると、媚薬と精子ではなく、血が勢い良く流れ、セレディナの衣服を汚した。

「──っう!」

 瞬間、セレディナは追撃を辞め、ブーズェルからまたもや距離を取る。

「はあ⋯⋯はあ⋯⋯んっ⋯⋯」

 セレディナは過呼吸となる。⋯⋯だがそれは、体力を失ったことによるものではない。
 彼女は感じたことのない快楽に溺れ、慰めたくなるほどの性的な欲求を抱いた。
 あの触手に、ブーズェルに犯されたい。体を預けて、快楽の海にどっぷりと浸かりたい。あの血を飲みたい。あの美味しそうで、舌に絡まるくらい濃厚なあれを。
 そんな肉欲が、食欲が、セレディナに生まれた。

「⋯⋯血。血にも媚薬効果があるのか?」

 吸血鬼は、血が大好物だ。無くても生きれないことはないが、血がなくては常に空腹に苛まれ、まともに動けやしなくなる。
 ブーズェルの血には媚薬効果がある。それも表面に流れる液体とは比にならなく、更に吸血鬼であるセレディナには、ブーズェルの血がとてつもなく魅力的に映った。
 セレディナは、思わず衣服に付着した血を舐める。

「──っ」

 美味だ。美味しくて、舌が蕩けそうだ。形容し難いほど上等な血液だ。味わったことのない血だ。もっともっと飲みたい。
 血を体内に取り込んだことで、セレディナの体はより熱くなる。股がほのかに温かくなった。足がガクガクと、生まれたての子鹿みたいに震え、頬は吸血鬼らしからぬほどに紅潮していた。
 立っていられない。
 セレディナは黒刀を地面につきたて、それに寄りかかるようにして座っていた。
 局部に手を伸ばしそうになったのを、直前で気がつく。だが疼きは止まらない。触れば絶頂に達して、正気には戻れなくなるだろう。快楽を覚えてしまえばそこからは何もできなくなるだろう。そんなの、分かりきっている。しかし、分かっていても自制できない。

「──セレディナさん、抵抗しないでください」

 その時、セレディナからあらゆる欲が──消え去った。

「⋯⋯!」

 声のした方を向くと、そこには黒髪に執事服の男──レイが居た。

「⋯⋯大丈夫ですよ。あれ相手なら、そうなるのも仕方ありませんから」

「⋯⋯ああ。ありがとう」

 一人の乙女としては、男に自分の興奮して理性を失いそうな状態を見られたのは物凄く恥ずかしかったが、助けてくれたのは事実。それにレイの性別は、厳密には無性だ。

「レイ、お前の相手はどうした?」

「私とは相性が良かったので、簡単に殺せました」

「え」

 レイの『虚飾の罪』は、有を無に、不可逆的に変える能力だ。生命体への能力の行使は、抵抗されれば不可能ではあるものの、それ以外だと大抵は無にできる。
 つまり、相手がもし、肉体攻撃を仕掛けて来ないなら、レイにとっては最高のカモというわけだ。

「私の鎌、もしくは魔法による攻撃が通用すれば、あとは簡単ですよ。一方的に嬲り殺しにするだけです」

「えぇ⋯⋯」

 レイの直接戦闘力自体は、魔法剣士らしく総合的には高いものの、個別の力はそこまで高くない。だから魔法で撃ち合えばレネにも負けるし、接近戦だとロアに劣る。
 しかし、能力との相性が良い相手──例えば魔法使いなら、遠距離から一方的に魔法で攻撃できるし、接近されても対応できる。

「まあ、雑談もここまでにしましょう。私が無力化できるのはあくまでも欲だけ。あれ相手にはそこまで有効的ではありませんから」

「そうだな。⋯⋯言っておくが、お前の主人には感謝する気はない。お前には感謝するがな」

「私は我が主の意のままに⋯⋯。エスト様が許すのであれば、私はそこに異論はありません。あなたはエスト様と協力関係にある。特に命令されていなければ、私があなたを手助けするのはそれだけが理由ですよ」

 つまり、それに関しては後から処置を決めるというわけだ。エストがそう言ったならば、レイは迷わずセレディナに鎌を向けるだろう。だが少なくとも今は、レイはセレディナの味方だ。

「お前のような魔人を配下に加えられなくて残念だ」

「お褒めに預かり光栄です、セレディナさん」

 セレディナとレイは各々、得物を獲物に向ける。

「殺せないかもしれないが、時間ならいくらでも稼いでやるか」

「ですね」
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