白の魔女の世界救済譚

月乃彰

文字の大きさ
上 下
102 / 338
第四章「始祖の欲望」

第九十七話 契約

しおりを挟む
 全てを捧げる。それは、即ち、支配権を得るということだ。

「⋯⋯『契約』。そう、『契約』か⋯⋯」

 絶対的な力を持つ結び、『契約』。それを一度結んでしまえば、両者の合意なしにそれを書き換えることも、破棄することもできないもの。
 エストがイザベリアに求めた『契約』の内容は、イザベリアにとっても悪くないものであった。ある一点、その支配権が全てエストにあるということ以外。

「私はあなたに何もできない。思うようにできない。全てをあなたに捧げるということは、そういうこと。⋯⋯それは、正直、好ましくない」

 イザベリアの『欲望』は、外の世界に出ることであり、また、エストという少女を愛することだ。
 その愛は、束縛的なものである。こちらが支配されるなんて、以ての外で、論外である。片方の目的は達成されるが、もう片方の目的は達成されない。
 欲深い彼女にとって、妥協とは許されないものである。その二つの目的が達成されて、ようやく晴れて『欲望』が叶ったと言えるのだ。

「だから、あなたの提案に今すぐ乗ることは、しない。できるはずがない。⋯⋯けど」

 エストの真意、それをイザベリアは理解していた。

「ああ⋯⋯あなたは本当に、性格が悪い」

「お互い様でしょ?」

 最初の、二人の間に提示された、エストに魔女の力を取り戻させる条件は、『五つの試練』をエストが突破すること。そして、それを突破できたらエストは魔女の力を取り戻す。しかし、突破できなければ、エストはその全てをイザベリアに捧げるということだった。

「第四の試練で私に本当の『欲望』と黒の魔女への憎悪を思い出させ、そこでキミは私を誘惑する。不安定となった私は、キミの甘い言葉に釣られる⋯⋯第四の試練も突破できず、結果、私はキミに全てを捧げることになっていた」

 イザベリアの狙いを、エストは明らかにする。
 なるほど、道筋は正しい。何せ、エストは一瞬、イザベリアの言葉に従おうとしたからだ。しかし、

「キミは一つ、見ていない私の記憶があったよね」

「──」

「それが、キミの過ち。⋯⋯私には、私を必要としてくれている人が居るのさ」

 エストの脳内に三人の男女が映る。今、彼らはそこには居ないが、彼らの存在が、エストを甘い誘惑から救った。

『お前が仲間だからだ。大切だからだ』

 そう、彼はエストに言ってくれた。裏切った彼女に、必要だって、大切だって、言ってくれた。

「彼は、キミに支配された私を必要としていない。彼は、私を必要としている⋯⋯それをキミが視ていたなら、嘘をついて騙して言葉巧みに私を惑わしていたかな?」

「──計算外、というわけね」

 イザベリアは、エストを理解したつもりだった。彼女の記憶を視て、彼女を分かったつもりでいた。
 全て視たはずだった。けれど、全て覚えたわけではなかった。全てを考慮に入れて、魅了する方法を考えなかった。

「たしか、マサカズ・クロイだっけ、あの男の名前は」

 イザベリアはそのイレギュラーとなった男の名前を口にする。名前を知ってるのは、エストの記憶からだろうか。

「あなたを少しみくびっていたようだ」

 エストの新たな狙いは、条件を達成した際の結果の変更。つまり、魔女の力を開放する、というのを、イザベリアに全てを捧げさせる、というものにしろ、ということだ。

「キミは私のトラウマを刺激し、私の試練の続行意欲を消そうとした⋯⋯それは、公平性を欠くよね。⋯⋯さあ、第五の試練を」

 無理難題を押し付けない。そう言ったのは誰でもない、イザベリア自身だ。
 エストは、大変優秀な人だ。無理難題でもなければ、大抵悠々とこなしてしまう。だから、イザベリアが提示する第五の試練もきっと、こなしてしまうだろう。
 エストは勝利を確信したようなものだった。

「──あなたのそういうところも良いよね。徹底して、相手の逃げ道を奪っていく⋯⋯最初に、何気なく言ったあれが、特に何も考えずに承諾したあれが、ここに来て毒となるなんて」

 無理難題を押し付けない。それが、今、毒となってイザベリアを襲う。
 追い詰められた。そう思ったイザベリアは、現状を打開する方法を必死になって探し、見つけてしまった。

「無理難題は押し付けない。絶対にできやしない試練は試練じゃないもんね。そしてあなたは、大抵のことに才能を持っていて、できてしまう。それは私もよく知っていること」

 イザベリアは顔を上げて、笑みを浮かべる。その笑みには、悪巧みも、負けを認める心もない。あるのは──勝負をする時の、昂りの感情だ。

「結局、何が一番信用できると、、あなたは思う?」

 ちゃん付けがなくなった。イザベリアは、エストを敵と見なした、子供でも何でもなく、対等な相手として。

「⋯⋯仲間とか、家族」

 エストは思いつく信用できるモノを言う。イザベリアはそんな彼女の答えを嗤うことはしなかったが、

「ああ、確かに、それらは信用に値する立場にある。けれど、私が聞いたのは『一番信用できるモノ』。それらは、一番にはない。そのうちどちらかでも、ね」

 イザベリアの言いたいことを、エストは分かった気がする。その瞬間、エストは驚きの表情を浮かべてから、顎を引き、イザベリアの解答を聞く。

「一番信用できるのは自分自身さ。自分自身は、絶対に裏切らない。そうでしょう?」

 当たり前のことだ。自分の思いが自分を裏切ることなんてない。あったとしたらそれは間違いであり、絶対に意に反した行動は取らない。

「第五の試練、それは──私に勝利すること」

 イザベリアは始祖の魔女だ。この千年間、まともに戦っていないとはいえ、その戦闘力は凡そ人の域にない。魔人でも、魔女でさえ、勝つことなんて不可能だ。

「勿論、普通に戦えば私が勝つことなんて明々白々の結果。だから、一時的にあなたの魔女の力を開放し、いくつかの縛りを私自身に課そう」

 イザベリアは勝負の内容と、勝利条件について説明した。
 エストは、魔女の力を一時的に取り戻す。そして勝利条件は、イザベリアに一撃でも与えること。
 イザベリアは、エストを殺すことが禁止で、仮に殺してしまった際はエストの勝利となる。勝利条件は、エストを気絶させることである。
 一見すると、エスト有利の条件だ。しかし、イザベリアとはそれでようやく互角。なんなら、これでも尚イザベリアの方が若干有利なまである。

「なるほどね、一番信用できるのは自分自身。だから、最後の試練の壁になるのは、自分自身が適任、ってわけだね」

 これは賭けだ。ここには事前の備えとか、計画とか、何も関係がない。力が直接結果に繋がる、公平な試練だ。
 ──勝者が、全てを手にする戦い。それが今、始まる。

 ◆◆◆

 全身に傷を負い、立っていることさえ不思議なくらいだ。今にも意識が飛びそうで、体は重りでもつけられているみたいに動かしづらい。
 鎌を持つ力が弱くて、思うように武器を振れない。だが、それでも、負けを認めることは許されない。だってそれが、主人との『約束』なのだから。

『⋯⋯この我を相手に、よくぞここまで戦えたものだ。まさかこの我が、重症を負い、血で血を洗うことになるとは』

 目の前の竜も、大怪我を身体の至るところに負っている。六つある脚のうち二脚はまともに動かせなくなっていて、血を流しすぎて魔法陣の展開も苦しい。

「⋯⋯私は、あなたに負けることはできません。私は、勝たなくてはならない」

『我も同じこと。我も、汝に負けることはできない』

 それは、分かりきっていることだ。どちらも、負けられない、負けてはならない理由がある。
 しかし、勝負は決するから勝負なのだ。そして、引き分けなんて生易しい結果が、殺し合い真剣勝負にはない。
 両者が向かい合い、その戦いを再開しようとした直後──、

「っ!?」

『何だ⋯⋯この揺れは?』

 とてつもない衝撃音と振動が、墳墓の第三階層全体に伝わった。
 明らかな異常事態にレイとイリシルは殺し合いどころではなくなり、一旦休戦することとなる。
 引き分けはないと言ったが、それはあくまで外からの干渉がなければの話だ。

『⋯⋯まさか、あの娘⋯⋯!』

 どうやらイリシルには、この事態に思い当たりがあるようだ。レイがそれについて聞くと、

『汝の主人、エストが向かった先は知っているだろう?』

「ええ。⋯⋯って、あなたが今言った娘って」

『その通りだ。娘──イザベリアは、この墳墓内であれば実体として発現できる。そして、今のはきっと、イザベリアの仕業だろう』

 始祖の魔女、イザベリア。その力は古竜でさえも簡単に捻り潰すことができる、まさに最強の魔法使いの名に恥じぬ強者だ。
 否定したいが、レイの主、エストよりもおそらく強い魔女。そんな魔女が、力を発揮する。

『待て』

 『約束』なんてお構いなしに、レイはエストの元へ転移しようとした。だが、そんな彼をイリシルは引き留める。

「何ですか。これはあなたとの戦いを放棄してでも行かなくてはならない事態です。例えあなたとイザベリアを同時に相手することになっても、私はエスト様の身に何か起こるかもしれないこの状況に、知らないフリなんてしていられません」

 レイはエストへ忠誠を誓っており、それは並外れたものだ。エストの死はレイの死でもあり、それは絶対阻止しなければならない、例え、命令に背くとしても。

『違う。⋯⋯我の使命は、イザベリアから汝らを遠ざけること。そして今、それは失敗した。つまり、我の負けだ』

 イリシルは、簡単にレイに負けを認めた。彼は自分自身に治癒魔法を行使しながら、話す。

『イザベリアの力は強大だ。あの娘は手加減というものを知らない。下手をすれば、この墳墓も危ない⋯⋯もし、墳墓が破壊されてしまえば、その時──世界は、終わる』

 世界の終焉。イザベリアの力はそれを引き起こせる。

「そんなことが⋯⋯」

 にわかには信じがたい。しかし、否定することもできない事実。

『あるんだ。レイ、この我も、一緒に転移させろ。あの化物相手にどれだけ立ち回れるか分からないが⋯⋯居ないよりは断然マシなはずだ』

「⋯⋯分かりました」

 イリシルの同行を承諾すると、転移するため、レイはエストの現在位置を──、

「──」

『⋯⋯どうした?』

 レイの表情がどんどんと焦りのものへと変化していく。小刻みに震えて、まるで予想外の事態に、それも最悪な事態に直面したかのようであった。

「⋯⋯イリシルさん、イザベリアという魔女は、一体どれだけの化物なんですか」

 レイがエストの位置を特定できるのは、彼女の魔力を感知しているからである。原理は、距離不問、魔力消費なし、感知妨魔法完全無効化ということを除けば、感知の魔法と同じである。
 
『化物という言葉以外では、形容できないくらいだ』

「本当に⋯⋯そうですね。だって⋯⋯その魔力によって、エスト様の現在位置が分からないのですから」

 考えてみれば、そうだった。レイのその力は、妨害魔法完全無効化なのだ。であれば、どうして第二階層の時、レイのエストを感知する力は妨害されたのか。そして今、完全に繋がりが途絶えたのか。
 答えは単純明快。特定の魔力が見えないくらいの、また別の魔力が、空間に漂っていたからだ。

「この魔力は異常です。量も当然ですが、何より、何の不自然さもない」

 今ようやく気づくくらい、この墳墓内に充満している魔力は自然そのものだ。魔力は物質であり、本来魔力の充満しているところに入るとそれにすぐに気づける。しかし、この魔力は不自然なくらい自然に溶け込んでいたのだ。

『気づいたか。⋯⋯ああ、この魔力は、確かにイザベリアのものだ』

 そしてその魔力は、あの衝撃のあとからより濃くなっている。

『⋯⋯このままでは、墳墓が崩れる前に、我々がこの魔力に耐え切れずに死んでしまうだろう』

 生命体には、保有できる魔力に上限がある。それを超えたとき、生命体は死亡する。そして何より質が悪いのは、魔力は生命体の体に溶け込みやすいということであり、意識して魔力の外部からの溶け込みを阻害するコントロールは大変難しいのだ。

『すぐに第四階層に行き、あの娘を止めなくてはならない』

「しかし、イリシルさん、あなたの体では⋯⋯」

 イリシルは竜だ。第四階層へと続く階段を通るには、あまりにも大き──

『我がただの竜だと思うなよ? 我は最古の竜であるぞ。故に、人化など容易い』

 ──イリシルは、瞬時にして人の姿へと変わる。
 身長はレイより少し低いくらいか。ショートの黒髪には赤色のメッシュがあり、両目は閉じたまま。服装は赤色のシャツに黒のスーツ。ズボンも黒色である。黒、黒、黒の黒尽くしだ。
 ドラゴン形態と同じ角を頭から、尻尾を尾てい骨辺りから生やしている。

『これならば、そこの階段も下れるというもの。さあ、時間は一刻と迫ってきているぞ』

「⋯⋯そうですね。早く行きましょう」

 人化したイリシルは、その体には慣れていないはずなのに、躓くことも特になく、第四階層へと続く階段を下る。

「イリシルさん、一つ、聞いてもよろしいですか?」

『なんだ?』

「⋯⋯イザベリアは、あなたにとって何なんですか?」

 イリシルはレイより先に走っていたが、振り返ることなく答える。

『同じ人を師匠と、主としており、古くからの友人だ。⋯⋯だが、殺せないわけではない。我は友より、主の命に従う』

「⋯⋯分かりました。あなたと共闘しましょう」

 友を殺す。それがどんなに辛いことかは、分かっているつもりだ。もしイリシルがそれを明確にしなければ、レイは彼を信用し、共に戦うことはできなかった。だがその一言で、レイはイリシルへの認識を敵から仲間へと格上げした。

「似た者同士、助け合うに相応しいものです」

 傷は完治した。力も回復している。イリシルとの戦闘で、この有り余っていた力も制御できるようになっている。
 万全そのものだ。全力を尽くせる。
 レイとイリシルは階段を下りて、そうして見る、変わり果てた第四階層の現状を。
 そこは──
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します

Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。 女性は従姉、男性は私の婚約者だった。 私は泣きながらその場を走り去った。 涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。 階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。 けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた! ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

王妃の手習い

桃井すもも
恋愛
オフィーリアは王太子の婚約者候補である。しかしそれは、国内貴族の勢力バランスを鑑みて、解消が前提の予定調和のものであった。 真の婚約者は既に内定している。 近い将来、オフィーリアは候補から外される。 ❇妄想の産物につき史実と100%異なります。 ❇知らない事は書けないをモットーに完結まで頑張ります。 ❇妄想スイマーと共に遠泳下さる方にお楽しみ頂けますと泳ぎ甲斐があります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...