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18.悪あがき2(マーガレット視点)
しおりを挟むーーマーガレット視点
(これで…こうでっと!!できたっ!)
泣き喚く我が子の額にペンで十字を描く。
(もーうるさいなぁ。あんたが黒髪なんかで産まれてきた上に聖女じゃないからこうするしかないんじゃない!!アンタが悪いのよ!!)
スゥーッと息を吸う。
「えっ!?えっ!?この刻印はなにぃ~!?」
大声で叫ぶ。
「どうしたマーガレット!!」
「ゴードン様っ!気付いたらこの子の額に聖女の刻印が浮かび上がっていたのです…!!」
「な!なんだと!見せてみろ!!……その、実は私は聖女をこの目で見た事無いのだが、聖女の刻印とはこのようなモノなの…か…?」
「そ、そんなっ!ゴードン様は我が子を疑うのですかっ!?私にもゴードン様にも似ていないのは聖女だったからです…!!」
「疑う訳なんてないさ!!そうか…!私たちの子が聖女か…!!さすがマーガレットだ…!!よし!すぐに神殿に連絡して聖女認定してもらおう!!私も聖女の父だ!!」
……ふふ、やっぱりコイツは馬鹿だ。
「ちょっと待ってくださいっ!今神殿長が巡業中で神殿にいないらしいんですぅ。なので、すぐには認定してもらえないらしいのでぇ…。それまでは秘密にしておきましょ??ね?」
その時扉がノックされた。
「失礼します。ノエル様の様子を見にきました。」
コイツの乳母のメラニーだ。
今まで泣いてばかりだったくせに、メラニーが抱くとすぐ泣き止む。
(こいつ…。産んでやったのは私なのに。イライラするわ。)
メラニーが額の印を見て驚く。
「マ、マーガレット様、これは何のいたずらでしょうか?ノエル様の額にこのようなものを描いて…。赤ん坊の肌は弱いのです。こんな事をしたら肌が荒れてしまいますわ。」
「はぁっ!?いたずら!?気付いたらこの子の額に聖女の刻印が浮かび上がってきたのよ!!私がそんな事するわけないでしょう!?貴女、聖女に対する不敬よ!!!」
「聖女…!?だってこの子は…!!」
「あーーー!!うるさいうるさい!!それ以上ゴタゴタ言うとクビにするわよ!!あとこの子の名前は今日からグレースよ!!グレース!!」
「そ、そんな、ゴードン様…。」
メラニーが縋るようにゴードンを見る。
「マーガレットの言う通りだ!我が子やマーガレットを侮辱する事は聖女を侮辱する事であり罪である!!聖女の世話をする事ができるなんて名誉な事だろう!!」
「わかりました……。」
メラニーがおずおずと下がる。
何とも気持ちが良い。納得のいっていない様子のメラニーに声を掛ける。
「聖女の扱いには気をつけるのよ。聖女の刻印に触らないようにね。あと、使用人全てに、くれぐれもこの子が聖女である事を他言しないように言っといてね~!あ、子どもは連れてってよ。」
「かしこまりました…。」
そう言って子どもを連れて出て行く。
そして数分後に義父が車椅子を押されて入ってくる。
「お前…!自分の子どもが…聖女だなんて…馬鹿げた事を…言っているらしいな…っ!」
ぐったりしてかなり息苦しそうだ。
「馬鹿げた事ですかぁ?お義父様まで聖女を馬鹿にするのですかぁ?というか、そんな興奮したら心臓止まっちゃいますよー!?」
「なっっ!!なんだとっごほっごほっ。」
「ほらほら!早く休んでくださぁい!!ほら、アンタ早く連れて行きなさいよ。」
使用人に命ずる。
戸惑っているが、主人が心配なのだろう、軽く一礼すると部屋から出て行った。
こんな老いぼれに出来ることは無い。間もなく爵位もゴードンへ継がれるだろう。こんな小言はそれまでの辛抱だ。
(義父が来たら次はきっと…。ニケ様が来るわね。)
そして次の日、予想通りニケ様がやってきた。
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