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9.懲りない2人(ダリア視点)

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「ねぇ、ゲイト様…。次奥様にバレたら本当にマズいんじゃないですかぁ??」

ベッドで横に寝転がるゲイトに聞く。
あの浮気発覚の日から2ヶ月くらいで以前のような関係に戻り、もう半年近く経った。

とは言っても、ローランド商会から急に増えた注文のせいで、サイラス工房は大忙しだ。寝る間も惜しんで車輪を作り続けている。
今日も何とか材料の買い出しの時間を縫ってゲイトと会っている。

だから会えて週に1度くらいだ。


(あぁ、眠たすぎる…。)
欠伸が出る。


「大丈夫だ。前回の時離縁だとか言っていたのも、きっと俺の気を引くためだ。セレーナは俺の両親にもよく尽くしてくれているからな。俺の事を愛している証拠だろう。」

ふふん!とドヤ顔をするゲイト。


「そんな愛してくれる奥様がいるのに、私と浮気していて良いんですか?」

ーいや、私が言うことではないけれど…。
でも、奥様はこんなゲイトでも愛しているのだろう。ゲイトと私が浮気している事を知りながらも、サイラス工房に大口の注文をした。きっと私を忙しくしてゲイトと会わせる暇がないようにしているのだろう。もしくは、私のご機嫌を取って浮気をやめて欲しいのか…。

(まあ、会えちゃってるけどね~。
それにしても…あんな美人で仕事ができる奥様がいるのに私に夢中になっているゲイト様…。ふふっ。気分は悪くないわ。)


「セレーナは美人だし仕事もできるし両親も気に入っている。ローランド商会としてもセレーナがいないと困る。何よりもセレーナと離縁だなんてなったら両親が怒り狂うだろう…。だが可愛げがなく、妻として面白くない。夫を立てようと全く思わないのだあの女は!やはり、ダリアのような甘え上手な女が1番だ!」

…だってゲイト様、褒めたりおねだりしたり甘えたりしたら何でも買ってくれるんだもの…。

「しかも、今ローランド商会は皆ものすごく忙しそうなんだ。朝から晩まで周りに目もくれず働き続けている。だから、俺が外で浮気しようが金を持って来ようが誰も気付かないさ!!」

(いや、それなら貴方はここで浮気していても良いの!?働けよ!!)

笑うゲイトに心の中で壮大なツッコミをした。


(でも…本当に大丈夫かしら…。次浮気がばれてしまったら次こそ慰謝料だとか、サイラス工房とローランド商会との契約打ち切りとかならないかしら…。そろそろ潮時…?)

そんな事を考えていると、

「ほら、ダリア。この間このネックレスが欲しいとか言ってただろ?やるよ。」


「あ、ありがとうございますっ!」


庶民では手が届かないようなアクセサリーを何でもない日にプレゼントされた。
それを受け取り、

(うーん、でもやっぱり今をときめくローランド商会の跡取り息子を手放すのは惜しいっ!!)


そう思う私だった。


「あーあ。ダリアが俺の妻だったらなぁ…。何とかセレーナを追い出してダリアを妻に出来ないかなぁ…。なーんて…」


「わ、私がローランド商会の奥様っ⁉︎」


(もし奥様と離婚して私がローランド商会に入っちゃったりしたら…!?それも悪くないわっ!!)



「ま、まぁ勿論すぐには無理だが!!おーいダリア。聞いているか…?」


「ゲイト様っ!それ、名案ですっ!私、ローランド商会の奥様になりたいです!!」



近頃更なる急成長を遂げている大商会の妻に想いを馳せるダリアだった…。









次回、ゲイト視点です。
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