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2.陛下登場

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「い、慰謝料だと!?よくもそんなことが言えたものだな!?アンジェを虐めた罪人に払う金など無い!!!」



まぁ。罪人ですって?
多くの貴族が見ている中で、このように罵ることは罪では無いのでしょうか。




また、はぁーっとため息をついてしまいました。




ため息をつく私を見て、グリアンド殿下はツカツカツカっと私の前まで近づき、扇を持つ腕を乱暴に握りました。
その勢いで、扇が地面に落ちてしまいました。






我が侯爵家の手掛ける特産のパールがふんだんに使用された高価な扇なのですけども。

あと、腕!痛いんですけども。



周りの方々も、止めなければいけないのでは!?というような雰囲気でざわめきが大きくなりました。



その時です。












「この騒ぎは何なのだ⁉︎」





奥から現れたのは、この国の陛下と皇后様でした。
あら、私のお父様もいらっしゃるわ。






「グリアンド!!この騒ぎは何だ⁉︎」


陛下がそうおっしゃると、




「父上!実はこの女、いや、エルセ嬢が私の愛するアンジェを虐めていたのです!そのような女を次期皇后にすることはできません!どうか!婚約破棄をさせていただきたいのです!」





キリッ!
そのような効果音が聞こえそうです。
悪を罰し、この国のことを考える最高のボクちん!偉いでしょ!
とでも言いたい所でしょうか。






顔を真っ赤にして陛下はプルプル震えておられます。
あぁ、陛下持病の高血圧が心配です…。



皇后様は、逆に真っ青なお顔をされて、今にも倒れそうです。




陛下は、ふーっと深呼吸をして、アンジェリア様に向き直り、静かにおっしゃいました。




「アンジェリア嬢、そうなのかね?」


皆さまの目が、アンジェリア様に向けられます。

アンジェリア様は、透き通るような白い肌にクリアブルーのストレートの髪にエメラルドグリーンの目を持つ絶世の美女です。


アンジェリア様は姿勢を正し、儚げに答えられました。




「はい。恐れ多くもありますが、私に至らない点が多かったのです。確かに、殿下が仰ったような事が何度かありました。」


そう儚げに答える姿は、女の私でも守ってあげたくなります。



周りの皆さまも、男女問わずホゥっと声が聞こえてきます。




「くっ!!アンジェに至らぬ点などあるものか!!!嫉妬に駆られたエルセが悪いのだ!!!」



「グリアンド!お前は黙っとけ!アンジェリア嬢に聞いておる!!」




陛下に一喝されて黙るグリアンド様ですが、私を汚い物を見るような目で睨んでおられます。

誰が誰に嫉妬に駆られたですって?






陛下は再びアンジェリア様に向き直り、続きを話すように促されました。



それを見てアンジェリア様は続きを話されます。


「特にこの半年程でしょうか、、。嫌がらせが続いております。私に至らない点がありましたし、私が我慢すれば良いと思っていましたが、このような場を設けて頂いたので、私も逃げずに勇気を出して言います。」




アンジェリア様が、顔をスッとあげて、しっかり私を見て、、






いえ、






私の斜め後ろを見て、毅然とした様子で言われました。







「確かに、私、アンジェリア・フォクマンは、身に覚えのない陰口や、嫌がらせを受けておりました!!




エルセ様、、、、、



の、妹である、ローゼ・サハラーシャ様に!!!!!」














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