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1.ドヤ顔で婚約破棄
しおりを挟む「エルセ!お前との婚約は破棄する!!私はこのアンジェと婚約する!!」
あーら。
酷い顔。鼻の穴を膨らませて、言ってやった!!というような顔をしていますね。
隣に立つ、アンジェと呼ばれる美人なご令嬢の肩を抱き寄せ、こちらを睨んでいるのは、私の婚約者、この国の第3王子であるグリアンド殿下。金髪碧眼だが、顔は普通。至って普通の顔をしていらっしゃいます。
そして、グリアンド殿下の隣の令嬢は、アンジェリア・フォクマン子爵令嬢で、私の親友なのですが、、。
-------
私の名前は、エルセ・サハラーシャ。この国の侯爵令嬢です。
今日はこの国の多くの貴族が集まり、陛下と皇后様もご出席される、年に1度のこの国の生誕を祝うパーティの場です。
そんな大きな集まりの中で、殿下は
人目も憚らず大きな声で、そう宣言なされました。
繰り返しますが、
酷いドヤ顔です。
金髪のゆるりと巻いた髪を少し揺らして、顔の前に扇をパッと開いて答えました。
「婚約破棄ですか…。
失礼ながら、理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「理由だと!?お前が1番わかっているだろうが!!!!」
「申し訳ございません。わかりません。」
そう私が答えると、
グリアンド殿下は顔を真っ赤にして震えています。
「お前は!このアンジェを!!虐めたのだろう!?そのような陰湿な性格の女とは結婚できない!!」
「虐めてなどおりません。」
「まだシラを切るのか⁉︎ アンジェの陰口を広めたり、パーティですれ違い様にスカートを踏んだり、ワインをわざとかけたりしたんだろう⁉︎」
アンジェ様を一層抱き寄せてそう叫びます。
「一切記憶にございませんわ。私がしたという証拠はありますのでしょうか?」
「アンジェが!!そう言っているのだ!!アンジェが嘘をつくわけが無い!お前と違って顔だけではなく、心までも綺麗なのだからな!」
隣のアンジェリア様は、少し俯き自分を抱きしめながら小さく震えています。
「あぁ!愛しいアンジェ!こんなに震えて可哀想に!!!」
いつの間に私たちの周りには人集りができていました。
こんなに大きな声で、こんな不躾なやりとりをしていたら仕方の無いことです。
周りの方々は、このやりとりをハラハラした様子で見ていました。
「仮に、私がアンジェリア様を虐めていたとしても、なぜ殿下は私と婚約破棄後、アンジェリア様とご婚約なさるのでしょうか。」
「それは!私がアンジェを愛しているからに決まっているからだろう!」
周りの方々がざわめきました。
それもそのはず。
仮にもこの国の第3王子が、婚約者をエスコートしないだけではなく、婚約者では無い令嬢を愛しているなどと言うのだから…。
(はぁ。ここまでアンポンタンだっとは…。)
思わず私もため息が出てしまいました。
扇で口元を隠していて良かったですわ。
「ということは、殿下は私という婚約者がありながら、他のご令嬢を愛されているということですね。」
「だからなんだ⁉︎」
「慰謝料、請求させていただきますね。」
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