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34.それぞれの幸せ(エミール視点)
しおりを挟む~~~1年後
いま私はリュカ様とタバリア侯爵家に向かう道中だ。
今日は、タバリア侯爵夫人の誕生日パーティだ。
侯爵夫人の希望で、侯爵夫妻とクロード様夫妻と私達だけでする事になっている。
「エミール、体調はどうだい?無理しないで…。」
そう言ってリュカ様が私の手を握る。
「ありがとうございます。大丈夫ですわ。私も皆様に会いたいのです。自分達の口から…報告もしたいですしね。」
そう言いながら自分のお腹を撫でる。
嬉しい事に、この度新しい命を授かる事ができた。
まだ4ヶ月程でお腹は目立ちはしないが、1ヶ月前から酷い吐き気があり少し良くなって来た所だ。
馬車が止まり、侯爵家に到着した。
「エミール、リュカ!よく来てくれましたね!」
本日の主役である侯爵夫人が笑顔で出迎えてくださる。
「ほらほら、ミレイユとクロードもお待ちかねよっ!」
奥を見ると、ミレイユ様とクロード様が私達に手を振っている。
そして皆で席に着き、豪華な食事を頂いて食後の飲み物を飲んで一息ついた時。
(そろそろ妊娠を報告しなければ。)
そう思いリュカ様を見ると、ウンと頷きリュカ様が発言しようとすると…。
「「あの……!」」
リュカ様とクロード様の話始めが被ったのだ。
リュカ様とクロード様はお互い目を合わせてキョトンとして、笑い始める。
「そういえば兄様と私は昔からこういう事が多かったですね!いつも何か思いついたり話し始める時は同時に発言したり…。何だか子どもの時の事を思い出しました。」
「確かに。昔から双子かと言われる程気が合ったな。同じ時に結婚もして、奥さんも友達同士であるし…私達は本当によく似ているな、リュカ。」
「そうですね、兄様、さあ言おうとした事を先に言ってください。譲りますよ。」
そう言ってリュカ様が笑う。
本当に仲の良い兄弟だ。
「そうか…?では遠慮なく…。この度、ミレイユのお腹に新しい命が宿ったんだ。今4ヶ月程になる。」
「えっ!」
「まぁ!」
侯爵夫人は知っているようでニコニコと笑顔だ。
「ちょ、ちょっと兄様!」
「ん?どうしたリュカ。」
「私も同じ事を言おうとしたのですよ!私達も子どもを授かって今エミールは妊娠4ヶ月程です。」
「何だって!?」
「まあまあまあ!!!エミールも!?こんな素敵な報告を貰ってなんって幸せな誕生日なのでしょう!!」
侯爵夫人は大喜びだ。
「エミール様…!おめでとうございます。同じ時期に子どもが産まれるなんてとっても心強いし楽しみですわ!」
そう言ってミレイユ様が私の手を握る。
「私もですミレイユ様。驚きましたね。とても嬉しいですわ!」
今まで黙っていたタバリア侯爵も、嬉しそうに笑って、
「エミール、ミレイユどうか2人とも身体を大切にな。」
「「ありがとうございます。」」
「それにしても2人同じ時期に結婚妊娠とは凄いな。もし男の子女の子であれば、子ども同士が結婚すれば更に賑やかで楽しいかもしれないな。」
「父上、気が早いですよ…。」
従兄弟同士では確かに結婚は可能だが……。
幼馴染で周りが盛り上がっての結婚は……。完全私のデジャブ!!!
「だめですっ!」
思わず口に出してしまう。
「あ。」
思わず口を押さえる。
皆私を見てキョトンとしたと思えば、私が考えたことを察したのか皆が笑うのだった。
お腹の赤ちゃん。聞こえますか?
ここはこんなに楽しいですよ。
早く元気に生まれてきてね……。
そうして約半年後に無事、2人の元気な子どもが産声をあげた。
2人とも可愛い女の子で、
本当の姉妹のように仲良く育ち、国で絶世の美女と噂され新しい物語を紡いで行くのはまた少し先の話…。
fin.
ここまでお付き合い頂きありがとうございます!
これにて完結とします。
いつか娘達2人が主人公の話も書きたいなと思います。
お気に入り、感想ありがとうございました。
家族の入院などで忙しく中々返す事ができませんでしたが、一つ一つ読んで喜んでいました( ; ; )ありがとうございます。
次回作もぜひよろしくお願い致します。
書き溜めて来週あたりから投稿予定です。
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というかクロード様にあれだけ執着しているのに女生徒への嫌がらせだとしても色んな男に擦り寄る神経が理解できなかった。汗 だって婚約まで漕ぎつけたのに自爆とか。。。
まぁリリアンのおかげでヒロイン二人がめちゃくちゃ幸せになったのは良かった。
面白い作品をありがとうございました。一気読みしちゃうくらい面白かったです。
エミールとミレイユの名前が似ていてわかりにくいです
お礼が遅れて申し訳ございません。
こちらこそお読み頂きありがとうございました!