7 / 51
思わぬ面倒事
しおりを挟む
いろいろ起きた日の翌日。学校に到着し教室へ入ると、三吉と藤野が声をかけてきた。
「おはよう、斉川さん」
「おはよー」
「あ、おはよう…」
昨日の事が一瞬よぎり身構えたが、何も言ってこなかった。散々盛りあがっていたせいか、もうほとぼりは冷めたようだ。
碧乃は安堵して、自分の席についた。
それからしばらくして、小坂も登校してきた。もう始業時間ギリギリだった。彼はクラスの皆と挨拶を交わしながら席につくと、大あくびをしていた。
あんなに遅くまで起きてるから…。
人の事は言えないが、思わず呆れてしまった。そしてあくびが移りそうになり、慌てて小坂から視線を外した。
今日の授業はほとんど来週の試験範囲の確認となっており、比較的楽な内容だった。寝不足の頭でも対応できたので、助かった。
昼休みになったので、碧乃は飲み物でも買いに行こうと立ち上がった。
振り返ると同時に、藤野那奈が抱きついてきた。
「お姉様ー!」
「!」
豊満な胸が碧乃の顔に押し付けられる。
い、息が……。
「那奈ちゃん、斉川さん死んじゃう」
「あ、ごめん」
藤野は慌てて腕の力を緩めた。緩めるだけで解放はしなかった。
ぷはっ、と碧乃は呼吸を再開させる。彼女とは身長差があるので、正面からまともに抱きつかれると必ずこうなる。いつか窒息死するのではないだろうか。
それよりも、今『お姉様』って……。
「ど、どうしたの?」
碧乃は恐る恐る尋ねた。
「あ、あのね、昨日は話してばっかりで全然勉強できてなかったから、その、今日もまた教えてほしいなぁって、思って…」
三吉がおどおどしながら答えた。
「昨日は時間を無駄にしちゃってごめんなさい」
まだ碧乃にくっついたままの藤野が謝ってきた。こんな状態なので、本当に反省しているかは分からないが。
「あ…うん。いいよ」
三吉の表情を見ていたら、やはり今日も断れなかった。
「いいの?ありがとう!昨日は本当にごめんね」
彼女の顔がパッと明るくなった。
「ありがとー!お姉様優しい!」
藤野が再び碧乃を締め付ける。正面からではなかったが、胸の圧力は変わらずだった。
「うあっ!そ、その『お姉様』って、何?」
藤野の腕から抜け出せないまま、何とか訊いてみた。
「あ、なんかね、昨日の話でハマっちゃったみたいなの」
三吉が申し訳なさそうに答えてくれた。
「斉川さん見てたら、私も小坂君の家庭教師みたいな人が欲しくなっちゃったのー」
…絶好のセクハラのネタを掴んだという事か。
ほとぼりなんて冷めてなかった。むしろ更に熱が増していた。
「や、だからって、お姉様はちょっと…」
「えー?じゃあ、お姉さん?」
「いや、そうじゃなくて…」
ダメだ、もう。
碧乃では対処できなかった。
すると、小坂がこちらへ近付いてくるのが見えた。
「藤野、そのくらいにしてやれよ」
彼は呆れた顔で話しかけてきた。
「ひゃっ!こ、小坂くん!」
小坂の接近に気付いていなかった三吉が、飛び上がって後ろを振り返った。
「あ、小坂君やっほー!」
藤野が碧乃に抱きついたまま、小坂に手を振った。
「やっほーじゃなくて…。いい加減離してあげたら?昨日の話だけど、やっぱ似てなかった」
どうやら碧乃に救いの手を差し伸べるつもりのようだ。
「そうなの?」
「だから、もう離して…」
「何が似てないって?」
小坂の後ろから、ひょこっと山内圭佑が割り込んできた。
彼は小坂と一番仲の良い友達で、女の子が大好きなちょっと軽い性格の人だ。
「あ、こら、入ってくるなよ」
小坂がいらだって山内を退けようとした。
「お前が俺を放ったらかしで行っちゃうからだろ。んで、何の話?三吉ちゃん」
山内は、小坂ではなく三吉に答えを求めた。
「え、あ、あの、小坂くんの家庭教師の先生と斉川さんがなんか似てるねって」
小坂の前なので、緊張しながら三吉は説明した。
「あー、あの美人の女子大生?」
「でも似てなかったから、訂正しに来たんだよ。ってか、その美人とか何とか言い出したのってお前だよな?」
小坂の苛立ちが更に強くなった。しかし山内は全く気にしていない。
「え、そうだっけ?」
「そうだよ。みんながいる前で言うから、こうやって広まっちゃったんだろ」
「お前が否定しなかったからじゃないの?」
「う、それは、しつこく訊くから面倒になったんだよ!とにかく、斉川は関係ないから」
山内との会話を無理やり終え、藤野に再び話しかけた。
「そうなんだー。でももう斉川さんは私のお姉様だもんねー」
「え……」
碧乃はもう藤野の腕の中でされるがままになっていた。
しばらく離す気ないな、これ……。
「なっ…」
「那奈ちゃん…」
一向にやめる気配のない藤野に、小坂と三吉は困惑してしまった。
山内は面白そうにそれを見ている。
「ねー、飲み物買いに行こう?昨日のお詫びにおごるよ」
藤野は抱きつくのをやめると、碧乃の腕に自分のそれを絡めて歩き出した。
「え?あっ、ちょっと」
碧乃は、抵抗する間もなく引っ張られていく。
「あ!待って、那奈ちゃん」
慌てて三吉がその後を追う。
藤野を先頭に、3人は教室を出ていった。
§
光毅は呆然と3人を見送っていた。
彼の救いの手は見事にはじかれてしまった。
いつも以上に斉川にベタベタしている藤野を見て、居ても立っても居られず話しかけたのだが、全然ダメだった。
ここまで面倒な事になるとは。発端はやはり自分だ。今日の夜にでも、また謝っておかないと。
…にしてもだ。あんな風に抱きついたり、腕を組んだり、女同士ってだけで許されるんだもんな。さすがにちょっと羨ましい……。
「女同士って羨ましいねぇ」
「え!」
圭佑の言葉にドキッとして、横に立つ彼を凝視した。
「俺も藤野に抱きつかれてみたいわー」
それを聞いて、光毅は安堵した。
「なんだ、そっちか…」
「ん?なんか言った?」
「言ってない」
不覚にも彼の前で行動を起こしてしまったが、今後は気を付けないと。
口が軽いこいつにだけは、斉川との関係も店の存在も絶対に知られたくない。
§
「ごめんね、斉川さん」
机を挟んだ向かい側に座る三吉が謝ってきた。
「え?」
謝罪の理由が分からず、碧乃はキョトンとする。
「私があんな事言ったせいで、那奈ちゃんの今度の標的が斉川さんになっちゃって…」
「ああ…」
そのことか。
今日も3人で放課後の教室にいるのだが、藤野は今トイレに行っている。彼女がいないのを見計らって言い出したようだ。『今度の』と言ったのは、以前にも何人か今の碧乃のような被害者がいたためだ。一度的が定まると飽きるまで狙い続けるので、少々たちが悪い。まさか自分が選ばれるとは思ってもいなかった。
「萌花ちゃんが謝る事じゃないよ」
シュンとする三吉に、優しく返した。
「でも…」
「私は大丈夫だよ。………多分」
はっきりとは宣言できなかった。
「あ、あの、きっとまたすぐに飽きると思うから」
「うん……わかった」
本当にすぐだと良いのだが。
扉がガラッと開いて、藤野が戻ってきた。
「あ、おかえりー」
三吉が気付いて声をかける。
「ただいまー」
と言いつつ、藤野は碧乃の一瞬の隙をついて間合いに入り込んだ。
「お姉様ただいまっ」
碧乃の椅子に強引に腰掛け、するりと腰に手を回してきた。かなり手慣れた素早い動きだった。
「ひゃあ!ち、ちょっと!」
逃げ遅れた碧乃は珍しく声を荒げ、回された手を引き剥がした。実はくすぐったがりなので、変な触られ方には弱いのだ。藤野はすでにそれを知っていた。
「うふふ、相変わらず敏感だなぁ」
「……」
この変態め…。
「那奈ちゃん、斉川さん困ってるでしょ?」
三吉が怒り気味に言った。
「だってー。反応が可愛いから、つい」
「んもう…」
反省する気のない藤野に、三吉は呆れるしかなかった。
その後の藤野は、大人しく自分の椅子に座って勉強していた。根は真面目なので、こういう時はあまりふざけない。
変態のスイッチさえ入らなければ、良い子なんだけどな…。
「おはよう、斉川さん」
「おはよー」
「あ、おはよう…」
昨日の事が一瞬よぎり身構えたが、何も言ってこなかった。散々盛りあがっていたせいか、もうほとぼりは冷めたようだ。
碧乃は安堵して、自分の席についた。
それからしばらくして、小坂も登校してきた。もう始業時間ギリギリだった。彼はクラスの皆と挨拶を交わしながら席につくと、大あくびをしていた。
あんなに遅くまで起きてるから…。
人の事は言えないが、思わず呆れてしまった。そしてあくびが移りそうになり、慌てて小坂から視線を外した。
今日の授業はほとんど来週の試験範囲の確認となっており、比較的楽な内容だった。寝不足の頭でも対応できたので、助かった。
昼休みになったので、碧乃は飲み物でも買いに行こうと立ち上がった。
振り返ると同時に、藤野那奈が抱きついてきた。
「お姉様ー!」
「!」
豊満な胸が碧乃の顔に押し付けられる。
い、息が……。
「那奈ちゃん、斉川さん死んじゃう」
「あ、ごめん」
藤野は慌てて腕の力を緩めた。緩めるだけで解放はしなかった。
ぷはっ、と碧乃は呼吸を再開させる。彼女とは身長差があるので、正面からまともに抱きつかれると必ずこうなる。いつか窒息死するのではないだろうか。
それよりも、今『お姉様』って……。
「ど、どうしたの?」
碧乃は恐る恐る尋ねた。
「あ、あのね、昨日は話してばっかりで全然勉強できてなかったから、その、今日もまた教えてほしいなぁって、思って…」
三吉がおどおどしながら答えた。
「昨日は時間を無駄にしちゃってごめんなさい」
まだ碧乃にくっついたままの藤野が謝ってきた。こんな状態なので、本当に反省しているかは分からないが。
「あ…うん。いいよ」
三吉の表情を見ていたら、やはり今日も断れなかった。
「いいの?ありがとう!昨日は本当にごめんね」
彼女の顔がパッと明るくなった。
「ありがとー!お姉様優しい!」
藤野が再び碧乃を締め付ける。正面からではなかったが、胸の圧力は変わらずだった。
「うあっ!そ、その『お姉様』って、何?」
藤野の腕から抜け出せないまま、何とか訊いてみた。
「あ、なんかね、昨日の話でハマっちゃったみたいなの」
三吉が申し訳なさそうに答えてくれた。
「斉川さん見てたら、私も小坂君の家庭教師みたいな人が欲しくなっちゃったのー」
…絶好のセクハラのネタを掴んだという事か。
ほとぼりなんて冷めてなかった。むしろ更に熱が増していた。
「や、だからって、お姉様はちょっと…」
「えー?じゃあ、お姉さん?」
「いや、そうじゃなくて…」
ダメだ、もう。
碧乃では対処できなかった。
すると、小坂がこちらへ近付いてくるのが見えた。
「藤野、そのくらいにしてやれよ」
彼は呆れた顔で話しかけてきた。
「ひゃっ!こ、小坂くん!」
小坂の接近に気付いていなかった三吉が、飛び上がって後ろを振り返った。
「あ、小坂君やっほー!」
藤野が碧乃に抱きついたまま、小坂に手を振った。
「やっほーじゃなくて…。いい加減離してあげたら?昨日の話だけど、やっぱ似てなかった」
どうやら碧乃に救いの手を差し伸べるつもりのようだ。
「そうなの?」
「だから、もう離して…」
「何が似てないって?」
小坂の後ろから、ひょこっと山内圭佑が割り込んできた。
彼は小坂と一番仲の良い友達で、女の子が大好きなちょっと軽い性格の人だ。
「あ、こら、入ってくるなよ」
小坂がいらだって山内を退けようとした。
「お前が俺を放ったらかしで行っちゃうからだろ。んで、何の話?三吉ちゃん」
山内は、小坂ではなく三吉に答えを求めた。
「え、あ、あの、小坂くんの家庭教師の先生と斉川さんがなんか似てるねって」
小坂の前なので、緊張しながら三吉は説明した。
「あー、あの美人の女子大生?」
「でも似てなかったから、訂正しに来たんだよ。ってか、その美人とか何とか言い出したのってお前だよな?」
小坂の苛立ちが更に強くなった。しかし山内は全く気にしていない。
「え、そうだっけ?」
「そうだよ。みんながいる前で言うから、こうやって広まっちゃったんだろ」
「お前が否定しなかったからじゃないの?」
「う、それは、しつこく訊くから面倒になったんだよ!とにかく、斉川は関係ないから」
山内との会話を無理やり終え、藤野に再び話しかけた。
「そうなんだー。でももう斉川さんは私のお姉様だもんねー」
「え……」
碧乃はもう藤野の腕の中でされるがままになっていた。
しばらく離す気ないな、これ……。
「なっ…」
「那奈ちゃん…」
一向にやめる気配のない藤野に、小坂と三吉は困惑してしまった。
山内は面白そうにそれを見ている。
「ねー、飲み物買いに行こう?昨日のお詫びにおごるよ」
藤野は抱きつくのをやめると、碧乃の腕に自分のそれを絡めて歩き出した。
「え?あっ、ちょっと」
碧乃は、抵抗する間もなく引っ張られていく。
「あ!待って、那奈ちゃん」
慌てて三吉がその後を追う。
藤野を先頭に、3人は教室を出ていった。
§
光毅は呆然と3人を見送っていた。
彼の救いの手は見事にはじかれてしまった。
いつも以上に斉川にベタベタしている藤野を見て、居ても立っても居られず話しかけたのだが、全然ダメだった。
ここまで面倒な事になるとは。発端はやはり自分だ。今日の夜にでも、また謝っておかないと。
…にしてもだ。あんな風に抱きついたり、腕を組んだり、女同士ってだけで許されるんだもんな。さすがにちょっと羨ましい……。
「女同士って羨ましいねぇ」
「え!」
圭佑の言葉にドキッとして、横に立つ彼を凝視した。
「俺も藤野に抱きつかれてみたいわー」
それを聞いて、光毅は安堵した。
「なんだ、そっちか…」
「ん?なんか言った?」
「言ってない」
不覚にも彼の前で行動を起こしてしまったが、今後は気を付けないと。
口が軽いこいつにだけは、斉川との関係も店の存在も絶対に知られたくない。
§
「ごめんね、斉川さん」
机を挟んだ向かい側に座る三吉が謝ってきた。
「え?」
謝罪の理由が分からず、碧乃はキョトンとする。
「私があんな事言ったせいで、那奈ちゃんの今度の標的が斉川さんになっちゃって…」
「ああ…」
そのことか。
今日も3人で放課後の教室にいるのだが、藤野は今トイレに行っている。彼女がいないのを見計らって言い出したようだ。『今度の』と言ったのは、以前にも何人か今の碧乃のような被害者がいたためだ。一度的が定まると飽きるまで狙い続けるので、少々たちが悪い。まさか自分が選ばれるとは思ってもいなかった。
「萌花ちゃんが謝る事じゃないよ」
シュンとする三吉に、優しく返した。
「でも…」
「私は大丈夫だよ。………多分」
はっきりとは宣言できなかった。
「あ、あの、きっとまたすぐに飽きると思うから」
「うん……わかった」
本当にすぐだと良いのだが。
扉がガラッと開いて、藤野が戻ってきた。
「あ、おかえりー」
三吉が気付いて声をかける。
「ただいまー」
と言いつつ、藤野は碧乃の一瞬の隙をついて間合いに入り込んだ。
「お姉様ただいまっ」
碧乃の椅子に強引に腰掛け、するりと腰に手を回してきた。かなり手慣れた素早い動きだった。
「ひゃあ!ち、ちょっと!」
逃げ遅れた碧乃は珍しく声を荒げ、回された手を引き剥がした。実はくすぐったがりなので、変な触られ方には弱いのだ。藤野はすでにそれを知っていた。
「うふふ、相変わらず敏感だなぁ」
「……」
この変態め…。
「那奈ちゃん、斉川さん困ってるでしょ?」
三吉が怒り気味に言った。
「だってー。反応が可愛いから、つい」
「んもう…」
反省する気のない藤野に、三吉は呆れるしかなかった。
その後の藤野は、大人しく自分の椅子に座って勉強していた。根は真面目なので、こういう時はあまりふざけない。
変態のスイッチさえ入らなければ、良い子なんだけどな…。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる