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19話
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「…斉川さん……なんで…」
「倉井くんこそ…なんでいるの…?」
驚きを露わにしていた倉井は、我に返ると目をそらし、無理矢理口角をあげて止まっていた足を再び動かした。
「あっ…ぼ、僕は…図書室で考え事してて、気付いたらこんな時間だったんだ」
言いながら、陽乃の横を通り過ぎる。
「ははっ、呆れちゃうよね。早く帰らないと…」
「待って!!」
陽乃は倉井の腕にしがみついて引き止めた。
かばんがドサリと床に落ちる。
「っ!?」
「行かないで…お願い……話、きいて…っ」
行っちゃだめと、引き止める手にギュッと力を込める。
「……斉川…さん…?」
怖いと叫ぶ心を押さえつけ、彼の顔を見られないまま震える声で必死に言葉を紡いだ。
「…なんで…?なんで、避けるの…?……わ、私のこと…嫌いになっちゃったの?……私の何がだめだったの?悪いところがあるなら、直すから!嫌なことももうしないからっ!…だからっ……だから…っ…」
だから、嫌いにならないで。
陽乃の目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちた。
苦しみが喉を締め付けて、あと少しが声にならない。
このままなんてやだよ。倉井くんと一緒にいたいよ…。
「倉井くんこそ…なんでいるの…?」
驚きを露わにしていた倉井は、我に返ると目をそらし、無理矢理口角をあげて止まっていた足を再び動かした。
「あっ…ぼ、僕は…図書室で考え事してて、気付いたらこんな時間だったんだ」
言いながら、陽乃の横を通り過ぎる。
「ははっ、呆れちゃうよね。早く帰らないと…」
「待って!!」
陽乃は倉井の腕にしがみついて引き止めた。
かばんがドサリと床に落ちる。
「っ!?」
「行かないで…お願い……話、きいて…っ」
行っちゃだめと、引き止める手にギュッと力を込める。
「……斉川…さん…?」
怖いと叫ぶ心を押さえつけ、彼の顔を見られないまま震える声で必死に言葉を紡いだ。
「…なんで…?なんで、避けるの…?……わ、私のこと…嫌いになっちゃったの?……私の何がだめだったの?悪いところがあるなら、直すから!嫌なことももうしないからっ!…だからっ……だから…っ…」
だから、嫌いにならないで。
陽乃の目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちた。
苦しみが喉を締め付けて、あと少しが声にならない。
このままなんてやだよ。倉井くんと一緒にいたいよ…。
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