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ユウト冒険編(エルフの里編)

パンドラVSタナトス

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──その夜──

 
 時刻は21時…

 パールグレイの軍とエルフ軍が戦場にしていた場所で2人が暴れていた。

 大きな鎌を持った銀髪ロングなゴスロリファッションの女と、金髪ツインテールの女が戦っている。

 銀髪は空を飛びながら金髪に斬撃をお見舞いするが、金髪は光り輝く聖剣でそれを受け止めた。

「ふっ、その程度ですか?タナトス!」
「私まだ全然本気出してないんだけど?」

 剣と鎌が弾かれてパンドラとタナトスはお互いに距離をとる。

 タナトスが空中に鎌を突き刺すと刃の先が消えた。
 消えた刃はパンドラの後ろから現れて背中を襲った。

「そう来ると思ってましたよ!タナトス!」

 「キィン」と音を鳴らしエクスカリバーで刃を受け止める、タナトスは悔しそうに鎌を戻した。

 そしてタナトスは、闇魔法の詠唱を始めている。

「暗黒の空よ!
闇を纏いし死の雨を降らせ!
闇魔法!「ダークアロー」」

 タナトスが闇上級魔法詠唱すると空から1000はある大量の黒い矢がパンドラ目掛けて超高速で降ってくる。

「あっはっはっ、
終わりよパンドラァ!」

 しかしパンドラは時間停止のスキルを発動し、その矢をすべて弾き落とし、タナトスの肩を斬りつけた。

「きゃあぁっ!!!
よくもっ!!パンドラあぁぁっ!!」

 肩から血が溢れでて、タナトスが距離を取っている。

「だったら…こうだ!」

 タナトスがスキルで2体に分身し、2人のタナトスがパンドラを襲う。
 右左から同時に鎌で斬りつけるが、パンドラはジャンプして避けた。

「安心なさいタナトス、
死んだら蘇生魔法をかけてあげますよ」

「それはこっちの台詞だぁぁっ!!!」

 怒ったタナトスがまた闇魔法を詠唱している。

「降り注げ闇の光線!
闇魔法「ダークレーザー」」

 空から巨大な闇の光が降り注ぎパンドラを狙う、彼女は時間を止めてその攻撃を避けた。

 闇の光が落ちた先には底が見えない程の深い穴が開いていた。

 しかし、それは囮だった。

 タナトスは4体に分身しパンドラに前後左右から斬りつけた。

「ぐっ!!!」

 パンドラはその斬撃を防ぎ切れず腕を斬りつけられてしまう。

「当たった!当たったわ!
貴方の時間停止は永遠じゃないもんね!
そこがあなたの弱点なのよ!
まだまだヴィクトリア様には程遠いわ!
さあ、最強の技でトドメを刺してあげる!」

 致命傷は避けたがパンドラは腕から赤い血をボタボタと垂れ流していた。

 続けてタナトスがスキルを発動する為に詠唱を始めていた。

「湧き上がれ鮮血!
這い出よ地獄の使者!
混沌の海よ!我に力を!
血の海地獄「ブラッドデスティニー」」

 詠唱と同時に地面から赤い血が沸き上がってくる。

 そこは地獄だった…

 辺り一面真っ赤な血の海、その中には触手の化け物が泳ぎ回っている。

 更にそれだけじゃない、頭が三つある地獄の番犬ケルベロスに、歯が鋭い魚が血の海を泳いでいた。

 景色も赤黒く変わり、まるで空間に閉じ込められた感覚。

「うふふっ、
もうパンドラでは私に勝てない…
今なら謝れば許してあげるけど、どうする?」

「はぁ、はぁ、舐めるな!
タナトス!!」

 キレたパンドラがスキル時間停止と光魔法を発動する。

「光よ!集いて閃光となり!地を焼き尽くせ!
光魔法「シャイニング・ジャッジメント」」

 時間が止められ動かなくなったタナトスに光上級魔法が直撃する。
 触手の化け物や魚にも直撃して消滅して行った。
 光の光線が直撃すると三体のタナトスも消滅し一体になる。

「それが本体か!
真っ二つにしてやる!」

 パンドラはエクスカリバーでタナトスを真っ二つになるよう斬り付ける…

 ガキィンッ!!

 しかし剣が止められた。

 見ると、ケルベロスが爪で受け止めていた。

「馬鹿な!時間は止まっているはずなのに!」

 しかし、ケルベロスの爪は割れて吹っ飛ばされてしまう。

 そして時間が動き出す。

「危なかったわ、地獄のペットちゃんがいなかったら死んでいたかもね!
さてこれでしばらくは時間停止が使えない!
やりなさいブラッドシャーク!」

 血の海から新たに現れた鮫が口から黒いレーザーをパンドラに向かって撃ってくる、彼女は避けるが凄い威力だった。

 しかし、2匹目、3匹目、4匹目、5匹目、10匹目と増えていき、それらが同時に闇のレーザーでパンドラを狙った。

「くっ!!」

 パンドラの肩を貫通し穴が開き血が溢れてくる。
 バランスを崩したパンドラにブラッドシャークは飛びかかり牙で食らいつこうとする。

 それを何とか避ける、しかし次の瞬間…

「ぐふっ…けほっ、けほっ…」

 突然パンドラが血を吐きバランスを崩す、見ると体中、刃が刺さっていた。

 タナトスを見ると10体に分身して増えており、それぞれが空間に刃を突き刺し、それらの刃の先は、パンドラの脇腹、背中、肩、腕、腰を突き刺していた。

「はい、私の勝ちよ、
こんなに強い私がパールグレイごときに負けるはずないでしょ?
ねぇ!そうでしょ?
認めなさいよほらぁ!」

 タナトスがパンドラに突き刺したそれぞれの刃で全身を切り裂いた。

 死にかけのパンドラは最後の力を振り絞り特殊なスキルを発動する。

「こうなったら…!!
無間地獄「エターナル・ディフィート」」

 パンドラが詠唱すると、血の海地獄が消滅し元の景色に戻った。

 一瞬だった…

 タナトスは動けなくなり幻を見て固まっている。

 立ったまま、まるで石になったみたいに動かなくなっていた。


───その時───

 何かが上空5000メートルぐらいの高さから降ってくる。それは歓喜の悲鳴を上げながら楽しそうに落ちてきた。

「ヒャッハアァァ!!!
パール!プレス!!」

 そして、グシャリと潰れる音がする。

 あの高さから地面に落ちてきたわけだ…

 通常なら骨はバキバキに折れて、肉は潰れて即死のはずなのに、それは体を有り得ない方向にクネクネとねじ曲げながら、折れた骨を、潰れた肉を、人間の形に戻しながら起き上がってくる。

 笑顔で笑いながら…

「ハーッハッハッハッ!!!」

 砂埃の中から立ち上がる男…

 それは白衣を着た銀髪の高身長の男だった。彼は悪魔塔A3塔の主、パールグレイ。

 肩から血を流し、今にも倒れそうなパンドラを見てニヤニヤしている。

「人類最強とあれほどの死闘を繰り広げるとハ!
このお方ハ!どうやら只者ではないようでス!
未だかつて見た事無い程ノ!
素ン晴らしイイィィ戦いでしタ!!」

 その一人で騒いでいる狂気の科学者にパンドラが反応する。

「おや、パールグレイですか…今の戦いを見て逃げないとは、よほど腕に自信があるのかあるいは馬鹿なだけなのか…
貴方も消されに来たのですか?」

 パンドラはピンチだった、全身タナトスの鎌による刺し傷だらけで身動きが取れなくなっている。

 「いえいえパンドラ様、私は研究の成果を御披露目しに来ただけなのでス!
人類滅亡の兵器ガ!
ついに完成したのでス!
あなたには実験台になって頂きたク!
やはり試すならあなた様のようナ、人類最強がいいではないですカ!」

「くすくすっ♪
あなた風情が私に勝つつもりですか?
まあ、やってみるといいでしょう。
その兵器とやらをさっさと見せなさい」

 パールグレイが白衣のポケットから小さな銃を取り出した。
 そして、腰をクネクネさせ首が360度何度も回転しながら説明を始める。

「出来立てでまだ名前はありませんガ、この銃は、たった一発で半径約3000メートルを吹き飛ばす大爆発を起こしまス!
量産しテ!我が軍に持たせれバ!
エルフも!人間モ!
この世から抹消出来ルのでス!
さあ、見せて下さィ!
貴方の最期ヲ!」

 パールグレイが笑いながらパンドラに向かって銃を撃った。

 すると半径3000メートルぐらいの大爆発が起こり大きな穴が開いていた。

 そのあまりの威力に弱り切っていたパンドラは反応すら出来ず死亡してしまった。

 パールグレイはニヤニヤ笑いながら穴の奥へ歩いていく。
 すると穴の奥にはパンドラとタナトスの死体があった。

「やりましタ!
弱っていたとはいえ人類最強を一撃で即死させるこの威力!
やはり、私の研究は正しカッタァ!
私はこの日の為に研究をして来たのでス!!
ありがとう人類最強パンドラ!
ありがとう見知らぬ銀髪のお嬢さン!
そしテ、さらばでス!」

 爆発に巻き込まれたのに何故か無傷のパールグレイ。
 彼はパンドラが死んでいる事を確認すると、上空2000メートルぐらいまでジャンプをして、その後何処かに消えた。

 大きな爆発音だったのでエルフ軍が見に来ていた。

「この穴はなんだ!」
「地形が変わったのか!」
「パンドラ様!と、だれだ?」
「ひぃ!
2人とも死んで…」
「うわあぁっ!!」

 パニックになったエルフ軍が、セネカの城に入って来た。
 ヴィクトリア、ヘカテーが慌てて2人のところに行き、とても悲しんでいた。
 彼女は蘇生魔法をかけてパンドラとタナトスを生き返らせた。

「あれ、お母さん?」
「ヘカテー…様?」

 パンドラが涙目のヴィクトリアに抱き締められて驚いている。

「タナトスと喧嘩した事は後で罰を受けて貰うが、弱っているところをパールグレイに殺されたのか…
無事で良かった、パンドラ…」

 パンドラもヴィクトリアを抱き締め、パールグレイに負けて死んだ悔しさで泣いていた。


───セネカの城───

 その地下牢にパンドラとタナトスが、ヴィクトリアの命令で一緒に放り込まれていた。

「ご主人様?無事?」

 ユウトはパンドラが心配で檻の中を見に来ていた。


 しかし…

 牢屋の中から「パンッパンッ」と何かを打ち付ける音が響いている。

「あぁんっ、あんっ、パンドラごめんなさい、私の負けです…
私の完全敗北でいいからぁ…♡
お願いですからぁ、もっと突いてぇ…♡」

「くすくすっ♪
貴方は私に負けたのですから、もう二度と生意気な口を聞いてはいけませんよ♪」

「ひゃいっ、私ぃ、パンドラ様のペットになりましゅうっ…♡
だからもっと、オマンコ突いてぇっ、お願いっ…
お願いしましゅ…」

 檻の中では服を着たパンドラが、全裸のタナトスの髪を掴み腰を振って犯していた。

 男の娘と女の子のエッチを見て、ユウトは驚いて口を開け、言葉を失いただ見つめているだけだった。

 タナトスはトラウマだが、こうして見ると胸もあり、スレンダーで美しく見とれてしまう。

「ちょっと何やってんすかご主人様!タナトス様も!」

「あら下僕、羨ましいんですか?
自分の席をタナトスに奪われそうになって…♡
こうやって腰を打ち付けられて、ケツマンコの奥をゴリゴリ削られたいのでしょう?」

「はい、羨ましいです…」

 しかしユウトは「ハッ」として目を覚ます。

「じゃなくて!ヴィクトリア様に言いつけますよ!
それじゃ全然反省してないじゃないですか!」

 パンドラとタナトスが一瞬だけ背筋が凍り怖がった気がする。

「お願い下僕…それだけは許して?
ご主人様のお願いよ?」

「そうよ、報告したら後で酷いわよ少年!
絶対に許さないんだから!」

「いや、ダメでしょ…
今は反省中なのに…
この事は報告して来ますからね!」

 ユウトは2人を無視して帰り、ヴィクトリアやヘカテーに報告した。

 そのせいか、タナトスもパンドラもそれぞれ別の檻に移されて寂しそうにしていた。

(でもまあ、結果的に仲直りしたならいいか…)
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