67 / 84
63話勘違いとヤキモチ
しおりを挟む
『ロッソ!!早くハヤト追いかけて!!』
『いきなりなに!?』
制作中の家に近づくと、すごい勢いでルピが飛んでくるんだもの。びっくりしたわ。
あるじとルピが帰ってきたら、あたしがいない事にビックリしてコリーに聞いてもワシは知らんって。
ワシは知らんって、コリーが取りに行けって言ったんでしょ!
『なんでルピは離れたのよ!』
『ハヤトが、ロッソが戻ってくるかもしれないから待っててって…。コリーも行っちゃダメ…って』
『はぁ!?なにそれ。あるじの気配を追うから良いわ。ルピは待ってて』
コリーが何考えてるのか意味不明ね。あの爺さん、帰ったらただじゃおかないわ…。覚えてなさいよ!
精霊に木を頼みそのままあるじの気配を辿った。
あるじが行ったのは向こうの方向ね。あまり遠くに行くと魔物が強くなるし、あるじが危ないわ。
『ねぇ、コリー本当にこれで良かったの?』
『これで良いんじゃ』
コリーの言うことがルピにはよくわかんない。
ハヤトがロッソ探しに行くと言うから、ルピも一緒に行くと言ったら、コリーにルピはロッソが帰るのを待ってなさいって言うし。ハヤトも、コリーの言うとおりだからちょっと待っててって。
『ほれ、あるじ達が帰ってくる前に風呂を作るからルピも手伝っておくれ』
『ルピも探しに…』
『今はおとなしく待っていることも大切な時間じゃ』
ハヤト達が心配なのにお風呂なんて作れないよ…。
やれやれ。こっちはこっちで少し主人離れが必要じゃの。ベッタリでは主人もルピも成長が出来んぞ。
『主人が帰ってきて風呂があったら喜ぶんじゃがのぉ』
『わかった…。なにをお手伝いすればいいの?』
『この木をの、風呂に使うんじゃ。良い香りじゃろぉ?これを切り出して加工していくんじゃよ』
『良い匂い!でも風呂ってなに?ハヤトが良くお風呂に入りたいって言ってた』
やはり主人は風呂を所望か。ロッソの言う通りじゃな。なら家を作る途中で言ってくれれば、もっと早く木を取ってこれたんじゃが、今回は逆に良い機会じゃな。
『ワシも見たことはないんじゃが、温かい水を入れる大きな桶じゃな!』
『なんでそんなものに入るの?』
『さぁ…。精霊も温かい水を入れる桶に裸で入っていたと言っておったからの。人間にとっての儀式じゃないかの?』
ハヤトがよくお風呂に入りたいって言ってたのは、その儀式がしたかったからなんだ…。
もっと早く言ってくれれば、ルピだって温かいお水出せたのに。
『ルピもお水熱くできるよ?なんでハヤト教えてくれなかったんだろ』
『木じゃないとだめらしいぞ。木のお風呂は格別ね~と入っていた人間は言っておったらしいからの。木の方がより一層儀式が上手くいくんじゃろう!だから主人は言わなかったんじゃ』
なるほど!ルピじゃ木のお風呂は作れない…。ハヤト、ルピ頑張って儀式が出来るようにお風呂作るからね!
◇
「―――ッソー!いたら返事して!ロッソー!」
いたわ。人間の足だとそんなに遠くには行けなくて良かったわ。はぁ…。手間がかかるんだから。
『あるじ、なにしてるのよ。従魔探しに行くテイマーなんていないわよ』
「ロッソ!出て行ったのかと思って心配で探しに来たんじゃないか!!それにそのケガ、どうしたの!?」
『ちょっとした切り傷よ。傷は治ってるけど、血が毛に着いたままだったのね』
あたしの言葉を聞いてるのか聞いてないのか、アイテムボックスからポーション出しかけてくる。ねぇ、とっくにあたし治ってるんだけど…?聞いてる?
『あるじ、あたし傷が治って…』
「ごめんねロッソ。今朝は怒鳴って…。でもね、僕にとって大切なロッソだから、ダメなところはダメだってちゃんと伝えたかったんだ。負担になってたかな?」
『…そんなことないわ。あたしも少し我儘言い過ぎたのよ…。今後は、ちゃんと聞くわ。あるじとルピとコリーだけだと、なんか危ないし…側にいるわ』
「そうしてくれると嬉しいよ。僕はロッソが側にいてくれると嬉しいよ!」
あるじの足にすり寄って顔を隠す。別に照れ隠しとかじゃないんだからね!
その後は、一緒にあるじと歩いて家に戻った。こうやってあるじと二人で歩くなんて初めてかもしれない。いつもルピがくっついてるからね。でも、それが嫌なわけじゃないのよ。
『コリー!ハヤトとロッソが戻ってきた!!』
『そうみたいじゃの。ロッソのあれはヤキモチじゃ。女心は複雑じゃのぉ。ほっほっほーー』
2人が帰ってくる気配を感じる。皆で仲良くすればいいんじゃないの?でも、2人とも元気で戻って来てくれてよかった。
「ただいまルピ、コリー」
『お帰りなさい!ハヤト、ロッソ!』
『爺さんはどこよ!?あの爺さん逃げたわね!!』
「ロッソどうしたの?家の中にいるんだよ。作ってくれてるんだから。それに爺さんなんて言葉使っちゃダメだよ」
あるじがそう言うなら、今日はおとなしく引くわ…。次あるじを危険な目に合わせたら、その時は覚えてなさいよ!
――木の上から――
『ほっほっほー!ロッソの怒りがすごいのぉ。ルピの結界が張ってあるんじゃ。そうそうやられるはずがないじゃろう。こりゃもうしばらく木の上かの。のう精霊や』
『いきなりなに!?』
制作中の家に近づくと、すごい勢いでルピが飛んでくるんだもの。びっくりしたわ。
あるじとルピが帰ってきたら、あたしがいない事にビックリしてコリーに聞いてもワシは知らんって。
ワシは知らんって、コリーが取りに行けって言ったんでしょ!
『なんでルピは離れたのよ!』
『ハヤトが、ロッソが戻ってくるかもしれないから待っててって…。コリーも行っちゃダメ…って』
『はぁ!?なにそれ。あるじの気配を追うから良いわ。ルピは待ってて』
コリーが何考えてるのか意味不明ね。あの爺さん、帰ったらただじゃおかないわ…。覚えてなさいよ!
精霊に木を頼みそのままあるじの気配を辿った。
あるじが行ったのは向こうの方向ね。あまり遠くに行くと魔物が強くなるし、あるじが危ないわ。
『ねぇ、コリー本当にこれで良かったの?』
『これで良いんじゃ』
コリーの言うことがルピにはよくわかんない。
ハヤトがロッソ探しに行くと言うから、ルピも一緒に行くと言ったら、コリーにルピはロッソが帰るのを待ってなさいって言うし。ハヤトも、コリーの言うとおりだからちょっと待っててって。
『ほれ、あるじ達が帰ってくる前に風呂を作るからルピも手伝っておくれ』
『ルピも探しに…』
『今はおとなしく待っていることも大切な時間じゃ』
ハヤト達が心配なのにお風呂なんて作れないよ…。
やれやれ。こっちはこっちで少し主人離れが必要じゃの。ベッタリでは主人もルピも成長が出来んぞ。
『主人が帰ってきて風呂があったら喜ぶんじゃがのぉ』
『わかった…。なにをお手伝いすればいいの?』
『この木をの、風呂に使うんじゃ。良い香りじゃろぉ?これを切り出して加工していくんじゃよ』
『良い匂い!でも風呂ってなに?ハヤトが良くお風呂に入りたいって言ってた』
やはり主人は風呂を所望か。ロッソの言う通りじゃな。なら家を作る途中で言ってくれれば、もっと早く木を取ってこれたんじゃが、今回は逆に良い機会じゃな。
『ワシも見たことはないんじゃが、温かい水を入れる大きな桶じゃな!』
『なんでそんなものに入るの?』
『さぁ…。精霊も温かい水を入れる桶に裸で入っていたと言っておったからの。人間にとっての儀式じゃないかの?』
ハヤトがよくお風呂に入りたいって言ってたのは、その儀式がしたかったからなんだ…。
もっと早く言ってくれれば、ルピだって温かいお水出せたのに。
『ルピもお水熱くできるよ?なんでハヤト教えてくれなかったんだろ』
『木じゃないとだめらしいぞ。木のお風呂は格別ね~と入っていた人間は言っておったらしいからの。木の方がより一層儀式が上手くいくんじゃろう!だから主人は言わなかったんじゃ』
なるほど!ルピじゃ木のお風呂は作れない…。ハヤト、ルピ頑張って儀式が出来るようにお風呂作るからね!
◇
「―――ッソー!いたら返事して!ロッソー!」
いたわ。人間の足だとそんなに遠くには行けなくて良かったわ。はぁ…。手間がかかるんだから。
『あるじ、なにしてるのよ。従魔探しに行くテイマーなんていないわよ』
「ロッソ!出て行ったのかと思って心配で探しに来たんじゃないか!!それにそのケガ、どうしたの!?」
『ちょっとした切り傷よ。傷は治ってるけど、血が毛に着いたままだったのね』
あたしの言葉を聞いてるのか聞いてないのか、アイテムボックスからポーション出しかけてくる。ねぇ、とっくにあたし治ってるんだけど…?聞いてる?
『あるじ、あたし傷が治って…』
「ごめんねロッソ。今朝は怒鳴って…。でもね、僕にとって大切なロッソだから、ダメなところはダメだってちゃんと伝えたかったんだ。負担になってたかな?」
『…そんなことないわ。あたしも少し我儘言い過ぎたのよ…。今後は、ちゃんと聞くわ。あるじとルピとコリーだけだと、なんか危ないし…側にいるわ』
「そうしてくれると嬉しいよ。僕はロッソが側にいてくれると嬉しいよ!」
あるじの足にすり寄って顔を隠す。別に照れ隠しとかじゃないんだからね!
その後は、一緒にあるじと歩いて家に戻った。こうやってあるじと二人で歩くなんて初めてかもしれない。いつもルピがくっついてるからね。でも、それが嫌なわけじゃないのよ。
『コリー!ハヤトとロッソが戻ってきた!!』
『そうみたいじゃの。ロッソのあれはヤキモチじゃ。女心は複雑じゃのぉ。ほっほっほーー』
2人が帰ってくる気配を感じる。皆で仲良くすればいいんじゃないの?でも、2人とも元気で戻って来てくれてよかった。
「ただいまルピ、コリー」
『お帰りなさい!ハヤト、ロッソ!』
『爺さんはどこよ!?あの爺さん逃げたわね!!』
「ロッソどうしたの?家の中にいるんだよ。作ってくれてるんだから。それに爺さんなんて言葉使っちゃダメだよ」
あるじがそう言うなら、今日はおとなしく引くわ…。次あるじを危険な目に合わせたら、その時は覚えてなさいよ!
――木の上から――
『ほっほっほー!ロッソの怒りがすごいのぉ。ルピの結界が張ってあるんじゃ。そうそうやられるはずがないじゃろう。こりゃもうしばらく木の上かの。のう精霊や』
1
お気に入りに追加
3,363
あなたにおすすめの小説
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる