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3章 私と魔王様のお盆休み

  口に出してしまった「想い」と「欲」は止まらない*②

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 水音を立てて、舌を弄るシルヴァリスの舌技に翻弄されていくうちに恐怖は薄れていき、徐々に理子も彼の動きに応じていく。

(気持ちいい……)

 頭の中が蕩けるような感覚に溺れ、もっと快感を得ようと理子はシルヴァリスの肩にしがみ付き、自分からキスを強請る。

「はっ...」

 理子の体から力が抜けきったのを見計らい、シルヴァリスは絡めていた舌と唇を離す。
 名残惜しそうに、舌と舌を繋いでいた唾液の糸が切れて、理子の口の端に垂れた。

 強烈な口付けで腰砕けになった理子は、力なくシルヴァリスの胸にもたれ掛かる。

「はぁ、やめないで」

 涙と熱で潤んだ瞳でシルヴァリスのガウンを掴み、乞うように見上げる。

「もっと、して?」

 普段の理子だったら絶対に言わない“おねだり”を聞き、シルヴァリスは愉悦の笑みを深くする。

 これ以上を望めば、もう魔王から逃げられないのは分かっていた。
 分かっていても、「欲しい」という欲は止められない

「望みを叶えよう」

 しがみつく理子の耳元に唇を寄せて低く囁くと、シルヴァリスは彼女の体を抱き上げて寝室へと歩き出した。


 体も思考も蕩けきった理子を横抱きにして寝室へと向かう間も、シルヴァリスは彼女の額や頬へ口付けを落とす。
 まるで壊れ物を扱うように、そっと理子の体をベッドへ下ろして頬にかかる髪を指で払う。

「あっ……」

 ベッドへ下ろされた理子の姿は、バスローブの胸元ははだけてしまいかろうじて頂が隠れており、裾は捲り上がり太股が露になっていた。剥き出しに足に、滑らかなシーツの感触が生々しく伝わる。
 乱れたバスローブを直す事も出来ないまま、覆い被さってくるシルヴァリスに見下ろされ、理子は恥ずかしくて顔を逸らした。

「どうした?」

 耳許で聞こえた声に視線だけ動かして、後悔する。
 すぐ傍に、恐ろしいくらい綺麗な魔王の顏があったのだ。
 片肘をベッドに突いて、手を伸ばせばすぐに理子を抱き締められるくらい近い距離で、彼は見惚れてしまうくらい綺麗な笑みを浮かべていた。

「あ、あんまり、見ないでください。恥ずかしい、から」

 綺麗な魔王に組敷かれているのが、可もなく不可もないといった平凡な自分だなんて恥ずかしくなってきて、羞恥と緊張から顔に熱が集中する。
 人に紛れるようにと、シルヴァリスは髪色と瞳の色を変えていたのに、気が付けば元の燐光を放つ銀髪と血のように赤い瞳に戻っている。そのせいで尚更恥ずかしくなってきて、理子は両手で胸元を隠した。

「リコ、隠すな」

 シルヴァリスの長い指が伸びて、やんわりと胸元を隠す腕を外す。

「だって……じゃあ、目を瞑って?」

 胸元から外された手を、シルヴァリスの視界を覆うように広げた。

「っ! 煽るな」
「きゃあっ」

 いつもの冷静な動きではない、余裕を無くした性急な動きでシルヴァリスは理子の手を掴み、噛み付くように唇を重ねた。
 シュルリと、音を立ててシルヴァリスの片手がバスローブの腰紐をほどく。

「お前は俺のものだ」
「あんっ!」

 寒気がするくらいの艶っぽい笑みを浮かべ、シルヴァリスは理子の右乳房に手を添えて乳首にむしゃぶりついた。
 シルヴァリスの大きな手のひらが両乳房を強く揉みしだき、乳首を舌先で転がして強弱をつけて吸い上げる。

「あんっ、あぅっ」
「くっ、リコ、お前を……滅茶苦茶にしてしまいたい」

 物騒な台詞も、激しい愛撫に翻弄される理子の身体の熱を高めるだけ。そして、下半身がたまらなく痺れてむず痒くなるのを感じた。
 絶え間ない愛撫によって、理子の脚の間が疼いて奥から濡れていく。

「ああんっ!」

 乳首に軽く歯を立てられて、理子は体を揺らして軽く達した。

 まだ胸だけしか触れられていないのに、頭の中が痺れるくらい気持ちが良くて理子は、疼く下腹部に力を入れる。
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