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OLは猛獣に翻弄される
突然の連絡に戸惑う②
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(あの時は、此処じゃ駄目だって抵抗したけど、結局は流されるままキッチンでしちゃって……昼間なのに服を着たまま後ろからなんて……お隣さんが不在でよかった)
「止めて」と言っていても、与えられる快感に負けて自ら腰を突き出してしまった。
最後まで拒めず流されてしまう、自分の意志の弱さに情けなくなる。
(貰ったバッグと化粧品は、使わないのは勿体ないと思って使っているけど、後で高級ブランドだと知って驚いたわ。セフレ手当みたいなものかしら?)
筋肉痛の原因となった、クロードの顔と彼の指先の感触を思い出してしまい、きゅうっと下腹部に疼きが生じて……紗智子は慌ててマイボトルのお茶を飲む。
「どうしたの?」
「ええっと、今日はスーパーの特売日だって、思いだしたのよ」
作り笑顔を浮かべた紗智子は、机の下で膝を擦り合わせて下半身の疼きを誤魔化した。
(あれ?)
昼食を食べ終わり、歯ブラシセットを持って立ち上がった紗智子は、机の上に置いたスマートフォンの画面表示された通知に気が付いた。
『新着メッセージ1件』
メッセージアプリから、新着通知が来たのは一時間前。
スマートフォンの音を消していたため、通知に気が付かなかった。
(これは誰からだろう?)
不審なメッセージの送信者名は「***」のみで、アイコンは真っ黒。
(ええっ!?)
かちゃんっ!
スマートフォンを操作してメッセージアプリを開いた紗智子は、驚きのあまり持っていた落としてしまった。
歯ブラシを拾い、スマートフォンと一緒に歯ブラシを胸に当てて周囲を見渡す。
両隣の席の同僚は外へ昼食を食べに行っており、フロア内に居る社員の数は少ない。
(落ち着け自分。見間違えかもしれないわ)
動揺する気持ちを落ち着かせるため、深呼吸をしてから紗智子はスマートフォンの画面をタップして、閉じてしまったメッセージを表示させた。
『仕事が終わったら迎えに行く。定時で終わらせろ。クロード』
これだけでは、詐欺メールかとメッセージを消すところだが、文章の最後にある送信者が本物のクロードなら消せない。
(前回は電話で連絡して来たし、クロードさんのアイコンだって分からなかったわ。メッセージを送ってきたのは初めてじゃない? どうしたのかな? まさか、仕事中だからって気を使ってくれたの?)
息を吐いてメッセージを読み返す。
用件のみの短文。
どんな返答がいいのか、何個か考えてから紗智子は軽く首を振った。
(仕事があるって言っていたけど、終わったのかな? 返事は……短く「分かりました」でいいか)
メッセージを返し終え、画面に表示された時刻を確認してから、スマートフォンをバッグの中に仕舞った。
***
「彼氏とデート?」
退勤時間になったと同時に、机の上を片付けて席を立った紗智子の背中に隣の席の同僚女性は声をかけた。
「ち、違います。今日はスーパーの特売日なので! お先に失礼します」
振り返った紗智子は一気に言い、逃げるように出入り口へと向かった。
廊下へ出てしばらく歩き、バッグからスマートフォンを取り出す。
(迎えに来るって、クロードさんは何処に来るつもりなんだろう?)
長身で整った容姿をしているクロードは、それだけで目立つのに一般人とは思えない雰囲気を放っているため、道端にでも立っていたら何もしていなくても目立つ。
目付きも悪いし顔に傷があるし、警察に職務質問されてしまうかもしれない。
出来れば人通りの少ない場所を待ち合わせ場所にしてほしいのに、待ち合わせ場所を訊ねたメッセージの返信は来ていなかった。
エレベーターから下りた紗智子は小走りでエントランスロビーへ向かった。
曲がり角で、入り口方向からやって来た男性とぶつかりそうになり、足を止める。
「おっと。紗智子……?」
「すいませ、あっ」
互いの顔を確認した男性と紗智子は、同時に驚きの声を上げた。
部署が変わり、彼とはほとんど顔を合わせることもなくなったのに、このタイミングで会ってしまうとは。
「どうして……」
大きく目を開いた紗智子は口を開くが、動揺から続く言葉が出てこなかった。
「止めて」と言っていても、与えられる快感に負けて自ら腰を突き出してしまった。
最後まで拒めず流されてしまう、自分の意志の弱さに情けなくなる。
(貰ったバッグと化粧品は、使わないのは勿体ないと思って使っているけど、後で高級ブランドだと知って驚いたわ。セフレ手当みたいなものかしら?)
筋肉痛の原因となった、クロードの顔と彼の指先の感触を思い出してしまい、きゅうっと下腹部に疼きが生じて……紗智子は慌ててマイボトルのお茶を飲む。
「どうしたの?」
「ええっと、今日はスーパーの特売日だって、思いだしたのよ」
作り笑顔を浮かべた紗智子は、机の下で膝を擦り合わせて下半身の疼きを誤魔化した。
(あれ?)
昼食を食べ終わり、歯ブラシセットを持って立ち上がった紗智子は、机の上に置いたスマートフォンの画面表示された通知に気が付いた。
『新着メッセージ1件』
メッセージアプリから、新着通知が来たのは一時間前。
スマートフォンの音を消していたため、通知に気が付かなかった。
(これは誰からだろう?)
不審なメッセージの送信者名は「***」のみで、アイコンは真っ黒。
(ええっ!?)
かちゃんっ!
スマートフォンを操作してメッセージアプリを開いた紗智子は、驚きのあまり持っていた落としてしまった。
歯ブラシを拾い、スマートフォンと一緒に歯ブラシを胸に当てて周囲を見渡す。
両隣の席の同僚は外へ昼食を食べに行っており、フロア内に居る社員の数は少ない。
(落ち着け自分。見間違えかもしれないわ)
動揺する気持ちを落ち着かせるため、深呼吸をしてから紗智子はスマートフォンの画面をタップして、閉じてしまったメッセージを表示させた。
『仕事が終わったら迎えに行く。定時で終わらせろ。クロード』
これだけでは、詐欺メールかとメッセージを消すところだが、文章の最後にある送信者が本物のクロードなら消せない。
(前回は電話で連絡して来たし、クロードさんのアイコンだって分からなかったわ。メッセージを送ってきたのは初めてじゃない? どうしたのかな? まさか、仕事中だからって気を使ってくれたの?)
息を吐いてメッセージを読み返す。
用件のみの短文。
どんな返答がいいのか、何個か考えてから紗智子は軽く首を振った。
(仕事があるって言っていたけど、終わったのかな? 返事は……短く「分かりました」でいいか)
メッセージを返し終え、画面に表示された時刻を確認してから、スマートフォンをバッグの中に仕舞った。
***
「彼氏とデート?」
退勤時間になったと同時に、机の上を片付けて席を立った紗智子の背中に隣の席の同僚女性は声をかけた。
「ち、違います。今日はスーパーの特売日なので! お先に失礼します」
振り返った紗智子は一気に言い、逃げるように出入り口へと向かった。
廊下へ出てしばらく歩き、バッグからスマートフォンを取り出す。
(迎えに来るって、クロードさんは何処に来るつもりなんだろう?)
長身で整った容姿をしているクロードは、それだけで目立つのに一般人とは思えない雰囲気を放っているため、道端にでも立っていたら何もしていなくても目立つ。
目付きも悪いし顔に傷があるし、警察に職務質問されてしまうかもしれない。
出来れば人通りの少ない場所を待ち合わせ場所にしてほしいのに、待ち合わせ場所を訊ねたメッセージの返信は来ていなかった。
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「どうして……」
大きく目を開いた紗智子は口を開くが、動揺から続く言葉が出てこなかった。
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