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後−44 異国の感じをしみじみと、しかし初めて実感
しおりを挟む昨晩、銭湯の帰りに酒蔵があったので立ち飲みしてきた。
銭湯は宿から2ブロックほど中央に向かって宿前の通りを行くと右側に見える。大きさはどこも一緒で、日本にあった中規模の昔ながらの銭湯くらい。浴槽が2つの場合が多く、たまに少し大きな銭湯で3つ。サウナが無い銭湯はなかった。たまに薬湯に当たる場合があるが、あまり見ない。
宿前の通りは荷馬車がやっとすれ違える程度の道。街なかなので石畳だ。秋で気温が低めだが、カラッと乾燥しているので、水濡れの路面でもすぐに乾く。そういうとこは石畳は良い。かなり古い石畳なので歩きやすい。
秋の夜の街の石畳の裏道に響く足音は澄んでいて、もう少なくなった虫の音にほどよく馴染む。
こんなとき、ふと、異国なんだな、と感じる。
酒蔵は道に面した正面こそ拾間くらいの間だが、奥行きがある。蔵があるから。大体どぶろくは自家製だ。蒸留酒は勿論、醸造酒も酒造元から仕入れてくる。なのでどぶろくは酒蔵毎に結構特長があるし、年や季節で味が変わる。勿論やすいので労働者が帰りがけに引っ掛けて帰る手頃な酒。
そんな酒をコップ二杯くらいで眠くなったので早めに帰って寝た。
なんか、そーゆー店を見つけるのがうまくなったのかな?俺達の目は。
プチビーレの宿の食堂の食事は良かった。
なので、翌日の昼は街の食堂(喫茶店)で食べてみる。
ドコにでもあるような店構え。だが、侮ってはいけない。この農国では食に関して手抜きはめったにされない。ここも同様だろう。
席に着くまでに店内のテーブルを見渡すと、魚のムニエルを食べている人が多く目に付いたので頼んだ。
うまかった。
こっちの人、バターの使い方がうまいのかなぁ、、塩・胡椒の加減も、僅かに控えめでちょうどよい。
水辺の食用野草みたいのを湯がいて塩かけただけの添え物もうまかった。
ムニエルって何気にごはんに合うよね?
食後に小さめのケーキをくれた。バターベースの硬めのスポンジ。柑橘系のクリームと薄切りのドライフルーツを間にクリームで挟み、上には控えめにクリームの飾り。あまり甘くはない。
これも農国の、日のいずる国との国境近くの街の宿や喫茶店のと同じく、茶を飲みながら食べるとちょうど良いうまさだった。甘くないのに、だ。
日のいずる国に近づいてくるとこういうコンボで食べる工夫が多くなっているということ。日のいずる国の食事にはそういった工夫が多いのかも、と密かに期待。
技術などは必要性があるので考えやすい。が、食事、特にこのケーキのように、
甘さを求める菓子なのに甘さを控えめにし、しかし、その甘さを緩めてしまう茶と一緒に取ることで、より美味さが引き立つ、というような思考は、、、どっからでてきたのだろう?
たまたま何かを食べ、複合で食べると美味さが引き立つのがわかる、というのはあるだろう。
しかし、これは、まずそういったケースは考えにくい。
たまたま、失敗したケーキを紅茶で食べたらすごく美味かった、とかだったのだろうか?
もしくは妖精のケーキ屋ってのが、こんな感じで、そこから来たとか、、?
アレらみたいにぽんこつばかりでも無いかも知れないし。
昼食後、中央市場方面に歩く。
ここはブートッチと湖の逆なので、似たようなものかも知れないが、日のいずる国の特長が何かあるかもしれない、という期待は少なくない。
しかも、ブートッチと似たような条件・環境なので、もしかしたらぽんこつ共もいるかもしれない。
昼は人が多いので気づきにくいだろうが、ココに居るときは夜もまわってみよう。
発見するとなんか嬉しいんだよね♪それだけだけどw
人通りが少しずつ増えている。市場への行き帰りだろうと思われ。
すれ違う人たちは大半が何かを持っているから。
小さい荷車を押している者も目に着くようになった。
道の奥から喧騒が聞こえてき始める。
同時に、アザーンが近くのモスクから聞こえ始めた。
ああ、俺達は異国にいる。この感じが、たまらん。
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