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下−272 ズタ そして1−A

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ズタ袋の名はこの際必要ないのでズタとしておこう。

ズタはヨーコのいなかの名士の息子。

子供の頃からよく遊んでいたそうな。
その頃のズタの家は、昔の名士の家であり、当時はヨーコの家とそう変わらなかった。
そしていわゆる”イサム後”に、ズタの親は頭角を表し、いなかの村どころか周辺地域をまとめ上げて、燃えた領主の後を継いだ者達から独立したという。

その燃えた領主の領は、やはり新領主がろくでもないのが幸いして領民全員皆逃げ出してめでたく領主の一族餓死したそうな。
その後、ズタの親がその領地も支配し、逃げた領民達は戻ってきたという。

ズタとヨーコはアパートの入り口で話していた。最近どうしているのか?なぜここにいるのか?など。

バリエリルがそんなところもなんだから、上がってもらえば?と促す。
では上のティールームに行こうとなったが、見回すと、いつの間にかうちに帰ったはずの者、店の用意をしている者まで集まってきている。

上のティールームは明らかに狭すぎる。

バレエリルはガジエーナとザックバルトに目配せし、
「少し待ってくれ」
とヨーコに言って3人で外に出た。

と、外にデカイ物音が続き、
「皆こっちですよー」ガジエーナが呼びに来た。

向かいの空き地に平屋建ての・・・
そっけない一軒家?

中に入るとテーブルとイスが。100人は収容できそうな広さである。
生木のにおいぷんぷんである!

ルイーズがアパートの魔人達を呼んできて、ティルームをこっちにしてほしいとお願いしている。あっけなく了承され、魔人達は魔法で備品を全て転送させ、茶菓子の用意を始めた。

「さあ、座れ。そして話すのだ。」ザックバルト。

ヨーコは観念し、冒頭の2人のことやらズタの家のことを話した。
ズタの親が独立を果たし、その後、元居た領をズタの親が得た後、ヨーコ一家は王都に出てきた。
ヨーコとズタの婚約を一方的に破棄されたから。

「んじゃ、こんな田舎に居なけりゃならない理由など無い。王都に出て一旗揚げよう!今がチャンスだ!」
と、山師な親父さんであった。
ヨーコは王都で学校に入った。
親父さんは目先の収入がほしかったので防衛軍の事務方になった。
で、全然家に帰ってこなくなり、そのうち「魔都に転勤だ。本部の移転なんで拒否できねぇ」と連絡があったきり。

ちなみに防衛軍の上層部のブラック過ぎる労働環境は同盟内では超有名である。トップとその周囲が最も忙しいのが同盟内各国の官民各組織だ。

ヨーコの家族は父の転勤先に引っ越した。父は相変わらず忙しいが、防衛軍本部の近くに家を借りられたので夜中には帰ってくるようになった。
ヨーコは魔都の学園に入った。そして仲間と知り合った。

ズタの親は領地を得たあとは忙しかった。ズタと話をする暇もとれないほどであった。
幸い、その後防衛軍が軍と警察を担うことになったので領の負担は激減することになり、幾分楽になった。
今まで自分達が搾取される一方だったので、税は極力とりたくない、というのがズタの親の方針。なので人頭税定額と、外部から来た商人や移住ではない商人達への許可証代のみを取っていただけだった。

領民は多くない。戻ってきた領民は半数程度で、のこりは逃げた先に落ち着いた様だった。
なので人手が無く生産性もさほど上がっていない。
空き農地や空き家も多いので移民を呼び込んでいるが、田舎なので農作物の売価もさほどよくない。
領都も人が少なく寂れている。
そして、ズタの親が後から知ったのだが、ズタとヨーコの婚約破棄に反感を買われた。

ズタ親が反領主派をまとめたのも、領主が燃やされてから領民が一気に逃げ出したのも、ズタの親が領地をぶんどれたのも、ヨーコの両親の協力があったことが大きかった。

>「んじゃこんな田舎に居なけりゃならない理由など無い。王都に出て一旗揚げよう!今がチャンスだ!」

こんなこと言って一家で田舎を軽く出ていってしまうおやじなのだ。そしてそれに当然のようについていく嫁さんと娘なのだ。
人望あるだろう?

ズタの家の領民は領を出ていかないだろう。一度出ていって戻ってきたくらいなのだ。
しかも税は安く、領地経営の費用の半分以上はズタの親が自分で稼ぎ出している分から賄っている。
それを領民はわかっている。

が、
結果、ヨーコ一家を追い出した形になったのは許せないことであった。
今のこの状態は、ヨーコの両親のおかげでもあるのだ。ズタの親だけであったら到底無理だったというのが、領民達の見立てであった。


「そのズタの親父を叩きのめせばいいんじゃない?」ルイーズ
「・・・母、なんです」ズタ
「・・・お父様は?」
「母を手伝っています。目立ちません、そういう人で・・・。木こりだったらすごく有能なんですけどね。」
皆???である。なぜそういう2人が結婚したのか?


それはそれとして。

「では、あなたのお母様は反省したのですか?」ザックバルト
「多分。そういうの口に出せる人ではないので。昔ならまだしも、今の立場になってからはもう頑固一徹で・・・。」
「で、ヨーコを連れ戻してどーすんだ?おっかさん許さないんだろ?」A子

ざざざざざーーー!!

一気に全員がそのテーブルから引いた!!

「・・・あなた、誰?」ヨーコ

「あ?知らない?ならば名乗ろう!そこらの者はそのめんたまかっぽじってよくぞ見ろ!10日Run者は音にも聴け!!我が名は一之江A子だっつ!!!A学園学園長かつ、冒険者だっつ!ギルド職員時代にはタカシとイサムを配下に置き、今は勇者タカシをこき使う冒険者学園長とか私のことであるう!!!」

とテーブルの上に仁王立ちになってえっへんしながら特製口上を述べたA子。

部屋のどこを探してもB子もC子も見当たらない。
A子、脱走してきたのか?!

「いやな、イサムんとこ行ったら、ここが面白いって聞いて来てみたらまさに面白い真っ盛りじゃないか?ラッキーだったよ?」A子
暇過ぎるおばはんか? つか、相変わらず暇つぶしにはイサム、になっているなー

「でもな、ひどいよな?どこの領だ?ん?」A
「元名も無き僻地の手前領です」ズタ
きいたことあるな?とA子
腕組みして考える。考える。かんがるう。

「あ、うちの隣じゃねーか?」A
「え?」ズタ、ヨーコ
「ほれ、さっき言ったろ?一之江って。」
「あ、改名したんですか?」
「ちげーよ、1-Aだから一之江なんだよ!」
・・・・・・・・ぽん!
「「なるほど」」ヨーコ、ズタ

「おまえんとこ、今どん底だろ。今うちの領から毎月物資援助しているってよ」A
「・・・おはずかしい、ありがとうございます。そのとおりです」ズタ

「いや、うちだってど僻地の田舎で、最近まで一日二食、ご飯1杯と味噌汁と漬物だけがふつーだったからおなしだ!」

(・・・かならずおかずまであるウチが贅沢しすぎなのか・・・。うちより貧しいところから援助してもらうって・・・)
と、悩むズタ。

「あの、失礼ですが、1-A領は税金どのくらいですか?」ズタ
「あ?今は取ってないって。」
がびーんん!!!
ズタ、もうメンタルずったずった!!!

おかずも無い食事してる領主が税を取っていない?しかもそこからおかずを毎食食っているうちが援助して貰っている側?!!!

さすがにこの世界の子である。
そんな自分と、自分の家族にブチ切れた。

「ちょっと今から帰って親をどつきまわってきますわ。」
ふらっと立ち上がるズタ。

「お?おもしろソーダな?一緒に行ってやろうか?というか、連れてけ。見せろ。というかおまえ転位とかできいないだろ?つーか空も飛べないだろ?」
「え?はい、でも誰もそんなことできませんよね?」ズタ

その言葉の直後、全員その場で宙に浮き、ふわふわ漂ったり移動したり。シュンシュン!!と部屋内で転位を繰り返す者も多い。

目をこすっては見返し、見ては目をこすることを繰り返すズタ。
僻地なので中央の情報も入ってこないのだろう。しかも安全地域なのだろう、防衛軍も最小編成しか配置していないんじゃないか?なので魔法なんぞ見る機会もなかったのだろう。おかわいそうに?
隣んの領地(1-A)は今はすんげーってのに♪

「どうする?相方の方は行くのか?」
A子はヨーコに訊く。
「行きません。」
がっくり崩れ落ちるズタ。そして同様に崩れ落ちたのが別空間の禿ジジィ。ヨーコがズタとくっつくと期待していたのだ!!

んじゃいくぞ!
シュン!!

A子とズタは消えていった。

「なんか意味あったんですかね?彼がここに来た意味」ザックバルト
「事実を知ったことが大きのではないですかね?傲慢で贅沢な自分ちが、謙虚で質素でびんぼな家から援助してもらっていて恥とも思っていない、っていう事実を知ったことが。」ルイーズ

いやおかず1品を贅沢ってのはいいすぎだと思ふ今日この頃はいかがお過ごしですか?

ーー

「やっていいのか?ほんとか?あとで嘘だとか間違いとか言うなよ?っていうか、おまえほんとにここんちの子なのか?」
「ええだいじょぶですガンガンお願いします。こんなデカイ邸あるから間違いなんです。昔みたいに普通の家が丁度いいんです、ウチには」ズタ

んー、じゃなにでやろーかなー、メテオ使ってみたいけど街ごとぶっ潰しそうだし、あとでB子とかに叱られそうだしなぁ、、
魔剣?いや、あれもB子に叱られるな。
ふつーのでいいか!楽しめるしなっつ!!

と、A子は物理のみで、ズタの親の住む領主邸をぶっ壊してくれというズタの要望に応えることにした。

「ふん!」
闘気(魔力ね)を矯め、全身に纏う。
かあめえはあめええええええええーーどん!
なんか出すんじゃなく、自分が突っ込むセルフ式亀波である!

どっっごおおおおおおおおぐじゃぐじゃがらぐじゃぎやごじゃがらがらどすんどんごきゃぶきゃがらがらがらどっこーーんん!!

シュン!
転位で戻ってきたA子
「なんでぇ、通り過ぎただけで全壊かよ、おまえんち弱っちすぎるよな?」

魔力タンクになるほどのA子の魔力を纏って、突っ込んでいったんだ。走り出した瞬間的に音速まで届き、衝撃波もあったし、いっぱつで倒壊しないほうがおかしい。

ズタはA子に、瓦礫を全て消してもらい、まちなかの大きめの空き家を一軒そのままここに転位してもらった。
2階建て。
部屋数はそこそこありそう。貧乏領なので客など来ないだろうし、来たって「うちビンボなので」で済ませる度量を培うべきなのだ。
現状を見極め、受け入れることができなければ先に進めない。

邸を壊す前に空に浮かべていた邸に居た者達を、その新しい家の前に降ろしてもらった。
で、金縛りを解いてもらった。
わめき出す母親=領主。

びびびびびびびびびびびびび!!
ねずみおとこばりのビンタを食らわすA子。
「まずおまえの息子の話を聞くのが先だろ?」

話を聞こうとしない奴には最もかつ唯一の有効な手段だねっ!!A子GJ!!

腫れてあんぱんまんよりもでかい顔になったズタの母親。
周りの者達も、気の毒そうな顔をしている者はいないし、A子の行為を怒っている顔の者もいない。

ズタは説明した。
「それじゃ私達はもっとビンボな生活をしろというの!?!」
いや、1ーAを見習って同じでいいだろ?で、頑張って食えるようになったらいくらでもおかずを増やせよ。
息子の話が納得できずいろいろ言い訳したり明後日な反論して自我を保とうとする母親に、

「あんたじゃだめだ。あんたが居る限り、この領はよくならない。だんな。あんたが領主やればいい。息子が右腕になるだろう。あと、やり方はわからんだろ?防衛軍に聞いてもいいし、冒険者ギルドに応援貰ってもいい。使える奴を送ってくれるだろう。もしそれでもだめだっつーんなら、魔都のA学園に救援乞え。私がどーにかする。」A子

「と、その前に」
A子はここに来ている防衛隊の隊長に念話を送って呼んだ。
シュン!
「A子さん、来てたんですか?」
「今さっきなー。あんたら、なぜこんなんなるまで放置?」A子
「いやー、話聞かない人に言うのっていいにくいっすよね?」隊長

「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
一家3人声もなく。

「な?これがもし息子だとしたら。隊長、もし息子が領主になったら?」
「そりゃ助けますね。それなりに聡明だし第一話を聞くことができる者です。」隊長
「だそーだ。これからは安泰だぞ?」
ぷるぷる震え顔が真っ赤になっているズタの母=領主

「あ、あと、あんたが領主辞めないってんなら、今後一切援助しない。俺は1-AのA子だ。知っているだろ?」
え?!!と驚く母親。で、まじか?みたいにジロジロA子を見る。
でもわからない様子。
だよなー、つか、今まで会った事ないんじゃね?見てもわからんだろう。

「おまえ、謹慎していろ」
ズタは数年ぶりに父親の声を聞いた。
母は父が言葉を吐く時は絶対だと言うことを知っている。しかも間違ったことを今まで言ったことがない。

ズタの母親は大きく口を開き何か言おうとしたが、何の言葉も出てこなかった。
何を言っても言い訳かわがままでしかないからだ。
あきらめ、口を閉じ黙った。

「んじゃ、ここはこれから2-Aな?二之江ってこう書くんだ!」
と、地面に棒でデカく二之江って書いたA子。

「いいな」おやじ
「おやじがいいというのなら」ズタ

一之江の隣に二之江誕生であるw





** 訂正について **

呼んでくださっている方々に、
ごめんなさい!!

下260話くらいからの引退村の若者たちとその集団デート相手達のカップリングがごっちゃに成ってきてまして、ごめんなさい!
近々直します。一番最初ので行きます。
惑わせてしまって申し訳ありません!!

この作品にまともなんざ期待してねーよ!という豪快な方がいらしたら、それはそれでありがとうございます!!

なんか「おかしいぞ?、これは明らかにギャグじゃないよな?」という場面にきづいましたら、どうかご一報のほどお願い申し上げます。ギャグと紛らわしい場合は放置でお願いいたします、きっとギャグなんでしょう・・・w。いえ、直すの面倒くさいからとかじゃないと思います、きっと。

それでは、これからもどうか宜しくお願いいたします!!
                                      ゆに


ちなみに、ゆにりばーす、という言葉がありまして・・・
リバース=吐く
ユニがつくので、反対側でもどっちでも、みたいな感じになり

リバースか、それをのむ?くう?とか、といういみだとかないとか・・・


                                    うそです

食事中の方、ごめんなさいでした。
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