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下−95 魔王、冒険者に成る!!

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魔王は夢を見ていた。


「お??」
人間の少年。革の胸当て、金属の手甲、脚絆を付けている。
腰には、魔王としては短い剣。でも普通の人間であれば、この程度が良い所だろう。

目の前には森。後ろには畑が広がる。
自分の立つところは土の道。荷馬車がやっと通れるくらいの。
そこから目の前の森に入る細い、人が歩くだけの細さの道。

むつかしいな、、、
よくわからん、、
と思いつつも、、
なんかこの道に入っていけ、って感じだ。
でも人間だろー?魔法とか使えるのかな?力なんか弱いだろーし、、、皮も無いに等しいので魔法で強化できなきゃぶどうの皮よりよわいんじゃね?

魔王は、初めて「人間」がどれだけ弱いのか?その怖さを少し感じはじめた。

うーん、、、その体で気を、魔力を練るのはなかなかできない。
やっと少しできるようになって、気付いたら夜になっていた。
仕方がないので、道の畑側にあった太い木の下で焚き火をする。
弱い獣や魔獣の牽制になる。強いのは、人が居ると知って来る場合があるが、こんな森の縁にまずいない。
魔王だからそこらはよくわかっている。


翌朝、
・・・・おや?
目の前に結構な数の獲物が討たれてころがっている。
振り返ると、木の枝には「食える獲物」が、首を切られ後ろ足を枝からぶらさげられている。血抜きされている。

その下に、幹によりかかって、小僧が寝ている。
剣を抱えてねいているので、剣士か。

仕方ないので、薪を集め、火をおこす。魔法使えるようになったからね、少しだけ。(魔王基準)
枝からうさぎを一つ取り、皮はいで縦にぶった切って2つにして、太い枝に刺して焚き火の外側に刺す。炙り焼き。
たまに前後をひっくり返す。時間かかるが、そんなのいくらでもあるだろう。

朝霧もすっかり消え、空気も暖かくなり始めた頃、
う、うーん。とかいい出し、少し経つと、その小僧の目が覚めたようだ。

「お、いい匂いだな、焼いててくれてるのか」
「おう、もう少しだな」

小僧は焚き火の側に来た。
革袋の水を飲み、それを魔王に渡す。
魔王は自分が革袋を持っていないことに気づき、渡された革袋の水を飲み、返す。

小僧がまた口を開く
「オレは、、、、おれーはー、、、、誰?、、、ここ、、どこ?」
・・・・
「お前もか、、」
・・
「何?おまえも?」
・・・・・・

「あー、ここの神が何をしたいのかしらんし、、というか、多分オレは夢見てるんだけど。最初に夢だと思った、、と言うか感じたと言うか、、リアルでは魔王やっている」
・・・
うーんうーん、と何か思い出そうとしているのだろう、、
「やっぱだめだ、、オレは何も覚えちゃいねぇ、、、まぁ、あんたが魔王ならオレはユーシャでいいかな?」
・・・逆に考えるんだ!!メフィみたいにっ!!!

「おう!魔王と勇者のコンビか!!!最強だな!」
「「あっはっはっはっは!」」

で、それぞれ、魔法や剣がどのくらいできるのか?とかやってみた。
ユーシャは、剣は
木を蹴って、落ちてきた木の葉を20枚ほどキレイに斬れる。魔法はいまんとこできない。
魔王は、剣はぶっ叩くもの、程度。でも力は強く、一抱えの木の幹を、切ると言うか剣でぶった折る?
魔法は昨日まる一日の成果で、そこそこ強い魔獣の集団くらいまでならイッパツ。でもそう何度も使えない。魔力量が少ないから。
少ないんで転移とか魔力を多く使うものは無理。

「まぁ、、そこそこだよな?俺達コンビなら」
「あー、、まぁ、、悪い方の魔人とかに遭いたかないけどな」
「魔人は良いのもいるのか?」
「・・・・オレの世界は、良いのが基本。たまに変なのが出るが、改心しなければ燃やす(イサムがw)とか、だな」
ふーん、、、

「あ、んじゃ悪い人間は?」
「あー、そういうのは全部人間の勇者が退治してくれたなー。オレ何もしないでよかったw」
ふーん、、

森に入るのもなんだなー、
獲物あるんで、売りに行く?オレもカネ持ってないみたいだし、、
と、
2人で獲物を大量に担いで街に向かう。
試してみたら走れそうなので、2人で走った。
そのうちなんか意地になりはじめ、競争になった。


でかい城壁に囲まれた街の入り口、衛兵詰所。
ドドドドドドドド!!
遠くから地響き。

なんだ?!魔獣の群れか?!!
と衛兵達がビビりながらもその方向を見たら、、なんかが山のような2つが、すごい勢いでこっちに向かってくる。
???
その山の下は人のようだ。
あ、どんどん見えてきた、すげー速度だな?

ああ、上の山になってるのは獲物か、、、なるほど、
・・・・
「ちっげーーよっつ!!!なんだよあいつらっつ!!!」

怖いので、その「獲物を売りに来た」という少年2人をそのまま通した衛兵達。
「売るのなら、ギルドが便利だよ」と教えてあげた衛兵。

ギルドで買い取ってもらえた。
その際、登録してから売ると少し高くなるよ、と言われたが
「オレら、名前わからん」と正直な2人。

「また?最近多いのよねー」困惑するギルドの、、ガタイのとても良いおねーさん。元冒険者だなー。
なので、太郎、次郎、で登録。
どっちが太郎になるのか揉めたが、自分の世界を知っている魔王が上だ!って言い張って通った。

「珍しいわね?自分の居た世界を覚えているなんて、、天界経由なのかな?」そのマッチョ姉。

「イサムと一緒かな?」ま
「え?イサム?」ゆ
「ああ、オレの世界のユーシャだ。いいやつだぜ?」
・・・・
またうーんうーんと悩みだす新名次郎。
名字は「新名」でいいかw

「あ、、、いや、、あれはちがう、、うーんうーん、、、、、お?、、やー、ねぇな、、、うーんうーん、、」
なんか、悩み方もイサムやタカシみたい?と思った魔王。

「おまえ、生まれ変わりのユーシャじゃねーの?」太郎(魔王)
「!!あ!そうだ!!!天界の詰所に!」
「待機場所だろ?下界ビジョンとかあって」
「そーそー!あれ面白いんだよな!初めてみたけどさー・・・・・・・
なぜ、魔王様がしっておるんでしょーかね?」次郎

「そりゃイサムがみんな教えてくれてよー、、しかもオレらの魔神と一緒の世界だろ?天界。」
「・・そーなの?」
「ああ、新年のときの年神なんか、見繕いに天界に行って一匹引っこ抜いてくるんだ。」
・・・・・大根?

「へぇ、、んじゃ、あんたら、魔王と勇者のコンビなんだ?面白いねぇ!!」マッチョね
「だろ?」
「へへへっ」

「漫才師みたい」まっちょね
そっちのおもしろいかよ、、

カネも名前も得たんで、
「飯食いに行こうぜ!酒ものみたいなー」
「ああいいな、、蕎麦屋に行こうぜ?」
・・・・・・・
少々不安になった太郎(魔王)

そして、蕎麦屋に入って食って飲んで、、、

次郎が絡みだして、、暴れ始めた、、、

A子じゃん、、、



「という夢を見た」魔王
・・・・・
「お疲れ様、、、」イサム
「魔王様、、、プロレスがいけなかったんですかねぇ、、」メフィ
楽しそうなタカシ

そこ、、魔物の森の宿の食堂にいた他の客達も、その話は聞こえた。
皆の目は、とてもかわいそうなモノを見る目になっていた。

「あ?、、、いや、、、そうだよな、、、よかったよ目覚めて、、、」ま
「うん、救われたな。・・・でも、、」い

いや、それ以上言わんで、、こわいから、、
魔王は夢の続きを見たくなかったのだ。
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