天使な狼、悪魔な羊

駿馬

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第11章 天使と悪魔が交わる時

7.4日目は月見風呂 ※R18

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「いってぇ…」

俺が目を覚ました時、俺の隣でシェニカは気持ちよさそうに寝息を立てていて、窓の外は薄っすらと明るくなっていた。


何故か左頬がものすごく痛い。
なぜこんなにも痛いのかと記憶を辿ると、組み敷いていたシェニカとヤろうとした時、いきなりこいつが猛スピードの右ストレートを繰り出してきやがった。

こいつを抱くことだけに意識を取られていた俺は、こいつの右手に注意を払っていなかった。完全に油断していた。


「いったいどこであんな右ストレートなんて覚えたんだよ…。あ~ぁ。俺まで殴られて気絶して情けねぇ」


『黒い悪魔』のシューザがこの右ストレートの餌食になった光景を思い出した。

予備動作の少ない渾身の右ストレートはものすごく速い上に、非力なこいつのどこに男を吹っ飛ばすほどの力が隠されているのか謎だ。
腕の届く至近距離にいると、こいつの右手に注意を払わねばいけないだろう。



「あれ?ルクト起きたの?」

俺の呟きに気付いたのか、隣で眠るシェニカは目をこすりながらゆっくりと身体を起こした。
ここに来てから数日間、ずっと抱き潰していたから裸だったのに、今はワンピースを身に着けている。

ーー俺が見たいのはワンピース姿じゃねぇんだよ。お前の裸が見たいんだから、夜は全裸かバスローブで過ごせばいいのに。その内、こいつに着ても無駄だと教え込まないといけないな。



「なぁ、左頬がすっげぇ痛いんだけど」


「あ…。えっと、殴ってごめん。あれは不可抗力というか…。とりあえず治療魔法かけるね」

シェニカはバツの悪そうな顔をして、俺の左頬に治療魔法をかけた後、俺の左手の人差し指の指輪にも治療魔法を補充していた。どうやらあの右ストレートの痛みは、指輪の治療魔法だけでは足りないものだったらしい。どんだけダメージがあるんだよ。

非力なこいつに、どうやってあれほどの殴り方が出来るのか不思議で堪らない。
絶対こいつに教えた奴がいるはずだ。そいつに会って、文句の1つや2つ、3つ4つ…色々と言ってやりたい。


「謝らなくていい。その代わり、あの右ストレートは誰に習ったか教えろ」


「右ストレート?」


「俺やシューザを殴ったやつだよ」


「習ってないけど?ただ、怒りが込み上げた時の力の入れ方を教えてもらっただけなんだけど」


「そのやり方は誰に教わったんだ?」


「あははは!気になるんだったら、そのうち会わせてあげても良いよ」



殴られたことでこいつの近くに居るのが少し危険と感じた俺は、最終日はこいつの希望通り、日中は魔導書を読ませたり、風呂に入らせたりした。するとこいつはすこぶる機嫌が良くなったのだが、反対に俺はやることはないし、こいつを抱けなくてイライラが募っていった。


そしてその夜。

ようやく待ちに待った夜が訪れた。一緒に夕食を食べ、後は風呂に入ればベッドへ直行だ。 



本当は風呂なんかよりもすぐにベッドに連行したいところだが、風呂を邪魔したことを怒ったこいつにまた殴られたくない。シューザがこいつに殴られてから、かなりプライドが傷き『何かの拍子にまた殴られたら…』と戦々恐々としていたが、今なら俺もその気持ちが分かる。


傭兵の中で一番ランクが上の『赤い悪魔』や『黒い悪魔』が、非力なこいつに一撃で殴り飛ばされて気絶するハメになるなんて誰が思うだろうか。プライドがズタボロになって、とりあえずこいつの右手の届く範囲には近付きたくない。
だが俺はシューザと違ってこいつの護衛であり、俺の女なんだから離れることなんて絶対にしない。


少々計画に修正を加えることになったが、俺はシミュレーションの1つを行動に移すことにした。


「なぁ。今夜は満月だな。風呂に入りながら月見といかないか?」


「月見風呂かぁ。良いね」

俺の計画なんて知らないシェニカは、楽しそうに笑った。昨日の右ストレートのせいで、昨晩できなかった分と日中出来なかった分を取り返さないといけない。

覚悟しろよ?



「じゃ、一緒に入るか」


「え?」


「俺達の関係なら、別におかしなことじゃないだろ?」


「あ、う、うん。そうだけど…」

互いの裸なんか散々見ているのに、シェニカは顔を赤くして照れた。



「ん~~!!何度入ってもいいお湯ね。お肌がツルツルのスベスベになるっ!流石美肌の湯って感じ!満月が照らす月見風呂もオツなもんね~」


「お前、そんなに美肌が良いのか?」

湯船に入り足を伸ばすと、シェニカは俺の隣に同じように足を伸ばして、真ん丸の月を見上げた。
湯が白いせいでシェニカの身体は見えないのが残念だが、黒髪をタオルでまとめ上げて露わになったうなじに思わず視線が行く。


「うん!やっぱり女性は美容と健康に敏感なんだよ?こうして旅をしていると、気候の違いとか乾燥とか日差しとか、色んな原因でお肌が荒れたりするんだ」


「へぇ~。そうなんだ。お前の治療魔法なら治せるんじゃないのか?」


「もちろん治せるけど、お肌の手入れのために治療魔法を使うのはねぇ…。だから薬草を調合して保湿クリームとか化粧水を作ったりして、患者さんにあげることもあるんだよ」


「ふーん」


「保湿に効くのはバルアルガっていう貴重な薬草が一番良いんだけど、産地が限定されてるし価格も高いから、普段はミミニータっていう薬草を使って作るんだ。この薬草をね……」


シェニカは熱を込めて保湿クリームの話や化粧水の話を始めた。
俺の気のない返事なんてまったく気にすること無く、うっとりした様子でずーっと喋っている。俺はそんなシェニカの話を適当に相槌をうちながら、白っぽい湯の中にあるこいつの身体を見た。


今は白い湯の色に隠れて見えないが、こいつが疲れて眠っている間、何度も明るい陽の下で改めてその艶めかしく美しい肢体を見ていた。その度に意識のないシェニカを今にも貪りたくなるのを必死に我慢したが、こうして同じ空間に2人きり。
しかもシェニカの意識はあって、身を包むものは何もないという状況で、こいつが欲しくて堪らない俺が手を出さないはずがなかった。



「……という感じで保湿クリームと化粧水って作るんだよ。最近は男性でもお肌を気にする人が多くなったんだ。
前は貴族の若い男性が良く治療院で保湿クリームや化粧水が欲しいって言いに来ていたんだけど、最近は商人とか普通の民間人の男性、傭兵までも希望するようになったんだよ」


「へー。なぁ。こっちに来いよ」


「こっちにって…?」

シェニカの長い話がやっと一区切りついたところで、俺は次の行動に移り始めた。


「俺の身体の上にだよ。俺の上に跨って俺に抱きつけ」


「そ、それくらいなら。いいよ」

シェニカは顔を赤くして俺の言った通りに足の上に跨って、俺の首元に顔を寄せて来た。
黒髪をまとめていたタオルを外し、いい香りのする髪に口づけ、額飾りの5色の宝珠にぞれぞれ『ちゅ』っと音を立てて口付けた。


「なぁ、この額飾りって外さないのか?」


「外せるけど、基本的にはどんな時でも外さないように決められているんだよ」


「へぇ~そうなんだ」

そうしていると俺の胸の辺りに、柔らかな弾力を感じる。気持ちがいいくらいの感触に、自然と身体が反応してきた。


「ね、ねぇ。あの…」


「なんだ?」

俺の半勃ちになったモノがこいつの太ももに当たっている。
シェニカが何を言いたいのかは分かるが、元々照れ屋らしいこいつがどういう反応をするのか、敢えて意地悪をしてみたくなった。


「なにって…。ここじゃ何もしないよね?」


「なんだ。して欲しいのか。じゃあ期待に応えてやろうか」


「えっ!いや、期待してないからっ!ん~~!」

シェニカの背中に腕を回して、舌をねじ込んで深いキスをした。
顔が真っ赤になったシェニカは、唇を離すともうのぼせ上がりそうなのか、短く呼吸を繰り返していた。


 ーーここにいたらこいつが倒れるな…。早くしないと。

夜はまだこれからだというのに、こいつが早々に倒れてしまっては話にならない。



「落ちないようにしっかり掴まってろよ?」


「え?ちょ、ちょっ…!きゃあっ!」

シェニカを抱き上げて浴槽の木の縁に座らせて脚を左右に大きく広げさせれば、シェニカは慌てたように身体を捩り始めたが、俺はこいつの足を掴んでちゃんと警告しておいた。


「おい。防音の結界張っといた方が良いんじゃないか?」


「えっ!あ…。う、うん」

防音の結界を張ったのを確認すると、俺は目の前に晒されたシェニカの秘所を片手で開いて顔を寄せ、割れ目に舌を差し込んだ。敏感な突起を吸い上げ、もう片方の手をシェニカの胸に伸ばして揉みしだいた。



「あっ!やだっ!そんなとこやめてっ!あ、ああん!」


「ここは随分と弱いなぁ。ちょっと触っただけで簡単に濡れる。媚薬なんてもう使う必要もないな。
でも、今度使う時は少し強めの媚薬を使うのも良いな。お前がどんな風になるのか興味あるし」


「あぁぁっ!!や、やぁっ!そんなところ舐めないでっ!」


「舐められたり、吸われると気持ちが良いクセに。焦らされたくなかったら、どうすればいいか分かってるよな?」


「あ…うっ!あ、あ、あ…。き、気持ちがいいからっ!もう、舐めなくて良いっ!」

シェニカの気持ち良さそうな声を十分に堪能した後は顔を離して、蜜壷に指を入れてかき混ぜた。
十分過ぎるほどに溢れ出た蜜を指に絡ませて、ペロリと指を舐めた。



「もう十分だな。おい、俺の上に乗れ」

不思議そうにするシェニカの手を引いて風呂の中へと下ろし、脚を伸ばした俺の上に跨らせた。張り詰めたモノが太ももを何度か往復すると、流石に俺の意図が伝わったらしい。


「えっ?ここでするの?」


「こういうのも悪くないだろ?」


「せ、せめてベッドで…」


「待てない。とりあえず1回目はここでやるぞ。ほら、自分で入れてみろ」

俺はシェニカの身体を支えながら顔を見れば、まだ慣れないのかあたふたと慌てている表情が見れた。
その表情は、まるで左右に好物の餌が置いてあって、どちらを先に食べようか悩んでいる小動物のよう見えて、可愛くてもっといじめたくなる。

身体を掴まれて逃げられないシェニカは、観念したのか恥ずかしそうに目をギュッと瞑って、硬くなっているモノにそっと触れて上から挿入しようとした。


「うーん。まだよく分かんないな…」

だが今回もなかなかうまくいかないらしく、先端が擦れてこちらは焦らされている状態だ。

ーー早く挿れたい。早く挿れてくれ…!早くお前を感じたいんだよ!



「なあ。わざとか?」


「わっ、わざとなわけないじゃない。まだこういうの慣れてないの!経験豊富なルクトと一緒にしないでよっ!」

シェニカは顔を赤くして焦ったように、掴んでいた俺のモノをギュッと握りしめた。突然のその刺激に、思わず出そうになる声をプライドをかけて眉をひそめるだけにして耐えた。


「くっ…。じゃあ、手伝ってやるよ」

仕方ないのでこいつの手を誘導するように手伝ってやると、思った以上にすんなりと入った。
どこをどうすればあんなに苦戦するのかと思うと、やっぱりわざとやっているんじゃ……と思うに至り意地悪をしたくなった。


「あ…。ん…。ルクト…」

1つになった身体を抱き締めて、ゆっくりとシェニカの身体を突き上げ始めた。出会った頃より少し伸びて濡れた黒い髪がシェニカの白い首筋にくっついて、なんとも扇情的な感じだ。
手を伸ばしてうなじを晒し、耳や頬、顔の輪郭を手の平で何度もなぞれば、それだけでも気持ちが良いのか、繋がっている中がキュゥッとゆっくりと締め上げてくる。


「はぁ、はぁ…。気持ちが良さそうだな」


「あっ!ルクトっ…!そ、それイイっ!はぁ…んっ!」

少し休憩するために突き上げる動きを止め、腰を回すようにしてシェニカの深い場所をグリグリと擦るようにすれば、気持ち良さそうに眉を寄せて色っぽい吐息を吐いた。


「こうされるのが好きなのか。なら、もっとしてほしいか?」


「うん…。もっと…して」

シェニカは恥ずかしそうに素直に頷くと、俺の頭を抱き込むように縋り付いた。
そのおかげで俺の目の前にはシェニカの胸が迫り、その先端に噛り付いて舌先で遊んだり、吸い上げたりした。


「あぁぁぁん!あぁっ!やぁっ!ルクトっ…!」


「ここも弱いな。こうやって弾くだけでお前の中が締まって堪んねぇ」

シェニカの赤くなった胸の尖端を指でピンと弾けば、ビクンと身体が跳ねて中がギュッと急に締め付けてくる。もっと快感を貪りたくて、突き上げる動きを再開させた。



「あっ!あっ!ああんっ!」 

下半身全体を押し付けるように身体を使って突き上げれば、シェニカの口からは気持ちの良さそうな声が出てくる。


「ルクトっ!あ!あ!そこイイっ!」

素直に快感を訴えるシェニカは、いつもの姿から考えられないような色気が滲み出ていて、俺はクラクラと酩酊させられる。


初めて抱いてからこの数日で、シェニカに今までなかった色気が出た。
それは嬉しい反面、他の男までもっと惹きつけるであろうことは明白で、それは俺にとっては頂けないことだ。これからは身の程知らずを近付けない様にさらに威嚇しなければ。

シェニカのイイ所を重点的に責め、目の前で揺れる柔らかな胸の頂に吸い付きながら、片手で揉みしだいた。


「あんっ、あ、あ、あああん!」


「っ!そんなに締め付けるなよ。イくだろうが」

絶頂が近いのか、シェニカの呼吸は荒くなりぼんやりとした顔をしている。俺を受け入れている中が、時折ビクビクと俺を締め付けてくるのが堪らなく良い。
こいつの絶頂した時の締め付けは、快感を貪っている俺にとどめを刺すように刺激的だ。


「だって…。だって!私、もう…!あぁ…」


「イかせてほしいか?」

今にもイきそうなところまで追い込んで、ピタリと律動を止めるとシェニカは悲しそうな顔をして俺に哀願の目を向けてきた。欲しがる顔だけじゃない、言葉も欲しい、もっと俺を求めて欲しい。



「意地悪しないでよぉ…」


「なら言えよ。俺が欲しいって、イかせてほしいって」


「そんな恥ずかしいじゃないっ!」

まだ反抗する気力があるシェニカをいじめるのも楽しみの1つだ。理性が完全になくなるまでは、これくらいの反抗は許してやろう。


「ならこのまんまだな。じゃあ自分で動いてみな」


「そんな…」

シェニカは腰をもどかしげに動かし始め、俺自身をゆっくりと刺激し始めた。


「は…。ん…。ルクト…意地悪しないで…」


「ほら、自分で身体を持ち上げろよ」

シェニカはぎこちない動きで身体を揺らしているが、なかなかイイところまでいかないらしく、次第に懇願する目で俺を見始めた。


「焦らされるのは好きか?そうじゃなければ早く言った方が良いんじゃないのか?」


「ば、馬鹿ぁっ!意地悪なんだからっ!」


「ほら、どうしてほしい?」

俺はシェニカの中を浅く突くと、そんな小さな動きにもシェニカは快感を受け取ろうと、ビクリと身体を跳ねさせた。
だが、欲しい快感を得るにはあまりにも小さくて、シェニカは物足りなさに腰を揺らした。


「ルクト、イカせて…。ルクトが欲しいのっ!」

恥ずかしさでなかなか言わなかったシェニカも、とうとう我慢が出来なくなったようだ。


「やっと言ったな。ご褒美にちゃんと良くしてやるよ」


「あっんっ!はぁんっ!あ、あ、あぁっ!!ルクトっ!ルクトっ!!」

シェニカを突き上げる度に、甘い嬌声と悦びの涙が飛び散る。
腰の動きと連動してバシャバシャと浴槽から湯が跳ねるが、もうイく寸前のシェニカはそれに気付いてなさそうだ。


「はっ!っく!堪んねぇ…っ!」

シェニカがよがり狂う度に、中も俺を早く果てさせようと激しく締め付けてくる。
過去の経験と比べても比較にならないくらいの、精神的にも肉体的にも満たされた悦楽の海に俺は抗うことなく身を投じた。


「も、もう、イくっ!イッちゃうっ!あああーー!」


「ーーっ!!!」

シェニカが俺の首に腕を回して縋り付き、泣き叫びながらとうとう絶頂を迎え、俺もシェニカの中で精を吐き出して果てた。


「はぁ、はぁ…」

荒い呼吸を繰り返しながらも、身体の奥底から湧き上がる充足感に思わず頬が緩む。シェニカの頬を伝う涙を舐め取れば、俺の背中に腕を回してキスをせがんできた。


「大好き、ルクト…。ん…」

『俺も好きだ』と言いたいが、言葉にするのはやはり多少の照れくささがある。だから言葉で答える代わりに、俺の気持ちが伝わるように、優しく丁寧に唇を合わせて舌を絡め合うキスを贈った。
自分が照れくさくて言えないからこそ、こいつにそれを言わせることで、俺はとても安心できるし満たされる。



顔を真っ赤にしたままのシェニカをこのまま風呂に居させる訳にもいかないので、抱き上げて風呂から出た。脱衣所に下ろしてやると、既にシェニカはのぼせていたらしく、フラフラと今にもへたり込みそうな足取りになっていた。


「そのままで良い。とりあえず身体を拭くから大人しくしとけ」

脱衣所に置いてあった籐の椅子に座らせると、バスタオルでこいつの身体を拭き始めた。


「ル、ルクト?じ、自分で出来るよっ…!」

濡れた髪、顔、首、腕、胸、足を拭き、最後に足を大きく広げさせて足の間や尻も丁寧に拭き上げようとすると、照れているのか焦ったように声をかけてきた。


「ここじゃもう何もしないから安心しとけ」

俺がそう言うと、シェニカは諦めたのか恥ずかしそうに目を閉じて、俺がくまなく拭き上げるのを受け入れていた。


「ベッドまで連れて行ってやる。大人しく捕まっとけ」

こいつの身体を拭き上げた後に自分の身体を雑に拭いて抱き上げたのだが、こいつの身体はポカポカを通り越えて熱いくらいだ。


ーーいじめすぎたかな。ま、いいか。なんかあっても、こいつの治療魔法でどうにかなるだろ。そして、重要なのはこいつの右手だ。
右手は常に気をつけておかないと何が起こるか分かったもんじゃねぇ。



「ほら、水飲んどけよ」


「え?起きるからちょっと退い……。んむっ!」

シェニカをベッドに下ろすと、水を入れたコップから一口水を含んで、グッタリとしたこいつの上に跨って口移しで水を飲ませた。
それを何度か繰り返すと、心なしかこいつの身体の火照りや顔の赤みが落ち着いたものになってきた。


「さて、2回目をやろうか」

俺がそう言うと、シェニカの表情が完全に固まった。露骨なその態度に、思わずプッと短く笑ってしまった。


「は?あの、私…お風呂でのぼせててね」


「知ってるが。それがどうかしたか?」

のぼせ上がったままだと心配になるが、少しは落ち着いてきたんだ。昨日はこいつに殴られてヤりそびれたんだ。その分を最終日の今日取り返さないといつ取り返すんだよ。


「結構フラフラで体力もあんまり残ってなくてね。さっきルクトは『ここじゃもう何もしない』って言ったよね?」


「脱衣所じゃしなかっただろ?ここはもう空間が別だから問題ないし、お前がフラフラになろうとも自分で治療魔法かければ万事解決だ」

俺はこいつの右手に自分の左手を合わせてギュッと握りしめた。これでこいつの右手は封じたから、もう殴られる心配はないだろう。



「あのね、治療魔法はこういうために使うものじゃないって言ってるの!」


「昨晩はお前に殴られた。その詫びを貰ってない」


「詫びって…!大体ルクトが私の意見を聞いてくれないからっ…て!えっ!ちょっと!本当にもう一回するの?もう休ませて!」


「大丈夫だ。お前は寝てるだけでいい。この部屋の防音の結界が切れてる。声を誰かに聞かれたくなかったら張り直せよ」

握っていた手を外してシェニカの身体をゴロリとベッドにうつ伏せにさせると、シェニカは諦めたのかため息をついて部屋に結界を張った。
それを確認した俺は、身体を倒して背中にキスをし始めた。


「ん…。は…。あ…ん」

背中や肩、うなじに優しくキスをしつつ強く吸ってキスマークをつけながら、下から上へとゆっくり舐め上げた。

しっとりと汗が滲む背中は、余計な肉はついていないが程よい弾力があって、とても触り心地が良い。
触り心地だけじゃない。どこを触っても柔らかく、俺の興奮を煽るこいつの身体はとても抱き心地が良いから、他の男にこいつを指一本触れさせたくない。治療院でこいつの治療を受ける男にも、今まで以上に嫉妬が篭った視線を向けるだろう。



「ひぁっ!あぁん!」


「背中も敏感だな。もっと気持ち良いって鳴けよ」

耳元でそう言って、シェニカの腰から柔らかい腹に向けて腕を入れて腰を少し浮かせるように持ち上げ、勃ち上がったモノを入れて身体を倒すと、ゆっくりとしたリズムで抽送を始めた。


「あぁぁん!ルクトっ!ルクトっ!!」

時折、腰を引いて深く抉るように押し込み、ギリギリまで引き抜いてまた繰り返す。俺の身体で押さえつける形になっているが、シェニカの身体は抽送の度に大きく揺れ動いた。



「んんっ!あっ!ああっ!くっ、苦しっ…!」


「俺が好きか?もっとして欲しいか?」

シェニカの耳を食みながらそう聞いてみれば、はぁはぁと荒い息を吐きながら、教えた通り素直に返事を返してきた。


「んんっ!好きだけどっ!もっと優しくしてっ!」


「じゃあ、もっと激しくしてやるよ」

そう言って自分の身体を起こして一度身体を離すと、うつ伏せのシェニカの肩を掴んで俺の方に正面を向かせた。



「え…?ちょ、ちょっと…!?」

シェニカの細い足首を掴んで上に引っ張り上げるように広げ、結合部が見えるようにして挿入した。
濡れに濡れたこいつの中を激しく抜き差ししているから、グチュグチュという卑猥な水音が嫌でもこいつの耳を刺激するはずだ。


「ほら、見てみろよ。お前がこんだけ濡らしてるから、グチュグチュ言ってるなぁ。激しくされるのも気持ち良いだろ?」


「いやっ!見せなくていいからっ!ああっ!や、優しくしてって言ったのに…っ!」

確かにこいつは『優しくして』と言ったが、素直に言ったら言ったでいじめたくなったから、聞き間違えという体を装った。


「激しくして欲しいって聞こえたなぁ。ほら、ここを触られたら随分と締め付けてきた。そんなに気持ちが良いか?」


「はっ!ああっ!いや、イっちゃう。イっちゃうっ!!あぁ!もう…。む、無理っ!あぁぁぁーーー!!」


「くっ、うっ…」

絶頂を迎えたシェニカは、泣き叫びながら俺を締め付けた。その締めつけは到底やり過ごせるレベルではないので、俺もつられて絶頂を迎えた。



「はぁ、はぁ。流石に寝たか」

俺はシェニカの疲れ果てたように眠る姿を見て、何度かキスをして隣に身体を横たえて目を閉じた。


この4日。
殴られるというアクシデントに見舞われてしまったが、夢にまで見た良い時間が過ごせた。頭の中で何パターンも組み上げたシミュレーションを実行し、ようやく念願のシェニカを手に入れることが出来たし、4日間ずっと抱いて俺を教え込ませた。


仕事に真面目で毎日忙しいシェニカは、こうしてまとまった日数の休みを取ることなんてないだろう。
身体を休ませた…とは言えないかもしれないが、疲れ果てているものの、なんだかんだで幸せそうな寝顔を浮かべているのを見ると、良い感じに事が運べたのは良かったと思う。

俺はそんなこいつの寝顔を見ながら、眠気が来るまでこいつの身体にキスマークを施した。




翌朝。宿での最後の朝食を食べ終えて、帰り支度をしているとシェニカは恨みがましそうな顔をして俺を見上げてきた。


「もっと美味しいご飯も食べたかったし、美肌の湯も堪能したかったのに…。ルクトの馬鹿っ!」


「ならもう少し泊まるか?俺は全然構わねぇよ」


「私が構うわ!これ以上仕事を休むわけにもいかないじゃない。まったくルクトは『性欲の悪魔』なんだからっ!」


シェニカが仕事をすることで助かる人は確かに多い。
だが俺の欲求不満はまだ治療中だ。俺の治療を優先してもらった方が今後のためにも良いと思うのだが、仕事に真面目なこいつは宿泊の延長はやはり考えていなかった。


「『性欲の悪魔』は性欲が旺盛なんだよ。お前が相手をしてくれないのなら、他の女で発散するしかないなぁ。良いのか?」


「う…それはやだ。でも身体が保たないよ…」


「安心しろ。回数こなせばどんどん恥ずかしさも消えるし体力もつくしで、一石二鳥だ。少しずつ俺についてくればいい」

本気でそう思ったのに、シェニカからは「本当に悪魔みたい!」と怒られるが、そんなに顔を赤くして言われても全然怖くない。むしろ可愛い。


もう宿を後にしなければならないから、今度立ち寄った街ではすぐにでも俺の治療をしてもらおうと地図を広げて日数を計算し始めた。


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