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【本編】
15.二人は互いに補い合う
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今度はエレインがメインで説明し出したので、二人はそちらに注目する。
対してサイクスの方は、もう自分の役割は終わったとでも言わんばかりに全く関係のない研究資料を眺め出していた。
どうやら彼は、かなり自由人のようだ……。
「まずロナちゃんの魔力濃度が濃い理由なんだけれど……それはロナちゃんの魔力の放出口が小さいからなの」
「え?」
今まで短所でしかなかった部分が、まさか自分の魔力濃度を上げていた事にロナリアが驚く。
「ロナちゃんの魔力は、粒子の粒が元々大きいのだけれど、魔力放出口が小さいから粒子が大きい魔力は、放出されずにどんどん体内に溜まっていってしまうの。ようするに粒子の粒が小さい魔力しか放出出来ないから、ロナちゃんの体内には高濃度の魔力が自動的に蓄積されていく感じね。すると、ロナちゃんが放つ魔法は、かなり魔力濃度が高い魔法になる。でもいくら濃度が高い魔力でも放出口が小さければ威力は上らないわ……。もしこの魔力を活用したいのであれば、今行っているように誰かに魔力を譲渡する事や、魔道具に魔力を注入する事くらいかしら。残念な事にこの長所では、ロナちゃん自身の魔法の威力を上げる事は出来ないの……。そして、その高濃度の魔力は、ドラゴン系の魔獣にとって、とても魅力的なものみたいね。きっとロナちゃんが魔法を放つと、その放たれた魔法が彼らドラゴンには『美味しそう』と感じるのかしら?」
「お、美味しそう……」
今までロナリアが、魔獣に襲われた中で一番古い記憶のフェイクドラゴンの時の事を思い出す。
確かにあの時、フェイクドラゴンはロナリアが魔法を放つのをジッと待っているような素振りをしていた。その後、ロナリアが放った氷魔法に迷いもせず食らいついていったのも、恐らく今の説明で納得出来る。
「ただ不思議なのは、それだけ高濃度な魔力を他人に譲渡すると、副作用も酷いはずなんだけれど……。それなのにリュカス君は何とも無いのよね?」
「はい。むしろロナの魔力が体内に入って来ると、凄く心地いいです」
「そう……。余程、二人の魔力は性質が酷似しているか、相性が良すぎるのでしょうね。溢れる魔力を満足に使う事が出来ないロナちゃんの代わりに、常に魔力が枯渇している強力な魔法しか扱えないリュカス君が問題なく受け取り使う事が出来る……。ある意味、二人はお互いに自分の長所で、相手の短所を見事に補い合っている関係よね」
そう呟いたエレインが、少し考え込む。
だが、今の説明を聞いたロナリアにはある疑問が浮かんだ。
「あの、エレインさん。先程、私が魔力を上手く放出出来ない原因は、魔力粒子が大き過ぎるからと伺いましたが……。それならば何故、リュカにはすんなり魔力を送る事が出来るのですか?」
ロナリアのその疑問は当然のものだった。
魔力放出口が小さいのならば、リュカスに魔力を送る際もその放出口が詰まってしまい、上手く流す事が出来ないはずだ。
だが、今までリュカスは、長く手を繋いでいればいる程、ロナリアからグイグイと魔力を受け取れている。
「それなんだけれど……。あなた達の場合、ロナちゃんがリュカス君に魔力を送っているという状態ではないのよ。正確にはロナちゃんの魔力をリュカス君の方が吸い上げているという譲渡の仕方なのよね。これはリュカス君もかなり特殊な魔力体質だからこそ、起こっている現象よ」
「僕が……ロナの魔力を自発的に吸い取っている……?」
その説明にリュカスが驚きながら、やや申し訳無さそうな表情をロナリアに向けてきた。その反応にロナリアが苦笑する。
「魔力譲渡って普通は、送る側の人間が受け取る側の人間に自身の魔力を流し込むのが主流なのだけれど……。リュカス君の場合、常に魔力が枯渇した状態だからなのか、触れるだけで相手の魔力を勝手に吸収しちゃうのよ」
「でも……誰彼構わずと言う訳ではないですよね? 少なくとも多少は魔力の相性がいい相手でないと……」
「いいえ。残念だけれど、君の場合は『誰彼構わず』よ」
そのエレインの返答にリュカスとロナリアが同時に大きく目を見開く。
「ええ!? いや……だって――っ!!」
「リュカス君は誰彼構わず触れるだけで、相手の魔力を多少なりとも吸収してしまう体質なの。でも普段はそれに気付いていないのよ。先程、ロナちゃんの魔力粒子の粒が大きいと説明したわよね? ロナちゃんのように魔力粒子が大きい人間の魔力だと、リュカス君の体内に残るから魔力を吸収した感覚はあるわ。でも一般の人の魔力粒子の大きさだと、君の大き過ぎる魔力放出口から、取り込んでもすぐに漏れ出てしまうの……。だから無意識に吸収してしまっても君には、その感覚がない。おまけに触れ合うだけで吸収できる魔力量は、そこまで多くないから、一瞬の触れ合いだと相手の方も気づかない。二人が幼少期の頃から常に手を繋いでいたのは、それだけ長い時間触れ合っていないと、リュカス君の方に魔力が溜まらなかったからでしょう?」
「はい……」
「恐らく、まだ赤ちゃんだった頃のリュカス君は、ご両親から無意識に魔力を吸収していた可能性があるわ。魔力が強い親子間だと、そこまで副作用は出ないし、あなたのご両親って元特殊魔獣討伐班のメンバーだった程、魔力の強い方々よね? それほどの魔力の持ち主なら、まだ幼い息子に魔力を吸収されていても気付かないと思う。でも成長するにしたがって、特に男の子は親子間での触れ合いが減るから、魔力測定をする時には、常に魔力が枯渇した状態だったんじゃないかしら?」
エレインの説明を聞いたリュカスは、そのまま顎に手を当てて考え込んでしまった。恐らくリュカスは、両親だけでなく二人の兄達からも魔力を吸収していた可能性がある。だがこの兄二人も両親同様、高い魔力を持っていたので、そこでも気付かれなかったようだ。
だが、まさか自分が家族だけでなく、少しでも触れた事がある相手から勝手に魔力を奪っていたという事を知ってしまい、衝撃を受けたのだろう。
そんなリュカスを心配するように今度はロナリアの方が、リュカスの顔を覗き込む。すると、少し困った様な笑みをリュカスが返して来た。
「なるほど。それでは、今まで僕が握手を求めてきた女子生徒と手を繋いだ際、体調不良になってしまう時は、その女子生徒達の魔力粒子が大きい事で僕の体内に残留していたという事になりますね……」
「そういう事になるわね。それにしてもロナちゃんだけでなく、リュカス君の魔力体質もかなり特殊よね……。今度じっくり二人の検査をさせて貰えないかしら!?」
「ええと……」
「それは、ちょっと……」
瞳をキラキラさせながら懇願してきたエレインに、二人が複雑そうな笑みを浮かべながら、やんわりと断る。
その二人の反応にエレインが、少し残念そうな顔をした。
するとリュカスが、話題を変えるようにエレインに質問をする。
「あのエレインさん、先程伺ったロナの魔力性質については、何となく理解出来たのですが……。ロナが野外で魔法を使うとドラゴン系の上級魔獣が襲ってくるという部分は、何か改善策は無いのでしょうか……」
「うーん……。今のところ学生であるロナちゃんにはないと思うわ。将来的には、そういう特殊魔力体質用の魔道具が開発されるかもしれないけれど、現状だと魔封じ効果の道具を活用するしかないかなー。でもそれだと、魔法を使う事自体を控えると言う対策だから、リュカス君が望む改善策とは意図が変わってきてしまうわよね?」
「はい。出来れば、ロナも普通に魔法が使えて、尚且つそのドラゴン系の上級魔獣が襲ってこないという改善策が理想です」
「無くは無いんだけれど……。ロナちゃん、未成年でまだ学生だからなぁ……。それにその対策案なら将来的にリュカス君によって必ず自然と成されると思うから、あと二年くらい待てば、その問題は解決するとは思うけれど……」
エレインのその返答にリュカスだけでなく、ロナリアも首を傾げる。
「将来的に自然と成される?」
「だって二人は婚約者同士なのでしょう? そういえば卒業後はどうするの? すぐに挙式かしら?」
「いえ、まだそういう話は……」
「僕はその方がいいんですけどね」
「リュカ!」
しれっと口にしたリュカスの返答内容にロナリアが、真っ赤な顔で抗議する。
その様子を見たエレインが、笑いを堪えるように口元に手を当てた。
「まぁ、カオスドラゴンに襲われた時に即行性のある魔力譲渡の方法も知られてしまったようだし……。話してもいいかなー」
「「え?」」
エレインのその独り言にロナリアだけでなく、リュカスも反応する。
「以前ロナちゃんは、瞬時にリュカス君の限界まで魔力を譲渡出来る方法は無いかと、熱心に訊いてきた事があったわよね?」
「はい。でも確か……『学生に教えられる領分内ではない方法』とかで、教えて貰えなかった気がします」
「その事なんだけれど……すでに二人共実行してしまっているのよね……」
エレインのその言葉にロナリアが、何となく嫌な予感を抱く。
「ま、まさか……それって……」
「そう。一番手っ取り早く、大量に誰かに魔力を譲渡する方法は口移し。いわゆる口付け行為でお互いの体内の魔力を一気に送り込む事が出来るの」
「なっ――!?」
「まぁ、それを何故専門分野で学んでもいない学生のリュカス君が知っていたのかは、謎だけど……」
その瞬間、ロナリアが勢いよくリュカスを見やる。
するとリュカスは、スッと目を逸らした。
「リュカ……?」
「でもそれとロナのドラゴン襲撃対策が、どう関係しているんですか?」
「あっ! 話を逸らした!」
「ロナ、今はこっちの方が大切な事だから……。とりあえず、まずエレインさんにその詳しい対策案の話を聞こう?」
「リュカ、ズルい! 誤魔化したでしょ!」
「あーもう……。後でその件でのロナの質問には、ちゃんと答えるから……。ほら、今はまずロナのドラゴン対策の方の話を聞こう?」
「うぅ……。分かったよ……」
リュカスに言いくるめられるのは癪だが、とりあえず今は言う通りにエレインの話を聞く事にしたロナリア。
そのやり取りを見たエレインが、またしても笑いを堪え、更にその隣のサイクスまでもいつの間にか二人をニヤニヤしながら眺めていた。
その二人の反応から、ロナリアは恥ずかしさから顔を赤くして俯く。
「魔力の譲渡はね、基本的には肌同士が触れ合う事で、そこを伝って相手に魔力を流し込むスタイルなんだけど……。その触れ合う範囲が広ければ広い程、たくさんの魔力が送り込めるの。もっと言うと血管に近い部分……たとえば互いに体の内部に近い部分で触れ合えば、それだけ魔力を注ぐ経路に障害が無くなるから、早く魔力を送る事が出来る。魔力って基本、その人の血液に宿っている力だから。だから契約系の魔法を使う時、血文字で魔法陣を書く事があるでしょ? あれは血液自体に魔力が多く含まれているからなの。200年前の政権交代後に魔力の強い人達が爵位を賜った経緯も、これが関係しているわ。強い魔力を持つ一族は、その血によって強い魔力を次の世代に受け継がせる事が出来るから」
少々複雑なその説明を二人は、何となく理解する。
それならばお互いに体内に近い部分での接触になる口付け行為が、瞬時に大量の魔力を相手に送る事が出来るという状態なのは納得出来る。
「魔力性質は、その人の血液の性質で人それぞれ違いが出る。でもこの魔力性質は、ある行為をする事で変化しやすいの。変化するかどうかの判断は、誰かに魔力譲渡した時にその魔力を受け取った人が放つ魔力性質を調べれば、よく分かるわ。二人の場合、ほぼロナちゃんの魔力を使用して魔法を放っているリュカス君の魔力性質には、ロナちゃんの魔力の特徴が殆ど出ていない。ようするにロナちゃんの魔力は、リュカス君の体を通す事によって、優勢に作用するリュカス君の魔力性質に変換されているという事なの。すなわち、そのある行為を行う事によって、ロナちゃんの魔力性質は優勢であるリュカス君の魔力性質に変化し、ドラゴン系の魔獣に襲われやすい魔力特性が改善される可能性が非常に高いのよ」
「そんな簡単に生まれ持った魔力性質を変えられるんですか?」
「簡単ではないけれど……。まぁ、将来的に夫婦となる仲の良いあなた達なら、必須行為だと思うから、難しくは無いかしら。それは互いの血と血を交じり合わせるから『血の契約』と言われている行為なのだけれど……」
そこまで熱く語ったエレインだが、何故か最後は急に言葉が尻すぼみになる。
すると、今まで静かに傍観していたサイクスが、持っていた資料をパシンとテーブルの上に叩きつけた。
「だぁぁぁー!! お前さっきから、まどろっこしい説明ばっかしてんじゃねーよっ! さっさと二人でサクっと一発やれば、ロナリア嬢の魔力体質がリュカス寄りになって、ドラゴンに襲われやすい魔力性質じゃなくなるって説明すりゃいーだろっ!?」
「「なっ――――!!」」
サイクスのその爆弾発言にロナリアは顔を真っ赤にしながら唖然とし、リュカスがポカンと口を開ける。そしてエレインは、烈火のごとく怒り出した。
「サイクスっ!! あんた、微妙な年頃の子達に対して何て言い方すんのよ!!」
「微妙な年頃だぁ~!? こいつらもう17だろ! あと一年で成人なんだから、そんな期間なんて、とっくに終わってんだろーが!!」
「ああ~!! もうぉぉ~!! これだからデリカシーのない奴は嫌なのよ!!」
「デリカシーの前にロナリア嬢の安全面を優先する方法をさっさと教えてやれよっ!!」
「あ、あの……」
「教えるにしても言い方ってもんがあるのよ!!」
「そんなクソにも役に立たない事に配慮する暇あんなら、さっさと教えてやれ! まどろっこし過ぎて、聞いててイライラする!!」
「あんたって男はぁぁぁー!! 昔っからそういう所は変わらないわよねっ!?」
「ええと……」
かなり白熱した言い争いを始めてしまったエレインとサイクスを目の当たりにし、二人は途方にくれ出す……。
だが、先に復活したリュカスが、スッと手を上げ発言した。
「要するに……僕とロナが男女の営み的行為をさっさとすれば、ロナのドラゴンに好まれる魔力性質が僕寄りに変化し、野外で魔法を使ってもドラゴン系の上級魔獣に襲われなくなる……と言う事でいいでしょうか?」
リュカスのその発言を聞いた二人はピタリと止まり、言い争いをやめた。
「おう! そうだ!」
「ご、ごめんね……ロナちゃん。デリケートな内容だから、もう少し配慮して伝えたかったんだけど……。このバカがっ!!」
「バカはお前だろっ!! 昔からそういう変なところに気を回し過ぎるから、学術論文で毎回俺に負けんだ!!」
「それとこれとは関係ないでしょう!!」
どうやらこの二人は、学生時代から研究分野は違えどもライバルだったらしい。先程からエレインはサイクスの胸倉を乱暴に掴んでおり、サイクスの方もエレインの顔の形がブニュリと歪む程、遠慮なしに押し返している……。
そんな二人に向かって、リュカスがよく通る声で宣言した。
「分かりました。サイクスさんのありがたいアドバイスは、今後の為に是非前向きに実行させて頂きます!」
「リュカっ!?」
こうしてロナリアの特殊な魔力体質に対しての謎の解明と、その対策は見出されたのだが……。
ただロナリアは、どうしても引っ掛かっている事があったのだ。
リュカスは何故、口付け行為が最短の魔力譲渡の方法だと知っていたのか。
先程は上手くはぐらかされてしまったが、何故かその事が非常に気になったロナリアは、この後リュカスを問い詰めようと意気込んだ。
対してサイクスの方は、もう自分の役割は終わったとでも言わんばかりに全く関係のない研究資料を眺め出していた。
どうやら彼は、かなり自由人のようだ……。
「まずロナちゃんの魔力濃度が濃い理由なんだけれど……それはロナちゃんの魔力の放出口が小さいからなの」
「え?」
今まで短所でしかなかった部分が、まさか自分の魔力濃度を上げていた事にロナリアが驚く。
「ロナちゃんの魔力は、粒子の粒が元々大きいのだけれど、魔力放出口が小さいから粒子が大きい魔力は、放出されずにどんどん体内に溜まっていってしまうの。ようするに粒子の粒が小さい魔力しか放出出来ないから、ロナちゃんの体内には高濃度の魔力が自動的に蓄積されていく感じね。すると、ロナちゃんが放つ魔法は、かなり魔力濃度が高い魔法になる。でもいくら濃度が高い魔力でも放出口が小さければ威力は上らないわ……。もしこの魔力を活用したいのであれば、今行っているように誰かに魔力を譲渡する事や、魔道具に魔力を注入する事くらいかしら。残念な事にこの長所では、ロナちゃん自身の魔法の威力を上げる事は出来ないの……。そして、その高濃度の魔力は、ドラゴン系の魔獣にとって、とても魅力的なものみたいね。きっとロナちゃんが魔法を放つと、その放たれた魔法が彼らドラゴンには『美味しそう』と感じるのかしら?」
「お、美味しそう……」
今までロナリアが、魔獣に襲われた中で一番古い記憶のフェイクドラゴンの時の事を思い出す。
確かにあの時、フェイクドラゴンはロナリアが魔法を放つのをジッと待っているような素振りをしていた。その後、ロナリアが放った氷魔法に迷いもせず食らいついていったのも、恐らく今の説明で納得出来る。
「ただ不思議なのは、それだけ高濃度な魔力を他人に譲渡すると、副作用も酷いはずなんだけれど……。それなのにリュカス君は何とも無いのよね?」
「はい。むしろロナの魔力が体内に入って来ると、凄く心地いいです」
「そう……。余程、二人の魔力は性質が酷似しているか、相性が良すぎるのでしょうね。溢れる魔力を満足に使う事が出来ないロナちゃんの代わりに、常に魔力が枯渇している強力な魔法しか扱えないリュカス君が問題なく受け取り使う事が出来る……。ある意味、二人はお互いに自分の長所で、相手の短所を見事に補い合っている関係よね」
そう呟いたエレインが、少し考え込む。
だが、今の説明を聞いたロナリアにはある疑問が浮かんだ。
「あの、エレインさん。先程、私が魔力を上手く放出出来ない原因は、魔力粒子が大き過ぎるからと伺いましたが……。それならば何故、リュカにはすんなり魔力を送る事が出来るのですか?」
ロナリアのその疑問は当然のものだった。
魔力放出口が小さいのならば、リュカスに魔力を送る際もその放出口が詰まってしまい、上手く流す事が出来ないはずだ。
だが、今までリュカスは、長く手を繋いでいればいる程、ロナリアからグイグイと魔力を受け取れている。
「それなんだけれど……。あなた達の場合、ロナちゃんがリュカス君に魔力を送っているという状態ではないのよ。正確にはロナちゃんの魔力をリュカス君の方が吸い上げているという譲渡の仕方なのよね。これはリュカス君もかなり特殊な魔力体質だからこそ、起こっている現象よ」
「僕が……ロナの魔力を自発的に吸い取っている……?」
その説明にリュカスが驚きながら、やや申し訳無さそうな表情をロナリアに向けてきた。その反応にロナリアが苦笑する。
「魔力譲渡って普通は、送る側の人間が受け取る側の人間に自身の魔力を流し込むのが主流なのだけれど……。リュカス君の場合、常に魔力が枯渇した状態だからなのか、触れるだけで相手の魔力を勝手に吸収しちゃうのよ」
「でも……誰彼構わずと言う訳ではないですよね? 少なくとも多少は魔力の相性がいい相手でないと……」
「いいえ。残念だけれど、君の場合は『誰彼構わず』よ」
そのエレインの返答にリュカスとロナリアが同時に大きく目を見開く。
「ええ!? いや……だって――っ!!」
「リュカス君は誰彼構わず触れるだけで、相手の魔力を多少なりとも吸収してしまう体質なの。でも普段はそれに気付いていないのよ。先程、ロナちゃんの魔力粒子の粒が大きいと説明したわよね? ロナちゃんのように魔力粒子が大きい人間の魔力だと、リュカス君の体内に残るから魔力を吸収した感覚はあるわ。でも一般の人の魔力粒子の大きさだと、君の大き過ぎる魔力放出口から、取り込んでもすぐに漏れ出てしまうの……。だから無意識に吸収してしまっても君には、その感覚がない。おまけに触れ合うだけで吸収できる魔力量は、そこまで多くないから、一瞬の触れ合いだと相手の方も気づかない。二人が幼少期の頃から常に手を繋いでいたのは、それだけ長い時間触れ合っていないと、リュカス君の方に魔力が溜まらなかったからでしょう?」
「はい……」
「恐らく、まだ赤ちゃんだった頃のリュカス君は、ご両親から無意識に魔力を吸収していた可能性があるわ。魔力が強い親子間だと、そこまで副作用は出ないし、あなたのご両親って元特殊魔獣討伐班のメンバーだった程、魔力の強い方々よね? それほどの魔力の持ち主なら、まだ幼い息子に魔力を吸収されていても気付かないと思う。でも成長するにしたがって、特に男の子は親子間での触れ合いが減るから、魔力測定をする時には、常に魔力が枯渇した状態だったんじゃないかしら?」
エレインの説明を聞いたリュカスは、そのまま顎に手を当てて考え込んでしまった。恐らくリュカスは、両親だけでなく二人の兄達からも魔力を吸収していた可能性がある。だがこの兄二人も両親同様、高い魔力を持っていたので、そこでも気付かれなかったようだ。
だが、まさか自分が家族だけでなく、少しでも触れた事がある相手から勝手に魔力を奪っていたという事を知ってしまい、衝撃を受けたのだろう。
そんなリュカスを心配するように今度はロナリアの方が、リュカスの顔を覗き込む。すると、少し困った様な笑みをリュカスが返して来た。
「なるほど。それでは、今まで僕が握手を求めてきた女子生徒と手を繋いだ際、体調不良になってしまう時は、その女子生徒達の魔力粒子が大きい事で僕の体内に残留していたという事になりますね……」
「そういう事になるわね。それにしてもロナちゃんだけでなく、リュカス君の魔力体質もかなり特殊よね……。今度じっくり二人の検査をさせて貰えないかしら!?」
「ええと……」
「それは、ちょっと……」
瞳をキラキラさせながら懇願してきたエレインに、二人が複雑そうな笑みを浮かべながら、やんわりと断る。
その二人の反応にエレインが、少し残念そうな顔をした。
するとリュカスが、話題を変えるようにエレインに質問をする。
「あのエレインさん、先程伺ったロナの魔力性質については、何となく理解出来たのですが……。ロナが野外で魔法を使うとドラゴン系の上級魔獣が襲ってくるという部分は、何か改善策は無いのでしょうか……」
「うーん……。今のところ学生であるロナちゃんにはないと思うわ。将来的には、そういう特殊魔力体質用の魔道具が開発されるかもしれないけれど、現状だと魔封じ効果の道具を活用するしかないかなー。でもそれだと、魔法を使う事自体を控えると言う対策だから、リュカス君が望む改善策とは意図が変わってきてしまうわよね?」
「はい。出来れば、ロナも普通に魔法が使えて、尚且つそのドラゴン系の上級魔獣が襲ってこないという改善策が理想です」
「無くは無いんだけれど……。ロナちゃん、未成年でまだ学生だからなぁ……。それにその対策案なら将来的にリュカス君によって必ず自然と成されると思うから、あと二年くらい待てば、その問題は解決するとは思うけれど……」
エレインのその返答にリュカスだけでなく、ロナリアも首を傾げる。
「将来的に自然と成される?」
「だって二人は婚約者同士なのでしょう? そういえば卒業後はどうするの? すぐに挙式かしら?」
「いえ、まだそういう話は……」
「僕はその方がいいんですけどね」
「リュカ!」
しれっと口にしたリュカスの返答内容にロナリアが、真っ赤な顔で抗議する。
その様子を見たエレインが、笑いを堪えるように口元に手を当てた。
「まぁ、カオスドラゴンに襲われた時に即行性のある魔力譲渡の方法も知られてしまったようだし……。話してもいいかなー」
「「え?」」
エレインのその独り言にロナリアだけでなく、リュカスも反応する。
「以前ロナちゃんは、瞬時にリュカス君の限界まで魔力を譲渡出来る方法は無いかと、熱心に訊いてきた事があったわよね?」
「はい。でも確か……『学生に教えられる領分内ではない方法』とかで、教えて貰えなかった気がします」
「その事なんだけれど……すでに二人共実行してしまっているのよね……」
エレインのその言葉にロナリアが、何となく嫌な予感を抱く。
「ま、まさか……それって……」
「そう。一番手っ取り早く、大量に誰かに魔力を譲渡する方法は口移し。いわゆる口付け行為でお互いの体内の魔力を一気に送り込む事が出来るの」
「なっ――!?」
「まぁ、それを何故専門分野で学んでもいない学生のリュカス君が知っていたのかは、謎だけど……」
その瞬間、ロナリアが勢いよくリュカスを見やる。
するとリュカスは、スッと目を逸らした。
「リュカ……?」
「でもそれとロナのドラゴン襲撃対策が、どう関係しているんですか?」
「あっ! 話を逸らした!」
「ロナ、今はこっちの方が大切な事だから……。とりあえず、まずエレインさんにその詳しい対策案の話を聞こう?」
「リュカ、ズルい! 誤魔化したでしょ!」
「あーもう……。後でその件でのロナの質問には、ちゃんと答えるから……。ほら、今はまずロナのドラゴン対策の方の話を聞こう?」
「うぅ……。分かったよ……」
リュカスに言いくるめられるのは癪だが、とりあえず今は言う通りにエレインの話を聞く事にしたロナリア。
そのやり取りを見たエレインが、またしても笑いを堪え、更にその隣のサイクスまでもいつの間にか二人をニヤニヤしながら眺めていた。
その二人の反応から、ロナリアは恥ずかしさから顔を赤くして俯く。
「魔力の譲渡はね、基本的には肌同士が触れ合う事で、そこを伝って相手に魔力を流し込むスタイルなんだけど……。その触れ合う範囲が広ければ広い程、たくさんの魔力が送り込めるの。もっと言うと血管に近い部分……たとえば互いに体の内部に近い部分で触れ合えば、それだけ魔力を注ぐ経路に障害が無くなるから、早く魔力を送る事が出来る。魔力って基本、その人の血液に宿っている力だから。だから契約系の魔法を使う時、血文字で魔法陣を書く事があるでしょ? あれは血液自体に魔力が多く含まれているからなの。200年前の政権交代後に魔力の強い人達が爵位を賜った経緯も、これが関係しているわ。強い魔力を持つ一族は、その血によって強い魔力を次の世代に受け継がせる事が出来るから」
少々複雑なその説明を二人は、何となく理解する。
それならばお互いに体内に近い部分での接触になる口付け行為が、瞬時に大量の魔力を相手に送る事が出来るという状態なのは納得出来る。
「魔力性質は、その人の血液の性質で人それぞれ違いが出る。でもこの魔力性質は、ある行為をする事で変化しやすいの。変化するかどうかの判断は、誰かに魔力譲渡した時にその魔力を受け取った人が放つ魔力性質を調べれば、よく分かるわ。二人の場合、ほぼロナちゃんの魔力を使用して魔法を放っているリュカス君の魔力性質には、ロナちゃんの魔力の特徴が殆ど出ていない。ようするにロナちゃんの魔力は、リュカス君の体を通す事によって、優勢に作用するリュカス君の魔力性質に変換されているという事なの。すなわち、そのある行為を行う事によって、ロナちゃんの魔力性質は優勢であるリュカス君の魔力性質に変化し、ドラゴン系の魔獣に襲われやすい魔力特性が改善される可能性が非常に高いのよ」
「そんな簡単に生まれ持った魔力性質を変えられるんですか?」
「簡単ではないけれど……。まぁ、将来的に夫婦となる仲の良いあなた達なら、必須行為だと思うから、難しくは無いかしら。それは互いの血と血を交じり合わせるから『血の契約』と言われている行為なのだけれど……」
そこまで熱く語ったエレインだが、何故か最後は急に言葉が尻すぼみになる。
すると、今まで静かに傍観していたサイクスが、持っていた資料をパシンとテーブルの上に叩きつけた。
「だぁぁぁー!! お前さっきから、まどろっこしい説明ばっかしてんじゃねーよっ! さっさと二人でサクっと一発やれば、ロナリア嬢の魔力体質がリュカス寄りになって、ドラゴンに襲われやすい魔力性質じゃなくなるって説明すりゃいーだろっ!?」
「「なっ――――!!」」
サイクスのその爆弾発言にロナリアは顔を真っ赤にしながら唖然とし、リュカスがポカンと口を開ける。そしてエレインは、烈火のごとく怒り出した。
「サイクスっ!! あんた、微妙な年頃の子達に対して何て言い方すんのよ!!」
「微妙な年頃だぁ~!? こいつらもう17だろ! あと一年で成人なんだから、そんな期間なんて、とっくに終わってんだろーが!!」
「ああ~!! もうぉぉ~!! これだからデリカシーのない奴は嫌なのよ!!」
「デリカシーの前にロナリア嬢の安全面を優先する方法をさっさと教えてやれよっ!!」
「あ、あの……」
「教えるにしても言い方ってもんがあるのよ!!」
「そんなクソにも役に立たない事に配慮する暇あんなら、さっさと教えてやれ! まどろっこし過ぎて、聞いててイライラする!!」
「あんたって男はぁぁぁー!! 昔っからそういう所は変わらないわよねっ!?」
「ええと……」
かなり白熱した言い争いを始めてしまったエレインとサイクスを目の当たりにし、二人は途方にくれ出す……。
だが、先に復活したリュカスが、スッと手を上げ発言した。
「要するに……僕とロナが男女の営み的行為をさっさとすれば、ロナのドラゴンに好まれる魔力性質が僕寄りに変化し、野外で魔法を使ってもドラゴン系の上級魔獣に襲われなくなる……と言う事でいいでしょうか?」
リュカスのその発言を聞いた二人はピタリと止まり、言い争いをやめた。
「おう! そうだ!」
「ご、ごめんね……ロナちゃん。デリケートな内容だから、もう少し配慮して伝えたかったんだけど……。このバカがっ!!」
「バカはお前だろっ!! 昔からそういう変なところに気を回し過ぎるから、学術論文で毎回俺に負けんだ!!」
「それとこれとは関係ないでしょう!!」
どうやらこの二人は、学生時代から研究分野は違えどもライバルだったらしい。先程からエレインはサイクスの胸倉を乱暴に掴んでおり、サイクスの方もエレインの顔の形がブニュリと歪む程、遠慮なしに押し返している……。
そんな二人に向かって、リュカスがよく通る声で宣言した。
「分かりました。サイクスさんのありがたいアドバイスは、今後の為に是非前向きに実行させて頂きます!」
「リュカっ!?」
こうしてロナリアの特殊な魔力体質に対しての謎の解明と、その対策は見出されたのだが……。
ただロナリアは、どうしても引っ掛かっている事があったのだ。
リュカスは何故、口付け行為が最短の魔力譲渡の方法だと知っていたのか。
先程は上手くはぐらかされてしまったが、何故かその事が非常に気になったロナリアは、この後リュカスを問い詰めようと意気込んだ。
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何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
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