上 下
12 / 41
【本編】

12.二人は再び窮地に陥る

しおりを挟む
「――様っ!!」 

「――リアお姉様っ!!」

「ロナリアお姉様ぁーっ!!」

 薄っすらとした意識の中で何度も必死に呼び掛けてくる声が聞こえてくる。
 その声をぼんやり聞いていたロナリアだが、つい先程までの状況が頭の中に蘇ってきた瞬間、勢いよく体を起こした。

「いっ―――っ!!」

 同時に全身に痛みが走る。特に右足首の激痛がロナリアの顔を歪ませた。

「お姉様!! どこか痛いの!?」

 すると、目の前で大きな瞳からボロボロと涙を零したアリシアが、不安で堪らないという表情を浮かべながら、ロナリアの顔を覗き込んで来た。その必死な様子のアリシアを少しでも安心させてあげようと、ロナリアが軽く微笑む。

「少し右足を捻ってしまったみたい……。でもそれ以外は大丈夫。それよりもアリシア嬢は? どこか痛いところとかない?」
「私は平気……。ロナリアお姉様が庇ってくれたから……」

 グスグス言いながらも懸命に自分が無事な事を告げてきたアリシアをロナリアが、自分の方へと引き寄せる。

「一人で怖かったよね……。気を失ってしまって、ごめんね?」

 すると、アリシアが大きく頭を左右に振る。

「大丈夫……。だってロナリアお姉様が一緒だったから。でも私の所為でお姉様まで落ちてしまって……。ごめんなさい! 私があの子をちゃんと避けられていたら……」
「アリシア嬢の所為じゃないよ? 私がすぐに気付いて避ける様に誘導してあげられなかったから……。私の方こそ、ごめんね?」

 そう告げると、アリシアがロナリアに抱き付いてきた。
 そんなアリシアの頭をロナリアが優しく撫でる。
 しかし……現状、かなり困った事態に陥ってしまっている。
 自分達が落ちた先は、恐らくまだ下級魔獣エリアではある。
 だが、確実に山道からは外れてしまっているので、どう戻ればいいのか分からない。おまけにロナリアの今の右足では、満足に歩けそうにもない……。

「うーん、困ったな……。とりあえず、こういう場合は、むやみに動かない方がいいから、ここでしばらく救助を待ってみましょうか?」
「助けにきてくれるかな……」
「大丈夫だよ! だって私達が落ちる姿は、クラスメイトが見ているから。きっとすぐに救助隊を組んで、助けに来てくれるはずだよ?」
「本当……?」
「うん。だから少しここで助けが来るまで待っていようね?」
「うん……」

 言い聞かせるようにアリシアの顔を覗き込むと、不安からなのか再び甘える様にロナリアに抱き付いてきた。そんなアリシアの背中をあやす様に優しく撫でる。
 だが、やはり不安なのか、撫でる背中から少しだけ震えている事が分かる。
 その様子に気付いたロナリアが、何か気が紛れる会話でも出来ないかと思い、先程の会話でふと気になった事をアリシアに聞いてみた。

「アリシア嬢、さっき私に魔法を使う事は好きかって聞いてきたよね? アリシア嬢は、魔法を使う事は好きなのかな?」

 すると、ロナリアを見上げてきたアリシアの瞳がユラユラと揺れる。

「私、魔法は上手じゃないの……。魔力は普通の子より少し高いのだけれど、コントロールが悪くて。いっつも変な方向に飛んで行っちゃうから、隣の席の男の子に笑われて……。だからお外での魔法の授業は好きじゃないの……」
「そっか……。コントロールかぁ。アリシア嬢は魔力が少し強すぎるから、制御が難しいのかもね。もしかしたら魔法を放つ前の溜めが長すぎるのかも」
「溜め?」

 不思議そうに首を傾げてくるアリシアの様子から、遭難してしまった不安が少しだけ軽減された事を確認する。そしてこのまま気が紛れればと思い、ロナリアは自分の右手を森の奥の方へとかざした。
 すると、かざした手の先に氷の塊が少しずつ形を成す。

「こうやって魔法を発動する前に魔力の塊を溜めるでしょ? 私は魔力の出口が小さいから長く溜めないといけないけれど……。アリシア嬢の場合、魔力の出口が皆より少し大きいと思うから、すぐに放てる準備が出来てしまうの。でもあまりにも溜め過ぎて、魔力の塊を大きくしてしまうとコントロールが難しくなると思う。だから、アリシア嬢はあまり魔力を溜めないで早めに魔法を放てば、コントロールがしやすくなるんじゃないかな?」

 そう説明したロナリアは、発動した氷魔法を森に向かって放った。そのロナリアの説明を聞いたアリシアの瞳が輝き出す。

「わ、私も! 今の通りにやってみていいかな!?」
「うん。やってごらん。放つタイミングは私が教えてあげるから」
「うん!」

 そう言ってアリシアが、両手を森の奥の方へとかざす。
 すると、一瞬でその手の中に気流が渦巻いた。
 どうやらアリシアは風属性の魔法が得意な様だ。

「はい! 今!」

 ロナリアがアリシアの背中を軽くポンと叩いて合図を出す。
 それと同時にアリシアが風魔法を森の奥へと放った。
 すると、狙っていたらしい一本の木の枝を見事に切り落とす。

「やったぁー!! ちゃんと狙った所に打てたぁー!!」
「良かったねー! これでもう笑われたりしないよ?」
「うん! ロナリアお姉様、ありがとう!」

 そういってはしゃいでいるアリシアを見ながら、ロナリアは少し複雑な気分を抱く。何故ならアリシアが放った風魔法の方が、ロナリアが扱う風魔法よりも遥かに強力だったからだ。

 7歳児に負けた……。

 大喜びしているアリシアを前にロナリアは、少しだけ傷ついた……。
 だが、自分の魔力の弱さに関しては、もう諦めはついている。
 それよりもこの湯水のように沸き上がる魔力体質を生かせる方法を模索した方が、誰かの役に立てそうだと、この魔法学園に入学した頃から常に感じていたロナリア。そしてその一番の活用法が、リュカスへの魔力譲渡だった。

 しかし、もう一カ月以上もリュカスに魔力を供給していない……。
 本人は問題ないとは言っていたが、やはりある程度の支障は出てしまってはいると思われる。
 だが、たとえ魔法が使えなくても剣術にも優れているリュカスなら、護衛騎士としてでも十分にエクトルの側近は務まるはずだ。
 ならば、無理に魔法を使う事に拘る必要はない。
 そんな事を考えていたら、アリシアに制服でもある魔道士用のローブの袖を軽く引っ張られる。

「アリシア嬢? どうしたの?」
「あのね、お姉様。さっきから、お空がピカピカしている気がするの……」
「空が?」

 そう呟きながら、ロナリアが空を見上げると、確かに一瞬だけ光っているように見えた。だが正確には、何かの衝撃で透明な壁のようなものが、一瞬だけ姿を現しては消えるような現象を繰り返している。

「お天気もいいから雷じゃないよね?」
「そうね……。何かしら?」

 そんな会話をしながら二人で上空に視線を向けていると、その謎の現象が急にピタリとやんだ。だが同時に二人の元に物凄い風が吹き荒れる。
 その風圧から庇うようにロナリアは、すぐにアリシアを抱きしめた。
 アリシアもロナリアの腕の中で、ギュッと瞳を閉じる。
 すると、すぐに風がやみ、二人はゆっくりと瞳を開いた。
 だが――その目の前には信じられない光景が飛び込んで来くる。

「ヒィッ!!」

 その光景を見たアリシアが、思わず叫びそうになったので、ロナリアが慌ててその口を塞いだ。同時に物凄い勢いで、ブワリと冷や汗が出てくる。
 息を殺すように身を縮こませた二人の目の前に現れたのは、真っ黒で禍々しい姿をしたドラゴンだったのだ……。

「カ、カオスドラゴン……? 何でこんなところに……」

 そのロナリアの小さな呟きを聞いたアリシアの顔色が、真っ青になる。
 そもそもカオスドラゴンが現れるのは、上級魔獣エリアだ。
 だが現在ロナリア達がいる場所は、明らかに下級魔獣エリアである。ここにいるはずのない魔獣との遭遇に二人は、パニックに陥る。

「お、お姉様……」
「大丈夫。ジッとしていれば、気付かれないから!」

 そうは言いつつも、実際は気付かれるのも時間の問題だ……。
 カオスドラゴンは、昔ロナリアが遭遇したフェイクドラゴンと違い、れっきとしたドラゴンに属する。その為、五感はかなり優れているはずだ。
 しかし、古龍ではないので、一般的な上級魔獣と同じ感覚で討伐される魔獣ではあるのだが……その際、必ず討伐部隊が組まれるレベルなのだ。
 その場合、ベテランのドラゴンハンターなら最低でも4人。
 宮廷魔道士の場合だと、6人以上で討伐する事が多い。

 しかし、いくら気付かれていないとはいえ、二人はすでにカオスドラゴンの間合いに入ってしまっている状態だ。今からでは逃げる事は難しい。
 しかも今のロナリアの足の状態では、走る事は絶対に無理だ……。

 どうしよう……。このままじゃ、二人共助からない……。

 内心、これがロナリアの本音だった。
 しかし、ただでさえ恐怖で怯えているアリシアの前で年上の自分が動揺している姿を見せてしまえば、ますます不安にさせてしまう。
 その為、ロナリアは出来るだけ平然とした態度を貫き通した。
 すると目の前のカオスドラゴンが、ノシノシと二人の近辺を徘徊し出す。

「お、お姉様……っ!!」
「大丈夫。静かにしていれば大丈夫だから」

 まるで自分にも言い聞かせるようにロナリアが、小声でゆっくりと囁く。
 だが、内心では今にも泣き出したい程、ロナリアも怖い……。
 しかしここで年上の自分が泣き言をいう訳にはいかない。

 何とかして逃げ切る方法はないか……。
 必死で頭をフル回転させて打開策を考えていたその時、急にロナリアは後ろから大きな手で口を塞がれた。

「――――っ!?」

 よく見ると、自分の腕の中のアリシアも同じようにその大きな手に口を塞がれている。その状況にパニックを起こしながらも後ろの人物が誰なのか、確認しようと振り返ろうとした。すると、その人物が小声でロナリアの耳元に囁く。

「ロナ。いきなり、ごめん……。手を離すけど、大声は出さないでくれる?」

 その瞬間、ロナリアの中に一気に安堵感が広がる。
 ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには一カ月ぶりに会う婚約者がいた。
 その瞬間、ロナリアの瞳にブワリと涙が溜まり出す。
 だが、それをロナリアはグッと堪えた。
 今は泣いている場合ではない。
 目の前にいる幼いアリシアの前で泣いてしまえば、ますます彼女を不安にさせてしまう……。

 そう思って、グッと唇に力を込めると、その様子に気付いたリュカスが、柔らかい笑みを浮かべながら、先程口を塞いでいた手でロナリアの頭をポンポンと安心させるように軽く叩く。その光景をロナリアの腕の中からアリシアが、キョトンとした様子で眺めていた。

「リュカ。どうしてここに?」
「魔法騎士科も丁度ここで実習だったんだ。そうしたらロナ達が行方不明になったって聞いて……。だけど何故、カオスドラゴンがこんなところに……」
「私にも分からないの。急に上空から降りて来て……」
「ロナ。もしかして、今日、魔獣の樹海で魔法を使わなかった?」
「う、うん。二回使ったけれど……。でもどうして?」
「やっぱり……」

 ロナリアの返答を聞いたリュカスが、何故か盛大に肩を落とす。
 その反応の意味が、さっぱり分からないロナリアは首を傾げる。

「詳しい話は後でするけれど、今はこの場を早く離れた方がいい。ロナと……アリシア嬢だっけ? あそこのエクトル殿下がいる場所まで走れる?」
「で、殿下まで助けにきてくださったの!?」
「うん。僕と一緒に来てくれた。あと今ライアンが救助隊を呼びに行ってくれている。そもそも火属性特化型の殿下の上級魔法なら、あのカオスドラゴンは一撃で仕留められると思うけれど……」
「ダメだよ……。魔獣の樹海は単独での上級火属性魔法は使用禁止だよ? もし使う場合は、水か氷の上級魔法が使える人が必ず側にいないと……」
「そうなんだよね……。そうなると、やっぱり逃げるしかないか。ロナ達、あそこまで走れる?」

 そのリュカスの質問に一瞬、ロナリアが押し黙る。
 すると、先程からずっと黙っていたアリシアが口を挟んで来た。

「ロナリアお姉様、右足を怪我しているから走れないの……」

 そのアリシアの言葉にリュカスが大きく目を見開く。

「そうか……。だとすると、やっぱりあいつを何とかしないとダメか……」
「何とかって……無理だよ! カオスドラゴンだよ? 今からリュカに魔力の譲渡を始めても一カ月も空っぽ状態だったんだから、あんな上級クラスの魔獣を一撃で仕留められる魔力を送るには、30分くらい掛かるよ?」
「そうだよね……」

 ロナリアの意見に同意しつつも、何故かリュカスは俯き気味で顎に手を当てながら考え込んでしまった。その様子に何かいい方法でもあるのだろうかと、ロナリアが少し期待する。すると、リュカスがスっと顔を上げた。
 そしてそのまま真っ直ぐな視線をロナリアに向け、ジッと見つめてくる。

「リュカ?」
「ロナ、ごめんね……。でも緊急事態だから、許して……?」
「えっ……?」

 リュカスの呟きの意味が分からず、ロナリアがキョトンとする。
 そのロナリアの顎をリュカスがクイっと持ち上げ、自分の方へと向けた。
 次の瞬間―――。
 ロナリアはリュカスの唇で思いっきり口を塞がれた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

【完結】異形の令嬢は花嫁に選ばれる

白雨 音
恋愛
男爵令嬢ブランシュは、十四歳の時に病を患い、右頬から胸に掛けて病痕が残ってしまう。 家族はブランシュの醜い姿に耐えられず、彼女を離れに隔離した。 月日は流れ、ブランシュは二十歳になっていた。 資産家ジェルマンから縁談の打診があり、結婚を諦めていたブランシュは喜ぶが、 そこには落とし穴があった。 結婚後、彼の態度は一変し、ブランシュは離れの古い塔に追いやられてしまう。 「もう、何も期待なんてしない…」無気力にただ日々を過ごすブランシュだったが、 ある不思議な出会いから、彼女は光を取り戻していく…  異世界恋愛☆ 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

【完結】私、噂の令息に嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私は、子爵令嬢。 うちは貴族ではあるけれど、かなり貧しい。 お父様が、ハンカチ片手に『幸せになるんだよ』と言って送り出してくれた嫁ぎ先は、貴族社会でちょっとした噂になっている方だった。 噂通りなのかしら…。 でもそれで、弟の学費が賄えるのなら安いものだわ。 たとえ、旦那様に会いたくても、仕事が忙しいとなかなか会えない時期があったとしても…。 ☆★ 虫、の話も少しだけ出てきます。 作者は虫が苦手ですので、あまり生々しくはしていませんが、読んでくれたら嬉しいです。 ☆★☆★ 全25話です。 もう出来上がってますので、随時更新していきます。

処理中です...