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第二部 第三章
冬の匂いのする朝
しおりを挟む朝の冷たい空気に包まれてなおソフィは体に走る危機感で熱くなっていた。
シシィのベッドを調べたところ、少なくとも一時間は前にベッドを抜け出ているのがわかった。シシィはここにはいない。
そうなると家にいるはずだ。そこにはアデルもいて、シシィとアデルは二人きりということになる。
十中八九、二人はイチャイチャしているのだろう。
「おのれシシィ!」
走り出した瞬間、後ろから制止の声がかかった。
「待ちなさい」
「ぐえっ」
横から襟を掴まれた。その拍子に細い首にキュッと力がかかる。思わず変な声が出てしまったし、首も痛い。
「何度言えばわかるのじゃ、襟を掴むでない! 」
「はいはい、落ち着きなさいソフィ。寝起きのそんな顔でアデルの前に出ちゃダメでしょ」
「む?」
そういえば起きてから自分の顔を見ていない。もしかすると涎の跡でもついているのだろうか。
リディアは桶をひとつ手に取ると、蔵の扉のほうへと一歩足を進めた。
「ちょっと待ってなさい、水汲んでくるから」
「む……」
リディアはすたすたと歩き去ってゆく。わざわざ水を汲む必要は無いのだが、言いそびれた。
杖を掲げ、魔法で鏡を出して自分の顔を眺める。寝起きとはいえ普段とあまり変わりが無い。それから魔法で暖かいお湯を空中に浮かべた。
その湯で顔を洗おうと思ったが、よくよく考えれば拭くものがない。ここはいつも自分が寝起きしている場所ではなく、蔵の中だ。
「ふむ……、仕方が無い。なんぞ借りるとするのじゃ」
魔法で出したお湯を一旦蔵の外へと捨て、リディアのベッドのあたりへと向かった。きっとどこかに顔を拭くための布くらいあるはずだ。
「見当たらんのじゃ」
色々と引き出しを開けてみたりしたが、それらしいものが見当たらない。引き出しの中には一体何に使うのかよくわからないものが入っていたりするし、整理もされていないからあまり触れたくもない。
上から順番に引き出しを開けていたが、その途中で妙なものを見つけた。
「なんじゃこれは、爪か」
引き出しの一角に何か仕切りがあった。その仕切りの中に爪が入っている。どうせ夜中に爪を切って捨てに行くのが面倒になってここに入れたのだろう。
「なんとズボラな。爪くらい捨てにゆけばよかろうに」
思わず首を振って嘆息してしまう。
「おっと、爪に構っている暇は無いのじゃ。えーと」
その後、ちょうど良い大きさの綺麗な布が入っているのが目に入った。それを取り出し、ベッドの側から離れる。蔵の中の丸テーブルに一旦布を置いたところで、リディアが戻ってきた。
「ほら、水汲んできたわよ」
「む……、うむ」
「何よ曖昧に頷いちゃって、お礼くらい言ったらどうなの」
「うむ、助かるのじゃ」
この段階まで来て魔法でお湯を出したらリディアは気分を害するだろう。それくらいのことは自分にもわかる。
しかし冷たい水で顔を洗うには少々怖気づいてしまう。リディアは机の上に洗面器を置いてそこへ水を少しばかり移した。
その洗面器の中へ指を入れてみた。
「冷たいのじゃ」
「そうね、気分がシャキッってするわよ」
「妾は野菜ではない、シャキシャキになっても仕方が無いのじゃ。ここは魔法でお湯にしたほうがよい」
「そんなことくらいで魔法使わなくてもいいでしょ」
リディアは呆れてしまったがここは譲れない。結局、魔法で少しばかり水の温度を上げ、それで顔を洗った。それから綺麗に顔を拭く。
その後、髪を梳ったり少しばかり身繕いに時間をかけた。何故かはわからないが、リディアがこちらの髪を結いにかかった。
「今日は三つ編みにしときましょ」
「ふむ」
どうやら三つ編みに編んでいるらしい。ちょうどいい、今日は運動をするつもりだ。さっき、夢の中で必死に走ったにも関わらずまったく前に進まなかった。
あれはなかなか気分が悪い。今日は走って気分の悪さを払拭するとしよう。
リディアと一緒になって家へ戻る。意気込んで扉を開けると、椅子に座ったシシィと竈の前に立つアデルの姿が目に入った。どうせイチャイチャしているだろうと思っていたが、そんな気配は無い。
アデルは振り返り、こちらに向かって微笑みかけた。
「おお、おはよう二人とも。ちょうど朝食の準備も終わったところじゃ、ほれ、開けっ放しでは寒いであろう。早く入って暖炉で暖まるとよい」
アデルは一気にそう言ってこちらを促してきた。反対する理由も無いので、挨拶を返し言われた通り暖炉の前に陣取る。火の放つ熱が顔に当たる。
リディアはアデルの隣に立って何やら手伝いをしていた。
シシィはというと、随分とぼんやりしているように見えた。頬がわずかに赤いから、もしかすると体調を崩したのかもしれない。
まるで置物のように動きが無い。気分が悪そうには見えないが、見ただけで判断できるほど観察眼に自信があるわけではない。
ただ、もしシシィの体調が実際に悪いのであればアデルがみっともなくオロオロしているだろうから、今のシシィの体調に問題は無いのだろう。
やがて朝食の準備が済み、皆で揃ってテーブルに座った。アデルはいつも通り明るい顔をしているし、リディアもそれに倣ってにこやかにしている。
シシィの表情は変わり無いが、時折アデルへ視線の先を向けてはすぐに逸らしていた。
「よくわからんのじゃ」
見た目には何も代わり映えのない気もするが、リディアとシシィの二人とアデルの間には何か深い繋がりが生まれたように感じられた。
繋がりと言うよりは、アデルに続く索をリディアとシシィの二人が掴んでいるかのようだ。
「うーむ……」
またもや気分がモヤモヤしてしまう。やはりこんな日は体を動かしてスッキリしたほうがいいに違いない。
ソフィはスープに口をつけながらそんなことを考えた。
日が高くなるにつれて気温も程よく上がってきた。心地よい冷風が服の間に張り込んでは去って行く。
ソフィは町までの道を走って二往復した。走っていると体が温まり、程よく汗も流れる。その汗が冷たい風に冷やされて心地よい。
空は爽やかに澄み切っていて、雲も殆ど見当たらなかった。
「ふぅ……」
やはり走るのは気分が良い。ふくらはぎに疲労が溜まり、村へ続く道の途中で速度を落とした。
「あらソフィ、もう疲れちゃったの?」
「まだ走れるのじゃ。しかし無理をするのが目的ではない。ここはのんびり行くのじゃ」
一人で走ろうと思っていたが、リディアもついてきた。リディアからすればこの程度の速さで走ることなど運動のうちにも入らないのだろう。汗ひとつかいていない。
こっちは運動用のズボンを着て足を動かしやすくしているのに、リディアは長いスカートのままスタスタとついてくる。
しばらく歩いていると体の疲れも落ち着いてくる。
そろそろ走り出そうかと思ったところで、リディアが提案してきた。
「ねぇソフィ、たまにはもっと速く走ってみたら?」
「む? 速くじゃと?」
「そうそう、速くっていうか全力で」
「そんなことをすれば長く走れないではないか」
「別にいいのよ、そうやって全力で走ったりしてると段々と体力がついてくるの」
「ふむ……」
リディアが提案してくるのならそれなりに効果があるのかもしれない。
それからリディアの指導が始まった。すぐに走るのかと思いきや、まずは走り方から入ることになった。腕の角度はこうだとか、膝の上げ方や着地の仕方など、あまりに細かい点にまで指導が及ぶ。
ただ全力で走ればいいだけだと思っていたが、随分と厄介なことになってきた。
「はぁはぁ……、し、死ぬのじゃ……」
「そんなことくらいで死んだりしないわよ」
全力で走ってみたが、自分でも思っていたよりも随分と速度が出た。リディアに言われた通りの形で走ってみると、まるで地上から浮いているかのように走ることが出来たのだ。もはや地面を足で蹴っているような感覚はなかった。
地上すれすれを飛ぶ鳥にでもなったかのような心地だった。ただ、心臓はまるで熱した鉄板の上で踊る水滴のように暴れまわっている。こんなもの何度も行えるものではなかった。
両膝に手をついて休んでいると、リディアに背を叩かれた。
「ほら、歩きながら休むの。止まって休んでると体が動かなくなるわよ」
「な、なんと……」
このままへたりこみたいくらいだったが、リディアは歩くように催促してくる。どうするべきか悩む。ここで止めると言えばリディアはそれ以上無理なことを言わないかもしれない。
しかし、もう少しだけ頑張ってみようかと思えた。
「ふぅ……」
しばらく歩き、そしてまた全力で走った。そんなことを繰り返していると、さすがに疲れも溜まってくる。
もはや一歩も動けないというところまで来て、リディアは満足そうに頷いた。
「うんうん、さすがねソフィ、凄いわ」
「む? どういうことじゃ?」
「まぁ歩きながら話すわ、ほら、あとちょっと」
歩くのも辛かったが、リディアが歩き出したので仕方が無く付き合う。リディアも普段よりずっとゆっくり歩いているから、どうにか並ぶことが出来た。
こちらの運動に付き合っていたというのに、リディアはまったく疲れた様子がない。
リディアは紅の長い髪を軽く手で押さえ、遠くへと視線を向けている。
何か言おうとしていたはずだが、何も言わない。こちらから催促したほうがいいのだろうか。
リディアは何やらこちらを褒めるようなことを口にしていた。そういう言葉であれば沢山聞いておきたい。
「ところでリディアよ、何か話すことがあったのではないのか?」
「そうそう、ソフィってかなり足が速いわね」
「ふむ、そうかのう」
薄々そんな気はしていたが、すっとぼけてみる。
「速いわよ、あたしもね、ほら、騎士団にいたから人を走らせたりとかしてたわけよ」
「ほう」
「それでね、騎士団に入るために色んな試験があってね」
いきなり話が飛んだ気がしないでもないが、リディアには時折そういうことがある。こういう時はあまり深く気にせず続きを聞いたほうがいい。
「クラウディアって子がね、騎士団に入るための試験を受けに来たのよ。でもね、その子、魔法はそこそこ使えたけど、剣術も体術も全然ダメだし、走らせても遅いしで、落とされそうになってたの」
「ほう、それは役に立たなさそうじゃのう」
騎士団ともなれば体力は必須だろう。剣を振り回すとなればかなりの力が必要になる。そのクラウディアなる人物はそれに耐えるだけの体力が無かったようだ。
リディアは深く頷いた。
「でもね、あたしはその子にね、揉みどころ、じゃなかった、見所があると思ったの」
「見所じゃと?」
「そうそう、それでね、あたしが推薦したからクラウディアは騎士団に入れて、それであたしがいっぱい走らせたり剣とか教えたの。それで実践を積むうちに魔法の腕もドンドン上達して、騎士団でもシシィ、ルゥの次くらいに凄い魔法使いになってたわ」
「それは凄いのう」
ルイゼがどれほどの魔法使いなのかは伝聞でしか知らないが、シシィが褒め称えていることから考えればきっと何百万人に一人の才能の持ち主のはずだ。
そのルイゼの次ともなれば、そのクラウディアという人物は相当優れた魔法使いのはずだ。
「それでね、クラウディアも人並みには走れるようになったわけよ。あたしの優れた指導があってこそだわ」
「自画自賛で締めるとは」
リディアは胸を張っている。そのクラウディアなる人物についてはよく知らないが、最初は劣っていてもそれなりに頑張って人並みの体力を手に入れたようだ。
いや、騎士団の中で比べているのだから人一倍の体力を手に入れたのだろう。厳しい訓練の結果魔法の腕まで上達したというのだから驚きだ。
「ふむ、シシィやお姫さまに次ぐ魔法使いとなれば相当な猛者に違いないのじゃ」
「そうよ、最初はダメダメだったのに、ちゃんと練習すれば何とかなるのよ」
「なるほど」
リディアはやや誇らしげに胸を張っていたが、やがて何かに気づいたように首を小さく振った。
「ま、まぁあれよ、ソフィも凄いわ。これだけ速く走れるって思ってなかったもの」
「ほう……」
薄々そうではないかと思っていた。個人的には長い距離をゆっくり走るほうが気分が良くて好きだが、こういう全力での走りも悪くないかもしれない。
リディアはお姉さんぶった顔で人差し指を立てた。
「そういうわけだからソフィ、驕ることなく鍛錬するのよ」
「ふむ……、しかし今日はさすがに疲れたのじゃ。この辺りにしておくのじゃ」
「そう? じゃあ家に帰りましょ」
「いや、妾は村でやることがあるのじゃ。リディアは先に帰っておるがよい」
「なに? 仕事か何かあるの?」
「いや別にそういうわけではないが、ともかく、妾は村に用があるのじゃ」
そう告げてから、踵を返した。怪訝そうに首を傾げるリディアに別れを告げ、村への道を速足で進んだ。
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